3級フィクサーパンチ   作:アリマリア

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 いつものように独自解釈多めです。
 また、最初の部分だけコナーくん以外の視点になります。





愛と憎悪の存在定義

 

 

 

 * * *

 

 

 

 とある少女の話をいたしましょう。

 

 私たちにとっての最後の友だちであり。

 誰よりも明るく、愛と正義を信じ、世界に尽くし……。

 その果てに迷子になってしまった、可愛らしい女の子の話を。

 

 

 

 彼女は、とても純粋な子でした。

 

 他者の善意を愛し、悪意を憎み、悲劇を悲しみ、喜劇を楽しむ。

 そんな普通の、どこにでもいるようで、しかし誰より真っ直ぐな女の子。

 

 そんな彼女だからこそ、立ち上がったのでしょう。

 

 善を蹴散らす悪を憎み、それに立ち向かう善を尊び……。

 そんな名も無き人々の一助となるべく、彼女は私たちと同行することとなりました。

 

 

 

 世界に仇なすアルカナたちを倒すべく、彼女はその類稀なる魔法の才を、遺憾なく発揮しました。

 

 かつて王国の騎士であった私は、魔法を通した更なる剣技の追究を。

 黄金色の王は、主と同じように、転移魔法を活かした近接戦を。

 緑色の従者は、純粋な身体能力の向上と、毒や腐食による敵への妨害を。

 

 私たちの殆どが、魔法をあくまで、戦法を研ぎ澄ますための手段として用いていたのに対して……。

 私たちの「後輩」は、魔法そのものを主眼として使っていました。

 

 愛と正義を守る、魔法少女。

 彼女がいつも、自分はそうなりたいのだと語っていたことを覚えています。

 

 ……いえ、正確に言えば、自分たちは選ばれた魔法少女なのだと。

 それが年頃の女の子の妄想なのか、あるいはその魔法の才で捉えた世界の真理なのかは、結局分からず仕舞でしたが。

 

 どこか可愛らしく、世界に温かなものをもたらそうとするその理想は、私たちの中に浸透していき……。

 いつしか私たちも彼女に影響され、同じように魔法少女を名乗ることになっていました。

 

 一番の後輩でありながら、彼女のひたむきな前向きさは、いつしか私たちの中核となっていたのです。

 

 

 

 そう。

 ある意味で、彼女はカルメンのような子だったのでしょうね。

 

 誰より純粋に世界を救うことを願い、私たちを先導するように輝いていた。

 彼女の明るい笑顔は、私たちの心の支えになる程に温かく……。

 

 ……ええ。

 そうですね、主よ。

 

 それは途切れることなく輝く星ではなく、太陽でもなく、月でもなく。

 いつしか途切れる、ネオンの輝きに過ぎなかったのでしょう。

 

 悟りを有さない幼子が、世界の残酷さを知らない少女が見ていた、一時の楽しい夢に過ぎなかった。

 

 

 

 あの者に……「愚者」に巡り会った時。

 私が絶望に、黄金の彼女が貪欲になる種を植え付けられ、緑色の彼女が憤怒に呑まれたように……。

 

 彼女もまた、憎しみを与えられた。

 

 正義に反する悪への憎しみに。

 自分に敵対する者への憎しみに。

 あるいは……自分という存在を乱す者への、憎しみに。

 

 

 

 不均等な憎しみを有した以上。

 彼女はもはや、平等に正義を為すことはできない。

 

 純粋な「愛と正義の魔法少女」には……もう、戻れないのです。

 

 

 

 夢はいつか醒めるのでしょう。

 

 彼女は、魔法少女でなくなった自分を、直視しなければならない。

 

 決して絶対的な正義でなく、時に悪ともなる自らを、認めなければならない。

 

 それなくして、憎しみの女王と呼ばれたあの子に、救いの日は来ない。

 

 

 

 ……けれど、それでも。

 私には一つだけ、言えることがあります。

 

 主よ。

 

 あの子は誰よりも、愛と正義を信じていたのです。

 

 誰かを幸せにすることを心から望む、良い子だったのです。

 

 

 

 だから、どうか、信じてあげてください。

 

 ■■■■■という、女の子のことを。

 

 私の後輩……いいえ。

 

 私の大切な、友だちのことを。

 

