チュートリアルお兄さん(呪い)   作:夜神桜

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サトシの喋り方あってるのかな?間違ってたら誤字修正お願いします。


番外編8 アルセウスのせいでサトシと出会った日

俺は確信している。

アルセウスは神だ。

そして神は暇だ。

 

暇だから人を飛ばす。

暇だから世界線をねじる。

暇だから俺の人生をぐちゃぐちゃにする。

 

……つまり全部アルセウスのせい。

 

その日、俺は日本にいた。

帰還したはずだった。

ギラティナが職質されそうになったり、ダークルギアで自衛隊が来たり、コメント欄が現実に出てきたり。

 

いろいろあった。

だが、俺はようやく平穏を手に入れた。

 

手に入れたはずだった。

 

俺はコンビニの前でホットスナックを食べながら呟く。

「……平和って、いいな」

 

唐突に。

空が割れた。

 

「は?」

俺が顔を上げた瞬間、頭上に光の輪。

 

見覚えしかない。

神の輪っか。

 

やめろ。

 

俺は叫んだ。

「おい!!アルセウス!!やめろ!!」

 

だが、遅い。

白い光が俺の視界を塗りつぶす。

 

俺は吸い込まれるように宙へ浮いた。

ホットスナックが地面に落ちる。

 

俺は最後に叫んだ。

「俺のから○げクン!!!!!!」

 

目が覚めた。

草むら。

土の匂い。

虫の声。

 

空気が……日本じゃない。

 

俺は起き上がり、周囲を見る。

「……ここどこだよ」

 

そして気づく。

標識。

 

「マサラタウン」

 

俺は固まった。

「……は?」

 

マサラタウン。

カントー地方。

 

つまり、俺の原点。

 

だが、空気が違う。

街がやけに……アニメっぽい。

 

家の色が鮮やかすぎる。

住人の動きが、妙に元気すぎる。

 

俺は震えながら呟く。

「……待て待て待て」

 

「これ……俺が知ってるカントーじゃない」

 

その瞬間。

後ろから声が聞こえた。

 

「うわあああああああ!!!!!」

 

叫び声。

走ってくる足音。

 

俺は振り向いた。

 

少年が全力疾走している。

黒髪。

帽子。

赤いジャケット。

顔が元気。

 

そして何より、目がキラキラしすぎている。

 

俺は一発で理解した。

――サトシだ。

 

アニメ世界の主人公。

世界線が違う。

 

俺は思わず呟く。

「……アルセウス、お前さぁ……」

 

サトシは俺の前で急停止した。

「はぁっ、はぁっ……!」

 

そして俺を見て言った。

「えっ!?誰!?」

 

俺は言った。

「……八雲零」

 

サトシは目を輝かせる。

「レイ!?すげぇ名前だな!!」

 

俺は言った。

「すげぇのはお前のテンションだよ」

 

サトシは気にせず続ける。

「なぁなぁ!お前もポケモントレーナー!?」

 

俺は言った。

「……元チャンピオン」

 

サトシは固まった。

「え?」

 

俺は言った。

「元チャンピオン」

 

サトシの顔が一気に輝く。

「えええええええ!?チャンピオン!?マジで!?!?」

 

俺は思った。

(あ、これやばい。目が輝きすぎてる)

 

サトシは一歩近づいてくる。

「なぁ!バトルしようぜ!!」

 

俺は即答した。

「嫌だ」

 

サトシは言った。

「ええ!?なんで!?」

 

俺は言った。

「俺、今休暇中」

 

サトシは首を傾げた。

「休暇ってなに?」

 

俺は思った。

(こいつ、休むという概念が薄いな)

 

その時。

空から声が聞こえた。

『……零』

 

俺は顔を上げた。

嫌な予感。

 

空に金色の光。

輪。

神。

 

アルセウス。

 

俺は叫んだ。

「おい!!!!!」

 

「何だよ今度は!!!」

 

アルセウスは淡々と告げた。

『この世界の均衡が崩れかけている』

 

俺は言った。

「知らねぇよ」

 

『サトシと共に動け』

 

俺は叫んだ。

「なんでだよ!!!!」

 

アルセウスは平然と言った。

『面白そうだから』

 

俺は叫んだ。

「神がそれ言うな!!!!!!」

 

サトシは空を見上げて叫んだ。

「うおおお!!すげぇ!!今のなに!?」

 

俺は言った。

「神」

 

サトシは目を輝かせた。

「神!?!?!?神っているんだ!!」

 

