超かぐや姫!〜地獄の付添人を添えて〜   作:あさらこ

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あ、ああ、あああ、あああああああああああああ!!!!!!!


※今回はできるだけ表現を濁してはいますが戦争の話が出てきます。
苦手な方はブラウザバックをお願いします。



第21話

side:ミヨ

あの子が息子とともに運命を終わらせた時よりおよそ四百年ほど経ち、ようやくあの終わりの光景に近くなってきたように思う。最近になってかぐやが祀られている神社を知り、とても驚いた。これまでに出会った誰かが別れた後に建立してくれたのだろうか。二人でどんなものなのか見に行くと、地域の人たちが良く参拝に来る、地域社会に根差した良い神社だった。

「わたしたちはどうしたって社会からあぶれちゃうのに変な感じだね」と、初めに出会った頃にはなかった諦念と呆れが混じった苦笑いを浮かべてそう言ったかぐやに、俺はどうしようもないほど悲しい気持ちになった。

そして、立ち去ろうとしたときに、ちょうど妊婦が来て、俺とかぐやのほうを見て「あら、神様が来てくださったんですねえ。良かったらお腹にいるこの子が無事に生まれてきてくれるようにしてもらえませんか?」とおっとりとした声で言ってきた。話すウミウシに驚かずに神様扱いとは、さすがはかぐやを祀っている神社なだけはある。

俺とかぐやはどうか無事に生まれてきますように、と祈ったのだった。

 

「これも何かのご縁ですから」と連れられたのは近くにあった大きな日本家屋。そう、彼女は代々神社を管理している宮司の一族だったのである。

その家に何か月か泊まらせてもらったときに、その女性にこの四百年間にあったことを話していた。もちろん、悲しい思い出は極力伏せて。

 

そのうち、特に記憶に残っていることがまた二つほどあったので、女性に語った。

 

一つは俺とかぐやが5年ほど離れ離れになった出来事である。

幕府が徳川家というところに移り、江戸が日本の中心になったなった時のこと。俺たちは蝦夷というところに弘前藩というところから船で向かっていた時のことであった。突然の嵐に見舞われた。本来の俺であれば難なく切り抜けられるものであったが、どうやらかぐやは本来であれば江戸の吉原というところにこの時いなければいけなかったらしく。世界の修正力が嵐の形を持って俺たちを襲ったのであった。曲がりなりにもこの星の魂の模造品であった俺は逆らうことができず、かぐやは嵐によって江戸まで飛ばされてしまったらしい。

そうしてこの後5年間俺たちは離れ離れになってしまうのであった。

 

かぐやのほうは、初め俺がそばにいなくなってしまったためにとても不安定な精神状態であったが、どうやらある花魁に拾われ、どうにか立ち直ってその花魁と二人三脚で太夫を目指す物語が始まったそうなのだが、その話はいったん置いておく。

 

俺のほうは五年間何をしていたのかというと、主に世界の修正力と戦っていた。この時代はどうやら俺が介入してはいけない物語が多くあるようで、かぐやを探して全国を巡っている際に何度も災害や、化け物の形を取って俺の妨害をしてきた。この時代になると、原因は不明だがどんどん俺の力や権能が落ちてきており、突破が難しい状況だった。それでも巻き込まれたりした人を助けつつ何とか突破していると、五年の月日が経っていた。

 

栄えているところに行けば何かかぐやに関する情報がつかめるかもしれないと、俺は江戸へ向かった。江戸に着いて一週間ほど調査していると、何やら面妖な生き物を肩に乗せた吉原一と称される太夫がいることを食事処の隣の席で話しているのが聞こえたため、俺は会いに行ってみることにした。幸い、助けた人間の中には吉原に顔の利く人間もおり、そう時間がかからずに会うことができた。

 

いざ太夫の待つ部屋へ行き、ふすまを開けると、そこには美しい女性の肩に乗っているかぐやがいた。

女性が何かを言っていたが俺の耳にはもう聞こえず、「ミヨぉ!!!」と言って飛びついてきたかぐやしか見えてもいなかった。

そのまま二人で感動の再開を分かち合っていると、ふいにかぐやが「そういえばなんで吉原に来てるの、ミヨ?まさか、女遊びをしようとしてたの…?」となぜか圧を感じる声音で聞いてきたため「かぐやらしき生き物がいると聞いて、探しに来た」とこれまでの話をすると、かぐやは途端に嬉しそうな様子で「やっぱりミヨはわたしのことを探してくれていたんだね…!」と機嫌がよくなっていた。

俺がかぐやにこの後どうするかを聞くと、かぐやは太夫と俺を交互に見て悩んでいた様子だったが、太夫から「もともとあんたの探し人が見つかるまでの約束だったんだ。再会できたんならさっさと行っちまいな」と言われ、かぐやも決心がついたのか「今までありがとう…!あなたと吉原一の太夫を目指して頑張ったこと、絶対に忘れないからね…!」と涙ながらに別れ、また俺と一緒に旅をすることになったのだった。

