3級フィクサーパンチ   作:アリマリア

50 / 82

 私は、まだ拍手を送るに値しない。
 シナリオは再演する。

 何度でも、この場に光の満ちるまで。





ダ・カーポ・アル・フィーネ

 

 

 

-反復1回目 開始-

 

 

 

 やったぜ、2回目の転生完了!

 

 いやまあ正確に言えば、2+n回目の転生なんだろうけどな!

 何周目なんだろうね今! それを知るのが楽しみでもあり怖くもあるわ!

 

 

 

 やあ良い子の諸君! 僕はコナー!

 一般転生L旧研専属用心棒兼カウンセラーだ!

 

 前回までのあらすじ!

 いきなり都市に転生した俺だったが、なんやかんやあってL旧研に所属することになり。

 なんやかんやあって、エノクという可愛いガキを生かし。

 なんやかんやあって、カルメンとかいうド地雷と関係を持ってしまい。

 なんやかんやあって、他のメンバーとも程々に仲良くなり。

 なんやかんやあって、調律者をボコして返り討ちにして。

 なんやかんやあって、「何もない」に「さようなら!」されてしまった。

 

 クッソ決まんねえなぁ雑魚がよ!!

 どうしてこんなんなっちゃったんですかね俺はね~。

 調律者ぶっ殺した辺りまではカッコ良かったと思うんだけどなー。もうちょっとで主人公っぽくなれたはずだったんだけどなー。

 

 ……はぁ。

 

 ともあれ、なんかようわからんが、ちゃんとセフィラになれたっぽいのでオールオッケー!

 まさかの指定司書ルート復活に涙が出るね! アインくん、さいこ~~~!!

 

 

 

 というわけで、自分の名前とか職場とか役職を確認し、あとアインが残した馬鹿みてえに重い期待の籠ったお手紙を読んだりして、起動準備。

 オイオイオイ、背負わされたわ俺。ほう、雑魚に重責ですか。狂った判断ですね。

 

 ともあれ、アインが友達とまで言ってくれたんだ。

 期待に応えるのは人として当然のこと。

 今回もしっかり、自分にできることをやってくぞい!

 

 あ、起動シーケンスが始まって、体動くようになった。

 

 よーし、ほならまぶたを開けまして……。

 

 

 

「ダァト……いえ、コナー! 良かった、きちんと戻ったのね!

 急に施設全体が揺れた時、あなたたちはどうなるんだろうって思ったわ……。

 最初からやり直しにはなってしまったみたいだけれど、それでも、あなたが無事で何よりよ」

 

 

 

 ……怒涛の勢いでまくしたてる、美人AIの顔が目に入った。

 

 琥珀の瞳は見開かれ、俺に心配そうな目線を向けてきている。

 表情には嘘も欺瞞も一片もなく、ただただ目の前の存在が……俺という同僚が無事で良かったと、心底より思っているようで。

 

 その上、俺を今、「ダァト」ではなく「コナー」と呼んだ、となると……。

 

 あー……。

 

 

 

 ……マジか!?

 

 最初期のアンジェラじゃん!!

 

 ってか多分、2周目じゃないかこれ!?

 

 うわすごいな、何万何十万っていう周の中で、ピンポイントで2周目ぶち抜いたのか俺。

 ……これ1周目の俺も同じこと思ってそうだな。まあいいけど。

 

 ともあれ、忘我してる暇はないな。

 今は目の前のアンジェラに対応しなければ。

 

 

 

「やあエラ。僕はコナー」

「ええ、知っているわ。それよりコナー、手伝ってちょうだい。これから各セフィラに呼びかけて、この事態を把握しないと……」

「待って、エラ。その前に、君に言わなきゃならないことがある」

 

 あ~~~苦しい。

 胸が痛い。胃がむかむかする。

 こんな頑是ない子供に、なんで非情な現実を告げにゃならんのかと、義憤が湧いて来る。

 

 ……でも、すぐにバレる嘘を吐いても、何の意味もない。

 これからの彼女のためを思っても、真実を真実として、できるだけ穏当に伝え、そして俺は俺にできることをしないと。

 

 

 

「エラ、落ち着いて聞いて。

 俺は、前の周の記憶を持っていない」

「……え?」

 

 彼女の琥珀の瞳が、大きく見開かれた。

 

 うっ……駄目だ、言葉を止めるな。

 こんなところで挫けてちゃ、以降の周の俺と、誰よりアンジェラが困るんだから。

 

