黒閃が死ぬほど撃てる天与呪縛の女の子   作:リアオットー

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五条さんが試練

五条さんの術式によって吹き飛ばされた僕は素手で戦うことになってしまった、刀を取り戻したいけれど五条さんがそれを許すはずはないだろう。

 

「うん、良いね。」

 

五条さんはあえて刀を抜き取ると貫かれた心臓をみるみるうちに治していった。

 

「それ、心臓を無理やり治すの時間がかかりますよね。」

 

「あ、やっぱバレる?」

 

反転術式は医療知識である程度効率が変わるのだと家入さんは僕に言っていた。

 

僕のようにいくらでも潤沢に呪力を使えるわけでもないなら節約は必須なのだとぼやき、そしてそのまま反転術式の授業に入ってくれていたのだ。

 

曰く、反転術式を使える数少ない術師の中でも医療知識によって超効率で行える術師は私だけだと。

 

治すべきところを治し、治さざるところは治さない。

 

大抵の場合呪力効率が極悪な反転術式だけで保険医などそう簡単に出来るものではない。

 

刀に反転術式を仕込んだのもそうだ、必要最低限を込める練習として切っ先だけに反転させた呪力を集中させるという訓練がこんなところで役に立った。

 

対呪霊用として家入さんからは必殺の方法だと言っていたけれど多分コレは五条さん用として開発していたものだろう。

 

「うん、無理やり今治したからバリアは暫くは貼れないね。」

 

五条さんは手で来いよと挑発してくる。

 

「ええ、行きます!!!」

 

刀は術式で遠くまで飛ばされたし、素手でやるしかないけど、キツいなぁ!!!

 

「術式反転【赫】」

 

五条さんは自分でかかってこいと言いながら後ろに下がりこちらに呪力砲を撃とうとしてくる、強いくせに真正面から火力で押し切るわけじゃないのが本当に面倒だ。

 

「里香!」

 

里香が拳で飛んできた赫を跳ね返し、もう片方の手で岩をぶん投げた。

 

その岩に隠れて真上から踵落としを決めるが五条さんは片手で受け止めていた。

 

「ハハッ、凄いねこの呪力量、腕が痺れちゃうや。」

 

掴まれている足を起点に回転するように呪力を吹かし無理やり頭に蹴りを叩き込む、五条さんは吹き飛び、折れた脚はすぐさま反転術式で無理やり治す。

 

里香も吹き飛んだ五条さんを握り込み、その凄まじい膂力で押し固めるが五条さんはバリアを展開したようで触れなくなっていた。

 

「バリアは使えないって言ってませんでしたっけ!?」

 

「アレはフルオートで使えなくなったって意味だよ、にしても・・・凄いねホントに」

 

五条さんは呪力操作能力が高いと家入さんからも言われている。

 

でも僕が全力で呪力を込めても当たり前のように反撃してくるなんて予想外にも程がある。

 

コレが特級呪詛師と呼ばれる人間なのか。

 

「じゃあ、次はこっちの」

 

五条さんが消える。

 

「番だね」

 

思いっきり腹に拳をぶち込まれる。

 

吹き飛びそうな威力だと言うのに位置が動かない。

 

一瞬意識が遠のきそうになるが必死に意識を繋ぎ止め、呪力で五条さんの位置を探る。

 

さっき使われていた蒼という術式の残滓が五条さんの拳にあった。

 

そうか、殴る時に術式を!?

 

『ゆうた!!!』

 

里香ちゃんが暴れ始めている。

 

五条さんはその猛攻をバリアで全て弾き返していた。

 

たったの一撃でここまで重いなんて余りにも強い。

 

五条さんの足が目の前に見える。

 

今なら、不意をつけるか?

 

「君、思ってるよりも弱いんだね、自分が強いからって死なないわけじゃない。」

 

五条さんの声がハッキリと聞こえる。

 

「俺に勝負を挑んだんだ、それなりに勝算があったんだろうし、実際バリアを剥がされた時は驚いた。」

 

五条さんの瞳がこちらを向いている。

 

目と目が合った。

 

「でもそれだけじゃスタートラインにしか立ってねぇんだよ。」

 

他に何もないなら、折本里香は傑に取り込ませるぞ。

 

その言葉に、僕の目の前が真っ白になった。

 

『「は?」』

 

僕と里香の言葉が重なる。

 

『「【こ         ろ          す        ぞ           !】」』

 

呪言込みで呪力を全て回す。

 

指輪を撫でる。

 

「里香、殺す気でやろう。【全部だ】」

 

『うん、良いよ。』

 

五条さんの足を掴んで放り投げる。

 

地面に手をつき、反転術式を地面の中に居る微生物、虫、動物の全てに呪力を通す。

 

過剰回復で死んだ全ての生物の呪力で持ってある呪具を作り出す。

 

