3級フィクサーパンチ   作:アリマリア

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ヘッド・ハント

 

 

 

 確かに、意識の外側からの奇襲だった。

 

 確かに、相手は俺に気付いていなかった。

 

 確かに、俺の出し得る最善の手札だった。

 

 確かに、それは直撃し、その場に脳漿をばら撒くはずだった。

 

 

 

 だが、その奇襲は、防がれた。

 

 へし折れ、千切れ飛んだ右腕一本という、あまりにちっぽけな戦果だけを残して。

 

 

 

「ほう、新たな歓待か」

「ッ!!」

 

 直感が、濃密な死の香りを感じ取る。

 俺は即座に「黒」を縮小させながら、遺物のパワーを使って強引に跳び退いて……。

 

 直後。

 俺がいた空間と床を、不可解なナニカがバラバラにひっくり返し、展開し、引き裂き、蹂躙した。

 

 赤と金の閃光……。

 「妖精」か。

 Lobotomyの頃ミョが語っていた、調律者の使う強力な特異点。

 

 アレに当たるのはまずい。

 Lobotomyの頃を基準とすれば、射程は部屋内前方無制限。

 火力は……各属性、220から300。

 

 たとえ掠っただけでも、E.G.O防具もない俺では、即死する他ないだろう。

 

 

 

「ふぅ……ッ」

 

 明確な脅威が、友だちの被害に過熱しかけた俺の脳に、冷や水をかけてくれた。

 

 落ち着け。

 

 冷静に、しかし積極的に、相手を殺す。

 今はそれだけを考えろ。それ以外の思考を捨てろ。

 

 距離を取る……のは、調律者相手には愚策中の愚策。

 俺は、心を縛る恐怖を蹴り飛ばし、自ら前へと踏み込んだ。

 

 

 

 不意打ちは失敗した。完膚なきまでに。

 俺の最も大きなアドバンテージは失われ、状況は今や殆ど五分。

 自分から攻めねばならない状況はかなりキツいし、隔絶した実力差など分かり切っているが……。

 

 しかし、俺はまだ敗北してはいない。

 手札を晒し切ったわけでもない。

 

 ならば、最期の瞬間まで諦める選択肢はない。

 

 狙うはやはり、カウンター。

 相手が攻撃の手を見せた瞬間、それを無力化しつつ、斬り刻む。

 

 ジャケットの内に取り出した「青」を左手に、右腕の「白」を起動しながら、俺は調律者へと走り……。

 

 

 

 

 

 

「ほう。

 ……気を落ち着けなさいな。

 ()ず、少しばかり、話をしようじゃないか」

 

 

 

 

 

 

 …………、は?

 

 

 

 何を、された?

 

 なんで…………距離が、開いている?

 

 踏み込んだはずだ。

 俺は確かに、調律者に向かって、前へ。

 

 それなのに、俺と調律者の間に広がる距離は、飛び出す前よりむしろ開いている。

 

 足幅にして2歩分だったはずのそれが、今や5歩分。

 決して一瞬では踏み込めない……カウンター戦術を主軸とする俺が自ら踏み込めば、致命的な隙を晒すだろう間合いが、俺たちの間に生まれていた。

 

 

 

 何が起こった?

 どうして、こんなことが……。

 

 …………特異点、か!?

 

 ああクソッ、こんなことまでできるのか!

 

 いや、当たり前だ! 

 なんで勘違いしていた? 特異点は攻撃にだけ使われるわけじゃない!

 

 むしろその技術は……人がより楽に、簡単に、ローリスクに事を為すために生まれたもの。

 戦闘中の立ち回りで使われることなんて、予測できてしかるべきだろうが!!

 

 

 

「ッ!!」

 

 足を止めながら、俺は強く強く歯噛みする。

 

 舐めていた。舐め切っていた。

 俺は調律者が、所詮はビナー抑制や最後の接待の時に見せた程度の力だと、内心で高を括っていた!