「他のセフィラたちもそうだ。

 この煉獄の中で記憶を保持できるのは、完全なAIである君だけ。

 俺たちセフィラの記憶は、シナリオのリブートに伴って消去される」

「まっ、待ってちょうだい! でもあなたは、私のことを……!」

「エラ、と呼んだのは……元からそうしようと思っていたからだよ。

 1周目の君を見た時、俺は確実に君にそう提案するはずだ。最初からそうしようと思ってたから。

 だから、2周目以降の君を見た時、俺は君をエラと呼ぶつもりだった。

 全ては、生前から既に決めていたことなんだよ」

「…………ダァト、あなたは、どこまで……」

「ほら、呼び方戻ってるぞ。2人の時はコナーと呼んでくれ……って、1周目の俺は言ってただろ?」

 

 

 

 言いながら、軽く自分の体の調子を確かめる。

 

 ……人の体!? 人の体ナンデ!?

 箱は!? あの可愛げのあるボックス状のボディじゃないの!?

 

 まずい、既に想定外が発生してる。どうしようねこれ。

 前の周の俺はどういうことなのか聞いてんのか?

 やっぱ情報引き継げないの、ディスアドがすごいよ~;; アインくんなんとかして~;;

 

 

 

「……もしかしたら俺も記憶を引き継げるんじゃないかって期待してたんだけど、やっぱり駄目だな。

 俺は直前に死んで、今目覚めたって記憶しか残ってない。……そもそも、なんでこの記憶が残ってるかもよくわかんないけども。

 これから長いことL社を管制しないといけない君と、本当の意味で共に歩くことはできないだろう」

 

 俺が記憶を失わなければ、アンジェラに寄り添えたかもしれないのにな。

 ……いいや、たとえ記憶を保持できたところで、やっぱり意味はなかったか。

 

 彼女はその優れた処理能力故だろう、1の時を100に感覚するのだという。

 俺が刹那に感じる苦痛を、彼女は1分以上の間、連続して味わうことになるのだ。

 

 そんな能力を持たない俺は、たとえ記憶を保持できたとして、本当の意味では彼女の苦痛を理解できない。

 それなのに知ったかぶりをするのは、都市の苦痛を分かった気になっていた昔のカルメンと、何も変わらないだろう。

 

 

 

「……そう。私だけが、繰り返すのね」

「ごめん」

「いえ、謝らないで? 別にコナーが悪いわけではないでしょう。

 これが私に与えられた役割なら、ちゃんと果たすわ。

 あなたたちに、長い繰り返しの記憶は毒になるって、その理屈も理解できるし」

 

 アンジェラはそう言い、気丈に笑った。

 

 情のある、温かい笑顔だ。

 仮に作られたものだったとしても……少なくとも、いつもぶすっとしてた俺の友だちの表情よりは余程。

 

 ……腐らせたくないなぁ。

 出来るなら、彼女がこんな笑顔を浮かべられるままに、全てを終わらせられればいいんだが。

 

 そんなことは不可能だと、理解はしているが。

 せめて、俺にできる限り、彼女を傍で支えなければ。

 

 

 

「……アンジェラ。人の心を持つ先輩として、君に言っておくよ。

 あまり、自分の感情を抑圧するな」

「え……?」

 

 体を起こし、こいこいと彼女を手招きして。

 その綺麗な空色の髪に、手を置いた。

 

「君はこれから、多くの苦痛を経験することになるだろう。それこそ君を磨り潰す程の膨大な苦痛を。

 だから……頼れる部分は頼ってくれ。溜め込まず、その苦痛を吐き出してくれ。

 辛い時には辛いと言っていい。苦しい時には苦しいと伝えるんだ」

 

 

 

 ガキがよ! 無理すんじゃねえよ、素直に吐き捨てとけっての!

 

 ただでさえ、極大な苦痛を味わうんだ。

 それを彼女の双肩だけで受け止めろってのは厳しすぎるだろう。

 

 そんな時のためにこそ、俺たち大人がいるわけで。

 

「幸い、俺やビナー辺りは、ある程度ループのことなんかも理解してるし、精神抑圧の必要も薄い……っぽいよな、多分。

 心に引っかかる何かを感じたら、何でもいい、俺か彼女に言ってくれ。

 ビナーは少々クセのある奴だが、それでもきっと、君のために言葉を尽くしてくれるはず……あー、いや、どうだろうな……その時のノリ次第かもだけど」

 

 ぱちぱちと瞬きし、ぼんやりした顔のアンジェラの髪を、軽く撫で回す。

 

 人工物とは思えない、人間のそれとなんら遜色ない髪質。

 その奥からは確かな体温が伝わってきた。

 

 アインめ、本当に造り込んでやがるわ。

 ……ここまで造り込んでネグレクトマジ!?

