ロシア連邦、異世界にて飛躍する   作:兎の助

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第三話:国交樹立と技術供与開始

 

 

2030年5月27日 フォルドン王城 大広間

 

「本日、ロシア連邦とハティリア王国は、正式な国交を樹立することをここに宣言する!」

 

国王エルドバランの声が、大広間に響き渡った。

広間には、両国の代表団、そしてハティリア王国の貴族や高官たち約200名が集まっていた。歴史的瞬間を目撃しようと、誰もが緊張した面持ちで立っていた。

 

「我がハティリア王国と、ロシア連邦は、相互尊重と平和的協力の原則に基づき、永続的な友好関係を築くことを誓う!」

 

拍手が湧き起こった。 そして、国王とロシア側代表ヴァルコフ外交官が、正式な国交樹立条約に署名した。

羽ペンで羊皮紙に署名する国王。ボールペンで紙の文書に署名するヴァルコフ。二つの世界の文化が、ここで初めて公式に結びついた瞬間だった。

 

「これより、両国は互いの首都に大使館を設置し、大使を派遣する。そして…」

 

国王は、別の文書を手に取った。

 

「技術協力協定、および通商協定にも、同時に署名する」

 

再び、署名が行われた。

この協定により、以下のことが定められた

 

 

技術協力協定の主な内容:

 

・ロシア連邦は、ハティリア王国に対し、民生技術および一定の軍事技術を段階的に供与する

 

・ハティリア王国は、ロシア連邦に対し、マナストーンを含む鉱物資源のサンプルを提供する

 

・両国は、共同研究プロジェクトを立ち上げる

 

・ロシア連邦は、軍事顧問団をハティリア王国に派遣する

 

通商協定の主な内容:

 

・両国間の貿易において、関税を相互に50%削減する

 

・ハティリア王国は、農産物と鉱物資源をロシア連邦に輸出する

 

・ロシア連邦は、工業製品、医薬品、および技術サービスをハティリア王国に輸出する

 

・両国の商人に、相互に通商特権を付与する

 

 

 

署名式の後、祝賀会が開かれた。

ハティリア王国の伝統料理と、ロシアから持ち込まれたウォッカやキャビアが振る舞われた。

 

「これは…何という飲み物ですか?」

 

ある貴族が、ウォッカを一口飲んで、顔を真っ赤にした。

 

「ウォッカと言います。アルコール度数40度の蒸留酒です」

 

「40度!?」

 

「ロシアでは、これを一気に飲み干すのが伝統です」

 

「一気に…!?」

 

祝賀会は、夜遅くまで続いた。

 

 

 

同日 ハティリア王国 フォルドン王城

 

国交樹立の調印式が終わった夜、エルドバラン国王は一人、執務室の窓に向かって立っていた。

月明かりが、フォルドン港を静かに照らしていた。その岸壁には、ロシアのフリゲート艦がまだ停泊している。灰色の船体は、夜の闇の中で淡く銀色にも見える。

 

国王は、窓の外をしばらく見つめた後、深く息を吐いた。

今日、自分はハティリア王国の歴史を変えた。いや、それどころではない。この大陸、いや、この世界そのものの歴史を変えた。

 

あの鋼鉄の船と共にやってきた国、ロシア連邦。その技術の深さは、まだ把握すらできていない。しかし、一つだけは確かだった。

この国と携わった以上、ハティリア王国はもう元に戻れない。

 

国王は、執務室に向かい、手に取ったのは、ロシア側が提供した「今後の技術協力の優先項目」だった。その資料には、多くの言葉が並んでいた。「発電」「インフラ」「医療」「鉄道」「通信」。

 

彼らが持っている技術の幅は、想像を絶していた。

 

「まず、何から始めるべきか…」

 

国王は、その資料を読み始めた。そして、そこに書かれていたことの一つ一つが、ハティリア王国の明日を形作っていくことになる。

 

 

数日後 ワーザルクト帝国 首都ゾルディア 皇帝宮殿

 

「何だと!?ハティリアが未知の国家と国交を結んだ!?」

 