俺は言った。

「いる。しかも性格悪い」

 

アルセウスの光が消える。

空が元に戻る。

 

サトシは俺の肩を掴んだ。

「なぁレイ!!神に選ばれたってこと!?すげぇ!!」

 

俺は言った。

「俺は被害者だ」

 

サトシは興奮したまま言った。

「じゃあさ!一緒に旅しようぜ!!」

 

俺は言った。

「嫌だって」

 

サトシは言った。

「絶対楽しいって!!」

 

俺は言った。

「楽しくない。絶対に」

 

サトシは言った。

「じゃあ楽しくする!!」

 

俺は固まった。

 

……聞いたことあるセリフだな。

 

ハルトと同じタイプだ。

主人公特有の押しの強さ。

 

俺は頭を抱えた。

「……最悪だ」

 

サトシは笑う。

「なぁ!どんなポケモン持ってるんだ!?」

 

俺は言った。

「ミュウツー」

 

サトシは一瞬固まって、次の瞬間叫んだ。

「ミュウツー!?!?!?」

 

「え、ミュウツーって伝説の!?!?」

 

俺は言った。

「そう」

 

サトシは震えて言った。

「すげぇ……」

 

俺は言った。

「お前、ビビらないのか」

 

サトシは即答した。

「ビビるけどワクワクする!!!」

 

俺は思った。

(やっぱ主人公って頭のネジが違う)

 

その時。

草むらが揺れた。

 

ピカチュウが飛び出してきた。

「ピカピカ!!」

 

サトシが叫ぶ。

「ピカチュウ!!」

 

俺は固まった。

 

――本物だ。

アニメのピカチュウ。

 

そしてピカチュウが俺を見て警戒する。

 

俺は言った。

「……警戒心あるな」

 

サトシは笑った。

「大丈夫だって!」

 

ピカチュウは俺を見て頬を光らせる。

 

俺は即座に言った。

「待て待て待て待て」

 

「俺は敵じゃない」

 

ピカチュウが「ピカ……」と首を傾げる。

 

そして。

俺のポケットの中で何かが光った。

 

スマホ。

連絡帳。

 

俺は青ざめた。

「……やめろ」

 

画面に表示された名前。

【オーキド博士:着信】

 

俺は固まった。

 

サトシは叫んだ。

「オーキド博士!?!?なんで!?!?」

 

俺は言った。

「……知らねぇよ」

 

サトシが俺の肩を揺さぶる。

「レイ!!すげぇ!!もうこの世界に馴染んでる!!」

 

俺は叫んだ。

「馴染んでねぇ!!呪いだ!!」

 

俺は電話に出た。

「……もしもし」

 

オーキド博士の声。

『おお、零くんか!』

 

俺は言った。

「なんで俺の番号知ってるんですか」

 

『わしは博士じゃぞ!』

 

俺は思った。

(万能すぎるだろ)

 

オーキド博士は続ける。

『サトシと一緒に旅に出てくれんか?』

 

俺は叫んだ。

「神と同じこと言うな!!!!」

 

サトシは横で目を輝かせている。

「旅!?旅だってさ!!」

 

俺は言った。

「お前黙れ!!」

 

電話を切った瞬間。

サトシが満面の笑みで言った。

「なぁレイ!」

 

「旅、行こうぜ!」

 

俺はため息を吐いた。

 

逃げられない。

神が関わってる時点で、逃げたらもっと面倒なことになる。

 

俺は諦めて言った。

「……分かったよ」

 

サトシは叫んだ。

「よっしゃああああああ!!!!!」

 

ピカチュウも叫ぶ。

「ピカーー!!」

 

俺は呟いた。

「……俺の平和、どこいった」

 

夕方。

マサラタウンの道。

サトシが前を歩き、ピカチュウが肩に乗る。

 

俺は後ろからついていく。

その背中が眩しすぎて、目を細めた。

 

サトシが振り返る。

「なぁレイ!」

 

「絶対、最高の旅にしような!」

 

俺は苦笑した。

「……勝手にしろ」

 

サトシは笑う。

「うん!!」

 

俺は思った。

(この世界線、俺がツッコミ役確定じゃん)

 

その時、空が一瞬だけ光った。

 

雲の隙間。

金色の輪。

アルセウスが、絶対ニヤついてる。

 

俺は空に向かって小さく呟いた。

「……お前、後で覚えてろよ」

 

番外編8 完

(※この日から八雲零は「アニメ世界線」という地獄のイベントラッシュに突入する)

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