押し寄せる(ロウェル)君はなぁ……ラグがあかんわ。
4コス払ってダイス無し、次の幕に使わんかったらページ削除って、これ誰が使うん?
その点押し寄せる愛(シャオ)ちゃんは立派やね。
威力を盛りやすい斬撃統一、全体に火傷ばら撒き。使い捨てやけど自分がここぞという時に使われる女(広域)やと心底理解しとる。
L旧研の中で、俺が懇意にしているメンバーは限られる。
アイン派でもカルメン派でもない俺はどことなく浮きがちで、しかし中立的立場だからこそ両者のメンバーたちと程々の距離感でやって行けている。
L旧研のメンバー間に流れる空気が「同志」的なアッツいものであるなら、俺と彼らの間にあるのは「仕事仲間」くらいの温いもの。
普段の言動もあって強い信を置かれる感じではないが、それでもある程度の関係性は築けていると思う。
まあその内、この関係性はぶっ壊す予定だが。
だってキモいし。元日本人として、カルト宗教って生理的嫌悪感がすげえのよ。
さて、そんな職場環境の中、俺が例外的に懇意にしている者と言えば。
まずはやっぱり、お世話を仰せつかっているリサとエノクの居候組。
リサとは相変わらずガキトモ(ガキの友達)な距離感を維持している一方、あの日を境にエノクは俺に懐いてくれたのか、よく話をしに来るようになった。
彼はマジのガチで天才であり、一応転生者で多少は精神的に老成してるはずの俺とも普通に話が合ってしまう。今「お前がガキなだけだろ」って思った奴、後で研究所裏な。3級フィクサーレーザーで殺す。
後は、当然ではあるが、元から友だちであったダニエルとも親しくしている。
彼は原作では割と重度のカルメン派だったはずだが、こっちだとそこまで酷くはなさそうだ。
アインに二人がかりで駄々をこね、床に転がってジタバタまでして手に入れたコーヒーメーカーを囲み、朝の穏やかなコーヒータイムは継続中である。
でも「カルメンってコナーと似てるよね」とかいう直球の罵倒をぶつけてくるのはやめろ。ライン越えだろうが。3級フィクサーパンチしますよ! ぺちっ。
そして、他に懇意にしている者がいないかといえば……。
……まあ一応、いるっちゃいる。
業腹ではあるが、単純な接触機会の数を計上して定義するのなら、ああ、懇意にしていると認めざるを得ないだろう。
ただしそれらは、相手からの一方的な接触なのだが。
「来たわよ、ひん曲がりオタク!」
「やあカルメン! 僕はコナーだ! それはそれとしてなんだその的確なあだ名はぶち殺すぞテメェ」
「的確なのに!?」
今、俺の自室に、ノックもなしに飛び込んで来たキチ……宗教の教祖。
カルメンもまた、そんな少数の例外にあたるわけだ。
勘違いしてほしくはないが、俺はカルメンのことが全くタイプではない。
その胸部は愛するには余りにも貧相で、アンジェラの豊満なお胸の方がよっぽど好きだし。
いつも勝気で攻めっ気の強い性格は、長期的に付き合っていくには疲れるだろうし。
あと普通にネジの飛んだ善人すぎて、直視すんのがキツい。俺小心者のゲスなので、属性が対極なのだ。
総じて、カルメンの身体も精神も、別段好みではない。
てかぶっちゃけその在り方がだいぶ解釈違いというか、あんま好きくない。
カルメンがカルメンである限り、俺がコイツのことを好きになることはないだろう。
あと更に言うんなら、仲を深めるとかなんとか以前に、コイツにはいずれ死んで釣瓶になってもらわんと色々困るんだわ。チャート崩壊的な意味で。
まあコイツ、死んだら死んだで、人をねじねじするのが趣味なやべー存在になるので、他の意味で困るが。
だからと言って生かしたら生かしたで、都市内じゃなく外郭で活動してるのに調律者と爪2人が送り込まれるくらいの思想犯なのでまた困る。
更に言うと、変に生かしたらその内激ヤバなねじれになりそうだからもっともっと困る。
困らねえ未来が存在しねえ!!
もうコイツの存在自体が厄ネタじゃねーか!!
