2032年11月21日 正午 ネレシア島 帝国軍司令部
ヘルムート・フォン・グロスマン中将は、豪華な椅子に座ってワイングラスを傾けていた。
彼の前には、オゼラ全域の地図が広げられている。しかしその地図には、失望を示す赤い線が引かれていた。
ペルデア大森林。帝国軍は、この森を突破することができなかった。
エルフのゲリラ戦に苦しめられ、さらにはアサヒノ国の増援部隊到着を許してしまった。
グロスマンの顔が、怒りに歪む。
「くそっ…!」
彼は持っていたワイングラスを、乱暴にテーブルの上に置いた。
「なぜだ!なぜ、こんな森一つ落とせない!」
グロスマンの怒号が、部屋中に響いた。
その時、彼の後ろにいた副官のフランツ・シュミット大尉が、恐る恐る報告した。
「閣下…やはりエルフたちは森の中でゲリラ戦を展開しております。容易に突破するのは難しいかと…更には休みなく進撃を続けた結果、兵士たちに疲労が…」
「言い訳はいい!」
グロスマンは、フランツを睨んだ。
「結果だ!さっさと結果を出せ!」
「は、はい…」
フランツは慌てて頭を下げ、グロスマンは地図を睨みつけた。
ペルデア大森林を迂回して首都エルフィアを攻略するには、時間がかかりすぎる。
時間をかければかけるほど、敵は防御を固める。それならばと、グロスマンは決断した。
「…ならば森を迂回する必要はない。直接、首都を叩く」
「閣下?」
「ワイバーン部隊を使う。ワイバーン部隊を使って、空挺降下作戦を実施する。森を飛び越えて、直接首都に兵士を降下させる」
グロスマンは地図上のネレシア島から、首都エルフィアへと一直線に指を滑らせた。
それを見てフランツの顔が、驚きに染まった。
「しかし、閣下…空挺降下はリスクが高すぎます。敵の攻撃に晒される危険性が…」
「黙れ!」
グロスマンは、強くテーブルを叩いた。その衝撃で、テーブルの上のワイングラスが倒れる。
「いいか、これは命令だ。ワイバーン部隊、約2,000騎を直ちに集結させろ。歩兵を各2名ずつを乗せ、直接エルフィアを獲る!!総員約4,000名による、大規模空挺降下作戦だ。理解したなら、さっさと準備しろ!!」
「…了解しました」
フランツは、もはやそれ以外の言葉が言えなくなってしまった。彼は敬礼すると、そそくさと部屋を後にした。
グロスマンは窓の近くまで歩くと、そこからは夕日が海に沈んでいく光景が見えた。オレンジ色の光が、彼の脂ぎった顔を照らしている。
「エルフども…貴様らの抵抗も、もうすぐ終わりだ」
彼の目には、狂気が宿っていた。
2032年11月23日 午前9時00分 ネレシア島
島には、ペレンゾ半島から急遽集められた約2,000騎のワイバーンの姿があった。
それぞれのワイバーンには、竜騎兵1名と歩兵2名が乗っている。
竜騎兵はハルバードとサーベルで武装しており、歩兵は剣、弓、そして一部はマスケット銃を持っていた。
竜騎兵と歩兵、合わせて総員約6,000名。帝国軍始まって以来、最大規模の空挺降下作戦だった。
「全騎、出撃!」
竜騎士団長の命令が、辺りに響いた。竜騎兵は手綱を振るい、ワイバーンたちが次々と飛び立っていく。
巨大な翼が空気を叩く音が、轟音となって響いた。
約2,000騎のワイバーンが、隊列を組んでオゼラの首都エルフィアへと向かった。
午前9時30分 ネレシア島とオゼラ本国の間の海洋上空
ワイバーンの大編隊が、海の上を飛んでいた。
地上からは、無数の影が空を覆っているように見えるだろう。
騎士団長は、ワイバーンの背中から眼下を見下ろした。
真下には穏やかな波が立つ青い海が広がっており、前方に視線を移せば広大なペルデア大森林――オゼラ本国の陸地が見えた。
「もうすぐだ…もうすぐ、エルフィアに到達する」
