チュートリアルお兄さん(呪い)   作:夜神桜

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番外編6 眠すぎる正月

一月一日。

午前十時。

 

俺は布団に沈んでいた。

「……無理」

 

昨日。

カウントダウン。

年越しそば。

無駄に騒ぐ連中。

そしてなぜか二次会。

 

寝たの、三時。

 

俺は枕に顔を埋めた。

「正月って寝る日だろ……」

 

ガチャ。

ドアが開く音。

 

「おはよー!」

 

明るい声。

ヒカリ。

 

俺は布団の中から言う。

「……帰れ」

 

ヒカリ。

「初詣行くよ!」

 

俺は即答する。

「行かねぇ」

 

布団がめくられる。

「起きて!」

 

俺は叫んだ。

「寒い!!」

 

ヒカリは腕を引く。

「ほらほら!」

 

俺は必死に抵抗する。

「正月は二度寝の権利がある!」

 

ヒカリ。

「ない!」

 

そこへ。

「甘いですね」

 

落ち着いた声。

セレナ。

 

俺はまた希望を込める。

「今度こそ止めに来たんだよな?」

 

セレナは首を振る。

「着替えさせに来たの」

 

俺は言った

「なんでだよ」

 

さらに。

「お餅焼いてきたよ!」

 

元気な声。

ハルカ。

 

俺は布団の中で絶望する。

「増えるな……」

 

最後に。

「お年玉争奪戦しよ!」

 

ユウリ。

 

俺は言う。

「俺が払う側だろそれ」

 

ユウリが言う。

「もちろん!」

 

俺は言った。

「即答すんな」

 

無理やり初詣

 

神社。

人多い。

寒い。

眠い。

 

俺は半目。

「……帰りたい」

 

ヒカリが言った。

「ほら並ぶよ!」

 

俺は言った。

「長い」

 

セレナが言う。

「新年の運試しましょう」

 

ハルカが言う。

「屋台もあるよ!」

 

ユウリが言った。

「りんご飴!」

 

俺は言った。

「情報過多」

 

賽銭箱の前。

俺は小銭を投げる。

 

パン。

 

手を合わせる。

(今年は静かに過ごせますように)

 

横から声。

「何お願いしたの?」

 

俺は言った

「言わねぇ」

 

ヒカリが俺の肩を掴みながら言う。

「教えてよー!」

 

俺は酔いそうになりながら言う。

「言ったら叶わねぇ」

 

セレナが小さく笑う。

「もう叶わなさそうですね」

 

俺はジト目で言う。

「縁起でもないこと言うな」

 

おみくじ

 

俺は引く。

開く。

 

『大吉』

 

俺は言った。

「……嘘だろ」

 

ヒカリが言った。

「やったじゃん!」

 

俺は言った。

「嫌な予感しかしねぇ」

 

セレナが言う。

「前向きに捉えてください」

 

ハルカが言った。

「今年もイベント盛りだくさんだね!」

 

俺は言った。

「それだ」

 

限界

 

帰宅。

コタツ。

餅。

テレビ。

 

俺は即沈没。

「……もう無理」

 

ヒカリがみかんを置く。

「ちゃんと食べて」

 

俺は言った。

「眠い」

 

ユウリがニヤニヤしながら言う。

「寝たら顔に落書きするよ?」

 

俺は即答した。

「やめろ」

 

ハルカが言う

「写真も撮る!」

 

俺は言った。

「最悪だ」

 

セレナが毛布をかける。

「十五分だけですよ」

 

俺は言った。

「神」

 

俺は目を閉じる。

声が遠くなる。

 

笑い声。

テレビの音。

餅の匂い。

 

騒がしい。

うるさい。

 

でも。

あったかい。

 

俺はうとうとしながら思う。

(……まあ、悪くない正月かもな)

 

――十五分後。

 

「起きて!」

 

俺は言った。

「早い!!!!」

 

ヒカリが言った。

「初売り行くよ!」

 

俺は叫んだ。

「寝かせろ!!!!」

 

セレナが言った。

「福袋」

 

ハルカが言う。

「中身勝負!」

 

ユウリは言った。

「負けた人お年玉追加ね!」

 

俺。

「罠だろそれ!!」

 

壁際。

腕組み。

静観。

 

レッド。

 

俺は叫ぶ。

「助けろ!!!!」

 

レッドが言った。

「大吉」

 

俺は叫ぶ。

「意味分からん!!」

 

レッドが言った。

「楽しめ」

 

俺はため息をつく。

「……眠いけどな」

 

番外編 完

(※このルートの八雲零は、最終的にコタツで全員に囲まれて再び寝落ちし、顔に“謹賀新年”と書かれる)

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