チュートリアルお兄さん(呪い)   作:夜神桜

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第73話 俺が神になるしかない

空の上。

俺はダークルギアの背中で、完全に悟っていた。

 

終わった。

もう、人生がどうとかじゃない。

 

世界が詰んでる。

 

目の前には裂け目。

下にはギラティナ。

周囲には自衛隊。

地上にはコメント欄から湧いた読者たち。

そして空には、神。

 

アルセウス。

 

俺のスマホは勝手に文字を打ち続けている。

画面には、地獄の通知。

 

【システムメッセージ】

『作者は更新を停止できません』

『更新が止まった場合、現実が崩壊します』

 

俺は、震える声で呟いた。

「……俺が書かないと世界が終わるのか」

 

その瞬間、空に流れるコメント。

【コメント:作者=世界の根幹】

【コメント:草】

【コメント:神回確定】

【コメント:更新しろ】

 

俺は叫んだ。

「黙れ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

だが。

黙らない。

 

コメントは止まらない。

世界は止まらない。

 

ギラティナは暴れる。

自衛隊は武装してる。

レッドは殺意MAX。

読者はバズ目的でスマホ構えてる。

 

この状況を止められるのは――

俺だけ。

 

俺は泣きそうになりながら叫んだ。

「……もう、分かったよ!!!!!!」

 

俺はダークルギアの背中で立ち上がった。

「神になる!!!!!!!!!!!!!!」

 

空気が凍った。

自衛隊の戦闘機が揺れる。

ギラティナが止まる。

読者たちが息を呑む。

 

コメントが流れる。

【コメント:うおおおおおおお】

【コメント:言ったwww】

【コメント:作者覚悟決めた】

【コメント:チュートリアルお兄さん神になる】

 

俺は叫んだ。

「茶化すな!!!!!!!!」

 

俺はアルセウスを睨んだ。

「おい、アルセウス」

 

アルセウスは静かに答える。

『何だ、零』

 

俺は拳を握りしめた。

「お前が神なら」

 

「俺も神になればいいんだろ」

 

アルセウスは、少しだけ目を細めた。

『……人間が神になるのは容易ではない』

 

俺は言った。

「容易じゃないなら」

 

「容易にしろ」

 

読者が叫ぶ。

「強気で草!!」

 

俺は怒鳴った。

「草とか言うな!!!!!!!!」

 

アルセウスがゆっくりと空中を降りてきた。

神の威圧。

神の光。

神の存在。

 

俺は震えながらも目を逸らさなかった。

 

アルセウスは言った。

『神とは、責任だ』

 

『お前に耐えられるか?』

 

俺は即答した。

「耐えられない」

 

空気が固まる。

 

読者コメント。

【コメント:正直で草】

【コメント:草】

【コメント:でも好き】

 

俺は続けた。

「でも……」

 

「耐えるしかないだろ!!!!!!!!!!」

 

俺は叫んだ。

「俺が更新しないと世界が終わるなら!!」

 

「俺が責任取る!!!!!!!!!!!!!!」

 

その瞬間。

ダークルギアが翼を大きく広げた。

黒い風が渦を巻く。

 

ギラティナが吠える。

「グォォォォォォ!!!!!!」

 

アルセウスが言った。

『零』

 

『お前は今、世界に選ばれた』

 

俺は叫んだ。

「選ばれたくなかった!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

アルセウスは淡々と告げる。

『だが選ばれた』

 

『お前の物語は、もはや世界そのものだ』

 

俺は唇を噛んだ。

そして、俺は覚悟を決めた。

「……なら」

 

「俺が神になって」

 

「全部、終わらせる」

 

その瞬間。

スマホが震えた。

 

画面に表示されたのは――

 

【特別イベント】

『神格化ルートが解放されました』

 

俺は叫んだ。

「ルートとか言うな!!!!!!!!!!ゲームかよ!!!!!!」

 

コメントが流れる。

【コメント:神格化ルートwww】

【コメント:分岐きたw】

【コメント:選択肢ミスったら世界滅ぶの草】

 

俺は叫んだ。

「草じゃねぇ!!!!!!!!!!」

 

その時。

アルセウスが、俺の目の前に光を落とした。

 

白い光。

眩しすぎて目が潰れそうだ。

俺は腕で顔を覆う。

 

光の中で、アルセウスの声が聞こえた。

『零』

 

『お前が神になるなら』

 

『代償を払え』

 

俺は叫ぶ。

「代償!?!?!?」

 

アルセウスは言った。

『お前が神になるなら』

 

『人間としての“自由”は消える』

 

俺は凍りついた。

「……自由が、消える?」

 

アルセウスは静かに言う。

『お前は更新し続ける』

 

『お前は世界を保ち続ける』

 

『お前は二度と、普通には戻れない』

 

俺は笑った。

乾いた笑いだ。

 

「……もう普通じゃねぇよ」

 