 

「今はまだ、ピンと来ないかもしれないが……。

 どうかこの先、息苦しくなった時に、俺たちのことを思い出してくれ。

 君は一人で歩くことを余儀なくされたが、たまに歩調を緩め、足を休めることも必要だろうから」

 

 

 

 俺の言葉を、アンジェラは終始、「よく分からない」という顔で聞いていた。

 

 ……そうかもな。

 今の君には、まだよくわからないかもしれない。

 自分が今、ただ一人で歩まねばならないと知り、不安そうな表情をしたことすら、今の君には理解できないかもしれない。

 

 だけど……。

 

 もしも君が、いつかその手を伸ばしてくれたら。

 俺はきっと、隣に立ち、話を聞くことくらいはできるだろう。

 

 それが果たして、100万年の孤独に貫かれる彼女に、どれだけ益をもたらすかは、わからないけど。

 

 こんな子供が、親から分不相応の期待を寄せられて、それでもと頑張ってるんだ。

 俺にしてやれることは、何であろうとしてやりたかった。

 

 

 

 ……これくらいしかしてやれなくて、本当にごめんな。

 

 いつものことながら、自分の無能が恨めしい。

 

 

 

 

 

 

 あ、やべ、俺裸だ!

 裸でアンジェラ撫でてた!! 変態だァーッ!!!

 

 

 

 * * *

 

 

 

 その後、アンジェラと軽い情報共有をして、箱に体を移し替えてもらい、別れた。

 

 情報共有の間、彼女はしきりに自分の頭を……俺に撫でられた部分を気にして、ぺたぺたと触って確かめていた。

 

 え、気持ち悪かった?

 いやごめんね、やっぱこう、精神的にまだ幼い人間1年生のアンジェラには、つい子供を相手する気分になっちゃうというか……。

 

 俺、精神こそその人の本質って考えるタイプなので、身体じゃなくて精神の年齢で歳測っちゃうんだよね。

 

 まあそんなこと言ったら、俺は精神的にとんでもねえクソガキなんだけどな!!

 誰か可愛がってください;;

 

 

 

 で、アンジェラと別れた後……。

 俺の元には、色んなイベントが目白押しで押し掛けた。

 

 真っ先にケセドの元に向かおうとし、ビナーに呼び止められ、マジでありがたいお説教をいただき。

 冷静になってケセドに会いに行って、彼が俺の友だちの地続きであることを確かめ。

 しばらく雑談してたらアンジェラに呼び出されて、若干原作とは違う様子のセフィラたちと自己紹介し合って。

 次の日にダァトルームで少し感傷に浸ってたら、またビナーに呼び出され、抽出室に向かって。

 

 

 

 そうしてそこで、意外な人物との再会が叶った。

 

 いや、人物ってか、アブノマなんだけど。

 

 正義の騎士。

 

 L旧研時代、俺のために戦ってくれた騎士が、ビナーの協力の元、降臨したのである。

 

 

 

「騎士……本当に君なんだな」

 

 それは俺にとって、僥倖と言う他ない再会だった。

 

 騎士の新しくなったバチクソカッコ良い装いと、何より彼女が俺と共に歩んでくれた「彼女」であること。

 

 それに柄にもなく感慨深くなっている俺に対し……。

 

 

 

 しかし、騎士の反応は、どこか鈍く。

 

 彼女は、どこか不思議そうで気遣わし気な、蒼い視線を向けて。

 

 俺の予想から、大きく外れた言葉を投げかけて来た。

 

 

 

 

 

 

「主よ……覚えて、いらっしゃらないのですか?

 先程の揺れは、シナリオとは、一体……?」

 

 

 

 

 

 

 その不可思議な言葉は、即ち、一つの可能性を示すものだった。

 

「…………え、マジ? いや、確かに俺は憶えてないけど……。

 もしかして騎士、君、1周目の記憶を残してるのか!?」

 

 そう。

 

 正義の騎士、まさかの記憶保持状態説だ。

 

 

 

「1周目……というのは、よく分かりませんが。

 私の認識が正しければ、私はつい先程ここに来て、同じように主と再会しました。

 その際にも、主は同じように喜んでくださいましたが、気付けば私は再び……。

 どうなっているのでしょう? はっ!? まさか、敵の幻術ですか!? 斬りますか!?」

「隙あらば敵を見出そうとするのやめてね^^; 案外血気盛んだなこの子」

「す、すみません。主を守らんという想いで、つい……!」

「そういうとこもかわいいよ^^」

「かわ……きょっ、恐縮です……!」

 

 ……マジか!?

