チュートリアルお兄さん(呪い)   作:夜神桜

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番外編12 ハーレムルート(地獄)

――最初に言っておく。

これは幸せな話じゃない。

これは恋愛じゃない。

これは救いじゃない。

 

これは。

神が俺を殺しに来た話だ。

 

しかも精神的に。

 

俺は日本にいた。

いつも通り平和を装った日常。 

 

コンビニでコーヒーを買って。

スマホでハー○ルンのコメント欄を見て。

「更新待ってます!」とか言われて。

胃が痛くなって。

 

普通に死にそうになっていた。

 

「……なんで俺の人生、こうなるんだろ」

 

その瞬間。

スマホが震えた。

 

連絡帳。

嫌な予感。

 

俺はゆっくり画面を見る。

 

通知。

【アルセウス:集合】

 

俺は叫んだ。

「やめろ!!!!!!!!!!!!!!」

 

だが、神は聞かない。

 

光。

転移。

強制召喚。

俺の世界は白く染まった。

 

次に目が覚めた時。

俺は広いホールに立っていた。

 

豪華な床。

高い天井。

謎の神殿っぽい空間。

中央に玉座。

 

そして。

その玉座に座っている白い馬。

 

アルセウス。

 

『零』

 

俺は言った。

「……何の用だよ」

 

アルセウスは淡々と言った。

『お前に問題がある』

 

俺は言った。

「お前が原因だろ」

 

アルセウスは無視した。

 

『お前の人生は戦いばかりだ』

 

『ならば』

 

『別の試練を与える』

 

俺は嫌な予感しかしなかった。

 

「……試練って言うな」

 

アルセウスは言った。

『恋愛だ』

 

俺は固まった。

「……は?」

 

アルセウスは続けた。

『お前は誰かを守るばかりで』

 

『誰かに愛されることを拒んでいる』

 

俺は叫んだ。

「余計なお世話だ!!!!!!」

 

アルセウスは言った。

『だから用意した』

 

俺は言った。

「何を」

 

アルセウスは言った。

『候補者たちだ』

 

俺は思った。

(終わった)

 

光が走る。

次々に転移が起きる。

見覚えのある顔が、ホールに現れた。

 

まず。

ハルカ。

「……え?ここどこ!?」

 

次。

ヒカリ。

「え、零!?なんで!?」

 

次。

トウコ。

「は!?ふざけんな!!」

 

次。

メイ。

「え、なにこれ!?面白そう!!」

 

次。

セレナ。

「……ここ、どこですか?」

 

次。

ミヅキ。

「えっ、神殿!?すご……」

 

次。

ユウリ。

「……え、は?なんで私が?」

 

次。

アオイ。

「ちょっとちょっと!!なにこの状況!?」

 

次。

ショウは風邪を引いてるからいない。

 

よし。

俺は一瞬安心した。

 

……いや、安心してる場合じゃない。

 

俺は思った。

(揃った。終わった)

 

全員が俺を見る。

空気が固まる。

 

俺は言った。

「……いや、違うんだ」

 

ハルカが言った。

「え、零!?久しぶりじゃん!!」

 

ヒカリが言った。

「零、説明して」

 

トウコが言った。

「おい、どういうことなのこれ」

 

メイが言った。

「え、なに!?修羅場!?修羅場!?」

 

セレナが言った。

「……八雲さん、これは……?」

 

ユウリが言った。

「アンタ、まさか」

 

アオイが言った。

「ちょっと待って、情報量多すぎ!!」

 

ミヅキが言った。

「え、私たち呼ばれたってこと?」

 

俺は頭を抱えた。

「……誰か俺を殺してくれ」

 

アルセウスが言う。

『これより』

 

『八雲零・恋愛適性試験を開始する』

 

俺は叫んだ。

「試験とか言うな!!!!!!!!」

 

アルセウスは続ける。

『この中から一人』

 

『お前の伴侶を選べ』

 

俺は固まった。

「……は?」

 

ハルカが言った。

「伴侶!?」

 

ヒカリが言った。

「……は?」

 

トウコが言った。

「はぁぁぁぁ!?」

 

メイが言った。

「やば!!ガチのやつだ!!」

 

