3級フィクサーパンチ   作:アリマリア

53 / 81
お前、ジョシュアだよ…

 

 

 

-反復290回目-

 

 

 

 管理人Xが到着するまで、アンジェラと俺たちセフィラは、L社地下本部の管理を任される。

 

 これは各セフィラの精神抑圧を進めつつ、彼ら彼女らに管理作業に慣れてもらうための施策らしい。

 原作Lobotomyで、イェソドが「管理人到着より前に職員を喪った」みたいな描写があったりするんだが、多分あれはこの期間のことだったんだろうな。

 

 アンジェラから教えてもらうに、この期間は50日。

 Xが到着してから全てが終わるまでが50日なので、これと全く同じ期間、俺たちは管理人なしでL社地下本部を回さなければならない。

 

 で、だ。

 正直に言うと、これが結構キツい。

 

 未だ管理に不慣れというのもあるけど、そもそもの管理難易度が高いんだ。

 

 

 

 管理人Xは、あるいはB社の特異点でも使っていたのか、広大なL社地下本部全体を俯瞰して見ることができ。

 なおかつ、T社の特異点を使って時間を止め、ゆっくりと時間をかけて判断を下すこともできた。

 

 ……が。

 俺たちセフィラやアンジェラには、当然ながら、そんなものは与えられていない。

 

 本来はXが一目でわかる情報を、聴取や報告等の様々な方法で探り。

 決して止まらず定速で過ぎ行く時間の中、その場その場でベターと思える判断を下し、混沌とする状況を統制しなくてはならない。

 

 言うならば、カメラ最大ズーム+ホクマー抑制+セフィラの報告縛りでプレイしてるようなもんだ。

 それを50日もの間続けなきゃいけないわけで……ハッキリ言って、Lobotomy本編の比ではないくらいのクソカスな難易度をしている。

 

 他にも色々と、ちょっとこれどうなのよと思う、とんでもねえ要素が色々あるんだが……これは一旦さておいて。

 

 とにかく、管理人到着前のこの時間、めちゃくちゃハードなのだ。

 それこそ、最低難易度であるはずの黎明の試練にすら苦戦することもあるくらいに。

 

 特に、赤の黎明。あのカスピエロだ。

 

 戦闘力自体はないに等しいが、小さくて発見し辛く、放っておくとクリフォトカウンターを下げてくるアレは、一度見逃すと大惨事を引き起こす。

 

 

 

 具体的に言えば、今みたいになァ!!

 

 

 

「エラ、奴らはどこに行ってる!?」

『上部に向かっているわ! 懲戒チーム上部か福祉チーム上部、あるいは中央本部チームの上側か上層……通り過ぎていく、上層よ!』

 

 唐突に地獄、勃発!

 

 何が起きたかと言えば、まあ前置きからもわかるとは思うが、クソピエロがやらかしてくれおったわ!

 

 クリフォト抑止力が不安定になると発生する、実体化した不安定な揺らぎ──試練。

 それらは基本的に、発生したチームのセフィラがそれぞれ対処し、もし戦力が不足すれば懲戒チームか俺のチームが助っ人に入る形なんだが……。

 

 今回は、マルクトの指揮チーム……っていうかマルクトが、ピエロを1匹見逃してしまい、とんでもねえ大惨事が勃発したのだ。

 まったく、この可愛らしいポンコツちゃんめ♡

 

 ちなみにこれまでの反復でマルクトが試練を見逃した回数は、多分800回くらい。

 

『正しくは809回目ね!』

 

 終わってらぁ!

 まあでも、これくらいのドジはチャームポイントだな!

 

 

 

 さて、そうして指揮チームに放置プレイを喰らったクソピエロくん。

 彼はエネルギーを奪った後軽快にワープをキメて、福祉チームに移動した。

 

 そうしてそこに収容されている、幾度かの他アブノマの脱走で、クリフォトカウンターが1になってしまっていたWAW級アブノマ……。

 姐さんこと、赤ずきんの傭兵を、解き放ってしまった。

 

 頼れる傭兵ならぬ、殺戮者のエントリーだ!

 

 ちなみに第一犠牲者は、まさにそのクソピエロ。

 ワープ前に弾丸にぶち抜かれて、無事試練は鎮圧されたらしい。自滅乙www

 

 

 

 で、ここまでであれば、まあ地獄とまでは言えない。

 俺が出向いて赤ずきんさんをぶっ鎮圧すれば、それで終わる話だったんだが……。

 

 その日は、更にアンラッキーが続いた。

 

 その時福祉チームセフィラのケセドは、ティファレトと福祉案について話すために中央本部チームを訪れていて、不在。

 結果として、発見と情報伝達が遅れに遅れ、その隙に赤ずきんさんはあの爆速で施設を駆け抜けたのだ。

 ゴウランガ!