皇帝ラザリウス・エル・ド・ベラーラは、玉座から身を乗り出した。

 

「はい、陛下」

 

情報大臣が恐る恐る報告した。

 

「その国は『ロシア連邦』と名乗り、東方海域に突如出現したとのことです」

 

「突如出現…?そんな馬鹿なことがあるか!小国の寄せ集めなのではないか?」

 

「しかし、複数の情報源が同じことを報告しております。そして…」

 

情報大臣は一呼吸置いた。

 

「その国の軍事力は…我が国を遥かに上回るとの情報もあります」

 

「何!?」

 

皇帝の顔が紅潮した。

 

「我が帝国を上回る軍事力だと!?証拠はあるのか!?」

 

「港で目撃された彼らの軍艦は…全て鋼鉄製で、魔法を使わずとも航行できるとか」

 

「鋼鉄の船…?そんなもの、海に浮くはずがない!」

 

「ですが、実際に目撃者が多数おります」

 

皇帝は苛立たしげに玉座に身を沈めた。

 

「調査を続けよ。その『ロシア』とやらの正体を突き止めろ。そして…」

 

彼の目が険しくなった。

 

「もしそれが脅威となるならば、早期に排除せねばならん」

 

 

一方、レクセイル魔道帝国 首都ルナリス 帝国議会

 

「新たな国家…ですか」

 

皇帝マグヌス・クリスタリウスは、報告を聞きながら顎に手を当てた。

彼は50代の男性で、冷静かつ計算高い性格で知られていた。

 

「はい、陛下。キトグア大陸東方の海に出現した巨大な陸地、そこから来たとされています」

 

「面白い…突如出現した陸地。それは、大規模な転移魔法と考えるべきか?」

 

「しかし、そのような魔法は理論上不可能です」

 

魔法研究総監が答えた。

 

「いいや、不可能ではない。膨大な魔力さえあれば可能だ。問題は誰がそれを行えるか、だ」

 

皇帝は立ち上がった。

 

「すぐに調査団を派遣せよ。その『ロシア連邦』とやらの正体を確かめる。もし彼らが本当に転移してきたのならば…」

 

彼の目が光った。

 

「その技術は、我が帝国にとって極めて価値がある」

 

 

2030年6月1日 ハティリア王国 レイナス軍事基地

 

国交樹立から5日後、早くもロシアからの軍事支援が始まった。

レイナス——ハティリア王国第二の都市——近郊の軍事基地に作られた臨時滑走路に、ロシア軍の輸送機An-124が着陸した。全長69メートルの巨大な輸送機から、次々と木箱が降ろされていく。

 

「これが…ロシアの武器か…」

 

基地司令官のマイケル・ブロンソン少将と歩兵大隊大将のグスタフ・マグワイア大将は、木箱が開封されるのを見守った。

最初の木箱から現れたのは、黒光りする金属と木で出来た物体だった。

 

「これがAKM自動小銃です」

 

ロシア軍の武器教官、セルゲイ・ノヴィコフ中佐が説明した。

 

「全長:880ミリメートル。重量:約3.1キログラム。使用口径:7.62×39ミリ弾。装弾数:30発。有効射程:約400メートル。発射速度:毎分600発」

 

「毎分600発…!?」

 

マイケルは驚いた。

 

「我が国の弩でさえ、熟練兵でも毎分3発が限度だ…」

 

「これが、現代の歩兵の標準装備です。さらに、こちらをご覧ください」

 

ノヴィコフが次の武器を示した。

 

「RPG-7対戦車ロケットランチャーです。射程500メートル、装甲貫通力は…」

 

「待て」

 

グスタフが口を挟んだ。

 

「対戦車…とは何だ?」

 

「ああ、失礼。戦車とは...装甲化された戦闘車両です。貴国にはまだ存在しませんね」

 

ノヴィコフは少し考えた。

 

「では、こう説明しましょう。この武器は、鋼鉄の装甲を貫通できます。つまり、敵の城門や城壁を破壊できます」

 

「城壁を…!?」

 

「はい。実演しましょう。では君、あの的に向かって撃ってくれ」

 

「ハッ!」

 

ロシア人兵士がRPG-7の弾頭を発射機に装填し、肩に担ぐと、照準器を展開し覗き込む。そして遠くに設置された厚さ10センチの鋼板に向けて、RPG-7を発射した。

 

ボガァァンッ!