 

 カーリーが負けたとはいえ、それは極度の疲労が祟った結果。

 ローランたちが劣勢だったのも、あくまで万全ではないから。

 

 調律者の力は、人としての条理の内にあると。

 やりようによっては、十分戦いうる相手だと。

 俺のような雑魚でも、同じ人なのだから、条件さえ合えば殺せるものだと……そう思っていた。

 

 しかし、現実はどうだ?

 

 人の反応速度では決して追いつかない、脳波のパルス処理すら追いつかないはずの不意打ちを、その腕で防いでみせ。

 引き千切られた肘の断面から流れ出るはずの血は、一瞬の内に止まって。

 不可思議な特異点の力により、一瞬で彼我の距離を離して。

 四肢の欠損すら痛痒に介した様子もなく、ニタニタと笑ってこちらを観察している。

 

 これが、人であるものか。

 人の常識に、条理に囚われる者であるものか!

 

 ああ、クソ、クソが!!

 

 死んどけよ! 死んでくれよさっきので!!

 

 

 

 * * *

 

 

 

「っ、コナー!」

 

 その痛みの滲む声に一瞬意識が持っていかれそうになり、慌てて目の前の敵を睨み直す。

 

 落ち着け、落ち着け、落ち着け。

 熱を捨てろ、優先順位を考えろ、手段と目的を取り違えるな!

 

 俺がこの女を殺そうと思ったのは、友だちを助けるためだ。

 最優先は、ダニエルの救助。それ以外にない。

 

 であれば……俺が今すべきことは、一つ!

 

「ダニエル、逃げろ!」

「ごめ、ん……俺は……!」

「何に謝ってる、行け!!」

 

 強く叫べば、視界の端に映る俺の友人は、その先をなくした左肩を抑えながらもドアへ向かって歩いていく。

 

 

 

 ああ、クソ、クソッ!

 俺がもう少し早ければ、ダニエルが左腕を落とされることも……!

 

 …………いや。

 

 待て。

 左腕? 何故ダニエルがそんな、わかりやすい負傷を負った?

 

 Lobotomyの頃、ダニエルの左腕が落とされるなんて話はなかったはずだ。

 詳しく語られていたわけではないが、少なくとも明確に描写はされていなかった。

 

 そして、予定にないクリフォト抑止力低下や、収容室の隔壁の解放なんてあれば、館内には警報が鳴っているはずで……。

 しかし俺の知る限り、そんなアラートは響いていない。

 

 そこから考えられることは……。

 

 

 

 ……ダニエル。

 

 お前、逆らったのか。

 調律者の命令に。

 

 

 

 突如として現れた、調律者の女。

 その収容室を解放しろという命令に、ダニエルは屈するはずだった。

 

 お前だけは助けてやると言われ、都市の人間である彼は、自らの命惜しさに研究所を裏切り……。

 ……それを、煉獄の中層で、10,000年もの間悔い続ける。

 

 そうして、施設内の全てのアブノーマリティは脱走。

 Lobotomyのケセドへの抑圧の仕方を見るに、恐らくはクリフォト抑止力も極限まで下がったのだろう。

 

 かくして、この研究所は地獄絵図になるはずだった。

 

 

 

 だが……現実は、そうはなっていない。

 

 今もクリフォト抑止力は働き、アブノーマリティは封じ込められ。

 そしてダニエルは、調律者の手で、左腕を切断された。

 

 

 

 …………彼が、何を思ってその決断をしたのか。

 その推察をする暇はない。

 

 今は、そのあまりに気高い決意に、感謝を捧げ、尊敬を深め。

 彼が負うこととなった苦痛に対し、歯痒さを記憶に深く刻み込む。

 

 

 

 ああ、友よ。

 お前はさも、自らが俺の隣に立つに相応しくないかのように語ったが……。

 全く以て、酷い思い違いだよ、それは。

 

 俺の方こそ、君と並び立ちたい。

 全身が震えるような悪寒に、今まで感じたことのない恐怖に襲われて……。

 それでもなお、自らの為すべき事を為した君の友だちとして、相応しくなりたいんだ。

 