セレナが顔を赤くした。

「……そんな、急に……」

 

ミヅキが笑った。

「神様、ノリ軽くない?」

 

ユウリが冷たく言った。

「……ふざけてるの?」

 

アオイが言った。

「は!?何それ!?」

 

俺はアルセウスに叫んだ。

「お前、世界を作った神がやることかこれ!!!!」

 

アルセウスは平然と言った。

『世界は暇だ』

 

俺は叫んだ。

「暇なら寝ろ!!!!!!!!」

 

そして。

地獄が始まった。

 

【第一試練:デートイベント】

 

ホールの床が光る。

空間が変わる。

 

ミアレの街並み。

カフェ。

夕日。

 

オシャレすぎる。

 

俺は言った。

「……あ、カロス」

 

アルセウスが言う。

『デートを成功させろ』

 

俺は叫んだ。

「成功って何だよ!!!!」

 

すると。

全員が一斉に俺の腕を掴んだ。

 

ハルカ「じゃあ私!」

 

ヒカリ「私が先でしょ!」

 

トウコ「は?順番決めろ!」

 

メイ「じゃんけんしよ!」

 

セレナ「……わ、私は……」

 

ミヅキ「楽しくなってきた!」

 

ユウリ「はぁ……」

 

アオイ「やば、ほんとに始まった」

 

 

俺は叫んだ。

「やめろ!!!!腕がもげる!!!!」

 

【第二試練:料理イベント】

 

次の瞬間。

空間が変わる。

 

なぜかキッチン。

巨大な調理台。

材料が山ほど。

 

アルセウスが言う。

『料理を作れ』

 

俺は言った。

「俺、そんなに料理できねぇよ」

 

トウコが腕を組んだ。

「は?できないの?」

 

ヒカリが言った。

「零、包丁持ったら危ないタイプでしょ」

 

ハルカが言った。

「私できるよ!」

 

セレナが小さく言った。

「……私も」

 

ユウリが言った。

「私がやる。任せて」

 

アオイが言った。

「え、私料理サンドイッチ以外苦手なんだけど!」

 

ミヅキが言った。

「まぁまぁ、なんとかなるよ!」

 

 

俺は思った。

(待て、全員女子力高いの怖い)

 

そして始まる。

 

包丁の音。

火。

鍋。

煙。

 

そして――

 

メイが爆発させた。

「えへ☆」

 

俺は叫んだ。

「えへ☆じゃねぇ!!!!」

 

【第三試練:嫉妬イベント】

 

アルセウスが言う。

『次』

 

空間が変わる。

 

なぜか夕暮れの浜辺。

海。

夕日。

 

恋愛ゲームの背景そのもの。

 

俺は呟いた。

「……露骨すぎる」

 

すると。

ハルカが俺の隣に来て腕を組む。

「ね、零さんってさ。誰が一番好き?」

 

俺は言った。

「お前ら全員友達だろ」

 

ヒカリが即座に言う。

「友達って言った!」

 

トウコが言う。

「逃げたな」

 

ユウリが言う。

「……ふーん」

 

セレナが言う。

「……零さん……」

 

アオイが言う。

「うわ、空気重っ」

 

ミヅキが言う。

「これが修羅場かぁ……」

 

俺は叫んだ。

「やめろ!!!!!!!!!!」

 

【第四試練:告白イベント】

 

アルセウスが言った。

『最後だ』

 

俺は言った。

「最後?やっと終わるのか?」

 

アルセウスは淡々と告げる。

『全員に告白させる』

 

俺は固まった。

「……は?」

 

アルセウスは言った。

『そして、お前は一人選べ』

 

俺は叫んだ。

「神!!!!!お前は!!!!!!」

 

アルセウスは言った。

『黙れ』

 

俺は黙った。

神の圧、強い。

 

全員が並ぶ。

真顔。

緊張。

空気が重い。

 

俺は胃が痛かった。

 

まず、ハルカ。

「零!」

 

「私はさ、ずっと一緒に冒険してて……楽しかった!」

 

「だから……好き!」

 

次、ヒカリ。

「零って、頼りないのに頼れるんだよ」

 

「意味わかんないけど」

 

「……好き」

 

