チュートリアルお兄さん(呪い)   作:夜神桜

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第59話 レインボーロケット団に入ればいいんだ

俺は校門の前で、履歴書を握りしめていた。

…ギンガ団の服を着たまま。

 

アルセウスが目の前にいる。

ネモは後ろで目を輝かせている。

ヒカリは頭を抱えている。

セレナは微笑んでいる。

 

アオイは「え、なにそれ!?」って顔をしている。

ユウリは完全に面白がってる。

メイはワクワクしてる。

ハルカは心配そう。

 

ミヅキは爆笑寸前。

ショウは諦めた顔。

レッドは無言で見てる。

 

――終わってる。

 

俺は深呼吸した。

そして、空に向かって言った。

「……レインボーロケット団に入ればいいんだ」

 

ヒカリが即座に叫んだ。

「よくない!!!!」

 

ネモが目を輝かせる。

「レインボーロケット団!?なにそれ!?かっこよくない!?」

 

アオイが混乱する。

「レインボーって何!?虹!?虹の悪の組織!?」

 

メイが拍手した。

「すごい!最終形態って感じ!」

 

ユウリが笑いながら言う。

「レイ、厨二の究極進化じゃん」

 

「黙れユウリ」

俺は真顔で言った。

 

アルセウスが静かに言った。

『……ほう』

 

その声が妙に興味深そうで、俺は嫌な予感がした。

 

俺は履歴書を開き、ペンを握る。

志望動機欄。

俺は迷いなく書き始めた。

 

志望動機:

「俺は悪の組織に向いていると神に言われたため」

 

ヒカリが叫ぶ。

「それ書くな!!!!!!!!」

 

セレナが微笑んで言った。

「……正直でいいと思うわ」

 

ネモが笑う。

「神公認の悪の組織ってすごいね!」

 

俺は書きながら続ける。

特技:

「原作キャラの連絡先を増やすこと」

 

ヒカリが机を叩いた。

「やめなさい!!!!!!!!」

 

俺は叫び返した。

「じゃあ何書けばいいんだよ!!!!」

 

ヒカリは即答した。

「普通に書いて!!」

 

俺は泣きそうになった。

「普通ってなんだよ!!俺の人生に普通なんてねぇよ!!」

 

ミヅキが腹を抱えて笑った。

「そうだねwwww」

 

ハルカが心配そうに言う。

「零さん……ほんとにやめな?」

 

俺は目を逸らした。

「……もう戻れない」

 

ユウリが肩を叩く。

「大丈夫。人生は一回だよ」

 

「お前が言うな!!!!」

俺は叫んだ。

 

その時だった。

空気が変わった。

 

風が止まった。

空が一瞬だけ暗くなる。

 

そして。

目の前の地面が歪んだ。

 

まるでワームホールみたいに。

 

黒い裂け目が開き、そこから――

複数の人影が現れた。

 

俺は思わず呟いた。

「……は?」

 

出てきたのは。

見覚えのあるスーツ姿。

圧倒的な威圧感。

そして、あの帽子。

 

――サカキ。

 

だが、それだけじゃない。

その後ろには。

アカギ。

ゲーチス。

フラダリ。

マツブサ。

アオギリ。

グズマ。

 

……全員いる。

悪の組織のボス大集合。

 

俺は口を開けたまま固まった。

 

ネモが叫ぶ。

「え!?なにこの集団!?めっちゃ強そう!!」

 

アオイが叫ぶ。

「こわっ!?こわっ!?こわっ!?」

 

ヒカリが青ざめた。

「……最悪の飲み会?」

 

セレナは静かに言った。

「地獄みたいですね」

 

レッドが、無言で帽子を深く被った。

 

ショウが俺の袖を握りしめる。

「零……ほんとにやばい」

 

俺は震える声で呟いた。

「……俺のせい?」

 

アルセウスが淡々と言った。

『お前が望んだのだ』

 

「望んでねぇ!!!!」

俺は叫んだ。

 

サカキが一歩前に出た。

そして、低い声で言った。

「八雲零」

 

俺は反射的に背筋を伸ばした。

「は、はい」 

 

サカキは履歴書を見た。

俺が持ってる履歴書を。

 

そして言った。

「……レインボーロケット団に入りたいのか」

 

俺は震える声で答えた。

「……はい」

 

サカキは静かに頷いた。

「いいだろう」

 

俺は一瞬、希望を見た。

 

だが。

次の瞬間。

サカキは続けた。

「面接だ」

 

「面接!?」

俺は叫んだ。

 

アカギが一歩出る。

「……無駄な感情を持つな」

 

ゲーチスが笑う。

「面接で落ちたら時給は無しだなぁ?」

 

フラダリが腕を広げる。

「君のような人材は、世界を美しくできる!」

 

マツブサが言う。

「暑さに耐えられるか?」

 

アオギリが笑う。

「海に沈む覚悟はあるか?」

 

グズマがニヤリとする。

「お前、根性見せろよ?」

 

俺は死んだ目で言った。

「……これ就職じゃなくて処刑だろ」

 

ヒカリが俺の肩を掴んだ。

「零、やめて。今ならまだ戻れるよ」

 

俺はゆっくり首を振った。

「……もう無理だ」

 

セレナが微笑んで言う。

「八雲さん、頑張って」

 

ネモが目を輝かせて叫ぶ。

「ねえねえ!面接バトル!?面接バトルするの!?」

 

「しねぇよ!!」

俺は叫んだ。

 

サカキが静かに言った。

「質問する」

 

俺は覚悟を決めた。

「……どうぞ」

 

サカキは淡々と尋ねた。

「君が悪の組織に入る理由は?」

 

俺は即答した。

「学園生活が地獄だからです」

 

沈黙。

悪の組織たちが固まった。

 

ヒカリが頭を抱えた。

「最悪の回答……」

 

サカキはしばらく黙り、そして言った。

「……正直だな」

 

俺は続けた。

「あと、神に嫌がらせされてるからです」

 

アルセウスが堂々と頷いた。

『事実だ』

 

「神が認めるな!!!!」

俺は叫んだ。

 

サカキは腕を組む。

「……ふむ」

 

そして、低く笑った。

「合格だ」

 

「え?」

俺は固まった。

 

ネモが叫ぶ。

「え!?合格!?やったじゃん!!」

 

アオイが混乱する。

「え!?え!?悪の組織ってそんな簡単に入れるの!?」

 

ヒカリが絶望した。

「……終わった……」

 

セレナが微笑む。

「ふふ、良かったですね」

 

俺は震える声で言った。

「……マジで?」

 

サカキは頷く。

「マジだ」

 

そして、サカキは言った。

「ようこそ、レインボーロケット団へ」

 

俺は空を見上げた。

アルセウスが満足そうに見ている気がした。

 

俺は小さく呟いた。

「……人生って、こういうことじゃないだろ」

 

こうして俺は。

学園に入学したはずなのに。

悪の組織に就職した。

 

――完全に、終わった。

 

次回

「履歴書出したら即採用された件」

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