 

 

 * * *

 

 

 

「……すごく、本当にすごく、気分が悪いわ。

 私、いつも、あんな風に……あんな風になっていたの……?」

 

 「O-01-04」、あるいは「憎しみの女王」の収容室。

 この部屋の主である少女は、酷く青ざめた表情で、俺の持ってきたコーヒーを啜った。

 

「っ、に、にが……」

「人種差別!?!?!?!?」

「えっ、な、何!? なんで!?」

「はい、砂糖とミルク。茶色くなるくらいまで入れるとだいぶ飲みやすいよ」

「あ、え? うん……なんだったの、さっきの……?」

 

 これまでは常にありえんくらいハイテンションだった憎しみの女王は、しかし。

 今は気落ちしたように俯き、その空色の髪を垂らしている。

 

 ……すげー新鮮!!

 

 ハイテンションでもヒステリックでもない、落ち着いててローテンションな女王とか、これ滅多に見れませんよマジでね。

 二次創作ですらほぼないんじゃないか? アイデンティティをこそぎ落としたようなもんだしね。

 

 

 

 コーヒーにすごい量の砂糖とミルクをぶち込み、これもはや砂糖とミルクのコーヒー漬けだろ……という状態にして飲む女王。

 ……猫舌なのか、あっちっちってなってら。かわいいね♡

 

 俺はコーヒーにだけは拘りがあるタイプのセフィラだが、同時、コーヒーにはそれぞれの飲み方があるということも理解している。

 クッソ合わないジャム入れてただの泥水にするとか、そういう極刑レベルのことさえしなければ、基本的にはどんな飲み方にも理解を示すつもりだ。

 

『ごめんって! もうしないから、そろそろ赦してぇ!』

 

 

 

 実際、女王は砂糖の塊みてぇなそれを飲んで──あるいはバリボリ食べて──、少しだけ表情を綻ばせている。

 

 なら、これはこれでアリだろう。

 結局は本人が美味しく飲めれば、それが一番なんだわ。

 

「美味い?」

「ちょっと苦いけど、うん」

「そ。淹れた甲斐があったってもので」

 

 

 

 しばし、ちょこちょことコーヒー(?)を飲む彼女を眺める。

 

 憎しみの女王は、これぞアブノマ! って感じの存在だ。

 いつもはひたすらハイテンションで、可愛らしい少女の姿をしているが……その実情は酷いもの。

 情緒不安定で現実を見ることができておらず、すぐにヒス&ヘラってしまうし、油断すると脱走して大量に死者を出す。

 

 そんな女王は当然ながら、このL社地下本部で作業を行う職員からも「なんだコイツめんどくせぇ!!」という目で見られ、まあぶっちゃけて言うと嫌われていた。

 

 前世の俺も当然ながら、コイツの管理は苦手だった。

 なんなら半ばトラウマになっている。

 処刑弾ない環境で憎しみの女王+笑う死体の山+静かなオーケストラ+地獄への急行列車は犯罪だろ。

 

 

 

 が、しかし。

 それはあくまで外様として付き合わなきゃいけなかった間の話で……。

 

 ぶっちゃけ今の俺は、割とこの子に同情的だ。

 

 死ぬ程世話になってる騎士の友だちであり、彼女が救いたいと思った相手、というのもあるが……。

 

 何気に、L旧研の頃も含めれば、体感でさえ1年半以上の付き合いになるからな。

 最近はある程度会話も通じてたってこともあって、流石にいくらか愛着も芽生えるってもので。

 

 

 

 だからこそ。

 

「いつから、どれだけ覚えてる?」

 

 俺は、この子に踏み込むことを決めた。

 

 

 

 憎しみの女王は、ヒステリックに陥ったり、暴走状態になったりすると、記憶を失う。

 

 ヘラって暴走した女王に同僚を殺された職員が、鎮圧された彼女の収容室に殴り込んで問い詰めようとし、しかしなんら記憶を持っていない彼女に呆然とする……なんてのは、1万回弱のループで死ぬ程見た光景。

 

 正義の魔法少女たらんとする彼女は、余りにも平和で悪がいない世界が続くと、「愛と正義の魔法少女」という存在意義を見失ってしまう。

 そうしてそれを作り出すため、自らが悪となって暴れ回るのだ。

 