特級呪具、天逆鉾、幻覚でしか見せていないそれの劣化レプリカでしかないが過剰なまでに注ぎ込まれた呪力によって一時的な顕現を成功させた。

 

その数、数千。

 

「『【死ね!】』」

 

特級呪具の雨に五条は満面の笑みを浮かべていた。

 

「あるじゃないか!!術式順転【蒼!】」

 

「させませんよ。」

 

五条さんに向かって大量のゴキブリが殺到する。

 

その全てに反転術式が込められており、子供を産みながら、死にながら、交わりながら、飢えながらその数を爆発的に増やして突撃していく。

 

ゴキブリたちによって足が切り取られる。

 

それに気を取られた隙には天逆鉾がつき刺さり、バリアを無効化しながら皮膚が削れていく。

 

伏黒甚爾が持っているものと違いあくまでレプリカであるためかその威力はかなり低い、それでもその力の一端を発揮しているのはやはり無尽蔵と言える呪力によるゴリ押し。

 

「構築術式・・・あぁ、伏黒ちゃんのやつね!あとゴキブリは黒沐死かな!?いや、もう一つあるなぁ!!!」

 

ゴキブリの中から里香が飛び出て五条さんの胴体に拳を叩き込む。

 

その比率は7対3の地点。

 

血塗れになりながら吹き飛んだ先には僕がいる。

 

天逆鉾を片手に五条さんの頭に思いっきり突き刺そうと切っ先を向ける。

 

「【蒼】」

 

フワッと空中で止まる五条さんは血を口から出し、足もない重傷と言える姿だった。

 

でもそれでも、本気で僕たちが攻撃をしていたにも関わらず五条さんは笑っていた。

 

「あーほんっと予想外、想定外過ぎるし君の呪力と反転術式のせいで術式がほとんどお披露目できないまんま死ぬところだったよホント。」

 

「僕としては貴方の呪力を完全に消し飛ばす勢いで全部相殺したはずなんですけど。」

 

「うん、実際ゴキブリはホントに死ぬかと思った、君ちゃんとイカれてるよ。」

 

俺の虚式みたいなことを当たり前のようにやるんじゃないよと少し拗ねたように五条さんはボヤいていた。

 

「でも君、もう呪力すっからかんでしょ、天逆鉾のレプリカも術式効果の再現をする為に何かが触れたらすぐに壊れる仕様だったし、反転術式だってあの量のゴキブリ越しにやるなら呪力がいくらあっても足りない筈だ。」

 

「・・・そこまで見抜きますか?」

 

「実際勝つだけなら俺にはまだ手札はあるし、最悪領域展開で勝負を決めれば殺し合いなら俺の勝ちは揺らがないだろうけど、君もまだ納得いかないだろう?」

 

「ええ、あの発言は僕にはどうしても受け入れられない。」

 

「なら、ここで決めなよ、死ぬか、やるかを。」

 

術式順転【蒼】術式反転【赫】。

 

五条さんの後ろに先ほどまで使っていた蒼と赫の2つが現れる。

 

「コレは虚式【茈】、僕の使える術式の技のなかで一番強いやつ、凌いでみなよ。」

 

「凌げたら合格、無理なら死ぬ・・・簡単でしょ?」

 

さっき赫の威力は見た。

 

里香ちゃんは弾き返したけれど弾き返した先の建物がごっそり削られていたからどれくらいの威力なのかは分かっている。

 

それよりも強い虚式【茈】。

 

僕も命をかけるしかない、のか。

 

どうせ失敗したら死ぬんだ。

 

「ねぇ里香ちゃん、里香ちゃんは、ぼくのこと好き?」

 

『だいすき、世界で一番大好きだよ。』

 

「そうだね、僕は里香ちゃんのことを上手く使えていないと思う、本来の強みを生かしきれてない気がするし、いまだに人を傷つけるのがとても苦手だ。」

 

『うん』

 

「でも、そんな僕でも一緒に戦ってくれるなら。」

 

指輪を撫でる。

 

「結婚しよう、里香、二人であの人を倒して、死ぬまで一緒に。」

 

里香はニヤリと笑った。

 

『なら、みんなで倒そうよ、憂太。』

 

「えっ」

 

『憂太が大切だと思う人、全員の力で勝とうよ。』

 

「・・・」

 

『皆で倒せたら、結婚しよ?』

 

今だけは、呪霊の姿ではなく、元の、人の姿に見えた里香がそこに居る気がした。

 

「・・・やろう。」

 

『全力で!!!!』

 

「すぅ・・・」

 

五条さんを見つめ返す。

 

「おいおい、この状況でケーキ入刀よろしく俺の相手かよ!?はー!やってらんねえなぁ!!!」

 

「すみません、でも僕は結婚式の予定があるので、ここで死んでられないんですよ。」

 

命をかけた縛り、五条悟の虚式【茈】を真正面から打ち破る為に全てをかける。

 

なけなしの残った呪力が目の前に集まっていく、里香は僕の肩に触れてそっと言葉をかけてくれた。

 

「じゃあ、行くぞ!」

 

「はい」

 

五条さんの【茈】が僕の放った呪力砲に当たる、拮抗した勢いはジリジリとこちら側に迫る【茈】によって僕の身体が少しずつ焼けていく。

 

「『貫けぇええええええ!!!!!!』」

 

更に出力を上げる、身体が悲鳴をあげているのが分かる、それでも今は、今だけは!勝つんだ!!!