俺は叫んだ。

「今更だろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

その瞬間。

アルセウスが、ゆっくりと頷いた。

『よかろう』

 

次の瞬間。

空間が割れた。

ギラティナの裂け目とは違う。

 

もっと純粋な。

もっと神の。

世界の根幹が開くような裂け目。

 

そこに、文字が浮かんだ。

【選択してください】

 

俺は叫んだ。

「やめろ!!!!!!!!!!」

 

でも選択肢が表示された。

①「神になる」

②「逃げる」

③「全部消す」

 

俺は震えた。

逃げたい。

全部消したい。

 

でも――

俺が逃げたら、世界が壊れる。

全部消したら、みんなも消える。

 

ギラティナも。

ヒカリも。

ショウも。

ネモも。

ユウリも。

レッドも。

読者も。

 

そして日本も。

 

俺は息を吐いた。

「……くそ」

 

俺は拳を握りしめた。

そして。

指を伸ばした。

 

①。

神になる。

 

俺は押した。

「……神になる」

 

その瞬間。

空が真っ白になった。

音が消えた。

 

世界が止まった。

コメントが止まった。

ギラティナが止まった。

戦闘機が止まった。

読者が止まった。

 

全てが静止した。

 

そして、俺だけが動いていた。

俺の体が光に包まれていく。

 

腕が白くなる。

髪が揺れる。

心臓の鼓動が消える。

 

代わりに――

世界の音が聞こえた。

 

人の心の声。

海の揺れ。

風の流れ。

地球の鼓動。

 

全部。

全部が、俺の中に流れ込む。

 

俺は震えながら呟いた。

「……重い」

 

世界が重い。

こんなの背負えるわけがない。

 

でも。

背負うしかない。

 

アルセウスの声が響いた。

『零』

 

『今より、お前は神だ』

 

俺は呟いた。

「……八雲零」

 

「神、就任しました」

 

その瞬間。

俺の背中に、光の輪が生まれた。

金色のリング。

 

アルセウスと同じ。

いや、違う。

俺のリングは、黒と白が混ざった色だった。

 

俺は理解した。

俺は神になった。

ただの神じゃない。

 

物語の神。

更新の神。

黒歴史の神。

コメント欄の神。

 

俺は、世界を見下ろした。

 

ギラティナが止まっている。

自衛隊も止まっている。

読者も止まっている。

全てが静止している。

 

俺は静かに言った。

「……じゃあ」

 

「まず」

 

「コメント欄」

 

俺は指を鳴らした。

 

パチン。

 

空に流れていたコメントが、全部消えた。

読者たちが一斉に叫ぶ。

「え!?コメント消えた!!」

 

「うそ、見えない!」

 

「作者、権限持った!?」

 

俺は言った。

「持ったよ」

 

「神だから」

 

読者たちが震えた。

「こわ……」

 

俺は続けた。

「次」

 

「運営」

 

俺は空を睨んだ。

すると空間の奥から、文字が浮かんだ。

【ハー○ルン運営:申し訳ありません】

 

俺は冷たく言った。

「謝るな」

 

「二度と現実に介入するな」

 

【運営:了解しました】

 

俺は息を吐いた。

「よし」

 

そして俺はギラティナを見た。

「ギラティナ」

 

ギラティナが俺を見上げる。

俺は命令した。

「帰れ」

 

ギラティナが唸った。

「……オマエ……神……?」

 

俺は答えた。

「そう」

 

「俺は神になった」

 

「だから帰れ」

 

ギラティナは静かに笑った。

「……面白い」

 

そして裂け目へ戻っていく。

 

だがその瞬間。

地上でレッドが動いた。

止まっていたはずの時間が、そこだけ動いた。

 

レッドが呟く。

「……許さない」

 

俺は青ざめた。

「おい、待て」

 

レッドがこちらを見上げる。

その目には、純粋な殺意。

 

俺は理解した。

こいつ、俺が神になったとか関係ない。

こいつは俺を○す。

 

俺は叫んだ。

「待て待て待て!!!!!!」

 

レッドが言った。

「……零」

 

「お前が原因だ」

 

俺は叫んだ。

「そうだけど!!!!!!」

 

レッドは静かにモンスターボールを投げた。

出てきたのは――

ミュウツー。

 

俺の心臓が止まった。

「……やめろ」

 

レッドが言った。

「終わらせる」

 

俺は叫んだ。

「終わらせるのは物語だけにしろ!!!!!!!!!!!!!!」

 

その瞬間。

俺は悟った。

俺が神になっても、全ては終わらない。

 

むしろ始まった。

神になった俺を。

倒そうとする存在が現れる。

 

――神殺し。

 

俺は空中で、震える声で呟いた。

「……俺」

 

「神になった瞬間に」

 

「ラスボスになったじゃん」

 

アルセウスが静かに言った。

『そうだ』

 

『それが、神だ』

 

俺は泣きそうになりながら叫んだ。

「最悪!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

次回

「神になったらレッドが本気出してきた」

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