side:彩葉
「地球の意思…!?それに、ミヨの復活って…?」
「そもそもなんでミヨと同じ姿をしているの…!」
「それに今のミヨさんはどうなってるの…?」
そう私たち三人が問い詰めると、ミヨさんに似たナニカは真顔で
『おや、わかっていませんでしたか。それでは一から説明しますね。
まず、アレーーー「アレ、だなんてモノみたいに言わないで。ちゃんと名前で呼んで」
…名付け親のあなたが言うのであれば従いましょう。
葦原ミヨと言う名の彼は私のデッドコピー、つまりは私の模造品です。
彼は未来視によって見ていた自身の終わりを、自身が見えていなかったところを補完し実現しました。まあ、本来であれば彼と同じ月の魂の模造品がかぐや、そしてもう一人の姫がいなくなったことで役割を担うものがいなくなったために、同一人物の月見ヤチヨを月に戻してシステムを補完しようとしたところで相打ちになっているので、結局あなた方の目の前からいなくなるのは同じですが。
そして葦原ミヨと同じ姿の理由ですがーーー簡単に言えば、これは葦原ミヨの体そのものです。正確に言えば、葦原ミヨの情報を用いてもう一度肉体を再構築した、と言うのが正しいですが。
なぜそんなことをしたのかと言われれば、彼が本来使用するリソースよりも、今回使用したものがかなり少なかったため、その差分を無くし、世界の均衡を守るためにこの肉体の構築と消えかけていた葦原ミヨの魂の保護を行いました。……私は、すべての世界、すべての未来で同じ時に滅びることが確定しています。そのつじつま合わせのようなものですね。
そして葦原ミヨは今、この体に宿っています。ですがかぐや、あなたを助けるときに消費したため記憶は無く、まっさらな新生児と言うべき存在です。
そして、今のままでは葦原ミヨが目覚めることはありません』
怒涛の説明だったが、何とか理解した。したがーーー
「なんでこのままだとミヨが目覚めないの?」
と私たちが思っていたことをヤチヨが代弁してくれた。
『簡単に言えば、情報が足りないのと、彼本人の考えが故です。
まず、情報不足はそのままの意味です。彼が本来持っていた記憶という情報、彼を彼にしたものが無い状態であるためです。
次に、彼の考えが故、と言うところですが…
これは私にはわかりません。私は地球の意思であるためあなた方や彼と比べても格が違うと言ったことが原因で共感能力に欠けていますので。
ああ、葦原ミヨは私のデッドコピーなのになぜ格が違うのか、と言うところに関しては、彼が月見ヤチヨ、あなたや八千年の間に様々な人間とかかわったことで段々と魂の形が人に寄ったことにより、魂の大きさは変わりませんが、格が下がっていったというところです。
彼は晩年私から力を吸い取りにくくなっていましたが、その格の差によるところが大きいですね。
そして、ここからが本題です。』
そう言うと、地球の意思とやらは一度言葉を溜め、言った。
『あなた方は目覚めたくないという葦原ミヨの意思を無視して彼をこの世界に戻したいのですか?あれだけ献身的にあなた方を支えた彼を、またこの現世で苦しませ続けると?』
それは、悪魔のような質問だった。
確かに、ミヨさん本人の意思を無視して呼び戻すのも…そう私が悩んでいると、
そこでかぐやとヤチヨが口を開いた。
「そんなの、私たちがその苦しみを忘れられるように、もっと大きな幸せで上塗りすればいいじゃん!」
「そうだよ。それに…ミヨの意思がどうって話なら、私の、私たちのミヨとまた一緒に過ごしたいっていう気持ちはどうなるの?」
『ふむ、確かに一理ありますね。…酒寄彩葉、あなたはどうですか?』
「私、私は……。うん、私も、まだミヨさんと一緒にゲームしたいし、恩返しがしたい。
それに何より、まだまだミヨさんのいる
そう私の意思を伝えると、
『……わかりました。ならば、あなたたちにはこれから、葦原ミヨを目覚めさせるために彼の記憶を見ていただきます。理由としては、彼の記憶を見せることで、彼の自己を確立させます。
ーーー当世風にわかりやすく言うのなら、「黒歴史を身近な人に見せて、恥ずかしがらせる」と言うのが正しいでしょうか』
