海鳴産地の魔導戦鬼(旧題:ややガイオウモンのマジカル戦記)   作:町コアラ

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今回はリニスや仁王が頑張る話
なのはさん視点もあります


宮園武道育成計画

 宮園武道の両親の葬式、そして強くなると決意した日から2週間程経ったある日。

 

 彼は高町家の経営する喫茶翆屋(みどりや)にて高町なのは、アリサ・バニングス、月村すずかとともにお茶会の真っ最中であった。

 

『…どうしてこうなった?』

『どうもこうも、申し上げた通りです若。リニス殿共々強さを求めるのは承諾しましたがそのために守りたいものを悲しませるなど言語道断。「強くなる」「周りを悲しませない」どっちもやらなくっちゃあいけないのが若の選んだ道です。覚悟はいいですか?我々はできてます。』

『それ女子に混ざってお茶会やんなきゃだめ?』

『だめです。元はといえば若が原因です。それの償いで今ここにいるのですから。それに「師の言うことは絶対」なのでしょう?』

 

 以上、念話による宮園武道と仁王による会話である。

 

***

 

 時は5日ほど遡り…

 

 

 

 私の名前は高町なのは平凡な小学2年生。今は友達のアリサちゃんとすずかちゃんと学校の帰り道。

 だけど皆暗い顔。それはもう一人の友達の男の子(タケ君)が今ここにいないことが原因だ。今日も用事があるってすぐに帰っちゃった。

 

「タケミチくん…もう一緒に遊んでくれないのかな?」

 

 そう呟くのはすずかちゃん。すずかちゃんはタケ君とは猫を飼ってる同士でもあり、おすすめの本をよく紹介しあっていたんだけれど最近できてないみたい。

 

「図書館で見かけたから声を掛けたんだけど、借りてたのは人の体の構造とかお医者さんみたいな難しい本ばっかりで、元気になってほしくて渡そうとした本も、ごめん勉強しなくちゃって断られちゃった。」

 

 もう泣きそうな勢いになってる

 

「あのおバカ、あたしのことも避けて動いてる。見つけたらとっちめてやるんだから。なのはのとこの道場には来てるのよね?どうなの?」

 

 アリサちゃんは口調が強いけどやっぱり落ち込んでる。

 

「うん来てるよ。だけど前までと全然ちがうの。指示されたことには素直だし、変な無茶はしてないみたい。だけど…すごく目が怖くなっちゃった。前は楽しそうにやってたのに今はやるべき修練って感じで皆に丁寧なのも礼儀作法としてやるべきことって感じ。お母さんとお姉ちゃんが止めたほうがいいんじゃないかって言ってたけど、お父さんもお兄ちゃんも渋い顔してるけど指示に従っているうちはやらせてやろうって、男の人同士じゃないとわかんないことなのかな?でも、タケ君にあんな顔してほしくないよ。」

 

 タケ君はお父さんが大けがを負って皆が忙しくなって一人になるのが増えた時手を差し出してくれた。いっしょにあそぼって、一人じゃないよって、それがすごくうれしくってあたたかかった。

 

 変な例えかもしれないけど、寒くて凍えるときはもちろん、そうじゃない日常でも柔らかく包み込んでくれるようなお布団みたいな子だなって思った。1年生のときにアリサちゃんと喧嘩しちゃったときだって間に立って私とアリサちゃんのトゲトゲした感じも和らげてくれた。

 

 でも、今じゃその温かさは様変わりして、まるで溶鉱炉だ。

 

 今までの自分自身の何もかもをドロドロに溶かして新しい形に作り替えてるみたい。これじゃ誰も近づけない。もしかしたら何か大事なものを作っているのかもしれない。だけどそれが完成してしまったとき、タケ君がいなくなっちゃう。そんな気がしてすごく怖い。

 

 今、タケ君は一人ぼっちですらなくて自分も消そうとしてる。そんなのやっぱり嫌だ。

 