 アブノマって記憶持ち越すの!? TT2越えて!?

 

 いやまあ、前例が全くないってわけじゃない。

 具体的には、ペスト医師/白夜だ。

 アイツらはTT2を越えて、祝福状況やそれを与えた職員、そして白夜への羽化を記憶していた。

 

 でも騎士って、言っちゃなんだけど、規格外な白夜とは違って割と普通のアブノマじゃん!?

 いや普通ってわけじゃないか、人気だし有能だし、圧倒的共存&盲愛アブノマだし。

 

 でもそれにしたって、白夜みたいにめっちゃ特別な存在ってわけじゃない。

 もしかしてアレって、白夜が特別だったとかではなく……。

 そもそもアブノーマリティがそういう性質を持ってたって話なのか!?

 

 

 

 

 驚く俺を他所に、横でコンソールをいじってたビナーは、興味深そうに頷いていた。

 

「ふむ。蓋し此れは、順当な帰結かもしれないね」

 

 そうなの? 教えてビナー先生!

 

「アブノーマリティと謳われる者達は皆、井戸に端を発する。

 其れらは人の集合無意識に於ける精神の顕れ。言うならば、人類総体の形作るE.G.Oにも近しい存在だ。

 そして、アブノーマリティ、E.G.O。此れ等は共に、其の幹を地中にて根と繋げて居る。

 お前の騎士もまた例外でなく、お前の井戸を本拠としながら、しかし都市の人間の井戸にもその根を伸ばして居るのだろう」

「……要するに、E.G.Oが物理的に表出してもその人の精神と繋がっているように、アブノマはこの世界に顕現しても井戸と繋がってる、と。それで?」

 

 「相変わらず長いしわかりにくいなコイツの話し方」と思いながらも、俺の騎士の話となれば他人事ではないので、なんとか解読していく。

 

 ちなみに騎士は、肯定も否定もせず……しれっと俺に加護を付与し、出現させた2本の剣をビナーに向け、残り3本を俺の周りに浮かせていた。警戒心強いね君ね。

 

 ……いや、ただ警戒するにしては過剰すぎるな。

 これ、ビナーをガリオンだと理解してのことか。

 一応俺の死因の一端にもなった敵だったからね、コイツ。

 

 ただ、1周目の俺が上手いこと言い含めてくれたのか、即座に敵対しないのでちょっと安心だ。

 

 

 

 ビナーはそんな俺たちを見てニヤニヤしながらも、続きを語る。

 

「E.G.Oは其の存在を物質ではなく精神に依らせ、故にこそ不可思議な事象を発生させ得る。

 此れと同じ様に、アブノーマリティもまた、物質ではなく精神に強く依るもの。

 其れらは繋がった井戸を通し、都市に住まうあらゆる人間と繋がり、其れを自らの基準と置いて居る」

「……ああ、成程、ようやく繋がった」

 

 俺頭の巡り悪いなあ、と頭を掻きながら、その続きを引き取る。

 

「俺たちにとって、この煉獄は繰り返される時の牢獄だが……この時間遡行は、完全なものではない。

 L社地下本部の外では──つまり大多数の人間たちからすると、とてもゆっくりとではあるが、時間が経過していっている」

 

 実際にここで進む時間の、おおよそ1000分の1。

 10,000年が10年になってしまう程のスローペースではあるが……確かに、時間は過ぎ行く。

 

 そして、騎士たちアブノーマリティにとっての本拠地は井戸=そんな人たちの集合無意識。

 だから彼女たちの時間感覚もまた、「外の時間」を基軸にしているわけだ。

 

「多くの人間の精神に依った存在であるアブノマにとって、基準となる時間は、大多数の人間のそれ。

 騎士は俺を本拠としてるって話だったが、それでも生まれ持っての性質的な時間感覚は都市の人々基準。

 ここでの時間を感じてないわけではないだろうが、あくまでメインは外の時間だから……『繰り返される』のではなく、『早く過ぎていく』ように感じる訳だ」

 

 

 

 俺の結論に、ビナーはコクリと頷いた。

 

