チュートリアルお兄さん(呪い)   作:夜神桜

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第69話 ギラティナが日本で職質されそう

ギラティナが日本の交差点を歩いている。

この時点でおかしい。

世界がおかしい。

 

物理法則も常識も終わってる。

  

なのに。

なのに、だ。

日本という国は強い。

 

強すぎる。

 

なぜなら――

遠くから聞こえてきたサイレンの音が、どんどん近づいてきたからだ。

 

俺は窓の外を見ながら、震える声で呟いた。

「……来るな」

 

ユウリが横で真顔で言った。

「来るでしょ。警察だし」

 

ヒカリは顔面蒼白で叫ぶ。

「いや無理だって!!警察がギラティナ相手に何するの!?」

 

ネモは目を輝かせた。

「ねぇねぇ!警察って強いの!?バトルするの!?」

 

俺は即答した。

「しねぇよ!!!!!!!!」

 

レッドは黙って腕を組んでいる。

何も言わないのに圧が強い。

 

ショウはため息をついた。

「零……これ、本当に現実なんだよね……?」

 

俺は泣きそうになった。

「俺が一番信じたくねぇよ!!!!!!」

 

そして。

パトカーが現れた。

交差点の手前で止まる。

 

警察官が降りる。

拡声器。

 

俺は見た瞬間に理解した。

あ、終わった。

 

終わった終わった終わった。

 

警察官が、ギラティナに向かって叫んだ。

「そこの……えー……」

 

警察官が言葉に詰まる。

 

当然だ。

目の前にいるのは巨大な異形のドラゴンで、紫のオーラをまとっている。

分類できるわけがない。

 

だが警察官は、プロだった。

職務に忠実だった。

 

警察官は一度深呼吸して、言った。

「そこの……大きい方!!」

 

俺は叫んだ。

「大きい方って何だよ!!!!!!!!」

 

警察官が続ける。

「通報が入ってます!!」

 

ギラティナは止まった。

首を傾げるように警察官を見下ろす。

 

その瞬間、俺は悟った。

あ、これ噛み合ってない。

 

言語が違う。

 

警察官はさらに言った。

「道路の真ん中にいると危険です!!」

 

ギラティナは、ゆっくりと咆哮した。

「グオオオオオオオ……」

 

警察官は一瞬たじろいだ。

でも逃げなかった。

 

警察官、メンタル強すぎる。

 

そして。

警察官は腰のホルスターに手を置いた。

 

俺は叫んだ。

「撃つな!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

ヒカリが泣きそうに叫ぶ。

「やめて!!!撃ったら逆に怒らせるだけだよ!!!」

 

ユウリが呟く。

「いや撃っても効かないでしょ……」

 

ネモがワクワクしながら言った。

「え!?銃!?それ武器!?すごい!!」

 

ショウが静かに言った。

「ネモ、黙って」

 

ネモが「はーい」と返事する。

 

レッドは一言。

「……邪魔」

 

俺は叫んだ。

「レッド!!!!お前は絶対やめろ!!!!!!!!」

 

その時。

警察官が、さらに踏み込んだ。

「身分証を提示してください!!」

 

俺は吹き出した。

「提示できるわけねぇだろ!!!!!!!!!!」

 

ギラティナは、静かに羽を広げた。

紫の霧が広がる。

 

道路が歪む。

空気が歪む。

アスファルトが、ミシミシと音を立てる。

 

警察官が一歩後退した。

そして、無線で叫ぶ。

「本部!!応援要請!!対象が、えー……ドラゴンです!!」

 

俺は頭を抱えた。

「ドラゴンで通じてるのが逆にすげぇよ!!!!!!」

 

パトカーのライトが回り続ける。

赤色灯がギラティナの体を照らす。

 

ギラティナは、まるで「うるさい」と言うように目を細めた。

 

そして――

警察官に向かって、一歩踏み出した。

 

警察官が反射的に叫ぶ。

「止まれ!!」

 

ギラティナは止まらない。

 

俺は叫んだ。

「止まるわけねぇだろ!!!!!!!!」

 

その瞬間。

俺のスマホが震えた。

LI○E通知。

 

【アルセウス】

 

俺は即座に開いた。

 

アルセウス:

『職質とは、こういうものか』

 

俺は叫んだ。

「お前、学習してる場合じゃねぇよ!!!!!!!!!!」

 

次の通知。

【サカキ】

 

サカキ:

『零。あれを止めろ』

 

