ミュウが勝手に写真を投稿した瞬間。
俺の人生は、炎上から爆発へと進化した。
スマホの通知が止まらない。
――いや、もう通知音が怖い。
だが今、それ以上に怖いのは。
目の前に浮かぶミュウツーの目。
完全にキレている。
静かに、確実に。
そして、その隣で無邪気にくるくる回っているミュウ。
こいつ、悪魔か?
ミュウツーは俺にテレパシーを飛ばしてきた。
『……人間。お前は何を望む』
海風が止む。
砂浜の空気が、ぴんと張りつめた。
俺は唾を飲み込んだ。
ミュウは「みゅっ♪」と鳴いて、俺の肩に乗る。
いや、乗るな。
俺の肩に乗るな。
俺を巻き込むな。
だがもう遅い。
ミュウツーの視線は、俺に固定されている。
俺は、静かに笑った。
――ここまで来たら、答えは一つしかない。
俺はゆっくりと見つめ、そしてミュウツーに言った。
「なら答えるだけだよ……」
ミュウツーの目が細くなる。
俺は拳を握った。
「……ミュウツー、サイコブレイク!」
瞬間。
ミュウツーの身体から、紫色のオーラが爆発した。
空間が割れる。
いや、割れてる気がする。
砂浜の砂が宙に舞い、海面が震え、遠くの波が逆流する。
――これ、自然災害じゃん。
ミュウツーの両手に集まったエネルギーが、まるで小さな星のように凝縮される。
そしてそれが、放たれた。
紫の弾丸が、音もなく空を裂く。
標的は――ミュウ。
ミュウは笑っていた。
いや、笑ってる場合じゃない。
でもミュウは避けない。
ただ、ふわりと両手を広げる。
「みゅ」
次の瞬間。
サイコブレイクが、ミュウの目の前で止まった。
止まった……というより、凍りついたように静止した。
紫の光が、空中で震えている。
ミュウが、まるで遊ぶみたいに指先でそれをつついた。
「みゅっ♪」
――バチンッ!!
サイコブレイクが、弾けた。
光が花火のように散り、砂浜が一瞬昼間みたいに明るくなる。
俺は思わず叫んだ。
「おい!?遊ぶな!!」
ミュウツーがさらに怒りを強める。
空気が重い。
呼吸するだけで、肺が圧迫される。
ミュウツーの声が、直接脳内に響く。
『……貴様は、相変わらずだな。ミュウ』
ミュウは悪びれずに笑う。
「みゅ~♪」
会話になってない。
俺は額に汗を流しながら、Zリングを握った。
そして――。
ふと気づく。
Zリングが光っている。
いや、光ってるどころじゃない。
眩しい。
熱い。
俺の腕に、模様が走っている。
ミュウが、俺の腕に手を置いたまま、じっと見ている。
……こいつ、まさか。
俺のZ技、勝手に起動させようとしてる?
「おいミュウ、待て」
ミュウはニコッと笑った。
「みゅっ♪」
俺は悟った。
こいつ、絶対わざとだ。
完全に確信犯。
ミュウツーは静かに手を上げる。
『……ならば、力で黙らせる』
俺は反射的に叫んだ。
「待て待て待て!!」
だがミュウツーは止まらない。
紫のオーラが再び渦巻き、海面が割れそうになる。
俺は叫んだ。
「ミュウ!お前も何か言えよ!」
ミュウは肩の上で、嬉しそうに鳴く。
「みゅ~~~♪」
言う気ゼロ。
そして。
俺のZリングが、完全に発光した。
――やばい。
これ、出る。
俺は焦ってZクリスタルを取り出した。
ミュウ専用のクリスタルなんて、持ってない。
でも、俺の手が勝手に動く。
……まるで、ミュウに操られているみたいに。
俺はZリングにクリスタルをはめた。
置いた。
光が爆発する。
砂浜の空気が、一気に変わった。
俺は震える声で呟く。
「……じゃあミュウ、行くぜ」
ミュウが宙に浮かぶ。
無邪気な顔のまま。
だがその瞳は、確かに“神話”だった。
俺は叫ぶ。
「オリジンズスーパーノヴァ!!」
瞬間。
空が白くなった。
太陽が落ちたような、そんな光。
ミュウの身体から放たれたエネルギーが、星の爆発のように膨れ上がる。
海が蒸発しそうになるほどの熱量。
ミュウツーが目を見開いた。
『……!?』
ミュウツーは咄嗟にバリアを張る。
だが、そのバリアすら押し潰すような光が迫る。
砂浜が揺れた。
島が震えた。
遠くで、山が唸った。
――これ、しまキングとか関係ない。
しまキングどころか、アローラごと終わる。
俺は叫んだ。
「ちょっと待てミュウ!!やりすぎ!!」
ミュウは楽しそうに笑っている。
そして、光が収束する。
白い閃光が消えたあと。
そこには。
息を荒くしながらも、浮かんでいるミュウツーがいた。
……耐えた。
耐えたけど。
目が完全に「殺す」って言ってる。
俺は、ゆっくりと両手を上げた。
「……違うんだ」
ミュウが「みゅっ♪」と鳴く。
俺は叫んだ。
「お前のせいだろ!!」
ミュウツーの声が、冷たく脳内に響いた。
『……人間』
俺は震えた。
『……貴様は、何者だ』
俺は泣きそうになった。
いや泣いてる。
完全に泣いてる。
「……ただの炎上中の高校生です」
ミュウツーは沈黙した。
ミュウは楽しそうに回った。
そして、俺のスマホがまた震えた。
通知。
【トレンド1位:#謎のポケモン?とミュウと八雲零】
【動画:アローラで星が爆発した件】
【現地民「島が揺れた」】
【しまキング「聞いてない」】
俺はスマホを見て、遠い目になった。
「……炎上、第二形態に進化しました」
ミュウツーが静かにこちらへ近づく。
ミュウが、俺の肩から飛び立つ。
そして。
ミュウツーとミュウが、互いに向き合った。
空気が凍る。
神話同士の対峙。
俺は悟った。
――これ、俺が介入しないと、アローラ終わる。
俺は震える声で叫んだ。
「待て待て待て待て!!!!!」
だが、ミュウは楽しそうに鳴いた。
「みゅ~♪」
ミュウツーの目が光る。
俺は、泣きながら心の中で叫んだ。
――誰か助けてくれ!!!
次回
「あ、ちょうどあるよ?捕まえる?」