 

 

 

 そして、果たしてそれは偶然か必然か。

 彼女は己のアカズキンソウルに従い、本能的にその方向へと足を伸ばした。

 

 そう、懲戒チームの、大きくて悪くなる狼の収容室である。

 

 その後の展開は語るまでもあるまい。

 

 ドーモ。クソオオカミ=サン。オオカミスレイヤーです。

 アイエエエエ!? ストーカー!? ストーカーナンデ!?

 

 オオカミ=サンはインガオホーの末路として凶刃と弾丸に襲われ、慌ててその場から……つまりは収容室から逃げ出し。

 アカズキン=サンはそれを追い、施設の中を走り回り出した。

 

 こうしてL社地下本部は、爪と刃と弾丸の乱れ飛ぶ地獄と化したのだった。

 これもまた光の種シナリオに記されし、マッポーの一側面だとでもいうのだろうか?

 

 

 

 そして、施設も地獄なら俺の脳内も地獄になっていた。

 

『中央本部チームに通達! 「F-01-57」と「F-02-58」が上層に向かってるわ! 近くにいる職員は今すぐ退避しなさい!!』

『それぞれ福祉チームと懲戒チーム、近い方向の廊下へと走ってください。落ち着いて、きっと大丈夫』

『情報チーム、これより一時避難を開始します。各職員は冷静に、安全チームと合流しなさい。

 また、各自アブノーマリティの異常性を観測した場合は私に報告を』

『しっ、指揮チーム集合! これより対アブノーマリティ鎮圧を行います!』

『大丈夫、あのアブノーマリティたちは、処理チームが必ず処理してくれる。信じて任せよう。

 俺たちは、これから安全チームと協働でアフターフォローの準備をするよ。安全第一に、でも迅速に事を為すようにね』

 

 俺たちセフィラの間には、通信回線が通っているわけだが……。

 先程からその通信が、それはもうけたたましく鳴り響き続けている。

 各員、通信をオフにする暇もなく、それぞれのチームに指示を飛ばしているんだろう。

 

 でもいくらなんでもうるさすぎィ!

 俺の思考処理速度じゃ、それぞれの連絡が何て言ってるか聞き分けられないレベルなんですけど!

 

『…………』

『…………』

 

 見ろ! 騎士は勿論、あのカルメンでさえも俺に気を遣って黙ってるからな!

 ……コイツ人に気を遣うとかできたんだ!?

 

『もうっ、失礼ね! 騒ぐわよ! コナーの良いところ1,000個言うわよ!!』

 

 やめてください死んでしまいます><

 

 

 

 とはいえ勿論、自分のチームを統括しないといけないのは、セフィラである俺だって例外じゃない。

 俺もこの喧噪を織りなす者の一人なわけだが。

 

 そんなわけで、後ろに立つ1人の職員に声をかける。

 

「ジョシュア、わかってるな!」

「はいっ、ダァトさん! まずは隠れて、片方鎮圧されたら疲れたもう片方を刺して漁夫、ですね!」

「おう、その通り! お前は戦士だが非力な雑魚だ、調子に乗らず卑怯に刺せ!」

 

 E.G.O「ブラック・スワン」を身に纏う彼は、こくりと頷いて見せた。

 

 

 

 ジョシュア。

 俺の担当チーム、「処理チーム」に所属する、この周の唯一の職員だ。

 

 濃い目の茶の髪と一般的な髪型を持つ男性で、なんというかLobotomyの職員と言われるとまず思い浮かべそうな感じの見た目。

 黒鳥の夢のE.G.O「ブラックスワン」を纏い、その腕には「D」と刻印された、灰色の腕章を巻いている。

 

 20代の男性ではあるが、その性格は真面目な後輩気質。

 何かと俺のことを慕ってくれる可愛い奴だ。

 6周前の勤務態度がカスだったアナスタシアに爪の垢を煎じて飲ませたいね。

 

『コナーに正面から喧嘩を売ってボッコボコにされたあの子ね!』

『あの者は主を侮りすぎていました。妥当な処置かと思われます』

 

 まあ実際、最終的には一人前の戦士にしつけ直してやったけども。

 クソ師匠こと紫の涙の教えは今も俺の糧になってくれている。

 

 

 

