海鳴産地の魔導戦鬼(旧題:ややガイオウモンのマジカル戦記) 作:町コアラ
とある無人世界、その夜空を三対六枚の羽を持った白い羽毛に覆われ頭から二本角を生やした巨大な怪鳥がふらふらと飛んでいた。それは川を見つけると降り立ち、長い首を地面に近づけ、始祖鳥を思わせる牙の生えた嘴を大きく開くと
『おろろろろ』
腹の中身を吐き出し始めた
吐き出されたのは生きたなんと人間が4人。大剣を持ち黄色い鎧を素肌に直に纏った剣闘士のような出で立ちの成人男性1名と編み笠に着物の男児1名そして聖王教会のシスター2名
「流石は俺っち、見事な脱出劇だった」
その後ろで
「「生きてる~!」」
同じく胃液塗れのシスター2名は互いに抱き合い無事を確かめあっている
『いやあホント、仮初とは言えマイスターの役割が出来る魔導士が居て良かったよ。じゃなきゃあの場で暴れまわるハメになってたよ』
なんとこの怪鳥、人語を話す
「まず、色々説明して欲しいんだけど」
マイスターと呼ばれたのは宮園武道
はてさて、何故このような頓智気なパーティーが組まれることとなったのか、事の始まりは数日ほど前に遡る
◆◆◆
「聖王教会からの要請~?」
オッスオラ宮園武道、今回はやけにクロノが緊張感を持って依頼で呼びだされたと思ったら宗教がらみと来た
「お前聖王教会についてはどんな認識だ?」
「そちらさんのどでかい宗教。昔の王様を崇めてるんだっけ?」
「まあそんなもんでいいだろう。そっちの知り合いからすぐ動かせる腕の立つ魔導士がいないかとな」
「…しがらみ案件?」
「…まあな」
俺の立ち位置は
「お疲れ様です執務官」
「大変なのはここからだぞ。その内容なんだがな、教会の信仰対象の古代ベルカ王族がらみのロストロギアが見つかったかもしれないってことでな」
「かもしれないとは?」
「色々情報がふわっとしたものばかりなんだがその遺跡調査と場合によってはその場で戦闘になるからな…最悪釣りの可能性もある」
遺跡調査に戦闘ねえ
「あれ、こういう時に頼れるユーノ大先生は?発掘もそうだし結界魔導士としても破格だろ?」
「ユーノには無限書庫の方で情報を集めてもらってる。司書の仕事を紹介して正解だった。全体の効率まで上げてくれたからな…あとあまり本人には言えないが気づかなくていいことまで気づく可能性があるからな」
有能過ぎも考えもんだな
「最悪お前のブレイカーで全部消し飛ばしてこい。完成してるんだろ?」
「実戦はまだだぞ、っていうか消し飛ばせって…確保が最優先じゃなくて?」
「ロストロギアの中でも古代ベルカ産は危険なものが多いんだ。お前に分かりやすく言うとアルハザードが現役だった時代と被るって言えばわかるか?」
「ああ、了解。場合によっては消し飛ばしてくる」
アルハザードと同時期とかそりゃあアカンでしょ
「まだあるぞ、そのロストロギアを狙う犯罪組織の影もあるんだが…プロジェクトFが絡んでるかもしれない」
「なんだって?」
プロジェクト
「さらに言うとプレシア・テスタロッサの古巣の上層部の1人、つまりアリシア・テスタロッサ死亡の真の原因の名前も浮かんできてる」
「…本当に偶然?これ、なんだか俺らに対してピンポイントで喧嘩を売ってきているような案件だけど」
プレシア・テスタロッサが娘のアリシアを失った原因は当時働いていたアレクトロ社で「設計主任」を任されていた新型大型魔力駆動炉による暴走のためであったが、プレシア本人の制止は無視され、お飾りの役職によって全部の責任をおっ被されたものだった。その会社はとっくに存在しておらず、クロノが個人的(ユーノも使った)に足取り追っていたものが今回の話と被ったのだそう
「さあな、なにか狙いがあるかも知れないし本当に偶然かもしれない」
クロノはリンディ提督が保護責任者になったこともあり、テスタロッサの事を既に半分妹のように思っている。だからクロノに喧嘩売っているというのも成立はするが…
「クロノを狙っているにしても露骨すぎるし俺だけ釣っても意味ないだろうに」
「あながちお前狙いが間違ってないかもしれないぞ、自分が結構な有名人というのは自覚しておけよ?お前を人質にすれば僕をどうにかできるとでも思っているのか、お前の体が目的か」