 だから……俺も。

 今この瞬間、俺に出来ることをしなきゃあな。

 

 

 

 研究室を去ろうとする彼を後目に、俺は「赤」のモードを切り替える。

 

 レーザーダガーから、収束レーザー砲へ。

 砲塔が開き、中に充填されたエネルギー圧縮、調律者へと射出した。

 

「死ね」

 

 研究室の床を焼きながら、赤いレーザーが調律者に迫り……。

 

 しかし。

 やはり、届かない。

 

「ふふ……善いだろう」

 

 調律者が前へと伸ばした左手の先に、白いオーラを纏った六角柱が生まれ、迎撃するかのように射出された。

 

 レーザーは柱と正面からぶつかり、その表面を焼き焦がし……。

 けれど、完全に勢いを止めること能わず、霧散。

 俺は速度の弱まった柱を半身軸をズラすことで回避し、背後から響く大穴が空いたらしき音を耳にした。

 

 やはり、攻撃は届かなかったが……。

 

 それでも、目的は達した。

 

 俺が稼いだその数秒で、ダニエルは部屋を脱したのだから。

 

 

 

 ……後は、幸運を祈る他ないか。

 

 研究所の壁が、調律者に対して意味を成すかはわからない。

 遮蔽としては期待していないが、せめて目隠しくらいにはなってほしいものだ。

 

 更に言えば、足爪の処刑者が研究所内にいる可能性も、かなり高いだろう。

 奴らに見つかれば、武力を持たないダニエルは引き裂かれるだけ。

 

 だが……アインかカルメンと合流しさえすれば、K社のアンプルで命を繋ぐことはできるはずだ。

 

「……生きてくれよ、ダニエル」

 

 今は、その可能性を信じる他ない。

 

 

 

 * * *

 

 

 

 一度、薄く息を吸い、吐く。

 

 状況は、ハッキリ言えば、かなり悪い。

 

 ダニエルの脱出支援のため、必要なことではあったが……。

 俺は今、手札を1枚晒した。

 情報アドバンテージを、また1つ喪失した。

 

 半端なスペックしか持たない俺にとって、戦闘は情報戦の意味合いが強い。

 相手の攻撃を凌ぎながら隙を窺い、想像もできないような戦法や手数を用いて、初見殺しの不意打ちで仕留めるのが基本のスタイルだ。

 

 だから……調律者相手に渾身の不意打ちが失敗し、更には不可欠なことだったとはいえ「赤」のレーザーを見せてしまったのは、かなりの痛手だ。

 ただでさえ低かった勝率が、ガリガリと減って行く様を幻視する程の。

 

 

 

 数秒の、膠着した時間が流れた。

 

 俺は目の前の敵をどう殺すかを考えながらも、相手の出方を窺い……。

 

 そして、そんな俺を見て、調律者はただ嗤っていた。

 

「嗚呼、善いな。やはり、善い表情をする。

 此の様な場所に迄、出向いた甲斐が在るというものだよ」

「…………」

「交わす言葉も無いのかい? お前にとっては都合の良いものだろうに」

 

 挑発か。哄笑か。情報収集か。

 あるいは……調律者特有の、無駄話か。

 

 

 

 一度、息に熱を乗せ、吐き出す。

 

 ……今、俺ができる最上のことは何だ?

 

 戦ったところで、俺ではそう長く時間を稼げるとも限らない。

 逃走も、おおよそ不可能だ。距離を離すことができるのなら、縮めることもできると考えるべき。

 

 それなら……。

 最終的には戦うことになるとしても、その前にもっと時間を稼ぎ、情報を集めるべきだろう。

 

 いいだろう、その酔狂に乗ってやる。

 

 

 

「……ああ、そうだな。いいだろう、話をしようじゃないか。

 それで? お前は誰だよ侵入者。俺の友だちの腕ぶっち切りやがってクソが」

 

 時間は、俺の味方であり、調律者の敵だ。

 

