海鳴産地の魔導戦鬼(旧題:ややガイオウモンのマジカル戦記) 作:町コアラ
アリシア・テスタロッサは真っ黒な空間に戻って来た
「で、もういいのか?」
「君のために巻きで頑張ったんだよ?ボロボロなのは変わらないんだから早く治療しないと」
「そりゃありがたいけど今生の別れだろ?」
「いいんだよ。これ以上望むのは欲張りが過ぎるもん」
「そうかい…」
「ホント君家族絡むと甘いよね、気を付けないといつかホントに致命傷になるよ」
「たった今それに世話になった奴がいうことかあ?」
「だからこそってね、おいて行っちゃった側からの警告は聞いておきなよ?たぶんけど君の家族だって置いて行きたかった訳じゃないし、君も置いてく側になってほしくないから」
そういってアリシア・テスタロッサは微笑む
「そう言われたら何も言えなくなるじゃん」
「あんまり自分を切り捨てる判断が早すぎると友達に怒られちゃうんだから」
「ウッ」
宮園武道は思い出した。この後お説教が待っていたことを、そして無茶したことで向こうの機嫌
が悪化しているであろうことを
「ふふ、あーあー生きてるときに会いたかったな。」
「ん?」
「切羽詰まった話ばっかじゃなくてもっと普通に話したかったなあって」
「そりゃあまあ?」
宮園武道が何の話をしたいのかと思っていると
「そしたら君に惚れちゃったりとかしちゃったりしてね!」
「ブッ!?何をいきなり!?」
「そうそう、こういうボケとかツッコミとかくだらない話をしたかったって話」
「怒るに怒れない事情持ってるやつに振られると反応に困るわ!…友達にならなってやるさ。こんなんでよけりゃあな」
彼女の目が点になる
「アハハ!やっぱり君いい奴だ!うん!友達になろう!」
握手が交わされ、少しの沈黙が流れく真っ黒な空間が白みを帯びてきた
「そろそろかな…フェイトのことお願いね!」
「…ああ任された。達者でな」
「あ、それと最後に名前で呼んでほしいかな?」
「じゃあな、アリシア」
「バイバイ、タケミチ。100年はこっち来ちゃダメだからね!」
そして、白が全てを呑み込んだ
「タケくん!」
「タケミチ!」
宮園武道が目を覚ましたのはアースラ内の一室。帰還を出迎えたのは高町なのはとユーノ・スクライアであった
***
俺は丸一日寝ていたらしい、目を覚ましてそれからはいくつかの検査があったが概ね問題は無かった。一点を除いて
ベットの上で半身を起こしている俺の前にはクロノ執務官とリンディ艦長がその説明に来てくれている
「タケミチ、君の目は機能自体は問題ないんだが…以前とは色が変わってしまった」
そう、以前の黒目から魔力光と同じ赤紫へと変化していたのだ
「問題ない、とも言えないですね。地元の知り合いに見られたら面倒だな」
ある意味呑気な俺とは反対に2人は深刻そうな顔をしている
「ごめんなさい。武道さん。後遺症が残ってしまったのは艦長の私の責任です」
なんか謝罪されてしまったが俺には意味が分からない
「え?なんで艦長が謝るんです?自分で自分を殺そうとした相手に相対する最前線望んで、それで他人庇って勝手に重症負ってんですよ?例え死んでも俺が悪いじゃないですか?」
「「………」」
あれ?なんか目が怖いっすねお二人さん
「そうもいかないのが組織というものなの。あなたは大人と比べても戦力としては強いし、地元で斬った張ったをするときは自分で責任とれたかもしれないけれど許可を出した立場である以上責任は管理局に発生してしまう…という話は一旦おいておきましょう。そこらへんは全部織り込み済みで尻拭いすることは決めてますから、でもあなたやっぱり自分を軽んじ過ぎですね?」
「え?」
「大方、人が離れても自分が汚れ仕事してればいいみたいなところか?怒りで殺意持てる自分には適性があるから…とか、な」
ばれてら
「ちょっとオハナシしましょうね」
~10分後~
「病み上がりにこれ以上は酷でしょうからここまでにしておきます」
「とりあえずあれだけの仕打ち受ければ殺意持って普通!覚えておけ」
「はい」
とても疲れた
「しばらく休め、そしたらなのはとユーノとリニスだからな?とても心配していたから面会できるようになれば僕らみたく容赦されると思わないことだ」
「うっ」
既に気が重い
「あとフェイトとアルフは重要参考人として現在隔離されている。いままでは緊急措置ということで艦長の独断で自由にさせてやれたがプレシアを逮捕出来て落ち着いたから上に筋を通さないといけないと思ってくれ」
