チュートリアルお兄さん(呪い)   作:夜神桜

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第71話 ダークルギアで飛んでたら自衛隊が来た

空は広い。

そして日本の空は、思ったより狭い。

 

ダークルギアの背中に乗せられた俺は、必死にしがみつきながら叫んでいた。

「おい!!速い!!速い!!怖い!!」

 

ダークルギアは無言。

返事もない。

ただ黙々と飛ぶ。

 

まるで空の支配者。

いや、支配者っていうか……

 

「当たり前だろ?」みたいな態度で飛んでいる。

 

俺は泣きそうになりながら下を見た。

街。

住宅街。

高速道路。

田んぼ。

コンビニ。

 

全部、めちゃくちゃリアルな日本。

 

それなのに俺は今、伝説に乗って飛んでる。

意味が分からない。

人生のバグだ。

 

俺は叫ぶ。

「誰か助けて!!!!!!」

 

その瞬間。

背後から、低い轟音が近づいてきた。

 

――ゴォォォォォォォ。

 

俺は反射的に振り返った。

黒い空に、二つの光。

 

機体。

戦闘機。

いや、戦闘機っていうか、ガチのやつ。

 

俺は目を見開いた。

「……え?」

 

次の瞬間、無線のような音が空に響いた。

『こちら航空自衛隊。未確認飛行物体へ通告する』

 

俺は叫んだ。

「自衛隊!?!?!?」

 

『繰り返す。未確認飛行物体へ通告する』

 

『直ちに飛行を中止し、着陸せよ』

 

俺は思わずツッコんだ。

「着陸ってどうやってだよ!!!!!!!!」

 

ダークルギアは無反応。

完全に無視。

 

むしろ、少し速度を上げた。

 

俺は叫んだ。

「おい!!!!煽るな!!!!!!!!」

 

戦闘機が左右に展開する。

近づいてくる。

近すぎる。

エグい。

 

俺は戦闘機を見て、変な感想が出た。

「……かっこよ」

 

いや、違う。

今それどころじゃない。

空の上で自衛隊と伝説が並走してる。

 

これ絶対ニュースになる。 

いやもうニュースどころじゃない。

歴史の教科書に載る。

 

俺の黒歴史として。

 

俺は震えながら、必死に叫ぶ。

「待って!!撃たないで!!」

 

だが、無線は続く。

『応答がない場合、危険物と判断する』

 

俺は叫んだ。

「応答できるわけねぇだろ!!!!!!!!」

 

その瞬間、俺のスマホが震えた。

LI○E通知。

【アルセウス】

 

…またかよ。

絶対これいつものやつじゃん。

 

俺は嫌な予感でしかない。

でも開く。

 

アルセウス:

『人間の軍事力は面白いな』

 

俺は叫んだ。

「お前、観察してる場合じゃねぇ!!!!!!!!」

 

さらに通知。

【ゲーチス】

 

ゲーチス:

『素晴らしい。軍を味方につければ世界は変わる』

 

俺は叫んだ。

「やめろ!!!!!!日本を巻き込むな!!!!!!」

 

さらに通知。

【サカキ】

 

サカキ:

『制圧しろ。空を取れ』

 

俺は叫んだ。

「空取れって何だよ!!!!!!!!」

 

そして最後。

【ミヅキ】

 

ミヅキ:

『れい、今凄いニュースになってるね!!』

 

俺は叫んだ。

「もうなってんのかよ!!!!!!!!!!!!!!」

 

俺は震える手でスマホを握りしめた。

ネット記事が表示される。

 

【速報】

都内上空に黒い巨大生物、航空自衛隊が緊急発進

SNS「ドラゴン?」「映画?」

政府「確認中」

 

俺は白目になった。

「確認中じゃねぇよ……確認しろよ……」

 

ダークルギアが翼を広げ、さらに高度を上げた。

戦闘機も追従する。

 

無線がまた響く。

『未確認飛行物体。これ以上の飛行は危険と判断する』

 

俺は叫んだ。

「危険なのは俺の人生だよ!!!!!!!!」

 

その時。

戦闘機のパイロットが、窓越しに俺を見た。

いや、見たというより。

 

“人が乗ってる”ことに気づいた。

 

パイロットが明らかに動揺している。

そりゃそうだ。

ドラゴンの背中に高校生が乗ってる。

 

誰が想定するんだ。

 

俺は必死に手を振った。

「違うんです!!!!!!」

 

叫んだ。

「俺も被害者なんです!!!!!!」

 

戦闘機は返事をしない。

ただ距離を取る。

でも明らかに、ロックオンしてる気配がある。

 

俺は心臓が止まりそうになった。

「やめろやめろやめろ……」

 

その時。

ダークルギアが急に停止した。

空中でホバリング。

 

戦闘機も急制動。

そして。

ダークルギアが、ゆっくりと首を上げた。

空のさらに上を見た。

 

俺もつられて上を見る。

そこにあったのは――

 

黒い裂け目。

 

空間が歪んでいる。

ギラティナが出てきた時と同じ。

 

でも規模が違う。

裂け目がデカすぎる。

空の半分が割れそうな勢い。

 

俺は震えながら呟いた。

「……嘘だろ」

 

