『最強』へと至る道   作:まるもも

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書いてた小説をほっぽって新しいの書くやつ。
アニメ出たし禪院家をどうしても出したかった


零歩目

 男子(おとこ)なら……誰もが夢見る。『世界最強』の称号。

 一生に一度は、必ず。

 

 故に、目指す。

 力があれば、目指す。

 資格はある。才能もある。

 努力は惜しまない。時間も、労力も。

 

 持ちうる己の才を磨ききってこそ、最強の称号は手に入る。

 強者との戦いも欠かせない。血沸き肉躍る死闘でこそ、得られる経験というものがある。

 

 そうすれば辿り着く。最強の称を恣にする男に。

 その男を打ち倒し、己が地上最強と証明する。その為だけに生きてきた。

 

「最強は宿儺(すくな)だ。これは譲れないね」

「クハッ……そうかそうかァ、それは楽しみだ」

 

 いつからか知り合っていた、額に縫い目を持つ男がそう言った。

 コイツもかなりの強者だが、その男が最強と称する男がいるのだとか。

 

 ―――面白い。

 

 磨き上げてきた力、掴んだ核心、その奥義。

 全てをぶつけられることを祈りながら、宿儺とやらがいる平安京へと向く。

 何やら新嘗祭が行われ、五穀豊穣を祈られるそうだ。

 

 ……異形の呪いと聞いたが、案外神格化でもされ(まつられ)ているのか?

 

 少しの疑問と好奇心を持って、滾る欲を押さえつけながら歩く。

 

 

 あぁ、これは……京までは持たんなァ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  δ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……決着か」

「見事なり、■■■■■。誇れ」

 

 雨が降る、真っ暗闇の飛騨の山々にて。己らの戦いは決着を迎えた。

 虚ろな視界の中、自分の下腹部に手をやれば、およそ丹田の下より全てが断絶されていた。

 ……これでは、反転術式も回せん。そも呪力が尽きているが。

 

 戦いは正に死闘であった。終夜続いた激闘は、宿儺の勝利で終わっている。

 領域を展開するまでは良かった。四の腕、四の眼、そして二つの口を持つ異形の宿儺相手に、肉弾戦では互角であったように感じた。

 領域の精度も共に互角。外郭を押し合い、互いに必中効果を得るために、互いに致命傷を与えるために肉弾戦に移行する。

 四度、同時に互いの領域が破壊された。しかし、五度目の領域が勝負を分けた。天才的な呪術の才、空を捉える眼、全てを養って極めたと思い込んでいた我の領域は、宿儺の神業―――『閉じない領域』によっていとも容易く外郭を破壊された。

 四度の間、使わなかった理由は分からない。使えなかったのか、それとも縛りか、唐突な進化を起こしたのか……今となっては知ることはできんし、知る必要もない。宿儺の領域が我の領域を上回り、領域勝負においては宿儺が優勢である事実は変わらない。

 術式が焼き切れる中、彌虚葛籠と継続的な反転術式による耐久戦で勝負していった。しかし、領域の勝敗が決したということは、自ずと勝負の行方も知れたこと。薄ら笑みを浮かべる宿儺とは対照的に、我の表情は暗かった。宿儺が携帯する……『飛天(ひてん)』と『神武解(かむとけ)』という二つの特級呪具を何とか破壊し、お互い丸腰。

 再び展開される外郭のない領域に対する答えは、宿儺の領域を全て包み込むことだった。外郭が破壊されるのならば、その宿儺の領域範囲よりも広く外郭を形成してしまえば良い。領域の精度が落ちることを危惧したが、幸いにもすぐさま押し潰されるほどの低下は見られなかったため、戦闘を続行。

 我も宿儺ももう、何度領域を展開したか分らぬな。

 互いに領域展開が不可になるほどの呪力消費を繰り返した後、更に一層苛烈になった呪い合いは熾烈を極めた。

 宿儺の半身は焼き焦げ、見れば右上腕と左下腕が欠損している。鼬の最後っ屁とはよく言ったもので、我の最後の一撃も相当に宿儺に通用したようだ。

 

 夜が明ける。

 上る太陽の光が徐々に差し込んでくる。まるで、勝者を祝福するかのように、宿儺の顔には暖かな日光が当てられていた。

 

「今際の際に見る情景としては……悪くない、これで酒でもあれば最高だが」

 

 絶景を肴に、秘蔵の醴酒を一杯、と洒落込みたいところだが……

 意識が朦朧とする。限界か。

 