 

鋼板に直径30センチの大きな穴が開いた。

 

「…これは…」

 

マイケルはポカンと口を開けたまま何も言えず、グスタフは呆然と呟いた。

 

「反則だ…」

 

「いいえ、これが現代戦です」

 

ノヴィコフは真顔で答えた。

 

「そして、貴国はこれを装備することになります」

 

セルゲイは再びAKMを手に取り、その構造を説明した。

 

「分解も簡単で、整備も容易です。砂漠でも、極寒でも、ジャングルでも動作します。兵士にとって最も信頼できる友です」

 

木箱は全部で1,000箱あった。中には

 

・AKM自動小銃:10,000丁

 

・RPD軽機関銃:500丁

 

・SVD狙撃銃:200丁

 

・RPG-7対戦車擲弾発射器:300基

 

・弾薬:合計500万発

 

・手榴弾:50,000個

 

・その他装備品(VSR-98 BDU、M69歩兵装備一式(弾帯ベルト、サスペンダー、マガジンポーチ、グレネードポーチ、シャベルケース、水筒、銃剣、長靴)、GP-5 ガスマスク、6B7-1M ヘルメット)

 

「これは第一次供与分です」

 

セルゲイは説明した。

 

「今後、段階的に追加の武器を供与していきます。そしてこれらの武器の使用法を、私たち顧問団が訓練します」

 

「よろしくお願いします」

 

マイケルは、深く頭を下げた。

 

 

 

「くっ…!」

 

ローゼリア・アルデンヌ・ハティリア王女は、その様子を遠巻きに見つめ拳を握りしめた。

 

18歳の王女は、幼い頃から武芸に秀で、剣と馬術を愛していた。そして何より、英雄に憧れていた。

 

「あんな…あんな武器で戦って、何が英雄だ!」

 

彼女は苛立たしげに呟いた。訓練場では、ロシアの教官たちが、王国の兵士たちに銃の扱い方を教えていた。

 

「引き金を引けば誰でも殺せる…そんな武器に、一体どんな誉れがある!?」

 

「お姉様」

 

背後から声がかかった。振り向くと、弟のフレデリック王子が立っていた。

 

「フレデリック…」

 

「お姉様、お気持ちは分かります。でも、これは必要なことです」

 

15歳の王子は、姉とは対照的に冷静だった。

 

「必要…?名誉も何もない戦いが?」

 

「ワーザルクト帝国は、我が国の3倍以上の軍を持っています。もし彼らが侵攻してきたら、我々はどう戦うのですか?」

 

「それは…魔法と勇気で…!」

 

「それで勝てるなら、ペレンゾ公国は滅びていません」

 

その言葉に、ローゼリアは黙り込んだ。

 

「お姉様、時代は変わりました。ロシアの出現によって、この世界は変わろうとしています。我々も変わらなければ、生き残れません」

 

「…分かっている」

 

ローゼリアは小さく呟いた。

 

「頭では分かっている。でも、心が…」

 

「時間が解決してくれますよ」

 

フレデリックは優しく微笑んだ。

 

「さあ、城に帰りましょう。父上が呼んでいます。行きましょう」

 

 

 

同日 午後2時00分 レイナス軍事基地 訓練場

 

「整列!」

 

ハティリア王国軍の新兵約500名が、訓練場に整列した。

彼らの多くは、農民や職人の出身だった。徴兵されて数ヶ月。槍と盾の訓練は受けていたが、銃については全く知識がなかった。

 

「諸君!」

 

ロシア軍のセルゲイ・ノヴィコフ中佐が、通訳を伴って前に出た。

 

「諸君らは、今日から現代的な兵士となる訓練を受ける!この訓練は、決して楽なものではない!しかし、この訓練を修了した時、諸君らは大陸最強の歩兵となるだろう!」

 

新兵たちの目が、輝いた。

 

「まず、基本から!銃の取り扱いだ!」

 

セルゲイは、AKMを手に取った。

 

「これがAKM自動小銃だ。諸君らの新しい武器だ。これからこの銃を分解し、組み立て、整備し、そして撃つ方法を学ぶ!」

 

訓練が始まった。

最初は、安全な取り扱い方法。 次に、分解と組み立て。 そして、照準の合わせ方。 最後に、実弾射撃。

 

ダンダンダンダン!

