「ここが呪術高専だよ、もう皆には知らせてあるから早速教室に行こうか!」
「あの・・・」
「ん?」
「里香ちゃんは受け入れられますか?」
乙骨憂太の懸念は真っ当だ、そもそもロッカー事件からまだ2週間と経っていない、受け入れるには幾らなんでも早すぎる。
「大丈夫さ!」
「いやあの、大丈夫な根拠が聞きたいんですけど。」
「それを説明するには今の呪術界から説明する必要があるんだよね、取り敢えずその説明はお披露目のあとでやるつもりだから大丈夫。」
灰原は詳しく話そうとしない、呪術界の複雑さというものは超絶めんどくさいからさ!と笑顔で言う彼の言葉を信じるしかないのだろう。
呪術高専内はとてつもなく広い、ぱっと見でもアニメに出てくるような建物の規模感と静かな空気が異世界に入り込んだかのような感覚を覚えさせる。
ところどころ災害でも起きたかと言うような破壊痕もありやはり呪術師とは一般人と比べると怪物のような存在でもあるのだろうと再確認する。
古い木造の校舎の中を二人でゆっくりと歩く、ギシギシと音を鳴らしながら廊下を進み、ある教室の前にたどり着いた。
古いこと以外は案外清潔感のある校舎に少し驚きながらもようやく自分のいることになる教室にささくれだった心が動くのを感じる。
「やぁ皆!昨日も言ったと思うけどロッカー事件の子を連れてきたよ!あとその子に憑いてる折本里香ちゃんもね!」
教室に入ると目の前にはパンダが居た。
「パンダ・・・?」
「お、そいつがロッカー事件のやつか?よろしくな!」
「喋ってる・・・?」
「おまえ図体がでかいんだからどけって、お前、名前は?」
パンダの後ろから女性の声が聞こえる、パンダのインパクトが大きすぎて人なのかも分からない。
「おい今私のことを人外だって思ったかコラ」
「あ、人だ」
「お前もしかして図太いか?」
パンダを横に押しのけて見えたのは髪の長い女性だった、可愛い系と言うよりかは綺麗系の見た目をしている美人だ。
『ゆうたに・・・近付くな!!!』
「うるせぇ!そんなつもりねぇよ!!!」
『ゆうたは・・・かっこいいのぉ!!!!』
「分かったから威嚇やめろやコラ!!話進まねぇんだよ!!!」
り、里香ちゃんと普通に話してる・・・。
里香ちゃんと・・・女性が取っ組み合いを始めてしまった。
「アイツは禪院真希、呪術界の名家の生まれなんだが呪力が少ない、まぁ特級呪霊でも相性が良ければ祓えるから気にするな」
「しゃけ」
「しゃけ!?」
ていうかパンダが普通に話してる事にも驚く、なんだここは。
「コイツは狗巻棘、言葉を話して攻撃する呪言師の家系でな、術式の威力を高めるために語彙を制限してんだ。」
「それでなんでしゃけ?」
「おにぎりの具だ、しゃけは肯定、おかかは否定、これだけ覚えとけばあとは大丈夫だ。」
「しゃけしゃけ」
あ、今のは僕も分かる、そうそうって意味だ。
「うんうん、自己紹介は終わったかな?里香ちゃん!君はこっち」
「クソっお前力強すぎだろ」
『ゆうたぁ・・・こいつがいじめる!』
「うるせぇ、ぶっ飛ばすぞ。」
『あぁ?』
「おぉ?」
「はいはい二人とも!ケンカしない!」
この教室には机が4つしか無かった、今いるメンバーがそのままクラスメイトということだろうか。
少なすぎでは?
「今日は乙骨憂太君が来てるからね、今の呪術界のおさらいだ。」
「この中で今の呪術界とあんまり関係ないのは狗巻位なんだよな」
「おかか」
「え?どっち?」
「いくら」
分からない・・・。
「まず、呪術師がどういうものかだ。」
呪術師は分かりやすく言えば政府と関わりのある公的機関に属する戦闘員達の総称である。
呪術界の上層部の下に呪術師達が居て、呪術師達を育成する場所が下部組織の一つである呪術高専。
呪霊が見えるが戦えないものは窓と呼ばれる各地に住み着き連絡を回す現地調査員となる。
呪霊が確認された場合窓は調査を開始し、死ぬか生存し情報を呪術界に発信する役目を負っている。
連絡を受けた呪術界上層部が呪術高専やフリーの術師に依頼を出し、呪術師による呪霊の討伐任務が始まる。
その際車やバイク等の移動手段、食事、拠点などの準備や非術師に見られないようにする帳を下ろす仕事をしている人間を補助監督と言い、基本的に呪術師と補助監督によるタッグで任務を遂行することになる。
窓と補助監督は呪力量が少ない人間も多く、呪霊銃と呼ばれる対呪霊の銃の携帯を許されている。
「ここから次が君達呪術師の出番だ。」
呪術師は等級によって分けられていて下から4級、3級、2級、1級の4つに昇格条件を満たしていないが実力はこの4つの等級と同レベルであると判断されている人間が振り分けられる準○級という区分がある。
「あの、里香ちゃんは何級なんでしょうか?」
「「「特級」」」
「しゃけ」
「特級呪霊は特別・・・のはずなんだけどね。」
「滅茶苦茶いるよな」
「なんなら普通に話してる奴いるしな・・・」
「しょっちゅうぶん殴られまくるぞ。」
「ええ?」
「・・・おかか」
クラスメイトと担任が急に暗い雰囲気に変わってしまった、何かやらかしてしまったのだろうか。
「本来の意味から言おうか」
特級呪霊とは1級寄りも大きく上の実力を持つ呪霊のことである。
例えば術式が概念に及ぶ呪霊、例として天然痘や海の呪霊などがそれにあたる。
もしくは単純に呪力量がとてつもなく多い呪霊。
里香ちゃんはどちらかといえばこちらにあたる。
大抵の場合何かしらの術式を持っている上に領域という自分の力が強くなる空間内でじっとしていることが多いらしい。
ホラーゲームなどでよくあるあれである。
隠れる所が多かったり、逆に絶対に安全な場所を残すことで呪霊達が使う術式の攻撃力や効果を底上げしたり出来るらしい。
そういう制限や決まりを縛りと言い、呪霊も呪術師もこれらを駆使してカードゲームのように相手を倒すのが呪術師の戦い方だそうだ。
これらの呪霊の等級を手早く倒せることが呪術師の等級であり、例えば1級呪霊数体を数分で片付けられる実力があればその人物は1級術師であると認められる、ということだ。
逆にどれほど弱くても相性や不意打ちなどによって4級術師が1級呪霊を倒す事も出来なくはないので死ぬ気でチャンスを掴むのが大事であると灰原は締めくくった。
「実際俺も2級術師だけど特級呪霊を1回祓えたことあるよ、その後戦死判定貰って相討ちってことになったけどね」
「あれわざと受けてもらってなかったらそもそも倒せてねぇだろ」
「すじこ」
「まぁ花は持たせてもらってなんぼだし」
灰原はガックリと肩を落とした。
「じゃあ次は呪術界についてなんだけど」
灰原が次の説明に行こうとした時、学舎のチャイムが鳴り響いた。
「・・・少し休憩と行こうか、里香ちゃんがなんで受け入れられてるのかの説明も込みで色々と話さなきゃならないからさ。」
漫画だからこそぱっと図解できる事をなんとか文字で表現しようとしたら文字数が馬鹿みたいに多くなりがち、あると思います。
乙骨に説明する過程で本編との違いを上手いこと分かりやすくできたらなって・・・