十一月。
まだ紅葉。
なのに。
俺の部屋にツリー。
でかい。
光ってる。
なんでだ。
俺は静かに言った。
「……誰の仕業だ」
パンッ。
クラッカーの音。
「メリークリスマス!」
早い。
早すぎる。
振り向くと、満面の笑みの**ヒカリ**。
俺は言う。
「十一月だぞ」
ヒカリは首をかしげる。
「準備は早い方がいいでしょ?」
俺は言う。
「一ヶ月半早い」
ソファを見る。
既にケーキ箱。
チキン。
謎のプレゼント山。
そして壁際。
腕組み無言監督。
レッド。
俺は言う。
「お前止めろ」
レッド入った。
「無理」
俺は言う。
「毎回それだな?」
ドアが開く。
「わぁ、飾り付け可愛い!」
元気な声。
ハルカ。
俺は言う。
「お前も共犯か」
ハルカは笑う。
「もちろん!」
もちろんじゃねぇ。
さらに。
落ち着いた足取り。
セレナ。
俺は希望を込めて言う。
「お前は止めに来たんだよな?」
セレナは微笑む。
「ケーキのデコレーション担当です」
俺は天を仰ぐ。
「終わった」
最後に飛び込んできたのは。
「サンタ帽子持ってきたよ!」
ユウリ。
俺は言う。
「なんで全員やる気満々なんだよ」
ユウリは笑う。
「だってイベントは全力でしょ?」
強制サンタ就任
気づけば。
俺の頭に帽子。
赤い。
ふわふわ。
俺は低い声で言う。
「……外せ」
ヒカリは目をキラキラさせながら言う。
「似合ってる!」
ハルカは元気良く言う。
「写真撮ろ!」
セレナは優雅に言う。
「悪くないですね」
ユウリはニヤニヤしながら言う。
「サンタレイだ!」
俺は叫ぶ。
「その二つ名やめろ!!!!」
プレゼント交換(早い)
ヒカリが言った。
「はい!」
渡される小箱。
開ける。
マフラー。
俺は言う。
「今すぐ使えるやつか」
ヒカリは得意げ。
「実用的でしょ?」
俺は小さく言う。
「……ありがと」
ヒカリはにやにやする。
「素直!」
俺は言う。
「黙れ」
ハルカが言う。
「これはお菓子セット!」
俺は警戒する。
「安全か?」
ハルカは言った。
「今回はちゃんとレシピ見た!」
俺は言う。
「“今回は”が怖い」
セレナが言った。
「これはあなたに似合うと思って」
開ける。
シンプルな手袋。
上品。
俺は言う。
「……センスいいな」
セレナは少しだけ頬を緩める。
「当然でしょ?」
ユウリは言った。
「これ、みんなで撮った写真!」
フレーム入り。
今日の飾り付け途中のやつ。
俺は言う。
「……なんで俺だけ真顔なんだ」
ユウリは笑う。
「それがレイらしい!」
問題発生
ふと気づく。
「……待て」
全員を見る。
「俺、何も用意してない」
静止。
沈黙。
ヒカリが言う。
「……え?」
ハルカが言う。
「サンタなのに?」
セレナが言う。
「準備不足ですね」
ユウリが言う。
「罰ゲーム?」
俺は叫ぶ。
「早すぎるんだよ!!!!」
レッドが一歩前に出る。
「保険」
テーブルの下から袋を出す。
俺は言う。
「なんである」
レッドは言った。
「予想」
中身。
人数分の小さなギフト袋。
俺は言う。
「お前神か?」
レッドが言う。
「違う」
俺は言う。
「今日だけ味方だ」
無事、配布。
全員笑顔。
部屋は暖かい。
外はまだ秋。
なのに。
空気だけは完全にクリスマス。
俺は呟く。
「……まだ十一月だぞ」
ヒカリが言う。
「じゃあ本番はもっと派手にしよ!」
俺は凍る。
「本番やる気か」
全員。
「もちろん!」
俺はレッドを見る。
レッド、親指を立てる。
俺は叫ぶ。
「裏切るな!!!!」
その夜。
片付け終わり。
部屋は少し静か。
俺はソファに座る。
早すぎる。
騒がしい。
準備不足。
でも。
笑い声が残っている。
俺は小さく言う。
「……まあ、悪くない」
スマホが震える。
【クリスマス本番計画グループ】
俺は叫ぶ。
「作るなって言ってるだろ!!!!」
番外編完
(※このルートの八雲零は、十二月二十四日に本当にサンタ役を強制され、街中の子供に囲まれることになる)