「えっとそれはどのくらいの期間になるんです?」
「ああ、そこは安心して。大分協力的だったこともあって裁判のために連行という形にはなるけれどその前にあいさつはできるでしょうしその裁判も大分有利になるハズよ」
「それは良かった…」
「ただ裁判の事とか全部含めれば半年ほどはかかるかしら?まあこれに関しては諸々の手続きで最低限かかる期間と思ってちょうだい。それさえ終われば保護観察の名目の元ほぼ自由の身だから」
「保護観察?」
「保護責任者のもとでいい子でいましょうってことよ。ちなみに私が保護責任者になれることになったわ」
プレシアの元にはおいておけないものな、そっちは普通にお縄となっている。模範的にしていれば面会ぐらいは叶うかも、とのこと。俺には関係ないな,テスタロッサが行きたきゃ行けばいい
その後体を休め、本番がやってくる
「タケくんはさあ、バカなの?いやバカなの、そんなことで私たちが離れるとでも思ったの?」
「いやだって敵とは言えぶちのめして気分よくなっちゃうのはヤバいやつじゃん」
「「ハアアア」」
はい、高町とユーノとリニスに詰められております。高町にはバカ認定、ユーノとリニスにはため息つかれてる
「あのねえタケくん?まずリンディさんたちにも言われたろうけどあんなことされて怒るのは当然だし、【仕掛けてきたやつ返り討ちにして気分よくなる人】程度を拒否してたらフェイトちゃんと仲良くなんてできないの」
「うんうん」
「本当、普段なら少し考えたらわかる事でしょうに…」
「タケくんはとにかく自分を卑下し過ぎ!あと他人を綺麗に見すぎ!わかったら今後二度と一人になろうとしないで!」
「はい…」
いやホントまいった。1人で勝手に深刻になってるだけと同い年に説教されると堪えるもんがあるね
「あれ、そういや仁王は?」
「仁王はタケミチが重症を負った時に一緒に損傷、その傷自体は自己修復でも直せる程度でしたがあの後あなたに起きた現象が現象でしたので、精密検査がまだ終わってないんです」
「…?俺になんかあった?ああ目の色が変わったこと?」
「「「え?」」」
***
『若~!!申し訳ございません!!若の身を守ることが出来ずあのようなことに!!』
「気にすんなよ。すぐ動けるようになったんだからむしろよくやってくれたさ」
諸々の検査が終わって仁王も返された
「それで…記憶に無い?」
「まあ…はい?」
そして宮園武道は現在、リンディ・ハラオウンと面会していた
「あいつらにも聞きましたけど、アリシア・テスタロッサが俺に憑りついてた?いったい何のことやらさっぱりで…ジュエルシードがプレシアが見たいものみせてたとかそんなとこじゃないですか?」
嘘である
少年は理解していた。勉学のためや月村すずかとの付き合いで一時期図書館に通い詰めた副産物で当時は何気なく開いた日本神話系の物語で学んだことがある
それはどの物語においても死者の黄泉がえりなんてろくなことにならないこと
ましてや魔導が技術として存在する世界でこの一件が死者蘇生の手掛かりになると見なされればどうなるか想像に難くない。否、想像以上の惨事を巻き起こすであろうこと
なので少年の腹は決まっていた。全力でしらばっくれると
「それは残念ね、あなたからも証言が欲しいところだったのだけど…」
嘘である
彼女は察していた。この少年がしらばっくれようとしていることもその理由も
それは彼女自身も憂慮していたことであった
そして紆余曲折ありつつもこの現象は「ジュエルシードが何かそれっぽく見せたもの」と公的な資料には残されていき、身内だけの公然の秘密となるのはまた別の話
「とはいえ影響はどうしても出てきてしまうの。プレシア・テスタロッサが死者蘇生を目指していたのは明白。以前研究に協力していたリニスさんに聞くことも大分増えてしまったの」
「ってことはつまり」
「リニスさんをすぐにそちらに返すのは厳しくなってしまったわ。プレシアやフェイトさんの裁判のための重要参考人として連行とまではいかなくても…」
「大分強制力は強めって感じですか…」
「もちろんあなたの普段の学生生活や諸々に配慮してこちらから保護者役を見繕ったり気軽に会話できるようにしたりはさせてもらいます」
少年は考えた。この先の事、将来の事を、そして思いついた
「あの…提案、というかお願いしたいことがあるんですけど」
***
数日後
