海鳴産地の魔導戦鬼(旧題:ややガイオウモンのマジカル戦記) 作:町コアラ
『この身を起動させたのはあなたか?』
僕の名前は
で、読み上げたらなんか勾玉が光ってしゃべり始めた。
「???????」
僕が返答もできずにあっけにとられていると
『…どうやらあなたも状況を呑み込めていない様子。なにか言葉にしたものがあるのでは?』
「これ読んだんだけど…」
そうして手紙のことと経緯を話してみると
『…なるほど、どうやらこの家の財産としてこの身は眠っていたようです。起動呪文と一緒に受け継がせることで適応者を探していたのでしょう。』
「というと?」
『今日からあなたはこの身の主となりました。改めて自己紹介をば、この身の名は
それから始まったのは情報交換。仁王という勾玉からは魔法の実在等を、こちらからは現代の常識等々
『魔法がおとぎ話ですか。』
「そう、仁王が前に起きてた?頃は使われていたの?魔法。」
『それが実はよくわからないのです。』
「…え?」
『製作者か以前の持ち主か、何者かによって記録を大方削除されてしまっているのです。覚えているのは言語機能とこの身の名が仁王であることや魔法技術のことです。現在自身の中身を細かく閲覧して調査中です。』
「…それじゃあ仁王も僕も色々勉強しなきゃだね。」
『…正直若からしてみれば気味の悪い話ではないでしょうか、この身は戦うための武器として生み出されたようです。この時代では再び封印処置をして眠らせることが妥当な判断であるかと思われます。』
「眠ってたいの?」
『それは…』
「じゃあいいじゃん起きてて、主?なんでしょ僕。起こしたんならちゃんと面倒みなきゃだよ。」
『…ありがとうございます。若。』
「それじゃあ、父さんと母さんにも紹介しなきゃ。爺様がいなくなっちゃったけど新しい家族だよって」
『あ…それはあまりおすすめできません。』
「なんで?」
『おとぎ話が実在することが周りに知られるとどんな影響があるか測り知れません。ご家族には内密にされた方が良いかと。』
「…そっか、じゃあ仕方ないのかな。それじゃあ僕たちだけのひみつだね。」
そうして僕の
仁王が言うには俺には結構な魔力が有り、動かさないことが多すぎると不意に暴走すると危ないため、訓練というよりは日頃の運動のようなものを始めることになった。それで魔力の扱いや抑え方なんかも勉強できるみたい
デバイスってすごいね、訓練用の空間てのを出せるんだ。
***
若と出会って1年ほど経った。
若の周りは良き人が多いようだ。ご両親をはじめ、近所の喫茶店のご家族は若のおじい様の頃からの付き合いらしく特に親しくさせてもらっている。そこの高町家のなのは嬢とは彼女の父君の士郎殿が大けがを負って家中忙しいときに特に親しくなったそう。
しかし相変わらず苗字にさん付けはどうなのだろう。若が言うにはなかなか変えるのが恥ずかしくてできないそうだが、道場で彼女の兄君の恭也殿に稽古の相手をしてもらうときにはよく、「高町さんだとわかんないぞ~」なんてからかわれることもしばしば、まあ彼に限った話ではないがそのたびに顔赤くして「…なのはさん」なんてちっさい声で呼ぶ姿は見ていられない。
もう観念すればいいのに
小学校に入りご学友も増えた。なのは嬢が金髪の女生徒となにやらトラブルになり取っ組み合いに発展したため慌てて仲裁にはいったが力づくというわけにはいかず、体で割って入ったら二人から顔をはたかれてた。と同時に紫髪の女生徒が「やめて!」と叫んで
それが切っ掛けで二人ともいったん止まったが、なんでも金髪のアリサ・バニングス嬢が紫髪の月村すずか嬢のカチューシャを取ったとか、そこからお互いの話を聞いて改めて仲裁、子供の心は複雑な様なまっすぐな様な、すれ違いが終われば女生徒3人組は仲良しになり、若は女子に混ざるの気まずいと言って距離置こうとしたが
そんなある日、若が雨の中で山猫を拾った。なんとそれは使い魔であった。なんでも主に捨てられたとのこと。若は放っておけるはずもなく、契約し直し、使い魔のリニス殿が新たに家族となった。ご両親には猫を飼わせてくれと若が必死に頼みこんだ。
彼女のデバイスの知識は一流でこの身のメンテナンスなどは彼女が担当となった。自身だけでは正直不安があったので外から診てくれる人材が来てくれたことは本当に有難いものだった。
猫つながりで実家で多数の猫を飼っているすずか嬢とよく話すようになった。
こんなふうに穏やかに過ごしていけるものだと、この身は思い込んでいた。しかし若が2年生になってそれは終わる。
救助隊で働く若のご両親が、現場で亡くなった。
***
2人の葬式を終えて、
『若、お気を確かに、悲しいことですがそれだけではありません。お二人は幼い命を救いきったのです。せめて誇ってあげることが弔いかと存じます。だからどうか顔をお上げください。』
「タケミチ、あなたにはみんながついています。この家だって心配いりません。私が人間態になって保護者ということにすればなんとかなります!書類とかも頑張ればいけます!」
仁王もリニスも俺を慰めてくれている。だけど俺にはどうしても気になる事があった。
「なあ、俺がもし、魔法を本気で習得していれば、2人について行っていれば、助けられたのかな?」
空気が固まる。
「それは、いくら魔法といっても万能なんかじゃありません。タケミチの年齢では可能性は低いと思います。」
「ゼロじゃないんだな。そしてリニスもいればどうだった?」
「そっそれは…でも、どっちにしたってあなたが責任を感じる事では…」
「仁王、お前は2人を誇れるものだと言ったな。」
『…はい。」
「俺もそう思う。だから俺も2人に誇れるようになりたい。」
『よ、良いことだと思います。』
「それは…私もそう思います。」
2人はなんだか歯切れが悪い。
「だからさ、ふたりで俺を鍛えてくれ、本気で、何があろうがみんなを守れるように、ごめんな、これ、命令だ。」
「『…承知』しました。」
ここからは一切の妥協は無い。ひたすらに積み上げる。「あの時ああしていれば」そんな思いは2度とごめんだ。
主人公は現時点だとだいたいヒョコモンといったところでしょうか。
リニスさんにとっては地獄の再来のようなものですね、かわいそうですね