3級フィクサーパンチ   作:アリマリア

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 ドキドキ♡カルメンとのデート回! です。





これは決して忘れたくない、その白昼の記憶です。

 

 

 

 殆ど地獄と同義である外郭に、デートスポットなんてモンはない。当たり前である。

 そんなわけで、俺とカルメンは久々に外郭の研究所から離れ、都市へと向かった。

 

 俺たちは何故か好き好んで外郭に出ているが、普通に都市の市民だ。

 そのため、入ろうとすれば、普通に都市にも入ることもできる。

 これがエノクやリサとなると、都市での身分がないので色々大変なのだが……それはさておき。

 

 歩き続けること数時間。

 俺たちは特に問題もなく、都市へと到着したのであった。

 

 都市へ向かう道中の外郭のバケモン共はどうしたって? もう荼毘に付したよ。

 一応危険度だけで言えばWAWクラスに相当する遺物「赤」「白」「黒」「青」に加え、今はプロトタイプとはいえ立派なWAW級E.G.Oである涙剣があるんだ。そうそう負けるもんかって話。

 

 E.G.O防具はないから防御面にこそ不安は残るが、そこは紫の涙譲りの防御態勢マン。回避防御反撃には自信アリだ。

 対単体なら相手の周りを飛び回りながらチクチク刺してたら勝てるし、群体なら容赦なくレーザーぶっぱで大体は勝てる。

 

 ふーっはっはっは! あの日ビビった外郭のバケモン共も、もはや恐るるに足らず!

 強いよこの武装ッ! 簡単ッッッ!! 簡単ッッ!!!

 

 いやまあ、流石に勝てないレベルが来たら逃げるけどね。

 俺は驕らない系謙虚雑魚なので。

 

 

 

「ちょ、ちょっと、ちょっと待って、コナー!」

 

 都市に入って、それじゃあJの巣でも行こうかなーとか思ってる時分。

 ぐいぐいとその手を引く俺に対し、未だにカルメンはずーっと待て待てと言い続けている。

 

 ばーか、待てと言って待つ奴があるか。

 あと抵抗は無意味だ。俺は3級フィクサー相当、お前は貧弱な研究職。力の差は歴然。オーケー?

 

「なんでっ……私、その、お化粧とかしてないし……!」

 

 あーあーめんどくせぇ常識ばっか言いやがって。

 もうそーゆー空気じゃないのお分かり?

 

 まともに相手するのもめんどくせぇので、脊髄反射会話開始だ。

 

「はっ、あんだけ無様晒して、今更誰に見栄張ろうってんだい!」

「なっ、ちょ、無様ってあなたねぇ! そもそもアレはあなたがっ……いや……私が、……」

「情緒不安定ネキ~~~^^ 20越えた大人の情緒不安定って、見ててキツいものあるよね(自省)」

「ッ、ちょっと! 今私結構真剣に落ち込んで、悩んで……!!」

「あ ほ く さ。悩むってのはねぇ、答えを出すために思考することを言うんです~!

 お前のそれはただの後悔、ずーっとダメダメって駄目出ししてるだけの生産性ゼロのゴミ時間!

 そんなことに時間を使うくらいなら、俺とのデートを楽しめって言ってんの!!」

「デートって、いえその、何なの本当に!?」

「デートはデート、男女間の逢引だが? あ、そんなこともわからんか、その歳で彼氏の一人も作ったことないような喪女だから^^;」

「な゛っ、は、いや……ッ!?」

 

 ハイ論破ァ! 反論がないなら俺の勝ちだが?w

 カルメンさん、頭は良いみたいだけどちょっと口は回らないか^^; 滑りやすいよう油とか塗っとく?^^;

 

 

 

 がみがみと言い合いをする俺たちに、都市を行き交う人々は、おかしなものを見るような目を向けて来る。

 日々心身を磨り潰して翼の糧となる彼らからすれば、白昼堂々騒ぎ立てる男女(女の方は泣き腫らした跡あり、着の身着のまま)ってのは珍しい……というよりおかしな光景に映るんだろう。

 

 そんな視線を受けて、カルメンは恥ずかしそうにしてるが……。

 フン、それでいい。

 

 デートなんてもんはなぁ! いつだって恥ずかしいもんなんだよ!!