生きようが死のうが周りに迷惑をかけまくることが保証されてるってすげーなオイ。
しかも何がすごいって、本人はAみたいに凄まじい研究能力があるわけでもなく、カーリーみたいに武力に極めて秀でてるわけでもないんだよ。
げに恐ろしきはイカれた思想、世界に選ばれた天運、そして人を動かす光のカリスマ。
それだけで都市をひっくり返すには十分なのである。
頭さんも可哀そうにな。こんなバケモンが無からポップしてくるんだから、都市の手入れって予想以上に大変そうだ。
……と、少し話が逸れたか。
とにかく、俺はカルメンとかいう歩く地雷が好きではない。
加えて言えば、絶対に好きになりたくもない。何が楽しくて好きな人がリスカ自殺未遂する未来なんぞ迎えようというのか。
そんなわけで、他のメンバーはともかく、もうコイツに関しては処置なしである。
俺はコイツと仲を深める気はなかったし、何かしらアクションを取る気もなかった。
むしろ、カルメン教の信者さんたちの不興を買わないよう、可能な限り接触を避けるつもりだったのだ。
だと言うのに、コイツの方から絡んできやがるんだクソがよ!!
「相変わらず辛気臭い部屋ね。もうちょっとインテリアとか凝ればいいのに」
カルメンは図々しくも部屋に踏み入り、俺のベッドに陣取り、軽く部屋を見回して言った。
まあ家具の類は殆どないので否定はしないがね。その辺拘る人間でもないので。
「お黙りあそばせ~~~個人の自由の範疇ですわよ~~~」
「ははっ、相変わらず不思議な口調ね! 黙っていれば美人なのに。
他の職員の中でも噂になってるわよ、ちょっと変な話し方する人だって。
その辺、ダニエルに感謝することね。彼、あなたが皆に馴染めるよう、よく取りなしてるんだから」
それを聞いて、俺は固まっていた表情が解けるのを自覚した。
あいつ~~~! マッジでやることなすことイケメンだよなぁ!
ダニエルという俺の友だちは、顔もそうだが、何より心がすんごいイケメンだ。
L旧研のメンバーは自分のことでいっぱいいっぱいあっぷあっぷな者が多い中、彼はいつも他人のために動く。
毎朝コーヒーを淹れて職員たちに休憩を勧め、思考の海に沈みがちな研究員の思考を陽気な音楽で調律する。
そんな細やかな献身に、どれだけ多くの職員が救われていることか。
真のエリートってヤツはこういうところまですげーのであった。
まったく、肥え太るばかりの豚共には見習ってほしいね! 俺の最高の友だちをね!!
ふふんと自慢げにしていると、カルメンは意外そうな目でこっちを見てくる。
「ふ〜ん……本当に仲が良いのね、ダニエルと。
あなたたちが所属してた翼で知り合ったの? 他の部署に所属してたって話だったけど……」
「元は学生時代からの仲だよ。偶然出会って、なんとなく仲良くなった。よくあるヤツだ」
「成程、私とアインに似たような感じね!」
嘘である。
都市で生きるために力を蓄えている中で、学生時代の俺は偶然ダニエルを発見。
びっくり仰天しながらも興味を持ってもらえるよう取り繕い、必死に頑張って友人関係を作ったのだ。
なにせ彼はL旧研に繋がる細い糸。これを手繰り寄せない意味などなかった。
……まあその後は、あまりのエリート☆パワーに絆されて、普通に友だちになっちゃったんだけど。
ダニエル、飄々と見えて情に厚く人に優しい、マジで良い奴だからな。自慢どころか誇れる友人である。
そんな良い奴を10,000年の地獄に突き落とすわけにはいかんと、俺が代わりにセフィラになるつもりだったんだけど……。
へへっ、普通に失敗しちまった☆
仕方ねーだろ、いつも彼を監視できるわけでもないし、見えないところでカルメンと接触して脳焼かれたらこっちはどうしようもねーんだわ。
そこに関しちゃ俺自身結構気にしてるんで、あんまり言わないで>< 泣いちゃう;;
で、将来そんな地獄を作る原因となった未来のクソリプウーマンは……。
何故だか最近、俺によく絡んで来るんだよな。それこそ今みたいに。