俺は即返信した。

「無理!!!!!!!!!!」

 

既読。

返信。

 

サカキ:

『無理ではない。やれ』

 

俺は泣きそうになった。

「パワハラだ!!!!!!!!!!!!!!」

 

そして、次の通知。

【ゲーチス】

 

ゲーチス:

『警察は使える。取り込め』

 

俺は叫んだ。

「取り込むな!!!!!!!!!!」

 

そして。

ネモが突然、俺の肩を掴んだ。

「零!!行こう!!」

 

俺は目を見開いた。

「どこに!?」

 

ネモが笑顔で言った。

「ギラティナのところ!!」

 

俺は叫んだ。

「行くな!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

だがネモは止まらない。

玄関に向かう。

 

ユウリもついていく。

「私も行くね。面白そうだし」

 

俺は叫ぶ。

「面白そうで行くな!!!!!!!!!!」

 

ヒカリも慌てて言った。

「待って!危ないって!」

 

セレナが冷静に言う。

「八雲さん、あなたが止めるなら今しかないです」

 

俺は青ざめた。

「俺が止めるって何をどうやって!?」

 

ショウが真顔で言った。

「……零、あなたが書いたんでしょ?」

 

俺は叫んだ。

「書いたけど!!!!!!出すって書いてない!!!!!!」

 

レッドが玄関へ歩きながら言う。

「……戦う」

 

俺は叫んだ。

「お前はやめろ!!!!!!!!!!!!!!」

 

その瞬間。

外で警察官が、ギラティナに向かって最後の警告をした。

「これ以上進むと、やむを得ず強制措置を取ります!!」

 

俺は呟いた。

「強制措置ってなんだよ……」

 

その時。

ギラティナが、ゆっくりと口を開いた。

紫の光が喉の奥で渦を巻く。

 

あ、やばい。

あれは。

シャドーダイブか、あやしいかぜか、りゅうのはどうか。

 

何にせよ、街が終わる。

 

俺は反射的に叫んだ。

「やめろ!!!!!!!!!」

 

そして。

俺は玄関を飛び出した。

靴も履かずに。

 

外に出ると、夏の熱気が肌に刺さった。

近所の人たちが遠巻きに見ている。

スマホで撮影してるやつもいる。

 

終わってる。

完全に終わってる。

 

俺は道路の真ん中に立って叫んだ。

「待てギラティナ!!!!!!!!」

 

ギラティナが止まった。

警察官も止まった。

全員が俺を見た。

 

俺は息を切らしながら、必死に叫ぶ。

「こいつは……!」

 

「えーと……!」

 

「えーと……!」

 

言葉が出ない。

 

警察官が叫ぶ。

「あなた危険です!!下がってください!!」

 

俺は叫び返す。

「下がれない!!!!!!!!」

 

ネモが後ろから叫ぶ。

「零!かっこいい!!」

 

ユウリが笑いながら言う。

「いや、裸足だけど」

 

俺は泣きそうになった。

「そこツッコむな!!!!!!」

 

ギラティナが俺を見下ろす。

紫の目。

圧倒的な存在感。

 

俺は震えながら言った。

「……俺のせいで出てきたんだろ」

 

「なら……俺が戻す」

 

ギラティナが低く唸った。

そして、俺の頭の中に声が響く。

『……オマエ……』

 

俺は青ざめた。

「うわ、脳内に直接!?」

 

ギラティナの声。

『……ナゼ……ココニ……』

 

俺は叫びたいのを堪え、必死に答えた。

「知らねぇよ!!!!!!!!」

 

警察官が困惑している。

当然だ。

俺が道路でドラゴンと会話している。

 

完全にヤバい奴だ。

 

警察官が言った。

「あなた、ちょっとこちらへ……」

 

俺は振り返って叫んだ。

「今それどころじゃない!!!!!!!!」

 

ネモが笑顔で言う。

「え!?今度は零が職質される!?」

 

俺は叫んだ。

「やめろ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

その瞬間。

ギラティナの背後の空が、さらに裂けた。

紫の裂け目が広がる。

 

そこから、別の影が見えた。

――翼。

銀色の翼。

 

俺は震えた。

「……ルギア?」

 

しかも。

色が。

黒い。

 

黒すぎる。

 

俺は絶望した。

「……ダークルギア」

 

俺は天を仰いで叫んだ。

「増えるな!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

次回

「ダークルギアが上空でホバリングしてる」

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