 俺も他の皆と変わらない、セフィラの1人。

 当然ながら、職員を率いて統制する必要がある。

 

 とはいえ、シナリオとリソース分配の都合上、人員リソースは他部署に優先して回されるため、16日目の今も職員は1人しか配備されていないわけだが……。

 

 ま、その分、集中的に鍛えてやれるというもので。

 毎度の周回で、俺は割り振られる1人の職員をしごきまくっている。

 

 その結果、ウチに来た時はランク1のぺーぺー職員だったジョシュアも、今は恐らくステータスカンスト。

 ボックスボディになって身体能力が上がった俺と、素手で打ち合っても20秒くらいは持つくらいには仕上がってる。元事務職とは思えないくらいだわ。

 

 その上、事務作業もそこそこできるし、他職員との仲も基本的に円満。

 今ではWAW級E.G.Oも与えられ、ジェネリックコナーな性能になりつつあるのだった。

 

 

 

 そんなわけで、最近は鎮圧の時、ジョシュアも連れ出すことが多い。

 

 戦場の経験は、戦士にとって大切なものだ。

 俺も昔は「死が隣にある状況に慣れておきな」とか宣うクソったれ☆パープルに誘拐されて、外郭に放り出されたりしたもんだ。

 それに比べりゃ、ジョシュアの扱いはだいぶ生温いかもしれないが……俺は老害じゃないので、俺がした苦労を若い子に押し付ける気はないのです。

 

 あと、本当はコイツに加えて、懲戒チームのセフィラであり、俺のかつての相棒から続く存在であるゲブラ―にも頼りたいところだが……。

 

 アイツはまだまだ不安定で、カーリーの人格を落とし込み切れてない。

 慣らし程度の戦闘ならともかく、本気で力を振るうとなると最悪E.G.Oに浸食される可能性もあるので、余り頼り過ぎたくはない現状だ。

 

 ちなみに、ここまでの290周で、ゲブラー覚醒の日まで辿り着けたことはない。泣けるぜ。

 まったく、俺の相棒は遅れてやってくるヒーローかな? 覚醒の日が楽しみだ。

 

 その日を迎えるためにも、まずはこの事態を収めないとなァ!

 

『ダァト、割り出したわ! 情報チーム!』

「よしきた、善なる道よ、貫け! 付いて来いよ、ジョシュア!」

「うわぁ、相変わらずすごいですね、ダァトさんの力!」

「俺じゃなくて騎士の力な! 無駄口叩いてる暇あったら行くぞ!!」

 

 

 

 騎士の開いてくれた青い魔法陣に飛び込み、俺たちは一気に上層、情報チームのメインフロアに飛ぶ。

 

 そこでは既に、赤ずきんさんと狼が熾烈な殺し合いを繰り広げていた。

 高抑止力下とはいえ、WAW級アブノマ2体の戦闘だ。被害が出ないわけもなく、そこらじゅうに人だったものの残骸が散らばっている。

 クソがよ、またアンジェラが悲しむじゃねえか! どう責任取るんじゃワレ!

 

「さぁて鎮圧タイムだッ!」

 

 前以ての確認通り、ジョシュアはすぐさま近くの遮蔽裏へと隠れ、機を窺い始め。

 一方俺はE.G.O「貫く夜空の剣」を携え、その嵐の中へと飛び込んだ。

 

 

 

 * * *

 

 

 

 俺が騎士にもらった、彼女たちとの意思の交感にも使う、「貫く夜空の剣」。

 調べたところ、これはALEPH級に分類されるE.G.Oらしい。

 ……ZAYINから抽出されるのに??? やっぱり黒の兵隊枠じゃないか!!

 

 絶望の騎士の涙剣との最大の違いは、ダメージタイプ。

 夜空剣のダメージは、白色(WHITE)ではなく青色(PALE)なのだ。

 更に、やろうとすると名誉の羽みたいに飛ばして撃ち出すこともできるし、近接の高速刺突は多分ジャスティティアより火力が出る。

 ぶっちゃけかなり強い。流石は俺の騎士のE.G.Oだぁ……!

 

 それに加え、6周目辺りからは、騎士から同E.G.O防具をもらうことができた。

 こっちも流石ALEPHクラスと言うべきか、圧倒的な耐性値を持っており、特にPALE耐性は0.3と、白夜収容中の失楽園に迫る程だ。

 その上、騎士による加護のデメリットが帳消しになるっぽくて、加護ありでも耐性0.3のままである。

 

 いや~、覚醒した騎士、ぶっ壊れすぎひん?

