翌日、乙骨憂太と五条悟は高専内のグラウンドに居た。
「俺のバリアを抜く方法、考えてきたかい?」
「ええ、まぁこれなら出来るかもってくらいですけどね。」
五条悟さんはニヤニヤしながらその真っ青な目をこちらに向ける。
「最初は出来るかどうかを見てあげるよ、これで抜けなければ勝負してないってことで。」
「あはは、流石特級呪詛師ですね、油断し過ぎでは?」
「逆だよ、そもそもこのバリアが足切り性能高すぎるんだ、抜けなきゃ勝負にならないから抜いたところからが勝負、わかりやすいでしょ?」
言っていることは全て事実なのだろう、いつでも動ける様にしていながらも僕の攻撃を待っている。
「僕の術式はもう知ってますよね?だから他の人の術式も借りてあなたに挑みます。」
「良いね、来なよ。」
「【動くな!】」
効果無し、呪力量を大きくしたけど効果は見えない、つまり呪力を乗せた音は届いてないことになってる。
「声自体は届いてるけど呪力はカットしたよ。」
「【激震掌】!!!」
「術式じゃなさそうだけど、届いてない。」
「里香!!!」
『はぁい!!』
二人で挟んで殴るも五条さんの前で止まる。
「物理は無駄だよ。」
「ええ、分かってますので、こうします!!」
里香の口からある短剣がスイカの種飛ばしのように射出される。
その呪力の異様さに五条悟はすぐに感づく、それは昔、己の無下限を紙のように切り飛ばしたそれと同じもの。
特級呪具、天逆鉾。
あらゆる術式効果を無効化する特級呪具の切っ先が五条悟に向かって放たれる。
「ハハッ」
無下限のバリアが剥がされる。
「いや、違うな。」
パンと五条悟は手を叩いた、すると視界は元に戻り乙骨の姿が消えている。
「幻覚!灰原のか!」
危険なものを自動で弾くと言うのならば危険でない状態で直接的、間接的に害を及ぼさない幻覚であればいっときの間時間を稼ぐことくらいは出来る。
『まだまだ行くよぉ!!』
折本里香の拳が唸りを上げる。
その拳に込められた呪力は無尽蔵なまでの呪力量を無理やり込めることで1発1発が五条悟の【赫】に匹敵するほどの威力となり、五条悟のバリアに叩きつけられ始める。
その法外な呪力量の多さに五条悟がバリアに使っている呪力が無理やり折本里香の呪力に侵食されそうな程だった。
「それでもまだ破られていない。」
乙骨の姿が消えている、まだ幻覚にかかっているのか、それとも本当に居ないのか。
折本里香の呪力と乙骨の呪力は似ている、六眼であろうとも瞬時に判断するのは難しい程に。
ならやって来るのは先ほどと同じ奇襲、背後からか、したからか、そもそも領域展開か。
胸から刀が飛び出して来る。
幻覚だ、まだ破られた形跡は無い。
血が滲むが痛みはない、だからこれは幻覚に近い。
無下限に幻覚の呪力をシャットアウトさせると胸から飛び出た刀は消失する。
目の前には乙骨憂太が刀を構えて突撃してくる姿が見えた。
あの折本里香も幻覚だったか!器用な使い方をする!
乙骨の刀を先にある呪力を見て五条悟は笑った。
「反転術式!!アウトプットまで出来るのか!!!」
刀の切っ先が五条悟のバリアに当たる。
反転術式の出力はマイナスの値である呪力に呪力をかけることで決まる、故に呪力量の消費は普通に使う場合の2乗という極悪な燃費を誇る技術だ。
だがそれでも反転術式による正の呪力は負の呪力とは足し算と引き算で割り出せる。
つまりたとえ一瞬であっても反転術式による無下限のバリアを正の呪力で相殺もしくは殺し切ることができれば理論上術式による効果はそのほとんどが消失する。
五条悟のバリアが貫かれた。
「ハハッ、君の呪力量が実質的に無限に近いこと、忘れてたよ、こんなのあの黒閃バカくらいしか出来ないでしょ?」
「まぁ、はい・・・あの人の黒閃威力も精度もおかしいっていうのは分かってましたから、何とか考えつくことができましたよ。」
五条悟の胸に刀が突き立っている、並の術師であればここから巻き返す手段など無い。
だが、ここに居るのは五条悟である。
心臓を貫かれた上で世間話を続けることに何の疑問も抱くことなく乙骨は更に追撃を加えようと里香を召喚し、刀を捻る。
容赦なく落ちていく血溜まりとともに五条悟の身体は・・・倒れない。
「術式順転【蒼】」
ごうと背後からまるで台風の突風様な引き寄せる力と共に乙骨の身体が吹き飛ばされる。
「嘘でしょっ!!?」
「あっはは!!!良いねぇ!!!」
五条悟との勝負は始まったばかりである。
ここまで策を披露したけど抜けたのがほんとに呪力のゴリ押ししか通ってないのホントに無下限バリアの足切り性能が高すぎる。
ぶっちゃけると五条に宿儺みたいな状態になってもらおうとしてたんだけどこの人普通に戦い始めて書いてて笑うしかない、公式最強は伊達じゃないねほんと。