海鳴産地の魔導戦鬼(旧題:ややガイオウモンのマジカル戦記) 作:町コアラ
プレシア・テスタロッサとの面会を直前に控えた
『珍しくまいってるねタケくん』
「叩っ斬っていいレベルの所業やった次元犯罪者100人の方が億倍マシ」
『そんなに』
武道は過去一まいっていた
『なんでもなんて言わなきゃいいのに…フェイトちゃんもそんな深刻に考えると思ってなかったんじゃない?』
「気まずいなんてもんじゃあ無いって、おれらガチの殺し合いしたんだぜ?」
『そこは…あの時はしょうがなかったってことにするしか…あ、それよりもお手紙ちゃんと届いてる?』
「それよりって…まあいいや、ちゃんと届いてるよ」
プレシアは外部とリアルタイムでの通信は禁じられているため、なのはが手紙を書いてそれを武道が預かる形での対話の試みであった
「お前も大概肝据わってるよな。あんな事件起こした人間に手紙なんて」
『私は直接対決なんてしていないから
「ハハ、やっぱすげえよ(『友達のお母さん』で済ませられるかよ普通)」
『???』
「ありがとうな。なんか力抜けたわ」
『うん?よくわかんないけど良かった!そろそろ時間だけど、今度はアリサちゃんとすずかちゃんとも都合合わせてね!2人も話たがってたから!』
「了解、頑張るよ。何とか都合つける」
『じゃあね!またね!』
「ああ、またな」
そうして通信は閉じられる
「うし、じゃあ行きますか」
その後、武道は手続きをしていたフェイトとアルフとリニスそしてリンディの4人と合流していた
「どうだった?なのはと話たんでしょ?」
「相変わらず元気そうだったよ。こっちが元気貰うくらいには」
「ふふ、なのはらしいね」
フェイトとのそんな緩い話もそこそこにリンディが最終確認をとる
「それで…本当に会うのタケミチさん?あなたもプレシアも面会中に暴れたりなんてことは無いと思うけど無理に会うことも無いのよ?」
「テスタロッサと約束したんで…それに個人的にも(推定)本来の人格に近い状態は知っておきたいとも思ってますから」
「そう…ならこちらから無理に止める事もないわね。それじゃあ私たちは外で待機しているから、気まずさで耐えられなくなったらいつでも呼んで。無理はしないこと」
プレシアの体調を考慮し、面会は病室でなるべく少人数である事が求められた。そこで最初は子ども達のみで会う事になった
「フェイトのお願いもあるとはいえ、タケミチもよくあの女と会う気になれるね?色々事情があったのは聞いたけどそれでも許せるもんじゃないだろ?アタシは絶対無理だね。フェイトの護衛とかで一緒にとか以外はね」
と半ばあきれて言うのはアルフ
「俺も許した覚えは無いし…とはいえせっかくだし、犯罪者としての顔だけ見て終ろうとしたくない気もする…ってところかな?あと高町からの手紙もあるし」
「やっぱアンタも大概お人よしだねぇ」
「そうかな?」
疑問符を浮かべる武道以外の4人がなにやらニコニコしている中、リニスが後ろから武道に両肩に手を置いて
「はい。武道はとてもやさしい子です」
「リニス?」
「私個人としては、武道がプレシアのこれからを見てくれるのはありがたいのです。使い魔としてどちらとも繋がったことがありますから…どちらにも良い時間を過ごしてほしい。あなたの許さない気持ちと優しい気持ちで見ていてくれたらプレシアもいくらか元に戻って…そしたらそっちのプレシアの事は好きになってくれるんじゃないかって…都合のいい話を夢見ずにはいられないんです」
「あの…」
「すみません。いささか押しつけがましいことを言いましたね…」
「あ、いや…普段あんまわがままとか言わないからそういう願望を口に出してくれんの事態は全然いいんだけどさ」
「?」
「あんま、優しい優しい言われるとさ…なんか、こそばゆい」
それを聞いた武道以外の4人からクスクスと笑い声が漏れる
「と、とにかく!相手の出方次第!何も保障できないからな!」
「まあ、特にもタケミチさんは驚くかもしれないわね、今のプレシアを見たら」
既に面会をしているリンディが言った言葉を武道はすぐ実感することとなる
◆◆◆
「よ、よく来たわね…フェイト、それにボ…ボウヤも…いらっしゃい?」
だあれ?この人?