 ZAYINクラス()なのにこんな最強級防具生んで良いの? これは人類の味方枠ですわ。

 

 

 

 コナーだった頃の俺は、E.G.Oどころか、まともな防具もなしに戦っていた。

 スタイル的にも身軽さ第一だったしね。

 

 しかし、E.G.O防具ってのは不思議なもので、箱の上から羽織っても人の体で着ても馴染む上、まともな重さを感じない。

 俺の行動を妨げることもなく、むしろ万全の守りを見せてくれるのだ。

 

 いや~時代はE.G.Oだわ!

 工房製の防具とか使ってる人たち、息してる?w

 

『主のために特注で編んだものですので、精神の形に噛み合っているのでしょう。ご満足いただけて何よりです』

『私も手伝ったのよ! 騎士ちゃん、剣はともかく、服を編むのはちょっと下手だったから』

『っ、それは言わない約束だったはずです、カルメン!』

 

 わやわやと言い合う2人の声に、微かに苦笑する。

 

 俺、この2人に助けられてばっかりだな。

 どうしよう、既に返せる恩の総量を越えてる気がするぜ。

 

 

 

 ともあれ、コナーだった頃の俺に不足していた防御力は、十分すぎる程に確保された。

 今なら前世の死因の「さようなら!」も余裕で受けきって、ポチに教育的3級フィクサーパンチできるだろう。

 

 勿論、武器に関してもつよつよだ。

 アインがちゃんと保管してくれてたらしい4色武装は、どうしてもかさばるので私室に置きっぱだが……。

 高抑止力下のアブノマを鎮圧するだけなら、この夜空剣一本で事足りてしまう。

 

 赤い霧無き今、この場で一番強いのは、攻防共にALEPH装備の整った俺ことダァト。

 だからこそ、前線に立って殴り合う役割もこっちに任されているわけだ。

 

 

 

 * * *

 

 

 

 というわけで、三つ巴の戦い、開幕!

 

「死ねッ、クソ狼!!」

「ギュァオオオオッッ!!」

「あのーすみません落ち着いてくれませんかねー? 落ち着いてくれないならもう死ね!!」

 

 狼憎しの感情が爆発して完全に理性を失い、ひたすら刃を突き刺そうとする、赤ずきんの傭兵。

 悪の狼の側面を丸出しにし、その爪を振り回し部屋を駆け回る、大きくて悪くなる狼。

 

 そんな2人の殴り合いに巻き込まれないよう、後ろから赤ずきんさんをチクチク刺す俺。

 

 ふーっはっはっは馬鹿共め!

 前線に立って殴り合うとは言ったが、真正面から正々堂々とは言っておらんわ!

 雑魚を自負する俺がそんな慢心を見せるわけがなかろうが!!

 

 

 

 いやまあ、夜空剣防具+騎士による加護もあって、俺のRED耐性は0.25。

 夜空剣武器のトンデモ火力もあって、この2人に挟まれても、普通に押し切れるだろうが……。

 

 この前ちょっと琥珀の夕暮れに脚を喰い千切られた時、アンジェラが泣きそうになっちゃったんだよね。

 いやぁマジで失敗した。まだ幼い彼女にあの光景はショッキングだろう。

 というわけで、最近は可能な限り負傷は抑えるよう、気を付けているのであった。

 

『あの、主よ。一般的に言って、体の一部が欠損する光景は、親しい者からすればショッキングなものかと思われます』

『コナーって昔から痛みに強いっていうか、すごい負傷をしてもへらへら笑ってるのよね。外から見ると結構驚くし不気味よ、それ』

 

 いや、流石の俺でも、致命傷とか負ったらへろへろな顔になるよ?

 ていうか、なった。「さようなら!」喰らった時は、流石に表情とか言葉を繕う余裕もなかったし。

 

 でも、命には届かない程度の傷なら、周りに心配とかさせない方がいいじゃん?

 そんなわけで、多少の負傷くらいなら我慢して、努めて笑顔を浮かべるようにしてるわけだ。

 こういうポーカーフェイスも師匠に叩き込まれたスキルである。

 

『あれ、やせ我慢だったんだ……えぇ……』

『騎士として、言わんとすることはわかりますが……できれば主には、そのようなご無理はなさって欲しくはありませんね』

 

 俺だってそんな無理しとうないわーい!

 誰かを助けるためだったんだからしゃーないやろ!!

 俺だって守護者としての意地くらいあるんですぅ〜!!