 

虚式【茈】の砲撃は貫かれた。

 

「マジかよ、真正面からぶち破ってきやがった。」

 

だがその砲撃は虚式【茈】を貫き、突破したが五条悟に傷を負わせる程の威力にはならなかった。

 

あくまで重いパンチ程度、命をかけていたとしてもそれだけしか通せなかったと見るべきか、それとも呪術戦に慣れていない状態でさえ、五条悟に対して傷を負わせたと見るかは、人によるのだろう。

 

そして、乙骨はまだ諦めていなかった。

 

終わったと思っていた五条悟と、あくまでも勝ちにいった乙骨、故にコレは明確な油断であるし、明確に運の女神が微笑んだとも言える。

 

五条悟の身体に一閃の太刀筋が走る。

 

「・・・は?」

 

「禪院家で渡愛さんが一番扱いやすいと思う術式の人に、昨日頼み込んで教えてもらった術式なんです。」

 

「本来は拳の拳撃を別の場所に発生させる術式らしいんですけど、僕はこっちのやり方に改変させました。」

 

「ぼくはもうこの術式は使えないって縛りといっしょに。」

 

その術式は、禪院甚壱の術式であった。

 

五条悟の身体が崩れ落ちる。

 

「そうか・・・天逆鉾の術式無効化が付与された斬撃を、その術式で・・・」

 

「はい・・・僕の勝ちです。」

 

五条悟の敗北は、呪術界に激震が走った。

 

五条悟は内臓がこぼれ落ち、瀕死の重体ではあったが交戦場所が高専内であったこと、あくまで命までは奪わないという建前の元五条悟に対して拷問紛いの治療を施し、回復した。

 

折本里香は虚式【茈】を受け止めた際、呪霊では出来ない反転術式を乙骨憂太に施す為、自らの呪力全てと魂をかけて乙骨憂太を治療していた。

 

現在折本里香の呪力生成能力は人間である折本里香の指輪に宿っており、乙骨憂太が指輪をはめている時に顕現することが可能となっている。

 

こちらの里香には自意識と呼べるものはなく、式神に近い能力であることが判明し、この事実をもって特級過呪怨霊『折本里香』の祓除は完了したとされた。

 

コレから指輪に宿っている折本里香の残滓と呼べるこの式神をリカと呼称し、区別することとする。

 

乙骨憂太は一足先にあの世へ行った折本里香と結婚したのだと言う発言と共に新婦の居ない結婚式をあげて高専関係者を尽くドン引きさせたあと、GGOSに出向した。

 

その際、五条悟と夏油傑が喧嘩をすることになり、GGOS本部が大爆発し、乙骨憂太とリカがそれの鎮圧に当てられるなどの細かい事象が発生したが、概ね些事である。

 

乙骨憂太のとてつもない呪力量に関してであるが、指輪を装着してから5分間の間は、五条悟との戦い前と同程度の規格外の呪力量を誇る状態となるため、乙骨憂太自身の呪力操作能力の向上を急ぐべきだと判断されている。

 

また乙骨憂太の術式、『模倣』についてだが乙骨が術式をリカと共に見ること、そしてリカが術式を持つ術師か呪霊を捕食することのどちらかにより『模倣』が完了し、使えるようになるという条件が判明した。

 

『模倣』された術式は本来の使い手よりも精度や効果が弱体化しており、完全再現をしようとした場合、本来の術式の数十倍の呪力が必要になる事も付け加えておく。

 

以上の特異性から乙骨憂太に弱体化する条件はあれど逆にカバー要因もそれなりに用意出来うる為、特級からの変更はしない方針を取ることとなる。




訳『コイツ術式の使用が若干めんどくさくなっただけで脅威度はむしろ増したから危険度は据え置きな。』

五条戦の決め手は甚壱くんの術式、顔がアカン事以外は最高に使い勝手が良すぎる術式なのが悪い。

なんなら戦闘が成立した要因が大体禪院家の面々の術式模倣のお陰なので五条家の血筋なのにやってる事が禪院家なのは言ってはいけない。

ちなみに模倣された構築術式で作られた天逆鉾は戦いが終わったらボロボロに崩れ去ったので残ってません、術式を完全再現するかわりに強度がゴミカスになったのでそもそも戦闘に耐えられる出来ではないという。

作り出すのも多分もうできないと思います、アレブチギレ時のヤケクソ構築なんで・・・そうしとかないと獄門匡が一瞬でメタられる。
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