超かぐや姫!〜地獄の付添人を添えて〜   作:あさらこ

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『さて、これからどうなるのか見ものですねえ…ふふふ…』


第23話

side:彩葉

私は、今とても怒っている。

 

今、私とかぐや、ヤチヨはミヨさんを呼び戻すために、ミヨさんとヤチヨが経験してきた八千年をミヨさんの視点から見ていた。そして、最後のあの場面を見て怒りが沸いてきた。

 

世界の修正力で自分のことがなかったことになるからハッピーエンド?ミヨさん自身の幸せな終わり?文句なしのハッピーエンド?

世界の修正力で消えないくらいの存在感と感情を私たちに植え付けておいて?自分自身の存在が消えることが怖かったのに?なにより、私たちがミヨさんが幸せになる土台を作ったうえで、自分自身が消えれば文句なしのハッピーエンドに辿り着くことができると?

 

なんだそれは、ふざけているのか。

 

そもそも世界の修正力で私たちのミヨさんに対する思いが消えてなくなると思っているところがすでに腹立たしい。私やかぐやだって違和感や感情が溢れて涙を流していたというのに、ヤチヨと八千年過ごしておいて、ヤチヨのミヨさんに対するあの大きすぎる想いに本当に気が付いてなかったなんて、本当に信じられない。なにより、ミヨさんがいなかったら、私たちは誰も文句なしのハッピーエンドになんて辿り着けない。そのことをわからせてあげないと。ふふふ…カクゴシテクダサイネ?ミヨサン…。

そう思っていると、かぐやとヤチヨも同じ気持ちなのか、目に光が無い状態で「一目惚れだったくせに私たちの気持ちは一切考えないんだあ、ミヨってば…」や「ふふふふふ…絶対お説教するからね、ミヨ…」と笑いながら言っていた。

 

『ふむ、なにやら様子がおかしい気がしますが、状態を視ても八千年の記憶に脳が耐えられなかったわけでは無さそうなのでまあそれは置いておきましょう。三人とも、周りを見てください。まだ終わりではありません。』

と地球の意思から脳内で声がかかる。

 

その声に私たちは怒りの声を上げた。

「もともとあんたがミヨさんの姿にあの子の情報を使わなかったらああはならなかったんでしょうが!なに第三者みたいな立場でいようとしてんの?」

「そうだそうだ!」

「わたしはそもそも気づいてなかったし、多分気づいていてもミヨに似てたんだな、くらいで済むと思う。なんで似ているかの理由を聞かされてもミヨは悪くなかったんだし責めることもしない。でも、あなたはミヨに消えない傷をつけた。それをわかっていてあなたはその態度でいるの…?」

そう責めた私たちに、地球の意思は

『ふむ、私は効率的な選択をしただけですし、何より結果的にうまくいったのですからよいではありませんか。それになにより、私のモノをどう扱おうと私の自由ではありませんか?』

と答えた。

 

その答えを聞いて、かぐやとヤチヨはさらに怒りのボルテージが上がっていたが、私は「これ以上怒っても不毛なだけだし、ここじゃああいつがいないとミヨさんを取り戻せないから落ち着こう」と言って二人をなだめた。

『どうやらあなたは合理的な選択ができるようですね、酒寄彩葉』

二人を落ち着かせているときにそう言ってきたヤツに私は

「今はあなたが頼りなのは事実だから。…でも、それ以上ミヨさんの声で合理的だのなんだの言わないで。」

と怒りを込めて言い切った。

 

『おお、怖い怖い。それでは雑談はここらで終わりにしますかね。

コホン…それではこれから、葦原ミヨを救う最終段階に移行します。これからその方法について説明しますが、この件に関しては私も嘘偽りなく葦原ミヨを助けたいと考えていますので、信用して聞いてください。いいですね?』

「はーい。信頼はいらないんですか~?」

そうかぐやが皮肉交じりに言うと

『どうやら私の評価は総じて低いようですし、今回の件に関してだけ私の指示通りに動いてもらえばよいので。そちらのほうが合理的でしょう?』

「…あっそ」

と機嫌悪そうに言うかぐやに対して特に思ったことがなかったようで、ヤツは続けた。

 

『話を続けますね。これまで葦原ミヨ視点の八千年を見てもらいましたが、今の状態ですとまだ葦原ミヨが現世に戻るには足りません。簡単に言えば、今の状態は「居眠りしてたけど知らないうちに母親に部屋に友達を連れてこられていて、黒歴史を見られて目が覚めた」くらいです。なぜまだ無理なのかと言えば、彼が現世に戻らなくてはいけない、戻りたいとは思えていないためです。意識は表層付近にいるのを同じ体にいる私が彼の存在を感知しています。が、「目覚めたくない、またあんな罪悪感を抱えたままかぐやたちのそばにいたくない」という感じで完全な覚醒を拒否しています。彼を真に呼び覚ますのであれば、彼に「この世界に存在していていい、生きていたい」と思わせなければなりません。どうやってそう思わせるかですが、天体の意思である私にはわかりませんのであなた方にお任せしますね。

ちなみに、あなた方が今いる場所は葦原ミヨの精神世界です。私が彼の肉体に憑依しているので彼の精神世界にもある程度操ることができます。なので今から彼の精神世界を操り、彼がいるところまで連れて行きます。準備はよろしいですか?』

「うん」「モチのロン!」「いつでもいいよ」

『それでは、行きます。…もう一人の私を、よろしくお願いしますね』

 

そしてまた、意識が遠のいていくのだった。

 

絶対に連れ戻すから、待っててね!ミヨさん!

 

 

 

「……なにか、すごく恐ろしいものが近づいているような…?」

 




どうも、ど素人ことあさらこです。
何日かぶりにミヨ君以外の視点を書きましたね!
というかずっと暗い話だったので、若干コミカルに描けたことが何気に嬉しかったりします。

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前の話で日間ランキングに載って嬉しい、緊張するっていう話をしたんですけど、なんか2/22の13時時点で日間13位になっていてめちゃくちゃ叫びました。いったい何があったの…
嬉しいのはもちろんなんですが、他の超魅力的な作品と並べられていて大丈夫か…?と不安に思ったりしました。ええ。震えました。

次の話題
唐突にミヨ君の現実改変の話ですが、ミヨ君のは起きたことが決定している事象は変えられませんし未来に起きようとしていることも変えられません。今起きていることのみに対して使うことができます。ただ、楔はどの時代にも打ち込むことができ、その時点から現実改変を起こすことはできます。
まあ長ったらしく書きましたが、要約すると「現在の現実改変はパラドックスが起きない範囲であれば楔なしで使えるけど、過去や未来、パラドックスが起こり得る改変は楔を打ち込まないとできない=ミヨ君は消滅する」と思っていただければ。

それでは今回はここまで、また気が向いたときにでも。

ミヨ君、逃げろーっ!
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