戦闘機の無線が途切れ、別の声が入った。

『管制より。上空に異常反応。繰り返す、異常反応』

 

俺は叫んだ。

「異常反応っていうか異常だよ!!!!!!!!」

 

そして。

裂け目の中から、赤い目が見えた。

巨大な影。

 

“何か”が、覗いている。

 

俺は青ざめた。

「……おい」

 

嫌な予感しかしない。

いや、もう確信。

これはヤバい。

 

ダークルギアが低く唸った。

「……グルル……」

 

戦闘機が距離を取る。

パイロットも本能で察したんだ。

今、相手してるのはドラゴンじゃない。

 

“災害”だ。

 

俺のスマホが震える。

通知。

【アルセウス】

 

アルセウス:

『次は、あれが来る』

 

俺は叫んだ。

「お前、知ってたのかよ!!!!!!!!!!!!!!」

 

アルセウスは返信しない。

代わりに、別の通知が来た。

【ギラティナ】

 

ギラティナ:

『……オマエ……』

 

俺は凍りついた。

ギラティナが、空間の裂け目の向こうから俺を見ている。

 

そして。

その後ろに。

もっと大きい影。

 

俺は震える声で呟いた。

「……待て」

 

「まさか……」

 

裂け目から聞こえる、低い鳴き声。

神話みたいな圧。

空気が腐るような感覚。

 

俺は言った。

「……やめろ」

 

裂け目がさらに広がる。

そして、姿が見えた。

 

六本の脚。 

金色のリング。

白い体。

 

俺の世界を壊した元凶。

俺の人生を玩具にした存在。

そいつが、空の裂け目から降りてくる。

 

俺は叫んだ。

「アルセウス!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

アルセウスは、神の顔でこちらを見下ろしていた。

 

戦闘機の無線がパニックになる。

『管制!!対象が増えた!!』

 

『白いのが出てきた!!』

 

『なんだあれ!!』

 

俺は叫んだ。

「白いのって言い方やめろ!!!!!!!!!!」

 

アルセウスが空中で停止し、静かに言った。

『零』

 

俺は震えながら答える。

「……なんだよ」

 

アルセウスは、淡々と言った。

『更新したな』

 

俺は叫んだ。

「更新したよ!!!!!!だから何だよ!!!!!!」

 

アルセウスは言う。

『お前が更新するたびに、世界が揺れる』

 

『面白い』

 

俺は絶望した。

「面白いで済ますな!!!!!!!!!!!!!!」

 

アルセウスがゆっくりと目を細めた。

『人間の軍隊も、悪くない』

 

俺は叫ぶ。

「利用すんな!!!!!!!!」

 

その時。

戦闘機のパイロットが、ついに限界を迎えたのか叫んだ。

『こちら航空自衛隊。緊急事態。緊急事態』

 

『上空に巨大生命体多数確認』

 

『攻撃許可を要請する』

 

俺は青ざめた。

「やめろ!!!!!!!!!!!!!!」

 

俺は必死に叫んだ。

「撃つな!!!!!!お願いだから撃つな!!!!!!」

 

でも、返事はない。

戦闘機の翼の下。

ミサイルが、開く。

 

俺は叫んだ。

「終わった!!!!!!!!!!!!!!」

 

その瞬間。

レッドの声が、どこからか聞こえた。

「……零」

 

俺は空中で振り向く。

 

あり得ない。

だって俺は空にいる。

 

でも。

見えた。

 

下の地上。

交差点。 

人々。

パトカー。

ギラティナ。

 

そしてそのすぐ横に。

赤い帽子の男。

レッドが、空を見上げていた。

 

俺は叫んだ。

「レッド!?!?」

 

レッドは、静かに言った。

「……止める」

 

俺は叫んだ。

「待て!!!!お前が止めたら日本が消える!!!!!!!!」

 

レッドは表情を変えない。

ただ、一言。

「……邪魔」

 

俺は絶叫した。

「やめろォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

その時。

アルセウスが、地上のレッドを見た。

 

そして。

少しだけ笑った。

『……面白い』

 

俺は震えながら呟いた。

「……おい」

 

「この世界」

 

「もう完全に終わるぞ」

 

ダークルギアの背中で、俺は叫んだ。

「俺は!!!!ただ!!!!」

 

「バッジケースを落としただけなのに!!!!!!!!!!!!!!」

 

空の上で。

自衛隊が武装し。

神が降臨し。

伝説が揃い。

レッドが殺意を出している。

 

俺は悟った。

これはもう、事故じゃない。

“イベント”だ。

 

そして俺は理解した。

次の更新で。

もっとヤバいことが起きる。

 

俺は泣きそうになりながら呟いた。

「……もう小説投稿やめたい」

 

スマホが震えた。

通知。

 

【ハーメ○ン】

『最新話を投稿しました』

 

俺は叫んだ。

「投稿してねぇよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

アルセウスが空中で言った。

『もう遅い』

 

俺は絶望した。

「終わった……」

 

そして。

裂け目がさらに広がる。

 

アルセウスが言った。

『次は』

 

『“読者”が来る』

 

俺は目を見開いた。

「……は?」

 

次回

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