空の上。
俺はダークルギアの背中で、完全に悟っていた。
終わった。
もう、人生がどうとかじゃない。
世界が詰んでる。
目の前には裂け目。
下にはギラティナ。
周囲には自衛隊。
地上にはコメント欄から湧いた読者たち。
そして空には、神。
アルセウス。
俺のスマホは勝手に文字を打ち続けている。
画面には、地獄の通知。
【システムメッセージ】
『作者は更新を停止できません』
『更新が止まった場合、現実が崩壊します』
俺は、震える声で呟いた。
「……俺が書かないと世界が終わるのか」
その瞬間、空に流れるコメント。
【コメント:作者=世界の根幹】
【コメント:草】
【コメント:神回確定】
【コメント:更新しろ】
俺は叫んだ。
「黙れ!!!!!!!!!!!!!!!!」
だが。
黙らない。
コメントは止まらない。
世界は止まらない。
ギラティナは暴れる。
自衛隊は武装してる。
レッドは殺意MAX。
読者はバズ目的でスマホ構えてる。
この状況を止められるのは――
俺だけ。
俺は泣きそうになりながら叫んだ。
「……もう、分かったよ!!!!!!」
俺はダークルギアの背中で立ち上がった。
「神になる!!!!!!!!!!!!!!」
空気が凍った。
自衛隊の戦闘機が揺れる。
ギラティナが止まる。
読者たちが息を呑む。
コメントが流れる。
【コメント:うおおおおおおお】
【コメント:言ったwww】
【コメント:作者覚悟決めた】
【コメント:チュートリアルお兄さん神になる】
俺は叫んだ。
「茶化すな!!!!!!!!」
俺はアルセウスを睨んだ。
「おい、アルセウス」
アルセウスは静かに答える。
『何だ、零』
俺は拳を握りしめた。
「お前が神なら」
「俺も神になればいいんだろ」
アルセウスは、少しだけ目を細めた。
『……人間が神になるのは容易ではない』
俺は言った。
「容易じゃないなら」
「容易にしろ」
読者が叫ぶ。
「強気で草!!」
俺は怒鳴った。
「草とか言うな!!!!!!!!」
アルセウスがゆっくりと空中を降りてきた。
神の威圧。
神の光。
神の存在。
俺は震えながらも目を逸らさなかった。
アルセウスは言った。
『神とは、責任だ』
『お前に耐えられるか?』
俺は即答した。
「耐えられない」
空気が固まる。
読者コメント。
【コメント:正直で草】
【コメント:草】
【コメント:でも好き】
俺は続けた。
「でも……」
「耐えるしかないだろ!!!!!!!!!!」
俺は叫んだ。
「俺が更新しないと世界が終わるなら!!」
「俺が責任取る!!!!!!!!!!!!!!」
その瞬間。
ダークルギアが翼を大きく広げた。
黒い風が渦を巻く。
ギラティナが吠える。
「グォォォォォォ!!!!!!」
アルセウスが言った。
『零』
『お前は今、世界に選ばれた』
俺は叫んだ。
「選ばれたくなかった!!!!!!!!!!!!!!!!」
アルセウスは淡々と告げる。
『だが選ばれた』
『お前の物語は、もはや世界そのものだ』
俺は唇を噛んだ。
そして、俺は覚悟を決めた。
「……なら」
「俺が神になって」
「全部、終わらせる」
その瞬間。
スマホが震えた。
画面に表示されたのは――
【特別イベント】
『神格化ルートが解放されました』
俺は叫んだ。
「ルートとか言うな!!!!!!!!!!ゲームかよ!!!!!!」
コメントが流れる。
【コメント:神格化ルートwww】
【コメント:分岐きたw】
【コメント:選択肢ミスったら世界滅ぶの草】
俺は叫んだ。
「草じゃねぇ!!!!!!!!!!」
その時。
アルセウスが、俺の目の前に光を落とした。
白い光。
眩しすぎて目が潰れそうだ。
俺は腕で顔を覆う。
光の中で、アルセウスの声が聞こえた。
『零』
『お前が神になるなら』
『代償を払え』
俺は叫ぶ。
「代償!?!?!?」
アルセウスは言った。
『お前が神になるなら』
『人間としての“自由”は消える』
俺は凍りついた。
「……自由が、消える?」
アルセウスは静かに言う。
『お前は更新し続ける』
『お前は世界を保ち続ける』
『お前は二度と、普通には戻れない』
俺は笑った。
乾いた笑いだ。
「……もう普通じゃねぇよ」
俺は叫んだ。
「今更だろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