 

 え? 俺? この都市で雑魚が恥とか外聞とか持ったまま生きていけるとお思いで? 刹那で捨てちゃった、そんな羞恥。

 

「よし、Jの巣行こうぜJの巣! 俺行ったことないけど、J社の巣は賭博の巣なんやって! どんな派手な巣なんやろ! どんなアゲアゲな街並みしてるんやろ!」

「じ、J社の巣って……あのすごく派手な?」

「お、行ったことあんの?」

「ないわ……映像で見たことはあるけど。そんな機会もなかったし」

「それなら俺の後に付いてきな! 安心しろよ何かあっても守ってやるから。女一人守れんような男は背中刺されて死んだらええねん。

 ほら行くぞ~、まずは楽しく遊べるスポット目指してしゅっぱーつ!」

 

 

 

 * * *

 

 

 

 結論から言うと、J社の巣はめっちゃ楽しかった。

 

 流石は賭博の巣と呼ばれるだけあり、すんごい景気の良い空気が蔓延しており、遊興に金を溶かさせようと言うやる気がムンムン立ち上がっていた。

 

 そして、精神力雑魚の半端者と、こう見えてかなりストイックでそんな空気に不慣れな研究者の2人組だ。

 そういう明るい雰囲気から受ける影響は、どうしたってデカいもので。

 

 

 

 

 

 

「コナー、ここ? ここにコインを入れるの?」

 

「なぁにビクビクしてんだてめー、おらおらおらどんどん入れろォ!」

 

「あっそんな、駄目、そんなに一気に入れちゃ! ああっ、お金、お金で交換したコインが溶けてくわ……! 大事にしないと! 大事にしないといけないのに!」

 

「だーいじょぶだいじょぶ任せなって! ほら見ろここのタワーどう見たって崩れるだろ、むしろ崩れなかったら特異点使ってるだろ」

 

「ぐ、グラグラしてるけど、確かに崩れそうだけど……!」

 

「ほらほらほらほらありったけのコイン入れるんだよ! こういう時に日和るような人間は何やったって駄目! 挨拶ができる人間はゲームもできる!!」

 

「ああっそんな、そんな、駄目よコナー、こんなの……っ! 出ちゃう、いっぱい出ちゃう……!!」

 

「っ、しゃあっ!! 総崩れじゃいっ!!!」

 

「あわわわわわ、え、どうしよう、どうしよういっぱい出て来るわ! これどうすればいいの、何か容器、容器を、店員さーーーん!!!」

 

 

 

 

 

 

「丁半博打とはまた古風な……古風なのか? まあええわちょっと参加したろ」

 

「なるほど、振ったダイスの目が奇数か偶数かを当てるのね。これなら私も分かるわ」

 

「まあこの手の奴は無限にイカサマできるし、あんま熱くなりすぎるのは逆に楽しく…………おい? カルメン? おいコラ」

 

「任せて! 私、昔から運は良い方なのよ。アインと知り合ったのもそうだし、あなたたちと知り合えたこともそう!

 さっきのメダルゲームじゃコナーのお世話になっちゃったし、今度は私があなたを楽しませてあげる!」

 

「おい馬鹿やめろ」

 

 …………。

 

「……ええと」

 

「どうしたんだい、カルメン。

 大丈夫、怒らないさ。君の成果を報告してごらん」

 

「その……あの……ご、ごめん、なさい? その、ちょっとだけ、負けが込んじゃって……」

 

「28万の支出だぞ!! 確実に勝ちたかったんだろ!! 負けん気で溢れ! 焦ってた!!

 ディーラーは職務を放棄し、君にそろそろ止めませんかと提案したが! 君は何度も! 何度も!! 繰り返し!!! 賭け続けた!!!!

 馬鹿みたいに負けたんだろ!!!! いい加減認めたらどうだ!!!!!」

 

「いや、ちょっ、び、ビックリするからいきなり大声はやめてよっ!」

 

「すまなかった、もういいよ。大丈夫、安心して」

 

「きゅっ、急に落ち着くのもそれはそれで怖いわよ!?

 あ、そうだ、この分は私の個人資産から出すわ! それなら私の自由でしょ? ねっ?」

 

「ボケがよ、俺が出すに決まってんだろうが! デート舐めんなよ恋愛音痴がッ!」

 

「カッコ良いのか暴言なのかわかんないわよっ!!

 て、ていうか恋愛って、え、そうなの? コナー、そういうことなのっ!?」

 

「次じゃ次、散財の対価は払ってもらうぞ……あ、待った何とかの対価って言い方はちょっとアレだな。やっぱやめとこ普通に次いこ」

 

「ねえコナー!? コナーったら!!」

 

 

 

 

 

 

「カードの配分や切り方で競う、対人型の心理ゲームね。あんまり賭博っぽくはないけど……なるほど、楽しそう!