「ここまでの情報が真実なら遺伝子情報目的ってこともあるわけね…」
「そういうことだ」
「で、これが罠であれ対処しない訳にもいかないんだろ?」
「当然だ。ロストロギアという時点で放っては置けないし、色々とプレシア・テスタロッサも落ち着いてきてそろそろあの親子が面会できようかという時期にこんな真似をされて黙っているわけにはいかない。悪いが付き合ってもらうぞ」
プレシア・テスタロッサはあの事件以降、ほぼ寝たきりになっている。元々病気だったのを治療せずに研究に費やしていたのだから当然とも言えるが狂気が持たせていたのだろう、正気に戻ったとたんコレだ。ぶっちゃけあの女単体はどうなろうがどうでもいいが…
「テスタロッサにはまだ情報行って無いんだろ?あいつの耳に入ったら自分も戦わせてとか言い出しかねない。あいつは母親とどんな会話するかだけに頭を回してればいいんだ」
家族の時間を邪魔させるようなことはさせない。残りの時間が短いならなおさらだ
「そうだ。フェイトが余計なことに気をもまずに家族としての時間を過ごすためにその障害になるものは__
「「仮になにか企みがあろうが叩き潰す」」
◆◆◆
その後2人は本局の一室で聖王教会からの人員との待ち合わせに来ていた
「そんで聖王教会さんから来る人と俺の3人で調査ねえ」
「そうだ。主な調査はそちらの人員に行ってもらう。お前の仕事はその護衛ということになる」
「教会の外になるべく情報が出て行かないようにしたいわけだ」
「ロストロギアが本当に在ってしかも聖王がらみなら教会が情報を管理するのが一番手堅いからな、なんやかんだいって古くから伝わるノウハウは伊達じゃない」
そして来客が到着した
「どうも~私、聖王教会から来ました。シスターシエルです。よろしくお願いします~」
それは聖王教会のシスター服を身に着けた青髪で片目を隠したボブカットの一見おっとりとした女性だった
「お久しぶりですねシスターシエル」
「宮園武道です。初めましてシスターシエル」
「あら~ご丁寧にどうも~」
軽い挨拶が終わり仕事の話になる
「で、私の姉妹2人と仕事をしてもらうことになるのですが…」
ちらりと武道を見やるシスターシエル
「カタログスペックは中々優秀ですが、精神面の方はいかほどの物なのでしょうか…ねえ!!」
彼女の足技が炸裂する。それは武道の顔面を捕えていた…が
「これが聖王教会の試験方法なんです?思ったより過激なんですね」
それは届くことは無い。ワイヤーで足をからめとり、手刀はシスターシエルの腹部に押し当てられる。魔力を流せば一瞬で胴を断てる構えだ
「ん~悪い悪い!経歴がなんやかんや人間相手は対応が甘くなってるからいざって時にどうすんだろうなって思ってよ!」
先ほどとは口調から全く違う人間がそこにいた。
「情報源はあるほうがいいですし、周りが
そんな武道の目をのぞき込んでシスターシエルは何かを確信した
「まあ、及第点ってとこかな!これでダメだった時はしゃあない!クロノ執務官もごめんな!」
「…認めてもらえたんなら何よりですけど(殺気も無かったし)」
「ハア…またこんなことしてシスターシャッハに怒られ___
と、クロノのセリフが終わる前に
「シスターシエェェル!!!」
怒号が轟いた
「ほんっとうに申し訳ない!!」
クロノと武道は現在、シスターシエルよりもう少し年上で髪ももう少し短めの紫髪のシスターシャッハの謝罪を受けていた
「まあまあ、お気になさらず…こんなガキが仕事相手じゃ不安にもなるでしょうし」
当の本人は全く気にしていないが
「いやあ、それでもね」
「お姉ちゃんがごめんね」
追加で謝罪しているのがシスターノワールとシスターブラン、この銀髪の姉妹が同行者である
「襲われた本人が許してるしこちらとしては大事にはしませんが、もうちょっと手段を選んで動くようにしてほしいというのは一応言っておきますよ」
クロノは立場上の苦言を一応呈するが口調は軽め、もう慣れたものといった様子
「クロノ執務官に対してもとんだ失礼を…シスターシエルにはよく言って聞かせますので」
シスターシエル本人は他のシスターたちに縛られ、たんこぶを作って気絶している。
閑話休題、仕事の話に戻る
「改めてまとめるとこの2人ノワールとブランが遺跡の調査を担当します。あなたにはその護衛として働いてもらうというのが依頼です」