彼は、作戦の成功を確信していた。この大規模な空挺降下作戦で、エルフの首都は陥落するだろう。
しかし、彼らは知る由もなかった。彼らの存在を、遥か遠くから既に察知している者たちがいたということを。
同時刻 アサヒノ国空軍基地
レーダー室では、オペレーターが大量の
「多数の飛行物体を確認!数は…なんて数だ…数は約2,000!ネレシア島から東へ移動中!」
「2,000だと!?」
「このまま行くと、オゼラの首都、エルフィアに数時間で到着します!」
レーダー管制官からの報告に、基地司令官は驚愕する。
「まさか…連中は首都に直接、部隊を降下させるつもりか!?」
「すぐに、ロシア軍に連絡を!」
「それから迎撃機の準備だ!Migの発進を急げ!!スクランブルだ!!」
午前9時35分 ハティリア王国 アルゴスタ空軍基地
ロシア空軍の司令官であるアンドレイ・クズネツォフ大佐は、アサヒノ国からの緊急連絡を受けていた。
「帝国軍が、約2,000騎のワイバーンでオゼラ首都への空挺降下作戦を実施していると?」
「はい。現在、我が軍のMiG-29を緊急発進させていますが、余りにも数が多すぎます。ロシア空軍の支援を要請します」
「了解した。すぐに我が軍のSu-35を発進させる」
アンドレイは、部下たちに命令した。
「緊急発進だ!Su-35を8機出せ!」
「はっ!」
午前9時38分 アルゴスタ空軍基地 格納庫
アレクセイ・"ソーコル"・ペトロフ中尉は自分の乗る機体、Su-35の前に立っていた。
Su-35の周りでは、地上整備員が機体の最終チェックを行っている。
「ペトロフ中尉、機体の準備が整いました」
整備士長が報告すると、アレクセイは機体の周りを歩いて、目視でダブルチェックを始めた。
機首のレーダードーム、
翼端のミサイルランチャーには
翼下のハードポイントには
エンジンの吸気口の異物の吸い込みを防ぐカバーは外されており、主翼のフラップや油圧系統の漏れもない。
機体後部の垂直尾翼、水平尾翼も損傷なし。
エンジンもフレア・チャフの発射口も異常なし。すべて万全だった。
「機体、異常なし」
「どうか無事に帰ってきてください、中尉」
整備長が敬礼すると、彼も敬礼で返す。
そしてアレクセイはタラップを登り、コックピットに乗り込んだ。
座席に座って安全ベルトを締め、ヘルメットを被ると、酸素マスクを装着。
そして、
ヘルメットのバイザーに計器情報が投影される。高度、速度、目標情報、武器状態、全てが視界に表示される。
次に彼は計器を確認した。
燃料:フル
油圧:正常
電気系統:正常
レーダー:起動準備完了
武器システム:R-73×4、R-77×4、30mm機関砲、弾数150発
《アルゴスタタワー、こちらソーコル1。エンジン始動許可を》
《ソーコル1、許可する。エンジン始動せよ》
アレクセイがエンジン始動スイッチを入れると、最初に右エンジンが始動した。低い唸り声が、徐々に高まっていく。
次に左エンジンを点火。2基のエンジンが、完全に始動した。計器を確認。回転数、正常。温度、正常。
《ソーコル1、エンジン始動完了。タキシング許可を》
《ソーコル1、許可する。滑走路27へ》
彼がスロットルをゆっくりと押すと、それに合わせてSu-35がゆっくりと前進を始める。
機体は格納庫から出て、誘導員の指示に従いながら誘導路を進む。他の7機のSu-35も、その後に続いた。
機体が滑走路の端に到着すると、彼は一度機体を止めた。
《アルゴスタタワー、ソーコル隊、全機離陸準備完了。離陸許可を》
《了解した、ソーコル隊。離陸を許可する。風向270度、風速5ノット》
《了解。ソーコル隊、離陸する》
離陸許可を得てアレクセイがスロットルを全開にすると、エンジンが轟音を上げた。
