side:ミヨ
かぐやの様子がおかしい。
あの人型に触られて以降、表面上はいつもの調子を装っていたが、明らかに空元気だった。
しかし、あの瞬間に何が起きていたのかをヤチヨから聞いていた俺は、空元気だと知ってはいたが周りに心配をかけまいとするかぐやの気持ちを汲み、何も聞かないで置いたのだがーーー
「ねえ、ミヨ。少しだけかぐやのお話、聞いてくれない?」
と向こうから言ってきた。
「ああ、もちろんいいぞ」
「ほんと?ありがとう。…これからする話はね、信じられないかもしれないけど、全部ホントの話なの。……かぐやは、かぐや姫だったみたいなんだ」
と自分が退屈で月から来たこと、この前に現れたのは月の住人で、自分の役目を放棄して逃げてきたかぐやを月に戻すためにやってきたらしい。
「……ってことなんだけど、信じてくれる…?」
「もちろん、なんだったらそれで説明がつくことがあるしな」
「えっ、わたし、そんなに疑われるようなこと、してた?」
「いや?言動もあるけど、一番は髪の色が一日で何回か変わってたからだな」
「えっ」
と、自分の髪を触りながら驚いていたが、本題を思い出したのか、神妙な顔つきになりながら、
「それでね、…わたし、次の満月の日に迎えが来て、月に帰ることになったんだよね。
それで多分、もう会えないと思う」
「…そのこと、いろはは知っているのか?」
「ううん、まだ言えてないんだ~。でも、言ったとしてもいろはにはたくさん迷惑かけてきたし「せいせいする」って言われるかもだけどね~」
その言葉に対し、俺は少し苛立ちを感じながら
「いろはが、本当にそんなことを言うと思っているのか」
とかぐやに聞いた。
「…ううん、ほんとは、そんなこと言わないってことくらいわかってる。
でも、悲しませたくないな、って」
「月に帰らないって選択肢はないのか?」
「それは…ダメだよ。役目があるんだもん。…でもほんとはもっといろはと一緒にいたかったな…」
「そうか…なら、いろはに気持ちを伝えて、答えをちゃんと出すんだ。大丈夫、どんなことがあっても君たちが出した答えなら、きっと正しいさ」
「……うん!わかった!ありがとう、ミヨ!
…いろはの次に大好きだよ!またね!」
「はは、それは光栄だなぁ…。またな、かぐや
…うん、やっぱりみんな、ハッピーエンドがいいよなあ…よし」
そう言って出て行ったかぐやを見送り、
俺はあることを決意するのだった。
side:彩葉
あの日以降元気のなかったかぐやを元気づけるため、花火大会に誘った私は、花火を見ながらかぐやから衝撃的なことを聞いたのだった。
即ち、「かぐやは、かぐや姫だったみたい…」と。
かぐやは、心配をかけたくなかったから本当はぎりぎりまでいう気がなかったこと、でもミヨさんからかぐやがどう思っているか、どうしたいかを優先しろと言われて、言うことにしたらしい。
「そんな…そんなのってないよ。私、まだまだかぐやと一緒にいられると思ってたのに」
と思わず泣きながら言うと、
「うん、私だってそうだよ。だからね、いろは。私が帰る日、ライブがしたいんだ。
その思い出を抱えてわたしは帰りたいんだ」
「かぐや…うん、わかった。最高の卒業ライブにするから、任せといて!」
「ほんと!?ありがとう、いろは!」
その日から、私は準備を始めた。
ライブの準備はもちろん、かぐやが月へ帰らなくてもいいようにする準備だ。
「ーーーということなんだ。みんな、お願い!私に協力して!」
そう私は集まってもらったお兄ちゃんたち『ブラックオニキス』の面々やヤチヨ、ミヨさん、そして真実や芦花に頭を下げていた。
「くぅ~っ、まさかほんとにかぐや姫だったとはな!いいぜ、俺もあの子が失われるのは世界の損失だと思ってるし、なにより妹の頼みだ、協力しよう」
「もちろん私たちも、ね」「ね~」
「あ、ありがとう、みんな…!」
そして、返事をしなかったヤチヨとミヨさんのほうを向くと
「もちろん私たちもいいよね、ミヨ」
「ああ、当然だとも」
と受け入れてくれた。
話の後、まだ残っていたヤチヨとミヨさんの元へ行くと
「あれ、いろは!どしたの?何か忘れ物?」
と心配してきたので
「ううん、改めてお礼を言おうと思って。あんな豪華なライブ会場を使わせてくれて、本当にありがとう!」
「いいってことよ~。いろはの頼みなら、私にできることならなんでも叶えちゃう!」
「それに、ミヨさんもありがとうございます!」
「かぐやだって俺の大事な友人の一人だ。当然だよ」
「うんうん、その通り、その通り~」
「二人とも、本当にありがとう…!あっ、もうこんな時間!作曲しなくちゃだから、もう帰るね!それじゃ、また!」
と言って私は現実に帰ってかぐやとの時間を大切に過ごすのであった。
side:ミヨ
「…ふう、全部知ってる、って大変だねえ、ミヨ」
そうヤチヨが去っていくいろはの粒子を見ながらそう言った。
「ああ、…なあヤチヨ。俺は当日、いろはたちと動こうと思う」
「ふうん、どうして?かぐやが帰る運命は変わらないと思うけど?」
「運命だからって全部納得できるものではないよ。むしろ、運命に抗った者こそが俺たちが大好きな人間だったじゃないか。」
「ーーーうん、そうだったね。…ねえ、ミヨ。今日は一緒にいてくれないかな。あの人たちを思い出したら、寂しくなっちゃって」
「…ああ、もちろん」
そう言って一晩、寄り添い合って思い出を語り合う俺たちなのだった。
どうも、この話を書き上げたあと、疲れ過ぎて後書きを書かずに投稿してしまったあさらこです。
やっぱり原作と絡めるのは難しいですね…
自分の未熟さを痛感しました。
次の話題
暗黒面に堕ちそう。
さて、今回はここまで、また気が向いたときにでも。