 

初めて銃を撃った新兵は、その反動に驚いた。

 

「うわっ!」

 

「しっかり構えろ!銃床を肩にしっかり当てる!」

 

教官が、一人一人に指導していく。

最初はぎこちなかった新兵たちも、数時間の訓練で、徐々に銃の扱いに慣れていった。

 

 

2030年6月15日 アルメーン獣人連邦 首都ルミナ 大統領府

 

ハティリア王国でのロシアの成功は、すぐに周辺国に伝わった。

 

「我が国も、ロシアと同盟を結びたい!」

 

アルメーン獣人連邦の大統領、バーンズ・ウルフィエは、閣議で宣言した。

アルメーン獣人連邦は、犬、猫、狼、虎などの獣人種で構成される連邦国家だった。人口約109万人。海に面しており、漁業と海運が盛んな国だったが、軍事力は弱かった。

 

「ハティリアが強力な武器を手に入れたと聞いた。我々も同様の支援を受けられれば、周辺国からの脅威に対抗できる!」

 

「しかし、大統領」

 

外務大臣が懸念を示した。

 

「ロシアは我々に何を求めるのでしょうか?」

 

「それを確かめるために、使節団を派遣する。すぐに準備しろ!」

 

こうして、アルメーン獣人連邦も、ロシアとの接触を開始した。

 

 

2030年6月20日 アサヒノ国 銀海市 王宮

 

同じ頃、オーガ族の国アサヒノ国でも、動きがあった。

 

「ロシアか…」

 

アサヒノ国の王、ヤシャ・オマツは、報告書を読みながら考え込んでいた。

 

オーガ族は見た目は人間に似ているが、額から角が生えている日本の鬼のような亜人種で、高い身体能力を持っていた。特に、優れた三半規管と動体視力は他種族にも引けを取らない。

そして日本に似た文化・生活様式をしている国でもあった。

 

「ハティリアが強大な力を手に入れたと聞く。我が国も、ロシアの支援を受けるべきではないか」

 

ヤシャ王は、決断した。

 

「ロシアに使節を送れ。我々も、技術支援を受けたい。その代わりに、我が国が提供できるものを探らねばならぬ」

 

 

2030年7月1日 オゼラ(エルフの国) 首都エルフィア 長老会議

 

しかし、全ての国が即座にロシアを受け入れたわけではなかった。

 

「断固反対だ!」

 

エルフの長老、セレンディル・シルバーリーフが立ち上がった。

 

「ロシアの技術は確かに凄い、それは認めよう。しかし、我々は自然と調和して生きてきた!ロシアの技術など受け入れれば、我々の森は破壊される!工場が建ち、煙が上がり、木々は枯れる!」

 

「しかし、長老」

 

若手の女エルフ、セレンディア・ムーンシャドウが反論した。

 

「ワーザルクト帝国の脅威は現実です。我々だけでは対抗できません」

 

「ならば魔法で!我々には古代から受け継がれた強力な魔法がある!」

 

「それだけでは不十分です!ペレンゾ公国も、ルカタニア王国も、魔法があっても敗れました!」

 

オゼラでは、保守派と革新派が激しく対立していた。

 

保守派:「我々の伝統を守るべきだ。魔法と弓で十分だ」

 

革新派:「時代は変わっている。ワーザルクト帝国の脅威に対抗するには、新しい力が必要だ」

 

議論は平行線をたどった。

結局、オゼラのロシアとの本格的な協力は、後の悲劇を経験するまで待たねばならなかった。

 

 

2030年7月10日 ギッフェア共和国 首都ヴァレンシア

 

「これは…驚異的だ」

 