 ねえコナー、このカード、どう組めば……コナー? なんでそんなにキマった目をしてるの?」

 

「元召使いとして、カードゲームとなれば負けるわけにはいかんな。複製連切ユジンやら戦闘準備防力団で全てをぶっちぎったあの頃を思い出すぜ……!」

 

「今度はあなたが入れ込んじゃってない!?」

 

 …………。

 

「ねえコナー、私こういうの初めてだから、相談に乗ってほしいんだけど……」

 

「そういうのは他人に頼らず自分で考えろ殺すぞ」

 

「そこまで!? ……じゃ、じゃあ、ええと、これを捨ててドローを……」

 

「本当にこのまま手放しても大丈夫なの?」

 

「えっ? な、なんなのいきなり、あなたは……」

 

「百万年もの間、切に願ってた……お前に回ってきた手札を、そんな風に手放しちゃうの……?」

 

「ちょ、何、百万年? 何の話を……」

 

「いいえ、これからお前が望むプレイを見つけなきゃ。

 あれほど待っていたそのコンボが……ついに手札に揃ってるというのに」

 

「え、何、強い手札なの? これ強い手札なのコナー? 見なくてもわかっちゃうくらい?

 ちょっと待って、何かあるのね! わかったわ、ヒントありがとう! ……ふふっ、なんだかんだ言って優しいんだから。

 ちょっと考えてみるわね。ええと、待ってね、これが……的中で……うーん……でも、このカードはもっと持ってた方が……ええと、反撃はターン開始時点でコストを使って……」

 

「……ジャッジィィイイイイ!!! そろそろ3分秒経ちました!!! 長考ですスロープレイですペナルティお願いしまあああす!!!」

 

「へ? ……ちょっと! 騙したわねコナーっ!!」

 

「ヘッ、良いトコ育ちのお嬢様に教えてやらぁ! 都市ではなぁ! 騙される方が悪いんだよォ!!!」

 

「大人として情けなくないの!?」

 

「そういうマジで刺さる悪口はNG」

 

 …………

 

「いくぜ俺のターン、ドロー!! 俺は場の『準1級フィクサートンハァン』で攻撃ィ!!」

 

「あ、トラップ発動。『都市の星』」

 

「あーやっぱトラップか、まあこれはしゃーない、通ります」

 

「それ、破壊ね。で、場の『23区の流儀』の効果発動……ええと、コストが1の『陽』が手札から場に出るのかしら? あ、その効果で『陰』も出るのね。

 で、この2枚が場に揃った時、相手の手番が終了する、で合ってる?」

 

「……はい、通ります。ターンエンドです」

 

「じゃあ私の手番ね! 『家族の結束』を捨ててドロー。捨てる時に特殊効果で……サーチって言うのね、山札から『掃除屋』を手札に加えます!

 それで、さっきの『陰』でアタックして、『陽』の効果で『掃除屋』を場に出すわ。

 『掃除屋』が場に出た時攻撃を行う。コイントスで表が出た分だけダメージ……えいっ、えいっ、えいっ、あらまだ出る。えいっ、えいっ、えいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいっ」

 

「いや、あの……え……? は? オイ」

 

「あれ? ……コナー、これで殴ったら死んじゃう?」

 

「……………………まぁ、手札はありませんし、伏せ札もないので、ルールの仕様上防ぐことはできないですね」

 

「へー! コナーったら負けちゃうんだ! あんなに自信満々だったのにぃ! 初心者の私にぃ!?」

 

「対戦ありがとうございました、GGWP。てめぇその運なんでさっきの丁半で活かせんかったんじゃボケカスクソリプおbいや流石に失礼かお姉さんがよぉ!!!」

 

「ひゃあ、ひょっほ、頬ふままないえ! ほうひょくはんはーい!!」

 

 

 

 

 

 

 ……そんなこんなで。

 

 俺とカルメンは日が落ちるまで、っていうか日が落ちてからもしばらく、J社の巣で遊びまわっていた。

 

 おかげで、L旧研で出る給料2か月分はぶっ飛んだが……。

 

「はぁ……もう、今日一日で一年分くらい笑った気がするわ。ほっぺが痛いったら!」

 

 ……ま。

 泣き腫らしてぐっちゃぐちゃになってた顔をあどけない笑顔に歪め、周りの目も気にならなくなったらしいカルメンを見るに。

 確かに、成果はあったかな。

 

 

 

 あー、この後真面目な話すんのめんどくせ!

 ぶっちゃけ楽しかったし、今日このまま終わりで良くね?

 

 

 







 多分J社の巣ってこんなんじゃないと思うんですけど、まあこういう遊びができる場所もあったってことで一つ。
 どうしようLimbusでJ社の巣出て来てたら。矛盾がとても怖い。

(追記)
 出てきましたね。やべえよやべえよ……。



(雑記)
 Limbusはちょっとだけ触れてるんですが(現在ストーリー2章クリアでストップ中)、本日めでたく人差し指イサンがFurioso-Replicaを習得してくれました。
 なんかありえないくらい無双して雑魚もボスも消し飛ばしてるんスけど、いいんスかこれ。破壊不能コイン9枚……こいつヤバいっスね。忌憚のない意見ってヤツっス。

 あと試しに鏡ダンジョンとやら触ってたら、ボスに「ねじれたキムサッガッ先生(ネタバレ配慮透明文字)」が出て来ました。しゃあっ! ネタ・バレ!!
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