俺は校門の前で、履歴書を握りしめていた。
…ギンガ団の服を着たまま。
アルセウスが目の前にいる。
ネモは後ろで目を輝かせている。
ヒカリは頭を抱えている。
セレナは微笑んでいる。
アオイは「え、なにそれ!?」って顔をしている。
ユウリは完全に面白がってる。
メイはワクワクしてる。
ハルカは心配そう。
ミヅキは爆笑寸前。
ショウは諦めた顔。
レッドは無言で見てる。
――終わってる。
俺は深呼吸した。
そして、空に向かって言った。
「……レインボーロケット団に入ればいいんだ」
ヒカリが即座に叫んだ。
「よくない!!!!」
ネモが目を輝かせる。
「レインボーロケット団!?なにそれ!?かっこよくない!?」
アオイが混乱する。
「レインボーって何!?虹!?虹の悪の組織!?」
メイが拍手した。
「すごい!最終形態って感じ!」
ユウリが笑いながら言う。
「レイ、厨二の究極進化じゃん」
「黙れユウリ」
俺は真顔で言った。
アルセウスが静かに言った。
『……ほう』
その声が妙に興味深そうで、俺は嫌な予感がした。
俺は履歴書を開き、ペンを握る。
志望動機欄。
俺は迷いなく書き始めた。
志望動機:
「俺は悪の組織に向いていると神に言われたため」
ヒカリが叫ぶ。
「それ書くな!!!!!!!!」
セレナが微笑んで言った。
「……正直でいいと思うわ」
ネモが笑う。
「神公認の悪の組織ってすごいね!」
俺は書きながら続ける。
特技:
「原作キャラの連絡先を増やすこと」
ヒカリが机を叩いた。
「やめなさい!!!!!!!!」
俺は叫び返した。
「じゃあ何書けばいいんだよ!!!!」
ヒカリは即答した。
「普通に書いて!!」
俺は泣きそうになった。
「普通ってなんだよ!!俺の人生に普通なんてねぇよ!!」
ミヅキが腹を抱えて笑った。
「そうだねwwww」
ハルカが心配そうに言う。
「零さん……ほんとにやめな?」
俺は目を逸らした。
「……もう戻れない」
ユウリが肩を叩く。
「大丈夫。人生は一回だよ」
「お前が言うな!!!!」
俺は叫んだ。
その時だった。
空気が変わった。
風が止まった。
空が一瞬だけ暗くなる。
そして。
目の前の地面が歪んだ。
まるでワームホールみたいに。
黒い裂け目が開き、そこから――
複数の人影が現れた。
俺は思わず呟いた。
「……は?」
出てきたのは。
見覚えのあるスーツ姿。
圧倒的な威圧感。
そして、あの帽子。
――サカキ。
だが、それだけじゃない。
その後ろには。
アカギ。
ゲーチス。
フラダリ。
マツブサ。
アオギリ。
グズマ。
……全員いる。
悪の組織のボス大集合。
俺は口を開けたまま固まった。
ネモが叫ぶ。
「え!?なにこの集団!?めっちゃ強そう!!」
アオイが叫ぶ。
「こわっ!?こわっ!?こわっ!?」
ヒカリが青ざめた。
「……最悪の飲み会?」
セレナは静かに言った。
「地獄みたいですね」
レッドが、無言で帽子を深く被った。
ショウが俺の袖を握りしめる。
「零……ほんとにやばい」
俺は震える声で呟いた。
「……俺のせい?」
アルセウスが淡々と言った。
『お前が望んだのだ』
「望んでねぇ!!!!」
俺は叫んだ。
サカキが一歩前に出た。
そして、低い声で言った。
「八雲零」
俺は反射的に背筋を伸ばした。
「は、はい」
サカキは履歴書を見た。
俺が持ってる履歴書を。
そして言った。
「……レインボーロケット団に入りたいのか」
俺は震える声で答えた。
「……はい」
サカキは静かに頷いた。
「いいだろう」
俺は一瞬、希望を見た。
だが。
次の瞬間。
サカキは続けた。
「面接だ」
「面接!?」
俺は叫んだ。
アカギが一歩出る。
「……無駄な感情を持つな」
ゲーチスが笑う。
「面接で落ちたら時給は無しだなぁ?」
フラダリが腕を広げる。
「君のような人材は、世界を美しくできる!」
マツブサが言う。
「暑さに耐えられるか?」
アオギリが笑う。
「海に沈む覚悟はあるか?」
グズマがニヤリとする。
「お前、根性見せろよ?」
俺は死んだ目で言った。
「……これ就職じゃなくて処刑だろ」
ヒカリが俺の肩を掴んだ。
「零、やめて。今ならまだ戻れるよ」
俺はゆっくり首を振った。
「……もう無理だ」
セレナが微笑んで言う。
「八雲さん、頑張って」
ネモが目を輝かせて叫ぶ。
「ねえねえ!面接バトル!?面接バトルするの!?」
「しねぇよ!!」
俺は叫んだ。
サカキが静かに言った。
「質問する」
俺は覚悟を決めた。
「……どうぞ」
サカキは淡々と尋ねた。
「君が悪の組織に入る理由は?」
俺は即答した。
「学園生活が地獄だからです」
沈黙。
悪の組織たちが固まった。
ヒカリが頭を抱えた。
「最悪の回答……」
サカキはしばらく黙り、そして言った。
「……正直だな」
俺は続けた。
「あと、神に嫌がらせされてるからです」
アルセウスが堂々と頷いた。
『事実だ』
「神が認めるな!!!!」
俺は叫んだ。
サカキは腕を組む。
「……ふむ」
そして、低く笑った。
「合格だ」
「え?」
俺は固まった。
ネモが叫ぶ。
「え!?合格!?やったじゃん!!」
アオイが混乱する。
「え!?え!?悪の組織ってそんな簡単に入れるの!?」
ヒカリが絶望した。
「……終わった……」
セレナが微笑む。
「ふふ、良かったですね」
俺は震える声で言った。
「……マジで?」
サカキは頷く。
「マジだ」
そして、サカキは言った。
「ようこそ、レインボーロケット団へ」
俺は空を見上げた。
アルセウスが満足そうに見ている気がした。
俺は小さく呟いた。
「……人生って、こういうことじゃないだろ」
こうして俺は。
学園に入学したはずなのに。
悪の組織に就職した。
――完全に、終わった。
次回
「履歴書出したら即採用された件」