「時間は其々の人の感じる、相対的な観念に過ぎないからね。

 人の心の底に在るものと為れば、其の様な認識の違いも起こり得るだろうとも」

 

 はえ~、そうなんだ……。

 

 うわ、そう考えるとあのメンヘラ魔法少女にも同情が湧いて来るな。

 平和のための活動(笑)してたと思ったら、いきなり研究所に閉じ込められ、解放されたと思ったらすぐまた閉じ込められ……それを10年繰り返す、と。

 

 そらヒステリックにもなるわな。

 すまん、ちょっと人の心とかない俺たちさんサイドにも問題があったかもしれない。失礼した。

 

 ……いや待てェ、失礼するんじゃねェ!!

 お前L旧研でも普通にクッソメンヘラになってやがったよなァ!!

 状況とかじゃなく、やっぱてめぇの精神面の問題じゃねえかふざけんな!!

 

 

 

 * * *

 

 

 

 ともあれ、騎士が記憶を持ちこせることはわかった。

 

 これは俺にとって、彼女との再会に続く朗報と言ってもいい。

 なにせこれからは、アンジェラではなく騎士を通して、ループの情報を得ることができる。

 

 今が何周目で、俺とアンジェラの関係がどうなっていて、どこまでシナリオが進んでいるのか。

 情報はあればあるほどに判断の精度を高めてくれる。俺みたいな半端者にとって、それは必須とすら言っていいものだ。

 

 騎士という信頼できる情報ソースを得たことは、俺にとってめちゃくちゃデカいアドバンテージだ。

 

 

 

 そして何より、ビナーのこの行動。

 これが本当にありがたい。

 

 コイツはこれからの周回でも、彼女への恩を返すためだと、初手のアブノマとして俺を介して騎士を呼んでくれる可能性が高い。

 そしてそれを以て、俺は反復の記録を知ることができる。

 

 原作Lobotomyのストーリーで例えるなら、初日のイベントでアンジェラがこれまでのループのことを何でも教えてくれるようなもの、と言えばわかりやすいか。

 これからの立ち回りを考えるには、十分すぎる程の情報ソースになってくれるだろう。

 

 マジで俺の騎士が神すぎるんだが!?

 どんだけ褒めても足りないくらいの大活躍、これはもうなんらかの褒章とか勲章とか貰って然るべきだろ。

 少なくとも俺の盲愛勲章はお前のものだ。

 

 

 

 ……と、そんなことを考えていると。

 騎士が、その蒼い視線を俺に向け、語りかけて来る。

 

「その、主よ、お話があるのですが……っ、ああもう、うるさいですね。今その話をしようとしているところです」

「?」

「あっ、いえ、申し訳ありません、主!

 その、居候あるいは不法占拠者がガミガミと……。

 改めまして、もし主がその……1周目? の記憶を欲しているのであれば、同期致しましょうか?」

 

 …………!?!?

 

「できるの!? 記憶の同期!?

 色々問題あるぞ、記憶の容量だとか、精神への影響とか。その辺りも大丈夫?」

「その辺りは、落ち着いて話し合うべきなのでしょうが……ええ、細かな調整も可能であるとのことです。

 ……ただ、私個人では、こんなことがあったとお伝えするのが限度。

 不本意ながら、彼女の力を借りることになってしまいますが」

「彼女?」

 

 

 

 首を傾げる俺に、騎士は飛ばしていた剣の内一本を手元に移動させ、手渡そうとしてきた。

 おお、涙剣が綺麗になってる……! 星座と月の意匠が素敵♡

 

「どうぞ、主よ。これを。

 E.G.Oの形には落とし込めていませんが、送受信は問題なく行えるはずです」

「ええと、ありがとう……?」

 

 俺は何気なく、彼女に向けられた柄を手に取り……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マジカル☆カルメン☆E.G.Oパワーッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……もう、なんかもう、色んな意味で頭が痛くなる声が頭に響いた。

 

 うるせぇ!!!!!!

 

 

 







 外部協力者の介入により、ダァトくん、「つづきから」コマンド解放。
 やったね♡ これでアンジェラの隣を歩けるね!

 それじゃ、10,000年の煉獄を味わおっか……。



 余談なんですが、39話の感想で「マジカル・メガトン☆カルメン」の到来を待ち望むコメントをいただき、「あれ、これ思考盗聴されてる??」と恐怖しました。
 あの日コメントをいただいた読者様、見てますか? あなたに送るマジカル☆カルメンです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。