side:ミヨ
これはかぐやとのコラボが終わり、ヤチヨが過去最恐になった日の翌日。
『Luna』の営業が終わり、配信ではなくプライベートでハンティングゲームをしていた夜のこと。
急にチャットアプリから通知音が鳴った。
誰だろうかと考えながらスマホを手に取ると、そこには「帝アキラ」の名前が表示されていた。
内容は
:不躾なお願いとは存じておりますが、一度現実でお会い出来ないでしょうか?少し大切な話をしたいです。
と書いてあった。
こちらとしては帝さんなら人柄も知っているし大丈夫だろうと思い、
:良いですよ、いつにします?
と聞くと
:可能であれば明日にでもお願いしたいです
:分かりました。場所は私の店に来てもらうのでも大丈夫ですか?
あとで住所をお送りしますので。
:本当に店やってたんですね。お邪魔させていただきます。
:ええ、まあ。では明日。お待ちしております。
「なんの話だろうな?…リアルの帝アキラに出会えるのは、ヤチヨへの良い土産話になるか」
ーーーーー
そんなこんなで翌朝、待ち合わせの時間が迫って来ていたのでヤチヨに声をかけて家を出ようとしたが、
「ヤチヨー、いるか?」
『……』
「スリープモードか、なら書き置きしていくかね」
"ヤチヨへ
帝さんに会いに『Luna』に行って来ます。
良い夢を
ミヨ"
「よし、じゃあ行くか」
そして『Luna』に着き、出迎える準備をしていたところで、予定の時間ぴったりに彼が来た。
カランコロン…
「どうも、お邪魔します」
そう言って帝さんが入ってきた。
「やあ、いらっしゃい。好きな席に座ってくれ。」
「それじゃあ、失礼します。あ、これ良かったらどうぞ」
そうして手渡してきたのは、スイーツの有名なお店のロゴが入った紙袋だった。
中身を確認してみると、一日限定20食のショートケーキだった。
「うわ、これあの店の奴じゃないか。いいのかい?」
「そりゃあ、リアルで会いたいなんて下手したら通報案件のお願いを聞いてもらったんだからこのくらい安いものですよ」
「ありがとう、いつか食べたいと思っていたんだ!今紅茶でも淹れよう。二つあるのは君も食べるからなんだろう?」
「あ、バレました?」
「ふふ、じゃあしばらく待っていてね。」
しばらくして、紅茶を淹れ終わった俺は、帝さんと二人でケーキを食べていた。
「やっぱり勉強になるな、あの店は。このクリームなんか、なんでこんなに濃厚なのに軽いんだ?」
「さすがの視点ですね~」
「ん~、これはどちらかというと料理人としてじゃないんだよな。
知り合いにスイーツ大好きな子がいてね。その子のために勉強しているっていうのが主な理由かな」
「へえー、愛が深いですね!」
とからかってきたが、
「まあね、結構長く付き合っているから」
とあまり感情を出さずに答えた。
「…それで、俺に話って、何だい?」
そう聞くと、帝さんは居住まいを正して言った。
「…はい。話というのは、
「…妹?誰が?」
「この店で働かせてもらっている、酒寄彩葉です。
…あっ、自己紹介がまだでしたね。
帝アキラこと、酒寄朝日です。妹が…彩葉がお世話になっております。」
「帝さんが…酒寄のお兄さん…!?
こ、これはどうもご丁寧に…
いつも妹さんには助けてもらっています、葦原見世です。」
「あ、<ツクヨミ>と名前同じなんですね。
…もともと彩葉のことは知ってはいたんです。
母親から実家を出て行ったことは聞いていましたし、
何度か<ツクヨミ>内で見かけることもあったので…かぐやちゃんと一緒に暮らしているのは驚きましたが」
「まあ、あっちからは避けられているんですけどね」
と苦笑しながら、
「それで、この前のかぐやちゃんとのコラボで、彩葉とミヨさんがリアルでの知り合いということを知って、無理を言ってご挨拶に伺った次第です」
「なるほど…酒寄は良く働いてくれているし、この店にはもったいないほど出来た子だ。
こちらのほうが助けられているといったほうが正しい。
…でも、本当の目的はそれじゃないだろう?
ズバリ、妹にリアルで近い男がどんな奴か見定めに来た、と言ったところかい?」
「…すごいですね。まさか当てられるとは。
…その通りです。正直妹をだましているんじゃないかと疑っていました。あいつ、顔もいいし頭もいいですからね。その場合は、たとえあいつに嫌われようと引き離すつもりでした。でも、しっかりとしたお店ですし、ミヨさん本人も誠実な人だということが分かったので杞憂でしたね」
「いや、兄とは妹を心配するものだ。俺も酒寄やかぐやを妹だと思って接してしまうところがあるし、理解できるよ。」
「そう言ってもらえてありがたいです。
改めまして、妹の寄る辺になってくれてありがとうございます。
…けど、かぐやちゃんとイチャイチャしているのは視聴者として許せないですなあ?
ちょっとお話ししましょうか?ミヨさん」
「…お手柔らかにたのむよ」
そうして、かぐやや酒寄との距離感について若干注意される俺なのであった。
「じゃあ、そろそろお暇します。お邪魔しました。」
「ああ、また来てくれ」
「はは…妹がいない時を見計らって来ますね」
「ああ」
朝日君はそう言って帰っていった。
さて、俺もそろそろ帰るか、ヤチヨも待っているだろうしな。
家に帰ると、
『おかえり、ミヨ!』
と笑顔で出迎えてくれたヤチヨに、思わず笑みがこぼれた。
『どうしたの?ミヨ?』
「いや、…幸せだと思ってな」
『ん…ふふっ、そうだね』
そうお互いに笑い合って、残り少ない時間ながらも、今日も一緒に過ごすことのできる幸せを噛みしめるのであった。
ーーーおまけ
「スンスン…店長、お客さんで私に似た男の人来ませんでした?」
「ん?…いや、(客としては)来ていないが」
「なんか含みありませんでした、今?」
「いや、ないヨ、ないない」
「ふ~~~ん…」
「…(勘、鋭すぎじゃないか?)」
ヤチヨ回だと思った?残念、お兄ちゃん回でした!
どうも、あさらこです。
お気に入りが100件を超えていました。
嬉しすぎるのと恐縮すぎるのが合わさってがったがた震えています。
いや、本当のところ、ここまで皆さんに読んでもらえるとは思っていなかったんです。
もともと自分の脳内で考えていたストーリーを忘れないために書いて、ついでに誰かに楽しんでもらえればいいな、くらいに考えていました。
それがこんなに多くの人の見てもらえて、まさに感無量というやつです。
こう思っているのに皆さんに何も返さないでいいのか?と考えたので、
お気に入り100件記念として、皆さんのリクエストに応えたいと思います
これから3日間くらい、見たいシチュエーションみたいなのがあれば感想欄で書いてもらおうと思っていたのですが、どうやら規約違反のようなので活動報告?で聞こうと思います。その中から2~3話くらい選んで書きたいと思います。頑張って書きます。
メッセージボックスでも大丈夫です。
指摘してくれた方、マジでありがとうございました。
そして大変申し訳ございませんでした。
無知って怖いですね。
上がるのは多分週末になるかな?
あ、感想、質問などは感想欄で受け付けています。
それでは、これからもどうぞよろしくお願いします。
それじゃ、また気が向いたときにでも。
追記:この時のお兄ちゃん、実は結構な覚悟で来ています。
なのでちょっと加筆しました。
表現下手でごめんよ…