この間に地球組の4人は表彰されちゃったりして、これで一旦帰る運びとなった。リニスもテスタロッサと一緒にいくため今は一緒に帰れる。ユーノもしばらくは高町家に世話になるらしい。モニタモンズをはじめとしたリニスの作品たちは管理局預かりとなった。どのみちリニスいないと管理が厳しいのでしょうがない一足早くいくだけの話だ
「それじゃあみんなまたね!いつでも遊びに来ていいからね!」
「エイミィ!?アースラは遊び場じゃないぞ!」
この2人の漫才もしばらく見納めだ
「ごほん、フェイトの処遇や護送の日程の詳細が決まったら連絡する。タケミチ、君にはそれまでに…」
「了解。ちゃんと決めておきますよ」
「「…?」」
「……」
高町とユーノにはまだ話していない例の件についてだ。リニスはそんな複雑な顔しなくてもいいだろうに
「ユーノくんも帰りたくなったら連絡してねゲートを使わせてあげる」
「はい、ありがとうございますリンディさん」
そして時間がやってくる
「それじゃあそろそろいいかな?」
エイミィさんが操作の準備を終えて、いよいよ帰るときだ
「「「「はい」」」」
「それじゃあ」
「うん、またね!クロノ君。エイミィさん。リンディさん」
「お世話になりました」
高町と俺はそういってアースラを後にした
そして、ある意味おれの戦いはこれからで…
帰ってきた後、(一応)無事に帰って来たお祝いとリニスのしばしのお別れいうことで月村邸に招待された。もちろん魔法を知ってる高町家やバニングス家の大人たちも全員集まってる。…ので、例の件について話した
「「「管理局で働く!?」」」
3人娘はやっぱり驚くよなあ
「どういうことかな?1人になろうとしないでって言ったのもう忘れちゃったのかな?かな?」
「ぐえっ、ち、チギャウ、チギャウ…」
胸倉をつかんでくる高町、それをおさめてくれたのは士郎さんだった
「よしなさい、なのは。武道くん、ちゃんと説明してくれるね?」
俺は話した。
今回の件で魔法関連の情勢について知らなすぎると感じたこと、もっと強くなりたいと思ったこと、あとは家のや目のことを誤魔化しながらこっちで生きていくのは正直厳しいと感じたこと
「今は黒いカラコンをつけて黒目に見せてますけど何かの拍子にばれたら面倒なことになるでしょうし、将来を考えても今から管理局のコネを作っておきたいんです。幸い即戦力にはなれるとお墨付きは貰っています」
「…そうか、わかった」
「ちょっとお父さん!?なんで!?」
高町、というより女性陣はあまりいい顔していなかった。ので、士郎さんの言葉に驚いたようだ
「向こうに戦力の要求を受けての自己犠牲とかではなくて、自分の進路のためなんだろう?漢を存分に磨いてきなさい(こっちも若いころさんざん無茶したしね!何も言えないかな!)」
桃子さんが少しジト目になってる気がするけど気のせいだろう
「ええお父さん本気?恭ちゃんはいいの?弟分が遠くにしかも切った張ったしにいくんだよ?」
「俺は父さんに同意だ。そもそも強さ的にも心配出来る立場じゃないし、要は心配させないぐらい強くなりたいってことだろう。今回も(一応)無事に帰って来たんだ。行かせてやりたいってところかな男としてはな…なのはも行かせてやったらどうだ?」
なんやかんや男組(バニングスや月村のとこのお父さん含め)は味方に付けられたらしい
「むうう、男の人って!確かに!タケくん私より強いけど!」
「そもそも正直に話さなくたって不意打ちで行くことだってできたろうにこうして話してくれてるんなら、その意味を酌んでやってもいいじゃないですかね他のみなさんも」
ほんといい兄貴分持ったと本気でおもった
その後何とか、しぶしぶ、業腹ながら許可を得ることができました。同級生3人以外からは
「「「ぶー」」」
どうすっべまじで…そう考えているとリニスが寄って来た
「…どうしましょうね、タケミチが真面目に考えてのことだというのは私も、もちろんなのは達も分かってるとおもいます。だけど…心配なことには変わらないでしょうから」
「全く、どうしてこう…僕を省いて話進めるかな?僕はタケミチの友達じゃないってわけ?」
「ユーノ?いやそんなつもりじゃあ」
「こういう時こそ僕の出番じゃないか…」
「は?」
「僕がタケミチと一緒に行くって言ってるんだよ。元々欲しがってるのは分かってるしね」
後半は俺だけに聞こえるようにユーノは言った
「ユーノくんが付いていくなら…」
「それなら…」
「…まあ」
ユーノ鬼強えええ!!3人だけじゃなくて奥様方の印象も一気に和らいだぜ!!やっぱ持つべきものは社会経験した友達だな!!
