海鳴産地の魔導戦鬼(旧題:ややガイオウモンのマジカル戦記) 作:町コアラ
<かぽーん
私、フェイト・テスタロッサは今、白い子やその家族、友人、そのまた家族、それとリニスと温泉に浸かっていた。…なんでこうなったんだろう?
アルフに半ば強引に温泉に連れてこられて来た温泉でジュエルシードを探すため、お客に紛れていたらせっかくだから入っていこうと言われていつも心配かけている分、このぐらいは言うことを聞こうと思って女湯の前に着いたと思えば、この前の白い子と傘の子とそして、いなくなったリニスとばったり出会ったと思ったら、傘の子が
「いやあ!テスタロッサさんじゃないか。奇遇だなあ!」
と声を掛けてきて続けて念話で
『リニスはいまリズって名乗ってて、魔法知ってるのはこの前お前と会った人間だけ!あとリニスはお前ら捨てたとかじゃないから!そっちも余計な騒ぎ起きるのは本意じゃないだろ!?今はあわせろ!!いいな!!!』
「は、はい!」
リニスを見て面食らってた私はいわれるがまま答えてしまった。
私たちはリニス…今はリズの前の職場の家庭教師の生徒ということになりアルフは私の親戚の姉そういう設定で向こうの友人やその家族に紹介された。そしたらリズさんにはお世話になってるとか、旅行で来たの?とか女性陣に話しかけられ、アルフも流れに逆らえずにあれよあれよという間に一緒に温泉に入ることになってそのまま今の状況になっている。
『あの~フェイトちゃんとアルフさん…で良かったよね?私、高町なのはって言うの、お名前だけタケく、タケミチ君から前もって教えてもらっちゃったんだけど家庭の事情はデリケートだからって秘密にされてるから安心してね!』
あの白い子が念話で話しかけてくる。タケミチというのは傘の子のことだろう。
『タケミチは今の私のマスターでプレシアに追い出された後、拾ってくれた恩人です。マスターには必要なことなのでプレシアのことやあなた達の私が知ってる範囲のことを知らせていますが彼は言いふらさずに胸の内に納めてくれています。なのはも私に良くしてくれているので邪険にしないでくれると助かります。』
リニスは前と変わらない笑顔で優しく話してくれる…
『あ、う、うん…』
『そ、そう…』
温泉に浸かって緩んだ頭じゃ私もアルフも情報を処理しきれずに聞き入れるしかなかった。
あれ?こんなゆったりしたのいつぶりだったっけ?
そして温泉から上がると傘の子が瓶にはいったいろんな色をした飲み物を用意していた。
「ほら奢りだ。」
「さっすがタケミチ気が利くわー!」
「ありがとうタケミチくん。」
「私これ~」
白い子含めた同年代の3人が次々受け取っていく。あ、リニスも受け取ってる。
「ほらあんたらも」
「「え?」」
「温泉上がりは牛乳が定番なんだよ。良く知らないなら普通の白いのがまずはおすすめかな。」
とりあえず白い奴を私たちは受け取って、彼が余ったものを飲んでいるのを見よう見まねで開けて飲んでみる。火照った体に染みておいしい。あ、また流されてしまった。すると…
『改めて自己紹介だ。俺は宮園武道。リニスの現マスターだ。まぁ、この前は悪かったよ。殺気全開はさすがに飛ばし過ぎた』
『???謝罪の意味が分からない。あの状況で加害者はこっち、友人が襲われたときの対応としては間違っていない。』
『それでもやりすぎだったとおもったのさ』
『あの白いほうの子もそうだけど、あんたも相当変わってるね。』
『リニスから知ってる範囲の事情は効かせてもらった。現在のことは分からないけど恐らくは親のために動いてるんだろうし、本人が許してるし、個人的にもリニスの教え子なら姉弟子みたいなもんだからな。できるなら争わないで済ませたい。』
『ならジュエルシードには関わらないで、私たちは回収できればすぐに消える。リニスのことは…感謝するけど…』
母さんの願いを叶えてもとの優しい母さんに戻ってもらうんだ。絶対に譲れない
『そうも言っていられない。俺たちが魔法使えなかったら町にどんな被害が出たかわからない。賑やかだったろあの人たち、俺たちはその生活を守りたい。だからどこでどんな暴れかたするかわからないものを放置しておけない。』
『なら戦うしかない。』
『共闘はできないのか?ジュエルシードそのものだけでも厄介なのに人間同士で取りあいしてたんじゃキリがない。変な暴れ方されて管理局が本腰いれて動くような事態になればあんたらの事情も話さなきゃならない。』
『へえ、脅そうってわけかい坊や。』
『違う。通報者としての義務になるだろうって話だ。プレシア・テスタロッサはあんなものを使って何を企んでる?単体でも誰かの願いが入り込んでも大概が暴走して暴れだすような代物、制御できるなんて思っているやつ程とんでもない暴走を引き起こすと相場が決まってる。テスタロッサさん、あんたの母さんに必要なのはジュエルシードじゃなくて病院とカウンセリングだ。』
ああ、この子は本気で案じているんだろう。なによりも事が大きくなる前に収拾をつけたいというのが伝わってくる。それは私たちのためでもある事も、でも…
『母さんが何を考えていても関係ない。私は母さんの願いを叶えるだけ、どのみち最後には争うなら共闘も意味がない。』
この子たちは危険だ。入り込まれればこちらが揺らいでしまう。
『坊や、あんた達みたいな優しい大人に囲まれて育った恵まれた子には分からないよ。おとなしく引っ込んでいることだね。リニスを直接説得に使って泣き落としにかかって来ないで自分が矢面に立とうってとこは主人として評価しといてあげるけどね、これ以上邪魔するならガブッといくしかなくなるよ。』
『…恵まれている自覚はあるさ。』
『君たちが回収済みの物もいずれ渡してもらわないといけない。今日はリニスのこととか飲み物とかのお礼でこの場で事を荒立てたりはしない。…町への被害も極力抑える。だから次に会うときは抵抗しないでほしい。』
これ以上ここにいるとダメだ。そう直感が行っている。私たちは話を切り上げ、牛乳を飲み干してこの場を去ろうとする。
『そうか…なら最後に忠告しておくぞ。』
なんだろうか?自分たちも容赦できないとでも言う気なのだろうか?
『口周りが白くなってひげが出来てる。』
口を拭ってその場を去った。顔が熱くなっていた。
***
『すまん、説得できなかった。』
俺はリニスと高町とユーノに謝罪する
『いいえタケミチ。これは誰でも無理でした。』
『タケくんは頑張ってたと思うよ、私じゃ何も言えなかったと思うし』
『うん、僕も今のタケミチが1人で話してた方法が一番よかったんだと思う。囲んで話しても警戒されるだけだろうしね。』
言葉だけじゃダメだった。だからここからは力を見せて、敵対が一番損だと思わせる方法で行くしかない。
俺たち4人は新たに決意を固めた。
リニスがいるので原作よりは話を聞いてくれましたが、この場で説得しきるのは無理でした。