次、トウコ。

「……正直ムカつく」

 

「でも、お前がいないと調子狂う」

 

「だから……好きだ」

 

次、メイ。

「零くを!私はね!」

 

「なんかもう、零くんといると面白い!」

 

「好き!たぶん!」

 

次、セレナ。

「……八雲さんは」

 

「優しくて、強くて」

 

「でも無理をしてて」

 

「……放っておけません」

 

「好きです」

 

次、ミヅキ。

「れいってさ、闇深いよね」

 

「でも、それが嫌じゃない」

 

「……好きだよ」

 

次、ユウリ。

「……言うの、嫌なんだけど」

 

「でも、あなたが倒れるの見たくない」

 

「だから……好き」

 

最後、アオイ。

「え、こういうの恥ずいんだけど!」

 

「でもさ、零ってなんか放っとけないじゃん!」

 

「好き!以上!」

 

俺は固まった。

 

胃が死んだ。

息が止まった。

心臓が爆発しそうだった。

 

俺は呟いた。

「……いや、待て」

 

「俺、何もしてねぇぞ」

 

全員が一斉に言った。

「してる!!!!」

 

俺は叫んだ。

「してねぇ!!!!!!」

 

アルセウスが玉座から立ち上がった。

『選べ』

 

俺は震えた。

「……選べって」

 

『選べ』

 

俺は叫んだ。

「無理だろ!!!!!!!!!!!!」

 

アルセウスは淡々と言った。

『選ばねば』

 

『永遠にこのループを繰り返す』

 

俺は固まった。

「……は?」

 

アルセウスは言った。

『毎日デート』

 

『毎日料理』

 

『毎日修羅場』

 

『毎日告白』

 

『永遠に』

 

俺は絶望した。

「……地獄じゃん」

 

全員が言った。

「地獄だね」

 

意見一致した。

 

俺は泣きそうになりながら言った。

「……ちょっと待て」

 

「俺、神と口喧嘩して世界壊したことあるけど」

 

「この試練は無理だ」

 

アルセウスは言った。

『恋愛は戦争だ』

 

俺は叫んだ。

「神が言うな!!!!!!!!!!」

 

俺は深呼吸した。

そして、言った。

「……アルセウス」

 

『何だ』

 

俺は言った。

「俺は、選ばない」

 

アルセウスが目を細める。

『ほう』

 

俺は続けた。

「俺は誰か一人を選んで」

 

「他を傷つけるくらいなら」

 

「俺が傷つく」

全員が固まった。

アルセウスが沈黙した。

 

そして。

小さく笑った。

『……なるほど』

 

そして告げる。

『ならば』

 

『全員、お前を共有しろ』

 

俺は叫んだ。

「そういう意味じゃねぇ!!!!!!!!!!!!!!」

 

その瞬間。

全員が一斉に距離を詰めた。

 

ハルカ「え、共有ってあり!?」

 

ヒカリ「ちょっと待って神、天才?」

 

トウコ「はぁ!?ふざけんな!!」

 

メイ「うわ、この展開すご!!」

 

セレナ「……それは、ダメです……」

 

ミヅキ「え、面白くなってきた!

 

ユウリ「はぁ……地獄」

 

アオイ「いやいやいや無理無理!!」

 

俺は叫んだ。

「おい!!!!やめろ!!!!!!」

 

アルセウスは言った。

『決定だ』

 

俺は叫んだ。

「決定すんな!!!!!!!!!!」

 

その後。

俺は学んだ。

悪の組織も。

伝説も。

神も。

世界崩壊も。

 

全部、まだマシだった。

 

なぜなら。

敵は殴れば終わる。

 

でも。

女の子の好意は殴れない。

 

避けても追ってくる。

断っても泣かれる。

逃げても囲まれる。

優しくしても誤解される。

冷たくしても怒られる。

 

詰み。

完全に詰み。

 

俺は最後に空を見上げた。

 

雲の隙間。

金色の輪。

アルセウスが絶対笑っている。

 

俺は呟いた。

「……神よ」

 

「お前の試練、方向性が終わってる」

 

番外編12 完

(※八雲零はこの日、「恋愛イベント」が一番危険だと知った。世界滅亡より胃が死ぬ。)

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