シスターシャッハが依頼内容をまとめ、打ち合わせは進んでいった
◆◆◆
「そしてここが例の遺跡っと」
俺たち3人組のチームは数日後、とある現・無人世界件の遺跡がある洞窟へと到着していた。ここまでは特に何事もなく平和だった
「それじゃあ私、ブランお姉さんが遺跡調査しているから、周囲の警戒お願いね!」
シスターブランはやけに張り切っている
「あの子年下にいいとこ見せたくてしょうがないみたい。全くしょうがないんだから」
「そういうものですか」
シスターノワールは肩をすくめている。まあ遺跡のうんたらはさっぱり分からんのでお任せして自分の仕事をきっちりこなそう。
ちなみに俺の目は色が変わった以外にも変化があった。魔力ではない何かが見えるようになった。所謂レアスキルという奴で【
「ま、ただの遺跡でした終わり!だったらいいんだけどなー」
「そうですね。世界をどうこうする代物なんて無い方がいいに決まって___
その時、大きな地響きがした。同時に魔力も地下から膨れ上がったのが分かる
「どうやら当りみたいですねどうします」
「これから調査って時なのにー!」
「地下から何か来る!洞窟から離れるよ!」
シスターノワールの言う通りそれはすぐに地下からやって来た
三対六枚の羽を持った白い羽毛に覆われ首の長い頭から二本角を生やした巨大な怪鳥が地下から地面を砕いて飛び上がった
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
ついでになんか叫んでるのが角にしがみついていた。そして振り落とされたソレは
バクンっ
怪鳥に一飲みにされた
まだ終わらない、怪鳥が開けた大穴からドエライ量の反応が駆け上がってきていた。
「シスターノワール、シスターブラン!続いてなにか来ます!凄い量!」
「あーもう!一体何なのこれ~!」
「2人ともとりあえず撤退するわよ!」
俺たちが撤退しようとしたその時、怪鳥が俺たちにターゲットを移したらしい。前方に立ちふさがるように降りてくる
ならばと俺が前衛になって突破口を開こうとすれば、さらに混乱するようなことが起こる
「すまんけどこっちに乗って助けてくれ!あんたら魔力多いだろ!?」
『マイスターが居ないんだよぉ~!!』
さっき飲み込まれたと思った奴が喉の奥から怪鳥と共に話しかけてきた
「「「ハ!?」」」
俺たちは思わず固まる
『「事情は後!」』
そのすきを突かれて、俺たち3人はまとめて飲み込まれてしまった。視界の端に人間のようなものの影が大穴から大量に飛び出てきたのが見えた
◆◆◆
時間は進み、俺たちは離れたところで吐き出された。もう日はとっくに暮れていた
あの後は大変だった。腹の中で卵のような物を持たされた俺は
『うん!君がいい!』
そう言われて魔力供給係となった。抵抗しなかったのかって?文字通り腹の中にいるのに逆らえるわけねえです
吐き出されたあと、川で体を洗って自己紹介となった
「俺っちはモングレイ☆ザ☆ヴィクトリー!一騎当千の英雄とは正に俺っちの事ヨ!」
『ボクはVD310。モングレイにはバドって呼ばれてる。これからよろしくね!マイスターとそのお仲間さん!』
「どうしようお姉ちゃん…私ついていけないかも…」
「…頭痛くなってきたわ」
「あれ?いつの間にかマイスター認定されてる?」
これが4人と1羽?の頓智気パーティーの始まりであり、ここから事件は加速していく
シスター3姉妹 全員孤児
元ネタはシスタモンズ
シエル :16歳、普段はアラアラ系お姉ちゃんで通してる戦闘になるとオラオラ系になる。シスコン。ノワールと双子。2人とは普段は離れて仕事してる。デバイスは日本刀型の【白詰一文字】
ノワール :16歳、天真爛漫で明るい。双子の片割れや妹が周囲に馴染めるように苦労している。デバイスは二丁拳銃【アンソニー】
ブラン :14歳末っ子、年下が仕事で一緒になるのは珍しいので張り切っている。デバイスは三又の槍【クロスバービー】
モングレイ☆ザ☆ヴィクトリー
元ネタはビクトリーグレイモン
家名は無い、ヴィクトリーは自分で勝手に着けた。足に関しては例によってそういう形の足甲
バド
だいたいヴァロドゥルモン