ドワーフの技術者、グレゴリー・アイアンハンマーは、目の前の設計図を食い入るように見つめていた。

 

ギッフェア共和国は、キトグア大陸随一の工業国だ。ドワーフたちの優れた技術力は、大陸中に知られていた。

 

しかし、今彼の目の前にあるロシアの技術は、その全てを覆すものだった。

 

「これが、内燃機関…」

 

ロシアの技術顧問、イワン・クズネツォフ技師が説明した。

 

「化石燃料を燃焼させ、その爆発力でピストンを動かし、回転運動に変換します。これにより、機械を動かすことができます」

 

「魔法を使わずに…?」

 

「はい。完全に物理的な力だけで」

 

グレゴリーの目が輝いた。

 

「素晴らしい…!魔法に依存しない動力源…これがあれば、我々の工業は革命的に発展する!」

 

「ですが、製造には高度な精度が必要です」

 

イワンは警告した。

 

「部品の誤差は1ミリ以下でなければなりません」

 

「1ミリ…?」

 

グレゴリーは顎をさすった。

 

「確かに難しいが…不可能ではない。我々ドワーフの技術なら…」

 

彼は決意を固めた。

 

「やってみせる!」

 

 

 

 

 

2030年7月15日 アサヒノ国近海 ロシア地質調査船「アカデミック・フェドロフ」

 

アサヒノ国との国交樹立交渉は順調に進んでいた。しかし、ロシア側は一つの問題を抱えていた——アサヒノ国が提供できる資源が、まだ明確ではなかったのだ。

 

「調査結果が出ました!」

 

地質学者のドミトリー・ソコロフ博士が、興奮した様子で船長室に飛び込んできた。

 

「何が見つかった?」

 

「石油です!それに天然ガスも!アサヒノ国の地下、特に銀海市の東方海底に、巨大な油田とガス田の存在が確認されました!」

 

「本当か!?」

 

「はい!地震波探査と重力異常の分析から、推定埋蔵量は石油で約50億バレル、天然ガスで3兆立方メートル以上!これは中東の中規模油田に匹敵する規模です!」

 

これは、まさに大発見だった。

ロシアは自国でも石油と天然ガスを産出するが、この異世界では供給網が限られている。新たな供給源の発見は、極めて重要だった。

 

「すぐにアサヒノ国の王に報告を。この資源を開発する技術を我々が提供し、その代わりに優先的な供給を受ける契約を結びましょう」

 

 

2030年7月20日 アサヒノ国 銀海市 王宮 謁見の間

 

「石油…?天然ガス…?」

 

ヤシャ・オマツ王は、ロシアの地質調査チームの報告を聞いて、困惑した表情を浮かべた。

 

「申し訳ございませんが、それは一体何なのですか?」

 

この世界の人々は、石油も天然ガスも知らなかった。地下深くに眠るこれらの資源は、未発見のままだったのだ。

 

「石油とは、地下深くに埋蔵されている黒い液体です」

 

ソコロフ博士が、サンプルの入った瓶を見せた。

 

「これを精製すると、様々な燃料や化学製品の原料になります。我々の船や車、航空機はこの石油から作られる燃料で動いています」

 

「ほう…」

 

王は、興味深そうに瓶を見つめた。

 

「そして天然ガスは、地下に存在する気体です。これも燃料として、また発電にも使えます」

 

「それが…我が国の地下にあると?」

 

「はい。しかも、大量に」

 

ソコロフは地図を広げた。

 

「この海底部分に、巨大な油田が存在します。採掘には高度な技術が必要ですが、我々にはその技術があります」

 

ヤシャ王は、顧問たちと相談した。そして、決断を下した。

 

「分かりました。貴国に、その…石油と天然ガスの採掘を依頼します。その代わりに、軍事技術と民生技術の供与をお願いしたい」

 

「承知しました」

 

こうして、アサヒノ国はロシアとの間に、資源開発と技術協力の包括的な協定を結んだ。

数ヶ月後、ロシアの技術者たちが海底油田の開発を開始する。そして、アサヒノ国は、同盟国の中でも特に重要なエネルギー供給国としての地位を確立することになる。

 

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