機体が徐々に加速を始め、速度計の針がみるみるうちに上がっていく。
アレクセイは操縦桿を引き、機首が上へと上がり、機体が地面を離れた。
離陸。Su-35は悠々と空へ舞い上がった。
後続の7機も次々と離陸を開始。8機のSu-35編隊が、隊列を組んでオゼラ領空へと向かった。
同時刻 アサヒノ国空軍カミカゼ基地
アサヒノ国空軍所属の戦闘機パイロット、タケシ・オニカワ中尉は自分の
彼は2年前からロシア軍の指導の元、今日まで訓練を重ねてきた。
シュミレーターと飛行訓練では優秀な成績を収めてはいたが、それはあくまでも訓練での話。今回、初の実戦を経験する。
彼の手は震えていた。だが、それは恐怖や不安から来る震えではなかった。武者震いであった。
彼は体の奥底から湧き上がる高揚感を抑えるために、両頬を叩いて喝を入れると機体のチェックに入る。
主翼、尾翼、エンジン、武装、全て異常なし。
「機体、異常なし」
タケシは、整備士長に頷いた。その時、隣の機体から声がかかった。
「タケシ!」
タケシがその声で振り返ると、そこには相棒のケンジ・タナカ少尉がいた。
ケンジは、タケシに近づく。
「初の実戦だな」
「ああ…」
タケシは頷いた。実戦経験がないのは彼や目の前にいるケンジだけではない。アサヒノ国空軍全体が、初の実戦であった。
訓練はこれまで数え切れないほど行ってきた。その経験が、今ようやく生かせる。
彼の胸には、緊張と興奮が入り混じっている。
「気を引き締めていこうぜ」
ケンジが拳を突き出した。タケシはそれに、同じく拳を突き出すことで返した。
お互いの拳がぶつかる。
「必ず勝って帰ろう」
「ああ、生きてな…」
二人は互いに頷き合うと、それぞれの機体に向かった。
タケシはタラップを登り、コックピットに乗り込んだ。
《カミカゼタワー、こちらヒノデ1。エンジン始動許可を》
《ヒノデ1、許可する。エンジン始動せよ》
《ヒノデ1、エンジン始動完了。タキシング許可を》
《ヒノデ1、許可する。滑走路18へ》
《カミカゼタワー、ヒノデ隊、離陸準備完了》
《ヒノデ隊、離陸を許可する。風向180度、風速4ノット》
《了解。ヒノデ隊、離陸する》
タケシの機体が滑走路から離陸すると、ケンジの機体が後ろに続いた。
そして、他の10機のMiG-29SMTも次々と離陸を開始する。
合計12機のMiG-29SMT編隊が空へと舞い上がる。
《…行くぞ、野郎ども》
タケシは、握りしめた操縦桿に力を込めた。初の実戦。
彼は、深く深く息を吸った。
午前9時45分 オゼラ領空 高度8,000メートル
ロシア空軍のソーコル隊は、アサヒノ国空軍のヒノデ隊と合流。
編隊長のアレクセイがレーダー画面を見ると、画面には無数の赤い点が表示されていた。
《…これはまた…異常な数だな》
アレクセイは27歳のベテランパイロットではあるものの、これほどの数の敵は今まで見たことがなかった。
《全機、敵編隊を視認。距離30キロ。高度3,000メートル》
《了解。ミサイル発射準備》
Su-35とMiG-29SMTの編隊は、迅速に敵に接近。
そしてワイバーンの大編隊が、目視できる距離に入った。
《…なんてことだ》
アレクセイは、息を呑んだ。
空を埋め尽くすほどのワイバーンの群れは、まるで巨大な黒い雲のようだった。
《ソーコル隊、全機。R-77ミサイル、発射準備》
《ソーコル2、準備完了》
《ソーコル3、準備完了》
次々と応答が返ってくる。アレクセイのHMDに、ターゲットロックオンの表示が現れた。
《ソーコル1、ミサイル発射!》
アレクセイがミサイル発射ボタンを押すと、機体の下からR-77ミサイルが2発、発射された。
両翼から切り離されたミサイルは白い煙を引いて、真っ直ぐ前方に向かって飛んでいく。
