海鳴産地の魔導戦鬼(旧題:ややガイオウモンのマジカル戦記) 作:町コアラ
2人の魔法少女はアースラから結界内の空に飛びだした。
「いくよ皆!」
高町なのはの声と共にさらに転移してきたのはサブマリモンと宮園武道と入れ違いに戻って来たモニタモン3号を含めた3体のモニタモン
「私たちの力!合わせるよ!レイジングハート!」
『all right master』
「モニタモンズ!」
『ガッテン』
『ショウチ』
『デアリマス』
「クロスアップ!」
『『『『クロスアップ!』』』』
それは宮園武道の装甲から取ったデータから発展改良したもの
モニタモンズが分解変形し、黒く変色する。さらに高町なのはの学校の制服のような白いバリアジャケットの上から黒い角ばった装甲となってその身を包みバイザー付きのヘッドギアを構築、何より特徴的なのは背に背負ったアンテナの生えたバックパック
「クロスアップ!レイジングハート
そしてそれはフェイト・テスタロッサも同様である
「今度は私たちがこの町を守るんだ。行こう、バルディッシュ!」
『yes sir』
「サブマリモン!」
『オーライ!』
「クロスアップ!」
『『クロスアップ!』』
サブマリモンの体がパーツごとに分かれ白い流線型の装甲となり、フェイト・テスタロッサを包みこみ、そしてイッカクの牙のようなドリルがバルディッシュに取りつけられうなりを上げる
「クロスアップ、バルディッシュサブマリンダイバー!」
換装を終えた少女たちは分かれ、それぞれ役割を果たすため高町なのはは空中に留まり、フェイト・テスタロッサは海中へと潜る
プレシア・テスタロッサによって送りこまれた人形兵たちはそのほとんどが二足歩行型の重装甲、一部以外は海に落ち海中をもがいている。残りの廃墟に着地できたもの、あるいは飛行能力があるものを主に担当するのが高町なのはの役目だった
『アースラ、バルディッシュ、そして散らして配置したモニモンやディスク達の連携完了。砲戦サポート開始します。』
『我らはこちらの位置情報をかく乱しつつ』
『敵の位置情報を丸裸に』
『存分に撃ちまくってもらって構わないでアリマス』
高町なのはのバイザーに人形兵の位置が表示されロックオンされる
「うん、ありがとうレイジングハート、モニタモンズ、高町なのは!撃ちます!」
モニタモンズ達の主な役割は情報戦の強化。3体が集まることで各デバイスそしてアースラとの連携を可能にし、こちらは隠れながら相手の位置は筒抜けとなる。それに高町なのはの砲撃が加われば当然
「Hi-vバスター!」
精密砲撃により人形兵達はなすすべなく海に落とされていく。飛行能力のある一部は何とか全損を回避するが高町なのはの狙いはそもそも仕留めきる事にはない。海中にはフェイト・テスタロッサが居るからだ
「サブマリンランサー!」
フェイト・テスタロッサの役目はサブマリモンの装備を纏いドリルをバルディッシュに連結することで海中でも高速機動と物理攻撃の強化を獲得した。海中でもがく人形などただの的に等しい、高速機動とドリルによって海中の人形兵は次々と大穴を開けられ機能を停止していく
ユーノ・スクライアとアルフもこれに参加し結界の維持と人形兵への妨害をしていた
その有様はまさに蹂躙であった
「こちらは順調のようね」
アースラでは作戦の一つが成功していることに安堵の空気が生まれつつあった
「現場の2人も流石だけど、この短期間で調整してくれたエイミィ達とリニスにも感謝しないといけませんね。僕もこうして待機してどうにでも動ける」
「えへへ、まあ私たちは補助みたいなものだったけどねリニスさんホント凄かったよ」
諸々の突貫での調整でリニスはダウン。現在救護室で休息をとっていた
「あとは…本丸の武道さんたちね、このままうまくいってくれればいいけど…」
(何か胸騒ぎがするわね…これはプレシア・テスタロッサに対するものかそれとも…)
リンディ・ハラオウンは願いつつもこのままでは終わらないことを直感で感じ取っていた
***
「ってことで向こうじゃ人形兵は役に立ってねえ。これでもまだやるかい?」
俺は正面に立つプレシア・テスタロッサに問いかけていた
「おのれ…」
「プレシア・テスタロッサ、あなたを時空管理法違反および管理局艦船への攻撃容疑で逮捕します。」
俺の目くばせでアースラの魔導士たちが散らばる…そう、アリシア・テスタロッサを遺体を含めた証拠品などの確保のためだ
「この…クソガキがあ!!」
それに気づかない訳もないわな
「やっぱりこうなるかよ!」
大杖を片手に突っ込んでくるプレシアを二刀で受け止める。なかなかに重い、こいつホントに病人か?腐っても大魔導士様ってことかよ
「ハアアア!!」
プレシアのもう一方の手に電気が集まっていくのが分かる。瞬間俺は飛び退いた
「皆さん!回避だ!」
雷撃が辺りに迸った
「…憎たらしい、これで終わっていればいいものを」
「終わる訳ないだろ。ここまで来て」
俺は炎を二刀に纏わせ雷撃を斬ることで防いで何人かは守れた…が、しかし何人かは避けきれず動けなくなってしまう
「町は無理でもあなた達を捕えればいい、これだけいれば人質として使えるわ」
そうプレシアが言うと辺りから人形兵が出現し始める。こいつはマズイ
「俺が殿を務めるんで負傷した人連れて一旦退避してください」