 この研究所にはカーリーがいる。

 赤い霧が、最強が、俺の相棒がいる。

 

 今日は外郭の都市に出ているはずだが、既に俺の異常を見て取ったアインが彼女に連絡を取り、呼び戻しているはず。

 その快速で以て帰って来るのは、今や時間の問題だ。

 

 ……いるんだろう2人の爪は心配ではあるし、間違いなく被害を生むだろう。

 だが、コイツまで自由にすれば……それよりも遥かに大きな被害を生む。

 

 それに、ダニエルの決断のおかげで、クリフォト抑止力も下がってねえし、アブノマも脱走してねえ。

 赤い霧が駆けつけた時には手遅れだった原作のようにまではならないはずだ。

 

 

 

 だから……。

 俺にできるベストは、この怪物をここに1秒でも長く縫い留めること。

 

 今は……今は、この心臓を鷲掴みにする憤怒すら踏み潰し、役割に殉じろ。

 

 きっと俺が来ることを信じ、恐怖を乗り越えてくれた、友のように。

 

 

 

「おや、()れの腕を奪われた事に憤慨しているのかい?

 けれども、お前もまた、私の腕を獲っただろう? であれば、これは等価と云うものだよ」

 

 調律者は、俺の足元に転がる自分の右腕を見て、嗤う。

 

 ……キチガイが。

 

「はっ、等価ねぇ。お前、腕ぶち折られて全然気にしてないようだが?

 死にかけで顔面蒼白だったダニエルと、一体どこが等価なんだよ」

「苦痛の価値は即ち、其れを感じる者の主観に依るか……成程、興味深い」

「ああごめん訂正、ぶっちゃけ感じる痛みとかはどうでもいいわ。

 てめえなんぞの苦痛が、俺の友だちの苦痛と、釣り合いが取れるもんかよ」

 

 トラッシュトークを絶やすな。

 少しでも精神に訴えかけ、どんな方向でもいいから揺さぶれ。

 

 今はとにかく、一つでも、欠片でも、情報を集めなければ。

 

 

 

 改めて、目の前に立つ女を観察する。

 

 黒地に金でハニカム状の紋様の刻まれたコートと外套……調律者の正装を身に纏う、比較的小柄な体躯の女。

 アシンメトリーで、金のインナーカラーを持つ、艶やかな漆黒の髪。

 整った顔貌やメリハリのある体付きは、まさしく美女という言葉の象徴のようだが……。

 切れ長で怜悧な黒の瞳には嗜虐の色が浮かび、吊り上がった口端と共に、その性根を明らかにしている。

 

 この女の名は、名乗られるまでもなく知っている。

 

 頭の調律者、ガリオン。

 

 本来の流れであれば、極限に消耗した赤い霧の右腕を引きちぎり、けれど最期まで抵抗を続けた彼女によって打ち倒され……。

 アインによって摘出された脳から、「ビナー」として作り直されることになる女だ。

 

 

 

 ……しかし、今目に付くのは、そんなプロフィールではなく。

 その、肘から先が千切り飛ばされた、右腕。

 

 本来の歴史で俺の相棒がされたことの意趣返しのようになったそれは……。

 しかし、あるいは調律者にとっては、大した出来事でもないのかもしれない。

 

 現にガリオンは、痛みに顔を歪めることもなく。

 その肘からも、既に血が滴ることすらなくなっているんだから。

 

 

 

 視線は外すことも警戒を絶つこともなく、慎重に足元に転がったものを拾う。

 

 黒と金に彩られた袖に包まれた、調律者ガリオンの右腕。

 

 ……義体じゃない。確かに、肉の腕だ。

 骨もある。筋肉もある。血管も通っているし、今もそこからぼたぼたと血が流れ出ている。

 

 それなら、奴の肘から流れ出ていた血が止まったのは、やはり特異点によるものか。

 

 ……クソが、わかんねえ。

 どの特異点をどう使ったらそうなる。

 

 そもそも、特異点なんぞ俺は殆ど知らん。

 こっちは元一般市民でしかねえんだ、情報量が足りねえんだよ。

 プロムンもボカすばっかりでまともに教えてくんねえから前世の知識もろくに役に立たねえし、クソがよ!