「え、えと…久しぶり…母さん」
「ど、どうもお邪魔します?」
つい敬語になっちまったやろがい
補助ベットによって上半身を立てる形のプレシア・テスタロッサは知らない顔をしていた。いや、厳密には知っている。アリシアと繋がっていた時に見えた記憶の中のその人にとても近い。違いといえば生気がごっそり抜けていること。本当に狂気も一緒に抜けたらしい。
「…あなた達にはそれぞれ本当に申し訳ないことをしたわ…本当にごめんなさい」
初手謝罪と来たか
「私の答えはあの時伝えたことと変わらないよ。アリシアの代わりじゃなくて、私が母さんの事、大好きだから」
テスタロッサはそのまま前に出てプレシアの手を取り、握る
さめざめと泣き始めるプレシア
うーん、いやどうすっぺ。ここまで毒抜きされてるとか思わんじゃん?少なくとも俺に対しては毒抜けきらずに言葉のどつき合いぐらい出来るかなって思っていた時期がありました
整理しよう
まず、ここからみんなチャラ!「フェイトちゃんのお母さん!これから仲良くしてね!」(裏声)
無理、諸々同情出来る点は多々あるし?初対面の状況が異常事態だったのは分かる。それでも所業がなあ、カス過ぎてなあ
とはいえだ
この場面でなあ、態々「お前の事許せる訳ねえだろカス」とか言えるわけ無いし、心身ともにケアが必要な親子に冷や水ぶっかけることもしたくない。本気で反省してる病人に追い打ちかけて何が楽しいというのか。演技や打算込みならなぁーむしろ楽だったのになー
なんで引き合わせたんだよ文句も付けたくなるが最終的に選んだの俺だし、テスタロッサも殺し合いしたままの関係で終わってほしくなかったんだろう
でもなーなんかなー
「…じゃあ、こっちからもいいですかね?」
涙をぬぐいこちらに向き直る親子。あーあー判決待ちの被告人かっての。目の前にいるのが閻魔様じゃあるまいし
「諸々の事情を加味しても、俺個人への攻撃はともかく、アンタは町や俺の大事なモノにも手を出した。それを許すことはありません」
「…そうよね」
まっすぐ受け止めようとしてる。なら_
「許しはしません…が、今後悔してる気持ちを腐したり、これから親子関係を作ってくことを否定したりもしません。贖罪…みたいな感じで終わらないでくださいね。あんたらの関係はまだ始まってすらいないんだから」
「タケミチ…」
はいそこ、テスタロッサさんは目を輝かせない
「あとリニスとアルフそれに今保護者になってくれてるリンディ提督とその息子のクロノ。そっちと関係修復なり、構築なりしてってくださいね。あとこれは高町なのはから_白い方の
「あ…ええ」
ぽかんとした表情のプレシアの横に手紙を置いて背を向ける
「じゃあこれで失礼します。もう来ないと思います。お大事に」
そして俺は病室を後にした
「はい、お疲れ様タケミチさん。バトンタッチかしら?…やめておいたほうがよかったかしら?」
「いや、どっと疲れましたけど会っといて良かったんじゃないですかね?あとはお願いしますリンディさん。あ、あとテスタロッサには疲れたけど無理まではしてないから気にせずに話しててっていうか話してろって言ってたって伝えてください」
「任されました。じゃああとは休んでて」
リンディさんが行った後はリニスとアルフが声を掛けてきた
「お疲れ様です」
「大丈夫かタケミチ?」
「大丈夫。まあもう会うことも無いだろうし…あとはお前ら巻き込んだから頑張れ。真正面から怒りも受け入れる気でいるぞあの人」
「うげ…なにそれ、それはそれで気持ち悪い」
想像付かないのかアルフは気味悪がり
「やはり…もう会う気はないですか?」
「リニスには悪いけど…」
「いえ…武道が無理をしては意味がないので…」
とまあ、こんな感じで俺の面会は終了した
その後はなんやかんやリニスはもちろん、アルフも「フェイトと一緒なら」とちまちま通うようになる。とはいえ基本は2人で話す時間を作る形で落ち着いたらしい
結構うまくいっているらしい。詳細は知らないが、いい関係を築けているならそれに越したことは無い。ともかく、これにてこの問題からフェードアウト…とか思っていた俺はお笑いだったゼ!
俺はまたしてもプレシアの見舞いに来ていた今度は1人で