 だが同時……。

 彼女はあくまでも正義の魔法少女。

 自らの悪たるを認めることはできず、悪性を拒んでしまう。

 

 結果として、そこに在ったはずの記憶を失い、見なかったフリをしてしまうわけだ。

 

 

 

 ……だが。

 ビナー曰く「都市の人間でない」俺は、井戸の住人たるアブノーマリティたちに影響を与え、変化を促す可能性を有している。

 

 かつては騎士と共にあり、絶望に共感しながらも屈することなく抗い続けたことで、彼女に再び立ち上がるだけの理由を与えたように……。

 

 長い間俺が付き合い続けたことで、彼女はずっと閉じていたそのまぶたを開けるようになったらしい。

 

 

 

 俺の問いかけに、びくりと、彼女は大きく震えた。

 そうして、恐る恐るという様子でカップから口を離し、視線を俺に向けて来る。

 

 いつも爛々と輝いていた金の瞳はしかし、叱責と追及の予感からか、あるいは自らの行ったことへの自責からか、酷く揺れていた。

 

 彼女はしばし、俺と視線を合わせた後……。

 再び俯き、沈んだ声を吐き出した。

 

「……ちょっと前から、ぼんやりとは、覚えてたの。

 けど、ただの夢だって思ってた。

 そんなわけないって……正義の魔法少女である私が、そんなことをするわけがないって。

 私は……私は、正義だから。正義の魔法少女だから、って……。

 だから、まさか、そんな……あんなに暴れて、人を、たくさん……」

 

 その声と、手と、瞳が、震える。

 自らの中核を為すアイデンティティ、それを揺らされ、崩されることへの恐怖で。

 

 

 

 憎しみの女王は、外見年齢からして、おおよそ10代半ばといったところだろう。

 ビジュアルは非常に可愛らしいし、魔法の才に溢れていたとのことで、まさしく才女と言ったところか。

 

 で、だ。

 才気煥発な思春期真っただ中の少女が、自らの才能を発揮できる分野を見つければ、そこに自身のアイデンティティを置くのは自然な話なんだよね。

 

 騎士の言っていた通り、彼女は元々心優しい少女だったのだろう。

 そうでなければ、そもそも正義のために身を賭して戦う、なんて発想すら出ては来ない。

 

 だが……経緯こそはっきりとはわからないが、騎士たちと巡り会って、誰かを守るために戦う内。

 彼女の幼い自我はそれに誇りを持ち、いつしかそれこそが自分なのだと、認識がすり替わった。

 

 自分が正義を為す、のではなく……。

 自分の行いこそが正義なのだ、と。

 

 こーいうことが起こるからこそ、天才ってのは得てして歪みやすいのである。

 そういう意味じゃ、半端なスペックに生まれた俺は、むしろ幸せだったのかもしれないな。

 

 

 

 しかし、そんな少女は今、自らの為したことを直視することとなった。

 それもヒステリックに狂っている状況ではなく、むしろそれから復帰した直後、最も平静な状態で。

 

 ショックは大きいだろう、相応以上に。

 だからこそ、今の彼女には支えと導きが必要だ。

 

 俺しかそれができないというのなら……。

 ……いいや。

 

 俺がそれをできるのなら、やらないなんて選択肢はないだろう。

 

 なにせ今の彼女は、まだまだ子供。

 今まさに、その2本の脚で立とうと足掻いてる、無限の可能性を有した子供なんだから。

 

 

 

 コーヒーを一口含み、言う。

 

「君は、正義を貫きたいのか?」

「そう、よ。だって、私は正義の魔法少女だから」

「今の君はあの頃と同じ、愛と正義の魔法少女だと言えるのか?」

「ぅ…………!」

 

 彼女は咄嗟に肯定しようとして、けれど自らの心に嘘を吐くことはできず、口を閉ざした。

 

 ああ、そうだろう。

 彼女はきっと、その一点に関しては嘘を吐けない。

 

 自分のただ一つの誇り。

 騎士にとっての正義に等しいそれのことで、正気のままに嘘など吐けるものか。

 

 

 

 そして同時、彼女にとってはそれを失うことは、極大の恐怖を意味する。

 現実を拒むかのように、憎しみの女王は抑えた頭を振った。

 