「…でもいいのか?」
「まあ友達困ってるのに放置ってのもね、それに理由が将来の仕事のためって言われちゃあさ…僕が高町家でニートみたくなっちゃうの…まずいなって」
「そ、そうか…」
こうしてなんやかんやで俺とユーノの管理局入りが決定しました
「…てな感じでなんとか許可は下りましたのでこれからよろしくお願いします」
パーティは俺やユーノを含めた送別会となり、その後俺はリンディさんに報告していた
「そう…こちらとしては正直助かります。けれどあなたの家とかはどうするの?」
「まあ売っぱらいますかね?」
「売ってしまうの?」
「しょうがないでしょう…誰もいなくなるんですから」
「それなら…ちょっと提案があるのだけれど」
***
「いいんですか?元々魔法がある世界のユーノはまだしも、タケミチを本当にこっちに引き入れて…」
クロノ・ハラオウンは母親に問うていた
「仕方ないわ…彼、薄々感づいてるみたいだし、それなり以上の使い手たちをそのまま放置して過ごさせるのはどこまでしてあげられるか…私たちの手柄になってくれた半分、先陣切ってこっちに乗り込んできた半分ってところかしら、私たちアースラ乗組員の事は信用してもらえてるみたいだけどその上のことは微妙だから」
「流石にそこまで考えては…いや…平和な世界に居るからこそなのか?」
「とにかく、彼を預けられる保護責任者しっかり見繕わないといけないわ」
「まあそこは問題ないと思いますよ。いい伝手が有りますから、強くなりたいあいつにもピッタリなのが」
***
そんなこんなで数日後、テスタロッサの護送の日程が決まってそれに合わせてリニスも行く、子供組は見送りに行くことになった。「皆に会いたい」とそう言っていたそうだ
「「「フェイト!」ちゃーん!」」
高町達は元気よく駆け寄っていく、それを微笑んで迎えるテスタロッサ、フェレット状態のユーノを肩に乗せ俺は少し後ろから声を掛ける
「よお、テスタロッサ思ったより元気そうだな」
「うん。そっちも元気そうでよかった」
「それじゃあ僕らは向こうに行ってるから」
そういって付き添いのクロノ執務官とアルフ、リニスと共に俺らも離れようとする。女子だけで話したいことがあるだろう
「あ、その、君たちにも残っててほしいな」
「「うん?」」
あれ?俺とユーノも?そして3人は何か察してそそくさと向こうに行ってしまった
「みんなに話したいこと色々考えたんだけど、いざってなるとなかなかセリフが出てこないな…」
「にゃはは。わかる」
「うん、だから担当直入にいうとね私、皆と友達になりたいんだ」
「「「「「???」」」」」
沈黙が流れる
「ダメ…かな?」
「?もう私達、友達じゃない」
「え?」
「何をもったいぶったかと思えば…あの日のお泊りからもうこっちは友達だと思ってたのに、アンタは違ったのね、悲しくなっちゃうなあ」
「え?え?」
「ふふ、アリサちゃん、そんな言い方したらフェイトちゃん困っちゃうよ?」
「あのね、フェイトちゃん。友達になる事なんてすごい簡単なの。名前を呼べばもう友達!だからあの日からとっくに私たちは友達なの!」
「なのは…」
女子たちが手を取り合って笑い合っている。いやあ感動的ないい光景ですなあなんてユーノと見ていると
「あの…それじゃあ君は?」
おっとこっちに矛先がきたか
「あ、タケくんは…」
「えっとまあ俺はいいんだよ。男子にとって同年代の女子相手の名前呼びはちょっとな…そんなことしなくたって俺も友達だと__」
「え?僕は普通に呼べるけど?フェイトってさ、なのは達のことだってそうだし」
ちょっと黙ろうかユーノ、口の端がニヤついてんのばれてっから
「それでも…呼んでほしいって言ったらダメ…かな?タケミチ?」
そんな困ったような顔でそんなお願いされたら断れんじゃないか…
「うぎぎ、わ、分かったって、ふぇ、フェイト!これでいいだろ!うぅここでだけで許してくれ」
「ふふ、結構かわいい弱点があったんだねタケミチって」
そこで俺の顔は真っ赤になって軽く噴火したのが自分でもわかった
「「「あー贔屓だあー!!」」」
これを逃すまいと3人も突っ込んでくる
「フェイトちゃんにできるならあ」
「アタシたちの名前だって呼べるわよね?」
「ね~タケくん!」
ほんとこいつら!