その瞬間。
アルセウスが、ゆっくりと頷いた。
『よかろう』
次の瞬間。
空間が割れた。
ギラティナの裂け目とは違う。
もっと純粋な。
もっと神の。
世界の根幹が開くような裂け目。
そこに、文字が浮かんだ。
【選択してください】
俺は叫んだ。
「やめろ!!!!!!!!!!」
でも選択肢が表示された。
①「神になる」
②「逃げる」
③「全部消す」
俺は震えた。
逃げたい。
全部消したい。
でも――
俺が逃げたら、世界が壊れる。
全部消したら、みんなも消える。
ギラティナも。
ヒカリも。
ショウも。
ネモも。
ユウリも。
レッドも。
読者も。
そして日本も。
俺は息を吐いた。
「……くそ」
俺は拳を握りしめた。
そして。
指を伸ばした。
①。
神になる。
俺は押した。
「……神になる」
その瞬間。
空が真っ白になった。
音が消えた。
世界が止まった。
コメントが止まった。
ギラティナが止まった。
戦闘機が止まった。
読者が止まった。
全てが静止した。
そして、俺だけが動いていた。
俺の体が光に包まれていく。
腕が白くなる。
髪が揺れる。
心臓の鼓動が消える。
代わりに――
世界の音が聞こえた。
人の心の声。
海の揺れ。
風の流れ。
地球の鼓動。
全部。
全部が、俺の中に流れ込む。
俺は震えながら呟いた。
「……重い」
世界が重い。
こんなの背負えるわけがない。
でも。
背負うしかない。
アルセウスの声が響いた。
『零』
『今より、お前は神だ』
俺は呟いた。
「……八雲零」
「神、就任しました」
その瞬間。
俺の背中に、光の輪が生まれた。
金色のリング。
アルセウスと同じ。
いや、違う。
俺のリングは、黒と白が混ざった色だった。
俺は理解した。
俺は神になった。
ただの神じゃない。
物語の神。
更新の神。
黒歴史の神。
コメント欄の神。
俺は、世界を見下ろした。
ギラティナが止まっている。
自衛隊も止まっている。
読者も止まっている。
全てが静止している。
俺は静かに言った。
「……じゃあ」
「まず」
「コメント欄」
俺は指を鳴らした。
パチン。
空に流れていたコメントが、全部消えた。
読者たちが一斉に叫ぶ。
「え!?コメント消えた!!」
「うそ、見えない!」
「作者、権限持った!?」
俺は言った。
「持ったよ」
「神だから」
読者たちが震えた。
「こわ……」
俺は続けた。
「次」
「運営」
俺は空を睨んだ。
すると空間の奥から、文字が浮かんだ。
【ハー○ルン運営:申し訳ありません】
俺は冷たく言った。
「謝るな」
「二度と現実に介入するな」
【運営:了解しました】
俺は息を吐いた。
「よし」
そして俺はギラティナを見た。
「ギラティナ」
ギラティナが俺を見上げる。
俺は命令した。
「帰れ」
ギラティナが唸った。
「……オマエ……神……?」
俺は答えた。
「そう」
「俺は神になった」
「だから帰れ」
ギラティナは静かに笑った。
「……面白い」
そして裂け目へ戻っていく。
だがその瞬間。
地上でレッドが動いた。
止まっていたはずの時間が、そこだけ動いた。
レッドが呟く。
「……許さない」
俺は青ざめた。
「おい、待て」
レッドがこちらを見上げる。
その目には、純粋な殺意。
俺は理解した。
こいつ、俺が神になったとか関係ない。
こいつは俺を○す。
俺は叫んだ。
「待て待て待て!!!!!!」
レッドが言った。
「……零」
「お前が原因だ」
俺は叫んだ。
「そうだけど!!!!!!」
レッドは静かにモンスターボールを投げた。
出てきたのは――
ミュウツー。
俺の心臓が止まった。
「……やめろ」
レッドが言った。
「終わらせる」
俺は叫んだ。
「終わらせるのは物語だけにしろ!!!!!!!!!!!!!!」
その瞬間。
俺は悟った。
俺が神になっても、全ては終わらない。
むしろ始まった。
神になった俺を。
倒そうとする存在が現れる。
――神殺し。
俺は空中で、震える声で呟いた。
「……俺」
「神になった瞬間に」
「ラスボスになったじゃん」
アルセウスが静かに言った。
『そうだ』
『それが、神だ』
俺は泣きそうになりながら叫んだ。
「最悪!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
次回
「神になったらレッドが本気出してきた」