「うわっ、趣味悪っ」
『ええ、ですが彼を目覚めさせるにはこれが手っ取り早いと思いまして。
人はだれしも自分の失敗を見られるのは恥ずかしいと聞きましたので。
私にそのような感情はありませんが。
ーーーでは、準備はいいですか?』
「はい」「待っててね、ミヨ…」「オッケーだよ!」
『はい、それでは行ってらっしゃい』
その言葉を聞いて、私たちはプツリと意識を失った。
ーーーおれは、ゆめをみた。
じぶんがおわるゆめだ。そのおわりをみて、おれはなんてみちたりたおわりだろう。とおもった。
だって、あんなにきれいなひとがないておれがきえるのをくいてくれている。
だから、おれはこのおわりにむかってこれからがんばろうとおもった。
次に目覚めたときは、自分の上だった。人間という種の形を俺は選択したらしい。なんでも、あの後にウミウシと呼ばれる生物と交流していたが、
そうして俺は、あの後にウミウシを探すことにした。アレが俺にとっての脅威かそうでないかを確かめるために。
そうしてアレが連れていかれた集落を探し出して向かうと…いた。
そしてどのようなモノなのか、魂を観察しようとして…見惚れた。
あの姿に。あの魂の輝きに。俺はいわゆる一目惚れをしたのだろう。
その視線に気が付いたのか、ウミウシが振り返り…
誰かと問われるのかと思った、思ったのだがーーー
「えっ、なんでミヨがいんの!?」
「??????」
いきなり自分を知ってる感じなんだが???
その後、なぜこんなところにいるのか、ヤチヨはいないのかなど、いろいろ聞かれたが、ウミウシの元へ向かう途中に言語は習得していたが、聞かれていることの意味が分からなくて答えられなかった。だってヤチヨは未来の君でしょう?
その後、俺は集落でミヨとして働いたりして受け入れられたが、三百年もすると、集落の人間は死に絶え、俺とウミウシーーーかぐやだけが残った。
その時点でかぐやはあまりにも周りの人間が死んでいくのでかなり憔悴していた。俺は段々と情緒が育っていたため、かぐや同様に周りの人間が死んでいくことが辛かったし、何より弱っていくかぐやを見るのが嫌だった。だから、「かぐやが言っていたいろはと言う人に再開するまで、旅をして思い出を作らないか」と提案した。かぐやもここから離れたかったのだろう、笑顔などもう作れなくなっていたが、それでも無理やり作った笑顔で「いろはへの思い出話が増えるし、行こっか」と言ったのだった。
そして、旅をして、また親しい人の死をいっぱい見て、俺が目覚めて千年が経とうというときに、俺は思った。そう、俺のこの姿はかぐやが初めて会って、そして看取った人間の、成長した姿である。そしてこの姿になったのは、かぐやの初めて会った人間に似ていると言う特別性によって警戒心が抜けて、排除しやすいようにという理由だと、本体からの情報で知った。
そう考えて俺は、自身がとても罪深い存在なのではないかと、今更思い至ったのであった。
俺は今すぐにでも首を切って死にたくなったが、そんなことをしてしまえばかぐやが本当の意味で一人になってしまう。俺が死ぬのは、いつかの未来で、いろはという人とかぐやが再開した後でなくてはならない。それが、あの終わりなのだろうと悟った。それまで俺は、この罪を背負ったまま、生きながらえなくてはならない。
ああ、ソレは、なんて地獄なのだろうと隣で寝ているかぐやを見て、思った。
どうも、ど素人ことあさらこです。
今回から地獄付き添い編が始まりました。
まあ、一体どちらの地獄に付き添っているんだろう?とは思いますが。
ミヨ君のこれから大体七千年続く罪悪感の終止符が自身の消滅だった、と言うことですね。
やったの『』で話してる地球の意思君ですけど。
どの口が言ってんだと思ってもらえたら。
あと、地球の意思君の解説パートは完全にあさらこの脳内設定を語らせているので『』=あさらこですね。だから大吾郎さんに大役を任せたんでしょうね。あさらこは大吾郎さん大好きなので。
それでは今回はここまで、また気が向いたときにでも。