「な!?しかし武道くん、きみをおいては」
「悪いですけど一番マシなの俺でしょう?」
「それは__」
ここでクロノ執務官から通信が入る
『やれるんだなタケミチ。』
「あたぼうよ。というか俺が倒してしまって構わんのでしょう?1人の方がやり易いんで俺」
『分かった。ここはタケミチに任せて皆下がってくれ!僕がそっちに出る」
「それじゃあ動力炉の方お願いしますよ。キリがない」
『いいだろう。…死ぬなよ」
「…了解。それじゃあさっさと行って下さいね俺守るってより回避型なんで!」
「すまない…いくぞ皆撤退!」
俺はバインドを細長く凝縮させ、ワイヤーのようにして沸き始めた人形兵の1つをからめとって腕力に任せて振り回して退路に寄せ付けまいとする
「アンタの人形頑丈そうだな!いい鈍器になりそうだなっと!」
「…あなたも大概無茶苦茶な真似するわね」
「お褒めいただきどう…も!」
ちょっと引いてんじゃあないよ
「まあいいわ。そこで力尽きるまで遊んでいなさい」
そういって奥に引っ込んでいった。何企んでるかしらないが絶対にろくな事考えてない止めに行かないといけないが退避しきるまで離れすぎる訳にもいかない
「クソッ」
***
プレシア・テスタロッサはアリシア・テスタロッサの遺体を安置している部屋に来ていた
「随分フェイトのことが大事らしいわね…海中で仕事している間に片付けてしまいたいのが丸わかりなのよ」
先ほどの宮園武道の戦闘を見てプレシア・テスタロッサは確信していた。このまま物量では圧し潰す前に管理局がここの動力炉を止められる。あの餓鬼はフェイトほどの出力は無いが近接主体なのもあってかロスを減らすのがやたらうまい。そう感じていた
「それなら向こうを崩せばいいわ、随分情報収集に熱心なことだし利用させてもらうとしましょう」
その頃、結界内では変わらず人形兵の処理が行われていたがここで上空にプレシア・テスタロッサからの通信が映しだされる
『随分調子がいいみたいね、あなた達』
結界内とアースラ艦内では驚きの声が上がる
「母さん!?」
「あの人がフェイトちゃんの?」
そしてプレシア・テスタロッサは続ける
『本当によくも裏切ってくれたわねフェイト…』
「ちが…違うよ母さん…私は…」
『まあ、いいわ、あなたはもういい。あなたが倒した人形兵達と同じくあなたも廃棄よ。せっかく私のかわいいアリシアの記憶をあげたのにそっくりなのは見た目だけ、役立たずでちっとも使えない。この子の身代わりの人形を娘扱いするのも、もうおしまいにするわ』
そう言いながら映されたのは保存されたアリシア・テスタロッサの遺体
「………え?」
艦内のリンディ・ハラオウン達もこの瞬間プレシア・テスタロッサの狙いが分かってしまった
「なんてことを…」
「そんな…あんまりだよ。い、今すぐ通信を遮断しなきゃ!」
しかし時すでに遅し、強固にした通信網によって何かしらはフェイト・テスタロッサに届いてしまう
『結局、作り物の命はしょせん作り物。フェイト、あなたは私の娘じゃないただの失敗作。だからあなたはもういらないわ。どこへなりとも消えなさい!!』
「あ、あああ」
フェイト・テスタロッサは自身の記憶を思い出す。それはもっと幼いころの記憶。母親がまだ微笑みかけ、優しかった頃の記憶。そこでは母親は自分を呼ぶとき、
「いいことを教えてあげる。あなたを作りだしてからずっとね、私はあなたが大嫌いだったのよ」
「あ………」
この瞬間、一滴の涙をこぼし、フェイト・テスタロッサは完全に沈黙した
「フェイトちゃん!」
「フェイト!」
高町なのはが必死に呼びかけ、アルフは悲鳴を上げるようにその名を呼ぶ
バルディッシュとサブマリモンの自動操縦によって海面には浮上した。しかし意識はあるものの反応が薄い
「…アルフさん。フェイトちゃんを連れてアースラに戻って下さい。」
「で、でもここ大丈夫なのかい?」
「今はフェイトちゃんが最優先です!ここは私とユーノくんでなんとかしますから!」
「う、うん分かったよ。」
「ユーノくん!ここから全力全開でいくよ!」
「いいよなのは!結界は僕に任せて思いっきりやって!」
一方時空の庭園ではもう一人この映像を知った者が激怒していた。
「プレシア・テスタロッサアアアア!!!!」
宮園武道は群がる人形兵達を焼き斬り薙ぎ払い自身の逆鱗に触れたものへと突進していく
「よく突破してきたじゃない。でも随分消耗したんじゃあ____」
言い終わらないうちに編み笠が視界を塞いだ
「ッ!?」
瞬間後ろに飛び退き杖を構えた
二つの剣閃が奔ったかと思えば、傘ごと斬られていた。杖を構えていなければ首が飛んでいたのは間違いない
「てめえ最後の一線超えやがったな」
それは熱量に反して凍えるほど冷え切った声だった
「俺はそもそも管理局じゃねえ、ずっと思ってたよてめえをぶった斬ってやりてえってな」
「何を__」
「俺はあの中で唯一殺すこと我慢してた人間だ。でもそれを留めさせてたのはフェイト・テスタロッサの母親であったから…だがてめえは今、それを放棄した。最悪の方法で」
プレシア・テスタロッサには熱と魔力で宮園武道の体が歪んで見え始めていた
「もう一切の容赦する要素は消え失せた」
ソレは装甲を纏っていないにも関わらずあの三本角の黒鬼のようであった
地獄門開門