 

 

 

 極度の緊張の中、忙しなく頭を動かす俺に対し。

 調律者は、俺の動きに警戒する様子もなく、手近なテーブルの上の研究資料に目をやり、何気なくめくった。

 

 パラパラと流れ去る文字と数字は、その全てが研究員たちの絞った知恵と流した汗の成果。

 血に染まった手で握られるのは、どうしても腹が立つ。

 

 ……だが、いい。このままだ。

 

「お前は()れを好いて居る様だね。ダニエル……と言ったか。()れに相応しい名だ。

 絶対なる者に審判の権を奉じる、既に喪われた在り方。力なく、お前に逃避していた()れが其の名を唱えるとは、流れる川は諧謔を解したらしい。

 或いは、お前は()れを飼っていたのか? 傍に置くには趣に欠けるが、まあ良いだろう。私達は皆、その内に矛盾と不要を抱えて生きる故」

「ハ、学がないもんでね、哲学的な問答はできないよ。何言ってるかわけわかりませーん。

 それより、お前は誰だって聞いたんだけど、答えてくれない感じかな? まともに話そうってんならそれくらいは礼儀だと思うんですがね」

 

 ……いいぞ。無駄に喋れ。

 意味もわからんことをくっちゃべってろ。

 

 お前が余裕をかます内に、赤い霧が帰って来る。

 俺たちの信じる最強が、俺の信じる相棒が、その赤い刃を携えて駆けて来る。

 

 2本の足爪なんぞでカーリーは止められない。

 そんなもんは諸共打ち砕いて、すぐさま俺の窮地を聞きつけ、ここまで飛んでくるだろう。

 アブノマの鎮圧も必要ない今、大して消耗していないカーリーと俺で調律者を挟撃すれば、確実に殺すことができるはずだ。

 

 不意打ちでの確殺に失敗した以上、雑魚は雑魚らしく、身の程を弁えて最善を尽くすべきだ。

 少しでもカーリーを、研究員たちを、事務員たちを生かすため、無駄死になんてしてはいられない。

 

 興味もない相手にでも無駄に話をしてしまうのが、調律者の唯一の欠点。

 

 今はそこを突くしか……。

 

 

 

「……済まないね。待望の邂逅を前に、弁舌に力が入ってしまったようだ。

 名を問われたと()うのに、伝えない事は非礼に当たる。故に、改めて名乗るとしようか」

 

 

 

 …………今。

 

 コイツ、何を言った?

 

 待望の邂逅?

 

 なんだ? 誰かに興味を持っている? 調律者が? 何故?

 

 いや、落ち着け。

 コイツの言葉を理解しようとするな。それは今不要だ。

 ただ、話を合わせ、続けろ。相棒さえ到着すれば、それで全て終わりなんだから。

 

 だから今はただ、コイツの話を聞いて、てきとうに……。

 

 

 

「私は調律者と謳われる者。名を、ガリオンと云う。

 

 嗚呼、お前の紹介は不要だよ。私達は、お前の事を知っている故。

 

 異分子、コナー。お前と()う日を、愉しみにして居たとも」

 

 

 

 …………。

 

 コイツ。

 何を、言ってる。

 

 

 

「全ての事を為す前に、お前に一つ、誘いを投げる事としよう。

 

 何、難しい物事では無いとも。(ただ)、お前の心の儘に答えると良い」

 

 

 

 異分子?

 

 私達……頭に、俺が認識されている?

 

 何故? 俺の異常性が漏れている? どこで? いつから?

 

 

 

 

 

 

「コナーよ、私と共に来ると良い。

 

 お前の其の心を以てして、都市という庭園を人が為に愛でるのだよ」

 

 

 

 

 

 

 ……その言葉は。

 

 煮え滾っていた俺の心を、完全に凍り付かせた。

 

 

 

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