他のSu-35からも、次々とミサイルが発射される。8機のSu-35から16発。12機のMiG-29SMTから24発。
合計40発のミサイルが、ワイバーンの大編隊に向かって飛んでいった。
同時刻 ワイバーン編隊 ペルデア大森林上空
騎士団長は眼下に広がるペルデア大森林を見渡した。遠くには、首都エルフィアの姿が小さく見えている。
「よし、間もなくだな。全騎、気を引き締めろ!!」
首にぶら下げているマナストーンを通じて、部下たちに連絡を入れる。
その場にいる全員が勝利を確信し、エルフ達を蹂躙する光景を思い浮かべていると、その時、遠くから白い煙を引いた小さな物体がこちらに向かって飛んできているのが見えた。
それはまるで矢じりのようだった。そう、ロシア・アサヒノ国が発射したミサイル群だ。
「何だ、あれ…?」
団長は目を凝らした。
ミサイルは猛烈な速度で接近し、そしてワイバーン編隊の左翼に、最初の一発が着弾した。
大きな爆発に一騎のワイバーンが包まれた。竜騎兵と歩兵が空中に吹き飛ばされた。
「な、何だ!?」
団長が驚愕していると、次の瞬間にはまた別のミサイルが他のワイバーンに命中した。
また爆発。そして、また別の爆発。次々とワイバーンが爆発していく。
「敵の攻撃だ!」
団長はあらん限りの声で叫んだ。
「しかし、どこから!?敵は見えないぞ!」
「なんだ…一体何だというのだ!?回避!全騎、回避しろ!」
団長はワイバーンを急旋回させた。しかし、ミサイルはワイバーンを追いかけてくる。
ミサイルのアクティブレーダーが、執拗にワイバーンを捕捉している。
団長は左右に上下と急旋回、急降下を繰り返し必死にワイバーンを操って逃げようとするが、しかし、それでもミサイルは追従してくる。
そして団長の隣を飛んでいた別のワイバーンにミサイルが命中し、爆発。
ワイバーンと兵士たちの体が四散した。文字通り粉々になった死体がバラバラと落ちていく。
「うわああああっ!」
団長の恐怖の悲鳴が、空に響いた。周囲では、次々と仲間たちが撃墜されていく。
ミサイルを振り切れない。回避できない。
ただ一方的に、無慈悲にも撃墜されていく。
「こんな…こんなことが…!こんなものは、戦いじゃない!!虐殺だ!!」
同時刻 ロシア・アサヒノ合同迎撃部隊
アレクセイのHMDに、次々と「目標撃破」の表示が現れた。
《ミサイル命中!敵機撃墜!》
《ソーコル4、敵機撃墜を確認!》
《ソーコル7、敵機撃墜!》
《ヒノデ5、目標に命中!!》
無線から、次々と撃墜報告が入ってくる。
《よし、効果的だな!第二波、機関砲による近接攻撃に移行!全機、突入!》
アレクセイはそう言うと、機体を急降下させた。高度8,000メートルから、3,000メートルへ。
速度がマッハ1.2にまで上がる。突然の攻撃を受けて逃げ惑うワイバーン編隊が、眼下に広がった。
HMDに緑色の照準マークが表示され、照準をワイバーンに合わせた。
そしてアレクセイは、トリガーを引いた。
機首の30mm機関砲GSh-301が火を噴き、毎分1,500発の発射速度でもって30mmをワイバーンに降り注ぐ。
最初の弾丸がワイバーンの翼に命中し、大きな穴が開く。
次の弾丸は胴体に命中して、胴体が裂ける。内臓と骨が空に飛び散る。
そして乗っていた竜騎兵と歩兵にも、弾丸は命中する。
人間の体なぞ、30mm機関砲弾の前では紙きれのように脆いもの。体は最早原型も残らない程吹き飛び、血と肉片が霧散する。
《目標撃破!次!》
アレクセイは、次のワイバーンに照準を合わせた。
同時刻 ワイバーン編隊
飛来してくる鉄の矢じりを回避すること十数分、途端に爆発が収まった。
「お、終わったのか…?」
団長が辺りを見回すと、自分たちよりもはるか上空から飛んでくる鉄の物体を見た。