旅の再開のときに「今回は探しに来てくれたからいいけど、今後は吉原みたいな場所に行って女遊びをしたり、浮気するのは許さないんだからね!」と言っていたのはよくわからなかったが。

俺にそういう人間らしい機能がないことは大昔に教えたはずだから知っているだろうに。

 

次は世界大戦後に出会ったある花売りの女の子の話だ。

明治維新が起こり、大日本帝国となり戦争に明け暮れていた時代。

俺たちは近くの人の来ない神社で暮らしていた。早くこんな戦争早く終わればいいのになと互いに言っていたとき、いきなり大量の戦闘機が飛んできて、空から爆弾を落としてきた。

俺たちはその範囲にはいなかったが、一夜にして東京はがれきの山と火の海になってしまっていた。そのあまりの悲惨さに、俺たちは言葉を失い、それでも生き残った人々が復興しようとする人間の輝きに目を奪われた。そうした中で、俺たちはある女の子と出会った。

 

その子は家族のために花を売っていた。俺とかぐやはその姿に感動して、少しでも生活の足しになればと毎日その女の子に会いに行って花を買って応援しており、あちらも俺たちが来ると嬉しそうに話などをして友人になったのだが、ある日を境にその場所に来なくなってしまった。だけど行けば会えるかもしれないと思い、来なくなっても毎日あの場所に行った。

ある日、今日こそはいるかもしれないと思い、かぐやと一緒にあの場所に行くと、女の子の代わりに妙齢の女性が立っており、女の子を知らないか聞いた。すると、その女性は泣き崩れながらその女の子は女性の娘であり、つい先日、栄養失調で飢えながら「あのお兄さんと不思議な生き物の友達に"会いに行けなくてごめんなさい"って謝ってほしい」と言って息を引き取ったと教えてくれた。

その後、どうやって神社に帰ったかは覚えていない。覚えているのはそこで一度俺たちは完全に心が折れてしまったことだけだ。おそらく、幾度の別れを繰り返してきて、それでも何とか気力だけで持ちこたえていたのに、その出来事がトドメになってしまったのだろう。

俺たちは共依存になり、どうせ親しくなった人と必ずこちらが見送る側になって別れることになるくらいならお互いさえいればいいと神社にこもってしまっていた。

 

そんな失意と絶望と狂気の中にいた俺たちを救い出してくれたのは、あの少女の母親だった。

母親は、家族があの少女しかいなかったようで、毎日神社に来てくれ、俺たちに寄り添ってくれた。「あの子の分まで生きてほしい。広い世界を見てほしい」と何度も何度も励ましてくれた。

その甲斐もあって、俺たちはまた人間社会にかかわる勇気を持つことができ、社の外へと出ることができたのだった。俺がかぐやに料理を教えてもらい始めたのも、この時からだった。もうあの少女のように飢えて死ぬような子だけは出したくないという一心で料理を覚え、炊き出しも行った。

そうして段々とまた社会とかかわり始めたのだった。

 

…と、ここまでが冒頭の女性に話した内容なのだが、それだけではもちろんない。

共依存やあの出来事を完全に克服できたわけではなく、かぐやは笑顔を見せることが少なくなったし、丸一日俺の姿が見えないと心が不安定になるようになってしまった。俺はといえば前からあった終わりを迎えたいという願望が強くなってしまい、あの終わりの夢やこれまで別れた人たちがぼろぼろの姿で怨嗟の声を浴びせてくる夢を見るようになった。

俺たちはそれらと何とか折り合いをつけながら十年ほどを生きてきたのだった。

 

話は冒頭の時代に戻る。女性にこれまでのことを話し、赤ん坊が生まれるまで厄介になった俺たちは、母親の容体が落ち着くのを待ってから出発することにした。男の子の名前は「大吾郎」と名付けたらしい。きっと良い男になるだろうと思いながら俺たちは神社を後にした。

 

東京の様子は段々とあの時見た終わりの時の時代に近づいてきている。

あともうひと踏ん張りすればきっとあの終わりに辿り着けるはずだと、俺は期待していた。

 

 




どうも、ど素人ことあさらこです。
今回は江戸時代~戦後までを描きましたがどうだったでしょうか。

ミヨ君は基本的に思考が人外ベースなので、死生観や別れに対しては人間と同じような情緒を得ていますが、かぐやから見た自身の価値や恋愛観、自己評価に関しては理解できていない、もしくはとても低いです。これはあの終わりの瞬間も変わらず、というか黒歴史を見せられている今も変わっていません。

あと、ミヨ君は生物としての機能は必要ないため、代謝や食事の必要がありません。でも味覚などの五感や汗などは人間社会に溶け込むために必要だからと疑似的に再現しています。

そして、ヤチヨがあれほど現代でミヨに独占欲などを抱くに至った最後の決定打がアレです。
アレが無ければもう少しマイルドか原作のヤチヨに近いものになっていて、ミヨ君とは親友的な距離感だったのかもしれませんね。

それでは今回はここまで、また気が向いたときにでも。

曇らせの時のほうが文字数多いんだよなあ…
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