黒閃が死ぬほど撃てる天与呪縛の女の子   作:リアオットー

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縛り内容
・加茂渡愛を好きになること
・加茂渡愛と結婚すること
・他人から感謝されること
・浮気をしないこと
・他人を虐めないこと

躯倶留隊
・渡愛と試合して負けたら呪力を使わず筋肉痛になるまで訓練

禪院蘭太
・渡愛と試合をして負けたら3日間呪力無しで訓練参加


少し時間が経ち、平和なひと時

「ねぇー!おじいちゃん試合しないのぉ!?」

 

渡愛の前に座る年配の男はニッコリとした顔を崩さず、首を横に振る。

 

「炳の人達と一回戦わないといけないんだよおじいちゃん!」

 

「黒閃は耐えられぬ」

 

「なら他の勝負でいいから!!!何でも良いからぁ!!」

 

渡愛は子供らしい甲高い声で禪院長寿郎に対して懇願する。

 

その姿はここが呪術師の御三家で無ければ微笑ましい祖父と孫娘の光景であったのだろうが。

 

「まだやで蘭太、お前に俺は捉えられんわ」

 

「グッ・・・そこ!」

 

まだ近くで投射呪法の残像とそれを捉えんと術式を展開する天変地異が起きているとすれば話は別である。

 

「【天権・狂視】ぃ!!」

 

「【フォトデベロップ】【リピート】【プリントアウト】」

 

蘭太は衛星画像のように天空から目を顕現させ目を刺す視線を現実に反映する、刺す視線を直哉は自分の視界を現像し空間毎自らに羽織らせ高速の移動を開始する。

 

「クソっ右!!「残念左やで!」」

 

呪術はどれほど削るか、という例がある。

 

それらは縛りを用いて運用法を限定し術式の効果を高める事が由来である。

 

だがそれは古くから舞や祈祷と言ったものから始まり簡略化を経て使いやすいものだけが残ったもの、最たる例が安倍晴明が使っていたとされる人身御供の式神である。

 

コレ自体は人の代わりの生贄として人を模した物を使う事で人命を失わずに神の力を行使するためのもの、それは人がそうであると定義しそのとおりに使うことで初めて効力が発生する。

 

禪院家にも十種影法術という式神たちを召喚する相伝の術式があるがその術式で召喚する式神も人が出来ることを動物に変えることで効力を変えないまま一人の術式として成立させている、摩虎羅だけは規格外なためここでは省略する。

 

つまり結論はこうだ。

 

効力が落ちなければ別に削る必要は無いのである。

 

随分と力技であるが五条悟が良い例である。

 

禪院家に伝わっている五条家の無下限呪術は、引き寄せる力の蒼と押しし出す力の赫の2つだけ、恐らく五条家の中でも知られていない技もある可能性も高いが極論その2つだけなのである。

 

無限を付与すると聞くと理由のわからない概念系の呪術であるが運用さえできればその2つで事足りる効果であるという事は誰でも分かる通り。

 

守る力と相手にぶつけるだけで終わるのであれば十分であるのなら発展させる必要はない。

 

故に障壁、蒼、赫の3つ以外は残されていないのだ。

 

直哉は渡愛の黒閃のボーナス譲渡の縛りによって常に思考能力と呪力操作感度が高められている状態が続いている。

 

故に、効力を落とさず、効率を最大限に高めた上で、拡張術式を組み合わせ、コンボ前提の術式構成を作り上げた。

 

投射呪法はカメラが出現してから出てきた術式、歴史は明治が始まるより少し前辺りまでの記録しかない、ルーツがそこだと分かっているなら出来ることの予測は可能。

 

故に、カメラが出来る事ならば大抵の事象は出来ると直哉は判断した。

 

その結果、カメラで取った風景を自らの視界に当てはめ、空間をそのまま切り取り、それらを現像し、羽織る術式を組み立てることに成功した。

 

その際1秒間のフリーズが発生するという縛りを除外し、速度が維持できなくなる状態になるが、それでもその目論見はうまく行き、今こうして見ることで術式が発動する蘭太に対して有利に戦況を運んでいる。

 

「がっ!?」

 

そして、投射呪法のフリーズ、蘭太は1秒間動けない。

 

「貰いや、ええ動きやったで、蘭太。」

 

フリーズした蘭太の前、そこで急停止した直哉はしっかりと踏み込み、正拳突きの構えをとる。

 

防御を捨てること、今までの速度を捨てること、一分間呪力操作が出来ないこと、次の一撃で全ての呪力を放出する事。

 

即席の縛りを幾つも作り、裁定し組み立て、効果を上げる。

 

そうして出来るのが、自らの伴侶が出来る当たり前の事象。

 

「【黒閃】」

 

黒い火花は、まだ、微笑まない。

 

それでもその呪力の奔流は蘭太を吹き飛ばし、気絶させるに至る。

 

「クソっ、まだ、足りんか」

 

呪力が無くなり気絶した直哉を躯倶留隊が回収していく。

 

「おーじーいーちゃーんー!!!」

 

そのような大惨事が起きている横で渡愛はまだ長寿郎に試合をしようとせがんでいた。

 

「ならば、これを」

 

「将棋?」

 

「コレならば、誰にも迷惑はかけぬ」

 

長寿郎は毎回黒閃で地面だの人だの建築物を破壊するこの暴風雨の様な幼子を懸念していた。

 

故に選んだのが卓上遊戯、将棋であった。

 

昔からあり、呪術師らしい取捨選択も含めた多彩な戦況を学べる良い遊びであった。

 

「ルール分かんないよ?」

 

「ゆっくりやればよい、慣れたのならば、その時に」

 

長寿郎は、今度こそ、穏やかに笑っていた。




この会話を聞いて見ている躯倶留隊は初めて喋ってるところを見たとか孫には優しいのかなど噂された模様。

この後ほとんど覚えてないのに挑んだ結果負けて縛りの追加はなかった。

直哉君はまだまだ、あっち側への道のりは遠いよ何処までも。
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