「ち、違うっ! 私は、正義なの。正義じゃないといけないの!」

「どうして? どうして正義でないといけない?」

 

 彼女の感じる恐怖と、その発端となる欲望を、解体する。明るみに引き出す。

 包んだオブラートを容赦なく切開し、その在るがままを曝け出す。

 

 ……悪趣味なことだが、人に自分の心を直視させる方法を、俺は他に知らない。

 

 

 

 そしてその目を見れば、君の真実には察しが付く。

 

「だって、だって私は……。

 私は、愛と正義の魔法少女じゃなかったら…………私は……」

 

 憎しみの女王は、空色の髪を振り乱す。

 

 ヒステリーに陥った、わけではない。

 目の前の少女は、ただ……。

 

 

 

「…………私には、何の意味もなくなっちゃう……!!」

 

 

 

 ただ単に、自らの存在の意味を失うことを、怖がっているだけだ。

 

 

 

 * * *

 

 

 

 「存在意味に対する期待」。

 それは、本来のL社において、ティファレト(リサ)が有することとなる悟りだ。

 

 いずれ至るべき図書館において、リサが彼女を筆頭とする魔法少女たちの階層を担当するのは、偶然でもなんでもない。

 自らの存在の意義に、そこに生きた意味に期待することを覚えたリサだからこそ、それを……愛を、正義を、幸福を、勇気を疑ってしまった彼女たちの面倒を見ることができたのだろう。

 

 特にそれが顕著なのは、やはり目の前の少女──憎しみの女王。

 

 「愛と正義の魔法少女である」ことに固執する彼女は、その前提を無くした時、自分を見失ってしまう。

 何のために存在するのか。何の理由があってここにいるのか。自分の為したことに何の意味があって、払ってきた犠牲に何の意義があるのか。

 

 自意識を揺さぶられ、全てを損なった精神は、一気に不安定化し。

 自身を騙してでも、無理やりにそれを見出そうとしてしまう。

 

 

 

 ……だが。

 俺と交わったことで、もはや彼女は、そこから目を背けられなくなった。

 

 自分が心の弱さから目を逸らした先にあったものが、まさに自分の存在意義を穢す行為であった、と。

 

 自分はもう、どうあっても、絶対的な正義──「愛と正義の魔法少女」ではいられない、と。

 

 

 

 彼女はもはや、楽しいお話の主人公ではない。

 

 魔法少女はどこにもいないのだ。

 ここにいるのは、ちょっと困ったところのある、可愛らしいただの女の子だけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 で?

 

 それで、何の問題があんの??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君に意味がないなんて、そんなことは絶対にないよ。

 そうだろ、俺の騎士」

「ええ、主よ」

 

 俺が語りかければ、白い光が溢れて。

 いつでも来れるよう準備してくれていたのだろう騎士が、収容室に現れた。

 

 そうして、俯いてしまった彼女の友だちの傍へ膝を突き、目尻に浮かんでいた涙を掬い取る。

 その手慣れた動きと優し気な瞳、温かな表情から、彼女たちが共に歩んだのだろう長い時間が窺い知れた。

 

 ……ふ。ちょっとばかり、嫉妬しちゃうな。

 

 

 

「せっ……先輩」

 

 憎しみの女王は、縋るように騎士をその名で呼び。

 

 けれど、騎士は首を横に振った。

 

「残念ですが、私はもう、先輩ではありません。

 一度は絶望に堕ちた身。もはや魔法少女を名乗るに値しない、一介の騎士に過ぎませんから」

 

 魔法少女の否定。

 少女は騎士の言葉に、傷付いたように涙の粒を大きくし……。

 

 

 

「ですから……友だち、と。

 主の呼ぶ関係に従って、そう呼ばせてください」

 

 けれど、続いた彼女の言葉に、大きく目を見開いた。

 

 

 

「あなたも私も、絶望と憎悪に堕ちた身。もはや清純で公平な魔法少女ではいられないでしょう。

 ですが、だからと言って、私たちの仲が切れるようなことはありません。

 私にとってあなたは今でも、頼れる仲間であり、信頼を置ける友だちであり、可愛らしい少女であり、これからも付き合っていきたい相手なのです」

 

 そこで、彼女は俺の方へと顔を向け。

 憎しみの女王もそれを追い、俺へと視線を投げて来る。

 

 ……え、そこで俺?