この行動力に溢れまくった女は、用事があれば開口一番に告げてくるタイプだ。
そうじゃなかったということは、今回は何の用もなく俺の部屋に来たのだろう。
俺たち、そんな雑談とか交わす仲じゃなかった気がするんだけどなぁ。
今もカルメンは、人のベッドを占領して──まあこれに関しては、部屋に椅子を1つしか置いてない俺の落ち度かもしれんけど──、足をぼふぼふとシーツに叩きつけている。
おいバカやめろ埃が舞うだろうが、誰が掃除すると思っとんねんコラ。
なんなんだコイツうぜーな、と苛立ちを込めた目を向けると……。
その輝く赤い瞳と、視線が合ってしまった。
ニコリと、思わず魅了されるような形の良い笑顔が視界に広がる。
カルメンは、まあ美人だ。そう見られないレベルと言っていいだろう。
見ていて素直に綺麗だと思える顔に、こっちまで引きずられる底抜けの明るさ。
そして何より、その血のような赤い瞳は、多くの人を魅了してしまうのだろう。
「ちっ、面の良さで許されてるタイプがよ」
まあ俺は影響されんけど。
「ちょっと、その反応は酷いわ! こんな美人が笑顔を見せてるのに!」
「はいはい、美人美人」
自分の容姿に適切な自信を持つのは良いことだ。
でもそれはそれとして、外はともかく、中身がね……。
残念美人とかそういう次元ですらなく、存在が罪みてーなもんだしコイツ。
この都市に生まれたことが消えない罪と言うなら、生きることも消えない罪だろう。woo。
このまま楽しく雑談なんてするわけにもいかんので、ため息一つ、そろそろ本題を切り出すことにする。
「……で。この研究所を率いるリーダーさんは、なんで俺なんかに絡んで来んだよ。
訊きたいことあるんならそろそろ素直に訊いてほしいんだけど。最近のお前の察してオーラウザいし」
腹の探り合いも面倒なんで素直に言ってみる。
すると、カルメンは驚いたようにその目を見開いた。
「そんなに露骨だったかしら?」
「お前最近距離の詰め方雑なんだよ。親しくもねえ男の部屋に来て即ベッドでゴロゴロすんのは、ビッチか世間知らずかアホかハニトラか演技かカルメンかだろ」
「酷い! ……あれ、酷くない? 私の個性を認めてくれてるだけ?」
「めっちゃ酷いわ。特に最後の奴」
「その断定が一番酷いわよっ!」
カルメンは一度頬を膨らませた──いい大人がそんな感情表現して恥ずかしくないんか?──後。
諦めたように一度脱力の息を吐き、それから真剣な眼差しを向けてきた。
「……訊きたいっていうか、知りたいことがあるのよ。それを話す機会を窺ってたの」
「機会なんぞ見なくとも、聞かれたことは答えますよ~。一応アンタの部下ですし。
ま、俺なんぞに示せる答えなんかあるもんか、とは思うがね」
カルメンは、現実が見えてなさすぎるという意味ではアホだが、頭の回りや知識という意味では俺を遥かに凌ぐ才女である。
流石にアインやベンジャミン、ダニエルなんかには及ばないが、L旧研の中でも上澄みと言っていい。
何を聞いて来るかは知らんが、コイツの取り組んでる研究について何か聞かれても、答えられるとは思えない。一応今やってる実験の内容やその理屈くらいは把握してるが、新たに発想することは難しいだろうし。
武力に関しても、懇意にしているカーリーに聞いた方がずっとましだろう。あっちはハナも認めた1級フィクサーなんだから。
頭の回りでも武力でも半端な俺に、何が答えられるもんか。
そう思い、俺は突発訪問失礼女から目を背け、机の上のノートPCをカタカタやり出したのだが……。
そんな俺の背中に投げられたのは、果たして、想定外の質問だった。
「どうしてあなたは、『心の病』を負っていないの?」
…………あー。
そう来たか。
(余談)
赤評価バーをいただきました。ありがとうございます!
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それから、とても細かく正しい誤字報告もいただきました。こちらもとても助かりました!