 

 

 

 脳内で愉快な漫才を繰り広げつつも、俺は赤ずきんさんの背中をチクチクと刺し続ける。

 苛立たし気に襲い来る弾丸も、ぴょいぴょいと飛び回ることで回避だ。

 

 ゲブラーは生身の体から箱の体になることで弱体化したわけだが……俺はそうでもない。

 体に搭載してたビックリドッキリなギミックはなくなってしまったが、単純な戦闘力はむしろ上がったと言っていいだろう。

 

 そもそもこの箱の体、アインが用意してくれただけあって、めちゃくちゃ高性能なんだよね。

 原作でもゲブラーがアブノマを鎮圧して回ってたように、俺たちの戦闘にすら耐えうるくらいのハイパースペックボディだ。

 

 しかも俺はゲブラーと違い、元が半端な3級フィクサー相当。

 かつてのコナーの体より、むしろ今の箱の体の方が動きやすいと感じるまである。

 

 ちなみに人の体の方は、コナーの体を完全再現してるので、スペック変わらずっぽいんだけどね。

 

 

 

 そんなわけで、今の俺は、なんなら生前より強いまである。

 多少時間こそかかるが、2体のWAW級アブノマ程度なら問題なく鎮圧できるわけだ。

 

 なんならせっかくだし、赤ずきんさんを鎮圧した後は、ジョシュアに狼狩りをさせるくらいに余裕がある。

 まだまだひよっこ戦士なジョシュアにとって、良い実戦体験になるだろう。

 将来的には、高抑止力下でのWAW級アブノマくらい、単騎で狩れる状態にしてやりたいね。

 

 ……まあ、多分あと数日でまたループして、無駄になっちゃうだろうけど。

 それでも、今できることはすべきだろうし。

 

 

 

 

 

 

 と。

 

 俺はそんな感じで、今後のプランを立てていたんだが……。

 

 結果として、これは捕らぬ狸の皮算用となった。

 

 

 

 というのも、不意に俺の元に、とんでもねえ通信が飛んで来たからだ。

 

 

 

 

 

 

『ダァト、助太刀するわ! 指揮チーム、突入して!』

 

 

 

 

 

 

 オイ待てェ、突入するんじゃねェ!

 

 俺が制止の声を上げる間もなく──まあ仮に上げたとしても、指揮チームの統制権が俺にない以上、意味はなかったんだろうが──情報チームのメインフロア、その扉が開き。

 

 ZAYINやらTETHやらレベルの装備を着た、ランク1やら2やらの職員たちが、青い顔でわらわらと入って来た。

 

 やっべ!!!

 

 

 

「騎士、来い! 彼らを守れッ!」

「はい、主よ!」

 

 咄嗟に叫んだ瞬間、俺の背後に騎士が現れる。

 

 実のところ、変異アブノーマリティ「正義の騎士」には、クリフォト抑止力があまり効かない。

 カルメン曰く『騎士ちゃんは半分コナーの井戸の子だから、あっちの井戸のルールはあんまり通じないんでしょうね』とのことだ。

 

 故に、彼女が普段収容室にいるのは、彼女の良心と俺のお願い、あるいはそれを受け入れたアンジェラによる配慮によるもの。

 俺が呼び出そうとすれば、彼女はホイホイと外に出て来れてしまう。

 割と心配になってしまうくらいのゆるゆる収容である。

 

 だけどこういう時には、その性質が本当にありがたい。

 

 騎士は空中に飛ばした5本の剣を、それぞれ1本ずつ指揮チームの職員たちに付け、壮絶な殺し合いによる余波から彼らを守り始めた。

 

 今の内に、アイツらを片付けるしかない!!

 

 

 

「ジョシュア、殺るぞ!!」

「っ、ハイ!!」

 

 呼びかければ、ジョシュアは即座に飛び出てくれる。

 良い切り替えだ、戦士としての教示を叩き込んだだけあった。

 

 しかし、被害出さないまま鎮圧できるかこれ……!?

 せめて騎士に「白」持ってきてもらうべきだったかなぁ、クソッ!

 

 

 







 この後めちゃくちゃ無犠牲鎮圧した。



 tips! 正義の騎士の加護

 加護対象がダァトに限定される代わり、夜空剣(防具)を着ればPALEダメージ倍化のデメリットがなくなり、等倍のままになったぞ! つよい!

 なんならダァトが強くお願いすれば、他の誰かに加護を渡すこともできるぞ!
 そうすると騎士は不安そうにそわそわし出すけど……。
 ポチが収容されてる時は殊更、ダァトから加護を外すのを渋るけど……。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。