チュートリアルお兄さん(呪い)   作:夜神桜

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第28話 なら答えるだけだよ…

ミュウが勝手に写真を投稿した瞬間。

俺の人生は、炎上から爆発へと進化した。

スマホの通知が止まらない。

 

――いや、もう通知音が怖い。

 

だが今、それ以上に怖いのは。

目の前に浮かぶミュウツーの目。

 

完全にキレている。

静かに、確実に。

 

そして、その隣で無邪気にくるくる回っているミュウ。

こいつ、悪魔か?

 

ミュウツーは俺にテレパシーを飛ばしてきた。

『……人間。お前は何を望む』

 

海風が止む。

砂浜の空気が、ぴんと張りつめた。

 

俺は唾を飲み込んだ。

ミュウは「みゅっ♪」と鳴いて、俺の肩に乗る。

 

いや、乗るな。

俺の肩に乗るな。

俺を巻き込むな。

 

だがもう遅い。

ミュウツーの視線は、俺に固定されている。

 

俺は、静かに笑った。

 

――ここまで来たら、答えは一つしかない。

 

俺はゆっくりと見つめ、そしてミュウツーに言った。

「なら答えるだけだよ……」

 

ミュウツーの目が細くなる。

 

俺は拳を握った。

「……ミュウツー、サイコブレイク!」

 

瞬間。

ミュウツーの身体から、紫色のオーラが爆発した。

空間が割れる。

いや、割れてる気がする。

 

砂浜の砂が宙に舞い、海面が震え、遠くの波が逆流する。

 

――これ、自然災害じゃん。

 

ミュウツーの両手に集まったエネルギーが、まるで小さな星のように凝縮される。

そしてそれが、放たれた。

 

紫の弾丸が、音もなく空を裂く。

標的は――ミュウ。

 

ミュウは笑っていた。

いや、笑ってる場合じゃない。

 

でもミュウは避けない。

ただ、ふわりと両手を広げる。

「みゅ」

 

次の瞬間。

サイコブレイクが、ミュウの目の前で止まった。

止まった……というより、凍りついたように静止した。

 

紫の光が、空中で震えている。

 

ミュウが、まるで遊ぶみたいに指先でそれをつついた。

「みゅっ♪」

 

――バチンッ!!

 

サイコブレイクが、弾けた。

光が花火のように散り、砂浜が一瞬昼間みたいに明るくなる。

 

俺は思わず叫んだ。

「おい!?遊ぶな!!」

 

ミュウツーがさらに怒りを強める。

空気が重い。

呼吸するだけで、肺が圧迫される。

 

ミュウツーの声が、直接脳内に響く。

『……貴様は、相変わらずだな。ミュウ』

 

ミュウは悪びれずに笑う。

「みゅ~♪」

 

会話になってない。

俺は額に汗を流しながら、Zリングを握った。

 

そして――。

ふと気づく。

 

Zリングが光っている。

いや、光ってるどころじゃない。

眩しい。

熱い。

 

俺の腕に、模様が走っている。

ミュウが、俺の腕に手を置いたまま、じっと見ている。

 

……こいつ、まさか。

俺のZ技、勝手に起動させようとしてる?

 

「おいミュウ、待て」

 

ミュウはニコッと笑った。

「みゅっ♪」

 

俺は悟った。

こいつ、絶対わざとだ。

完全に確信犯。

 

ミュウツーは静かに手を上げる。

『……ならば、力で黙らせる』

 

俺は反射的に叫んだ。

「待て待て待て!!」

 

だがミュウツーは止まらない。

紫のオーラが再び渦巻き、海面が割れそうになる。

 

俺は叫んだ。

「ミュウ!お前も何か言えよ!」

 

ミュウは肩の上で、嬉しそうに鳴く。

「みゅ~~~♪」

 

言う気ゼロ。

そして。

俺のZリングが、完全に発光した。

 

――やばい。

これ、出る。

 

俺は焦ってZクリスタルを取り出した。

ミュウ専用のクリスタルなんて、持ってない。

でも、俺の手が勝手に動く。

 

……まるで、ミュウに操られているみたいに。

 

俺はZリングにクリスタルをはめた。

置いた。

光が爆発する。

 

砂浜の空気が、一気に変わった。

 

俺は震える声で呟く。

「……じゃあミュウ、行くぜ」

 

ミュウが宙に浮かぶ。

無邪気な顔のまま。

だがその瞳は、確かに“神話”だった。

 

俺は叫ぶ。

「オリジンズスーパーノヴァ!!」

 

瞬間。

空が白くなった。

太陽が落ちたような、そんな光。

 

ミュウの身体から放たれたエネルギーが、星の爆発のように膨れ上がる。

海が蒸発しそうになるほどの熱量。

 

ミュウツーが目を見開いた。

『……!?』

 

ミュウツーは咄嗟にバリアを張る。

だが、そのバリアすら押し潰すような光が迫る。

 

砂浜が揺れた。

島が震えた。

遠くで、山が唸った。

 

――これ、しまキングとか関係ない。

しまキングどころか、アローラごと終わる。

 

俺は叫んだ。

「ちょっと待てミュウ!!やりすぎ!!」

 

ミュウは楽しそうに笑っている。

そして、光が収束する。

白い閃光が消えたあと。

 

そこには。

息を荒くしながらも、浮かんでいるミュウツーがいた。

……耐えた。

 

耐えたけど。

目が完全に「殺す」って言ってる。

 

俺は、ゆっくりと両手を上げた。

「……違うんだ」

 

ミュウが「みゅっ♪」と鳴く。

 

俺は叫んだ。

「お前のせいだろ!!」

 

ミュウツーの声が、冷たく脳内に響いた。

『……人間』

 

俺は震えた。

『……貴様は、何者だ』

 

俺は泣きそうになった。

 

いや泣いてる。

完全に泣いてる。

 

「……ただの炎上中の高校生です」

 

ミュウツーは沈黙した。

ミュウは楽しそうに回った。

そして、俺のスマホがまた震えた。

通知。

 

【トレンド1位:#謎のポケモン?とミュウと八雲零】

【動画:アローラで星が爆発した件】

【現地民「島が揺れた」】

【しまキング「聞いてない」】

 

俺はスマホを見て、遠い目になった。

「……炎上、第二形態に進化しました」

 

ミュウツーが静かにこちらへ近づく。

ミュウが、俺の肩から飛び立つ。

 

そして。

ミュウツーとミュウが、互いに向き合った。

 

空気が凍る。

神話同士の対峙。

俺は悟った。

 

――これ、俺が介入しないと、アローラ終わる。

 

俺は震える声で叫んだ。

「待て待て待て待て!!!!!」

 

だが、ミュウは楽しそうに鳴いた。

「みゅ~♪」

 

ミュウツーの目が光る。

 

俺は、泣きながら心の中で叫んだ。

――誰か助けてくれ!!!

 

次回

「あ、ちょうどあるよ?捕まえる?」

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