「あ~もうっ!すずか!アリサ!なのは!ここだけな!?他に人がいたりしたら本当に無理だから!」
「「「「「アハハハハハ!!」」」」」
顔が真っ赤な俺に対して皆して笑ってやがる。ユーノは後で〆る
***
そんな騒ぎを遠目で見ていたアルフの目には涙が浮かぶ
「リニス。あんたんとこの子たち、ほんとにいい子たちだねえフェイトがあんなに口を開けて笑ってるよ」
「ええ、本当にそうです」
そういうリニスの目にも涙が浮かんでいた
そして
「時間だ。そろそろいいか?」
ひと時の別れの時間がやってくる
「あ、フェイトちゃん!思い出になる品、これくらいしかないんだけど…」
高町なのはは自分のリボンを解いて渡す
「ありがとうなのは。じゃあ私も」
フェイト・テスタロッサも同じく自分のリボンを解いて渡す
「あ、しまった。そういうの考えて無かった!」
「わ、わたしも!」
「……」
アリサ・バニングスと月村すずかはわたわたし始めるがなにも思いつかず消沈する。宮園武道も同じく考えていなかったがここで慌ててもしょうがないと無言を貫く。自分の引っ越しの時になんか土産持っていくかと考えていた
そしてそれぞれがしばしの別れを告げる
「クロノ君、アルフさん、リニスさん、…フェイトちゃん。バイバイ、またね」
「少ししたら俺とユーノはそっちに行くけどそれまで達者で」
転送の魔法陣の光が発動し、消えるまで行く側も送る側もお互いが手を振りあっていた
そしてそれから少しして
ユーノ・スクライアと一緒に宮園武道も表向きには転校という形で海鳴を離れることになる。
「宮園くん転校してしまうんか。それは寂しくなるなあ」
「まあそれで世話になった奴らに今挨拶回りしてるとこでさ」
挨拶周りの一環で現在は図書館で八神はやてに会っているところだった
「世話っていってもこっちがしてもらってばっかりな気もするんやけど…」
「月村から聞いたんだけど誕生日近いらしいからちょいといい奴をな」
そうして渡されたのは鶴の意匠が施された和紙のしおり
「ええ!?こんないいの貰ってしまって、なんか悪いわぁ」
「そういってくれるなよ。貰ってくれるとこっちがありがたいんだ」
「それじゃあ、素直に受け取っておくわ。ありがとなぁ」
そう、この少年は別れの挨拶と一緒に何かしらプレゼントを配っていた。3人の幼なじみはもちろんクラスメイトたちにも、言うまでもなくフェイト・テスタロッサの時の反省からである
「それじゃあそろそろ行く時間だから」
「うん。ほなまたな!」
「ああ、また!」
そして、自身の家にも別れを告げる事となる
「それにしても助かりましたよ。まさかリンディさんが買い取ってくれるなんて」
「お金は有り余ってたし、私としても武家屋敷の別荘が丸っと手に入るなんてありがたいわ!」
「立地もなのはの家と近いし、何かあったときの拠点化に最適だ」
迎えに来ているのはハラオウン親子。そして宮園邸を買い取ったのもこの親子である
「もうクロノったら、そんなこと言ってると本当にそんな事態が来ちゃうのよ?」
出発の場所はフェイト・テスタロッサと別れた場所と同じ時刻は夜中。そこには高町家、バニングス家、月村家が勢ぞろいしていた
彼女たちへも当然渡してある。プレゼントを
高町家には子供サイズの身長の剣道着姿のコテモン、バニングス家と月村家にはそれぞれ8体の白と黒の子供サイズの西洋甲冑姿のポーンチェスモンズ、諸々許可を経てリニスが開発した魔力報知器の働きをするガーディアンである。*1普段はお手伝いロボのような働きをし、魔法関係で何かあったときに警告を発することが出来る優れものである
「タケくん!本当に!くれぐれも!無茶なことは必要な時だけにしてね!」
「約束だからね!」
「くそっ全く信用がない…」
「ユーノ!こいつの見張りよろしくね!」
「アハハ…了解」
そんな心配を幼なじみ3人から受けて、いよいよ出発の時が来る
「またね!皆!」
「じゃあ、行ってきます!」
「「「またね!いってらっしゃい!」」」
少年は旅立つ次の戦場へと
「ここに俺の保護者になる人が?」
「ああ、ユーノはともかく、お前にはまだ要るからな、だけど安心していい強くしてくれること確実だ。なんせ僕の師匠たちの主だからな」
そこでの出会いは何をもたらすのか
「私がギル・グレアムだ。これからよろしく頼むよ。宮園武道くん」
無印編、完!