「わたしやっぱりちゃんとお話したい。迷惑って言われちゃうかもしれないけど、お家にいってみる。」

「一人で行く気?あたしだって言いたいこといっぱいあるんだから。」

「わたしも行きたい。また一緒に本読みたいもん。」

 

 こうして私たち3人はタケ君のお家に行くことになった。

 

 ただ、新しくタケ君の保護者になったリズ(・・)さん。いきなりいって許してくれるかな?優しそうな人だったし、どこか見覚えがあるきがするから大丈夫…だとは思うけど。…ううん怖くない。怒られちゃったらその時だもん。

 

***

 

 高町なのは達が決意を固めている同時刻

 

 リズという名前で保護者となったリニスは内心頭を抱えていた。

 

 

 

 なんでこうなってしまったんだろう。以前のマスターの命令でその娘を魔導士に育て上げたことがある。だけどそれは悲しい命令で、終われば用済みとして消えることを望まれた。

 今あの子はどうなっているのだろう。悲しい思いをしてるのだろうか。今の状況はあの親子を救えずに新しい優しいマスターのもとで暮らしていた罰なのだろうか。

 今度はマスター自身を育てる事になってしまった。幸いなのはマスターのおじい様が武の道に通じていたこともあり師の言うことは絶対であるという刷り込みがされていたこと。

 私と仁王が師ということになり訓練メニューは休息を大事にし、極力負担がかからないようにしたし、どのような軽い救助活動だろうと実戦は少なくとも次の春になってから、そういう制約をつけてタケミチも素直にうなづいてくれた。

 

 しかし彼は優秀だった。優秀過ぎるほどに。

 

 剣の腕は今までの比ではなく伸びている。魔力も凄まじい伸び、炎熱変換気質を持っていたことが分かり、方針を固めるための間の基礎練習の数日でこれだ。休息や睡眠、そして学業を削っていないことは仁王が確認している。

 そして仁王と相性が良すぎる。目覚めさせたのがタケミチだというから当然といえば当然だけどそれにしたってすごい。

 仁王自体も問題だ。決して主に危険なものという訳ではないが戦闘に特化したまさに兵器。製作者は強度(アームドデバイス)知能(インテリジェンスデバイス)のいいとこ取りをしようとしたらしい。どんだけ資材と資金を使ったのやら、しかも一定以上の魔力がなければ起動すらできない仕様だった。まあベルカ式カートリッジシステムを組み込んでないことから一定の理性は保っていたらしい。汎用化出来ずにお蔵入り。そして眠ることになり長い時間を経てタケミチと出会ったということなんだろうが、なんで管理外世界のここに流れ着いているのかは謎だ。

 結局何が問題かというと、こんな兵器と相性が良いとタケミチは将来大きすぎる力を持って何を成すかということだ。救助活動に使うだけならまだいい。なにか道を踏み外してしまったら大変なことになる。なにか、あの優しいタケミチを繋ぎとめるなにかが必要だ。

 

 その時、インターホンが鳴った。

 

 後に私はこれが福音であったことを知る。

 

***

 

 時間は現在に戻る

 

 

『リニス殿にも言われたでしょう?彼女たちもそのご家族も守りたいものに入っているなら心配かけたり悲しませたりするのは本末転倒。よく遊び、よく学び、よく鍛える。すべて余すことなく若には必要なのです。今回の外のテラスでのお茶会はまあ同級生に見つかればからかわれるかもしれませんが、それは罰として受け入れてください。』

『ぐう、わかったよ。』

 

 

 

 その後、宮園武道に笑顔など表情がだんだん戻り、強さへの執着はあれど、そのために周りを切り捨てて行くことは無く、健やかに鍛えられていくこととなった。

 

***

 

 そして彼らは3年生になる。

 

 後にP・T事件と呼ばれるジュエルシードをめぐる戦いが迫ってきていた。

 




はい、暗黒進化回避の回です。
三年生時点でだいたいブライモンですかね。見た目は羽とかの鳥要素がないので京楽隊長とかFGOの河上彦斎みたいな見た目といったほうが分かりやすいかもしれません。既に二刀流は仕上がってます。
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