 もうフィニッシュまで君が持ってくかと思ってたんだけど。

 

「私の、最愛の主が教えてくださいました。

 たとえ一度、底知れぬ絶望の闇に堕ちてしまっても。その誇りが風化し、空っぽになってしまっても。

 ……それでも、その時々に『自分らしくある』ことは、確かに意味があると。

 その毎秒毎秒を自分として生き足掻くことこそ、私たちに許された未来への抵抗であると」

 

 

 

 なんとも……気恥ずかしいことを言ってくれるな。

 

 そこまで大層なことを教えた自覚なんてない。

 俺はただ、その時にできることを、自分なりにやってきただけだ。

 

『だからこそ、ですよ、主』

 

 言葉ではなく、剣を通した思念の上で。

 騎士は、くすりと笑った。

 

『当たり前のようにそれを行える主だからこそ、私は救われたのです。

 自分に強いるでもなく、他者に押し付けるでもなく、自然とそう思えるあなただからこそ……きっと彼女たちに、新たな道を示せる』

 

 ……そうなのかねえ。

 

 都市の井戸に繋がってないって特異性ならともかく、俺が誰かを導けるような大層な人間とは、どうにも自覚できない。

 だって俺、基本ギャグキャラだし。

 あと主人公って言うにはかなりしょっぱいし。

 

 ……けど、まあ。

 「できるんならするか」と思える程度には、前向きな人間ではあるかな。

 

 

 

 俺は、潤んだ瞳を向けて来る少女に歩み寄り。

 ゆっくりとその体を抱きしめ、頭に手を置いた。

 

 幸い、拒否反応はない。

 ふわふわとした髪を優しく、しかし強めに撫でまわす。

 

 胸の中に感じる温かさと鼓動が、彼女も確かにここに生きていることを感じさせる。

 アブノマだろうが何だろうが、「考える自分」がそこにいるのなら、俺にとっては同じ人間だ。

 

「愛と正義の魔法少女じゃなくても、君は君だよ。

 君っていう存在は、■■■■■っていう女の子は、確かにここにいる。

 俺も騎士も、忘れない。君の愛も、正義も、優しさも」

 

 魔法少女でない自分に自信がないのなら、俺と彼女が担保しよう。

 ただの少女である君が、何者でもない君が、確かにそこにいることを。

 

 

 

「だから、大丈夫。

 君は君であるだけで、ここにいていいんだ」

 

 

 

 その言葉に、彼女の体は、一際震えた。

 

 そして、そっと俺の背に回された手に、力が籠って……。

 その口からは、ただ甘いだけの言葉でなく、苦みのある嗚咽が漏れだす。

 

 それでいい。

 甘さだけでも、苦さだけでもなく、全部を含むのが人間だからな。

 

 

 

 ……最初は抑えていた声は、徐々に大きくなり。

 今まで抱いていた、自分への憎しみの全てを洗い流すような雫は、長いこと落ち続けた。

 

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 

 

-反復9,229回目 終了-

 

 

 

〈! 光の種シナリオ再起動 !〉

 

 

 

-反復9,230回目 開始-

 

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「愛する主くんのために、颯爽登場っ!

 ろぼとみー社? の、処理チームに配属された、『愛の女王』だよ!

 改めて、これからもよろしくねっ☆」

 

 

 

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 『O-01-04-02』

 愛さえあれば関係ないよねっ♡



 識別名:愛の女王

 ランク:ZAYIN
 E-BOX:22
 クリフォトカウンター:1

 E.G.O:愛の魔法で君の許へ

 武器
 ランク:ALEPH
 装備条件:慎重120以上
 ダメージ:WHITE(8~9)
 速度:最高速
 射程:超長距離
 能力:攻撃が職員やオフィサーに命中した時は貫通し回復として働く。ランクALEPHの鎮圧対象がいる場合はチャージしてビームを放つ。

 防具
 ランク:ALEPH
 装備条件:慎重120以上
 RED:0.6
 WHITE:0.6
 BLACK:0.4
 PALE:0.8
 能力:同武器と共に装備することでダメージにRED(8~9)を追加。
 
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