「我の全てを賭けても、貴殿には届かんか。最強に届かなかった―――それだけが、心残りだ。」

「そう言うな、お前の一撃は確かに効いた。―――来世で会おう」

 

 既に我の意識はない。宿儺もこれ以上言葉は紡がず、背を向け、どこかに立ち去って行く。

 夜明けの太陽が、ただ我の骸と宿儺を照らし続けるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  δ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目が覚める。

 正確に言えば目が覚めるという表現は正しくはないが、とにかく自立した思考を再び得たのだ。

 しかし暗闇。身動き一つとれん。

 

「(降霊術か何か……か?確かに死んだはずだが)」

 

 あの状態から助かるとは思えん。反転術式による他者の治癒は自分を治癒するのに対しておよそ二分の一ほどの出力にしかならん。例え宿儺が治癒したとしてもあの致命傷から回復させるのは不可能だろう。

 消去法として降霊術による復活が考えられる……が、生憎我はそちらの方の知識は疎い。おそらく肉体の情報があれば可能だろう。現時点では最も可能性が高い。

 しかし降霊させた術者が見えん……どころか、我の視界すら満足に働かないのはおかしいな。

 

 数分の後、前方で明かりが差し込むのが見えた。

 我はそれに手を伸ばそうとしたが、どうにも身体が上手く動かん。呪力切れで倒れた時もこれほどではなかったぞ。

 視界が開け、真っ白な光に目がくらみそうになる。

 すると、我の体は抱き寄せられ、光の中へと連れ出された。

 

「(……ほう。死ではなく、始まりか。我の体が赤子となっているぞ)」

 

 道理で身動きとれん訳だ。どういうカラクリか知らんが、死んだ我は遥か未来に転生したようだ。

 視界に入る、あらゆるものが未知。青の装束を纏う、我を母より引きずり出した男も、周りに置かれた金属の塊も、全くの未知。

 

「(……面白い、何百、何千年後だ?文化の進歩どころではないなァ)」

 

 しかし、遥か未来に生まれ変わったからと言ってなんだと言うのか。

 滾る呪力は健在だ。磨き上げた術式も、知恵も、そして死闘からの経験も。全て引き継いだ。

 今は肉体に引きずられ、泣き喚く我が肉体も、鍛え直せば良い。

 

 目指す頂は、ただ一つ。

 かつて届かなかった、あの高みだ。

 最強を求めてこそ男子。

 

 若き獅子は内心で再び笑い、天井を見据える。

 いつか来る再戦に、胸を躍らせる。

 

 宿儺はもういない。しかし関係ない。まるで決められた未来を観測しているかのように、我には再び宿儺と戦う確信があった。

 

 

「(必ず……貴殿を超えて見せよう。両面宿儺(呪いの王)よ)」

 

 

 そう言って彼は、不敵な笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 




■■■■■
我らがオリ主。『最強』の称号を求めて家族すら捨て、人生の全てを呪術の修練と戦いに費やした異常者。
198cmという、平安においても規格外な巨体を持っていたが、相手にした宿儺は2m越えだった模様。
領域すら使えない泥試合にまでもつれ込んだが、最後は呪力量の差で届かず。
詠唱までした『解』に身体を断絶され死亡。


両面宿儺
史上最強の呪術師。オリ主のことは以前から知っていたが、直接会ったのは戦闘した今回が初。情報源はもちろん某縫い目。
愛用していた特級呪具の二振りをたやすく粉砕され、後に平安術師を相手取る時に結構不便だった。
閉じない領域を土壇場で生み出し、主人公の領域を粉砕。今回初めて閉じない領域を行ったので、竈の縛りや逃げ道による領域範囲の拡大もなかった。故に主人公でも領域勝負がギリ成り立った。
史上最強ってのはなんぼ盛ってもええからね。
主人公との戦闘には大満足。しかし後の馬鹿目隠し程ではない。千年前の緊張ってのも、主人公ではない。

羂索
つええやつらをぶつけ合わせたらどうなるんやろ?試したろ!の精神で主人公に宿儺の存在を教えてみた男。
何らかの手段で観戦し、秘蔵の酒を嗜みながら悠々自適にハッスルしていた。
まだそこまで綿密に計画とか練っていない時期なので、ノリとパッションで行動しがち。


新嘗祭で出会った運命の人が、何だか次の日から満足気な顔して機嫌よさそうなので、『もしや宿儺も私のことが好きなのでは!?』とか勘違いしちゃった人。
なおまだ宿儺は万のことを覚えていない模様。
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