それは自分たちのワイバーンよりも遥かに速く、そして巨大だった。
「あれは…敵のワイバーンか!?」
団長は驚愕した。見る限り、全身を鉄で覆われた巨大なワイバーンのような何かが、甲高い音を発しながら自分たちに向かってくる。
「全騎!火炎を吐け!撃ち落とすんだ!!」
団長は部下たちに命令すると、それぞれのワイバーンが口を開け、それに向かって火炎を吐いた。
赤い炎が前方に広がるが、しかし
炎は、空しく空中を焼いただけだった。
当然だ。追尾性能もないただの火炎攻撃が、科学技術の粋を集められて作られた時速1,400キロメートルで飛行する第4世代ジェット戦闘機に当たるはずがない。
そして次の瞬間、鉄のワイバーンから業火が吹き出した。
30mm弾が、団長のワイバーンに降り注いだ。ワイバーンの頭部に弾丸が命中し、爆発した。
脳漿が飛び散り、ワイバーンは即死。
そして背中に乗っていた団長や歩兵たちにも、弾丸が降り注いだ。
団長の体に、3発の弾丸が命中。胸、腹、そして左腕。
当然のことながら体はバラバラになった。
団長は自身の身に何が起きたのか理解する間もなく死に、彼の体はワイバーンと共に森へと落ちていった。
同時刻 ロシア・アサヒノ合同迎撃部隊
アレクセイ達は、次々とワイバーンを撃墜していった。機関砲が火を噴き、それに合わせてワイバーンが次々とミンチになっていく。
帝国軍の空挺部隊が何の抵抗もできず、血と肉片を空中に飛び散らせる光景は、まさしく一方的な虐殺だった。
火炎攻撃は戦闘機には当たらない上、回避もできない。乗っている歩兵の弓やマスケット銃では射程も威力も足りない。
彼らはただ、一方的に撃墜されるだけの的だった。
《ソーコル1、残弾20発》
アレクセイが弾薬を確認すると、150発の弾薬のうち既に130発を使用していた。
《全機、弾薬を確認しろ》
《ソーコル7、残15発》
《ヒノデ12、残30発》
《ソーコル4、残10発》
《よし。弾薬が少なくなってきた。一旦、離脱して補給に…》
その時だった。
《隊長!危ない!!》
突然の仲間からの警告に、彼は周囲を見渡すと、撃墜されたワイバーンの巨大な死体がアレクセイのSu-35に向かって落下してくるのが見えた。
体長約10メートル、体重約2トンのワイバーンの死体。それがこちらに向かって落ちてきた。
《まずいっ!?》
アレクセイはとっさに操縦桿を右に倒して回避しようとするが、間に合わなかった。
ワイバーンの死体が、機体の右エンジンに激突。金属が軋む音と共に、エンジンが停止した。
さらには、左エンジンにも肉片やワイバーンの鎧の一部が入り込み、火災が発生した。
《クソッ!!両エンジン停止、火災発生!》
警告音がコックピットに鳴り響き、機体が制御不能に陥った。高度は急激に低下していく。
彼は必死に機体を立て直そうとするも、もはや無駄だった。
《隊長!脱出してください!!》
《…クッ…ソーコル1、脱出する!》
アレクセイは射出座席のレバーを引いた。
キャノピーが吹き飛び、射出座席が作動。強烈なGが体全体に襲い掛かり、彼の体は座席ごと機外に放り出された。そしてパラシュートが開いた。
《こちらソーコル2、アレクセイ隊長の機体が墜落!パラシュート開傘を確認!急ぎ、救助部隊を要請する!!》
アレクセイはゆっくりと降下していく。彼のパラシュートは上空で吹き荒れる突風に煽られ、見る見るうちに流されていった。眼下を見渡すと、既に彼はペルデア大森林を超えて、海の上にいた。
そして、その先には島の姿も見える。
「クソッたれ!よりによってネレシア島かよ…!!」
そこは帝国軍に占領された島、ネレシア島。
彼は、最悪の場所に不時着しようとしていた。
Geminiを使ったAIイラストを付けてみました
最近のAIって本当に凄いですよね...