チュートリアルお兄さん(呪い)   作:夜神桜

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そういえばこの小説を始めて2ヶ月立ってました。


第64話 …ハー○ルンに投稿しようかな

スマホを売った。

 

無駄だった。

 

スマホを捨てた。

 

無駄だった。

 

機種変更した。

 

無駄だった。

 

初期化した。

 

無駄だった。

 

SIM抜いた。

 

無駄だった。

 

Wi-Fi切った。

 

無駄だった。

 

電源切った。

 

無駄だった。

 

そもそも圏外にした。

 

無駄だった。

 

なんなら俺、地下鉄のホームにいても通知が来た。

 

どういう仕組みだよ。

神の電波、地下強すぎるだろ。

 

そして俺は気づいた。

逃げるのは無理だ。

 

なら。

戦うしかない。

 

俺は自室のベッドに寝転がりながら、天井を見つめた。

部屋は狭い。

 

机には教科書。

床には脱ぎ捨てた制服。

壁には昔貼ったアニメのポスター。

 

カーテン越しの夕日が、妙に平和だった。

 

……俺だけが地獄。

 

俺はスマホを持ち上げ、虚無の目で呟く。

「……もう……オリ主の二次創作としてハーメ○ンに投稿しようかな」

 

そう。

投稿だ。

全部。

 

この地獄を。

この狂った人生を。

この神の悪趣味を。

 

全部。

物語として吐き出す。

 

そうすれば、少しは楽になるかもしれない。

 

いや。

楽になるというより、供養。

俺の精神の供養。

 

俺は起き上がって、机に向かった。

パソコンを開く。

カタカタとキーボードを打つ。

 

「ハー○ルン……ログイン……」

 

懐かしいサイトが表示される。

俺は「新規投稿」をクリックした。

タイトル欄に指が止まる。

 

どういうタイトルにする?

いや、もう決まってる。

 

俺は震える指で入力した。

 

【タイトル】

チュートリアルお兄さん(呪い)

 

俺は思わず笑った。

「……完璧だろ」

 

次にタグ。

タグ欄が俺を煽る。

俺は一つずつ打ち込んでいく。

 

【タグ】

・男主人公

・オリ主

・チュートリアルお兄さん

・ギャグ

・勘違い

・原作崩壊

・悪の組織

・アルセウス(監視)

・主人公は出番少なめ

・恋愛(?)

・炎上

・連絡帳が地獄

・神が暇人

・ポケモン世界転移

・主人公が不憫

・不憫な主人公

・不憫な主人公(重要なので二回)

 

俺は入力しながら思った。

(これ絶対検索に引っかかるやつ)

 

あらすじ欄に手が移る。

俺は息を吸い、勢いで打ち始めた。

 

【あらすじ】

カントー地方で旅の案内役をしていたはずの男主人公・八雲零。

 

しかしある日、ジョウト地方でバッジケースを落としたことをきっかけに、なぜか各地方を転々とし、伝説ポケモンを出し、悪の組織にスカウトされ、気づけばレインボーロケット団に就職していた。

 

さらに神・アルセウスに監視され、スマホの連絡帳は増え続け、炎上し、人生が終わる。

 

これは、そんな彼の「帰れない帰還」の物語。

 

俺は打ち終わり、手を止めた。

……我ながら意味がわからない。

 

意味がわからないのに、全部事実。

最悪。

 

俺は椅子にもたれかかって天井を見た。

「……これでいい。全部吐き出してやる」

 

その瞬間。

スマホが震えた。

 

通知。

LI○E。

表示された名前。

 

【アルセウス】

 

俺は嫌な予感しかしない。

だが、もう怖くない。

俺は画面を開いた。

 

アルセウス:

『投稿するのか』

 

俺は即答した。

「するけど?」

 

送信。

既読がつく。

早い。

 

神、暇すぎる。

 

数秒後、返信。

アルセウス:

『やめておけ』

 

俺は笑った。

そして言った。

「嫌だね」

 

送信。

既読。

そして。

また返信。

 

アルセウス:

『世界が歪む』

 

俺は鼻で笑った。

「もう歪んでるだろ」

 

送信。

既読。

アルセウスの返信。

 

アルセウス:

『確かに』

 

認めるな。

 

俺は深呼吸した。

そしてキーボードに指を置き、俺は宣言するように呟いた。

「……もうこうなったら」

 

「全部小説にして、ネタにして、生き延びてやる」

 

俺は投稿ボタンを押しかけた。

その時。

スマホが震えた。

 

今度は別の通知。

【ヒカリ】

 

ヒカリ:

『零……やめて。絶対やめて』

 

俺は固まった。

 

……え?

なんで知ってる?

なんで今、止めてくる?

 

俺は恐る恐る打った。

「なんでわかった?」

 

送信。

既読。

ヒカリの返信。

 

ヒカリ:

『そのサイト、シンオウにもあるから』

 

俺は叫んだ。

「あるのかよ!!!!!!!!!!」

 

さらに通知。

【ネモ】

 

ネモ:

『え!?小説!?読ませて!!私レビュー書く!!』

 

俺は叫んだ。

「やめろ!!!!!!!!!!!!」

 

さらに通知。

【サカキ】

 

サカキ:

『余計なことをするな』

 

さらに通知。

【ゲーチス】

 

ゲーチス:

『宣伝は任せろ』

 

俺は頭を抱えた。

「やめろやめろやめろ!!!!」

 

俺はパソコン画面を見つめた。

投稿ボタンが、そこにある。

 

押せば終わる。

押せば始まる。

 

俺の人生が。

正式に。

ネットの海へ放たれる。

 

俺は震える指を、投稿ボタンの上に置いた。

 

そして呟く。

「……もういいや」

 

「世界が歪むなら」

 

「俺の人生が歪んでるのが先だ」

 

俺は、クリックした。

投稿完了。

 

画面に表示される。

【投稿しました】

 

俺は椅子にもたれ、深く息を吐いた。

「……終わった」

 

その瞬間。

スマホが震えた。

 

通知。

新着。

 

表示された名前は。

 

【不明】

 

俺は嫌な汗をかいた。

トークを開く。

 

そこには、たった一文。

???:

『読んだ』

 

俺は固まった。

 

喉が乾く。

指が動かない。

 

そして次のメッセージ。

???:

『次は俺の話も書け』

 

俺は震えながら呟いた。

「……誰だよ」

 

返信はない。

ただ、スマホの画面だけが光っている。

 

俺は思った。

投稿したことで。

俺は何かを呼んでしまったのかもしれない。

 

そして。

俺の物語は、終わるどころか――

 

もっと面倒な方向へ進み始めた。

 

次回

「閲覧数が異常なんだが」

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