超かぐや姫!〜地獄の付添人を添えて〜   作:あさらこ

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あなたとこんなにきれいな景色を肩を寄せ合って見られるなんて、夢にも思わなかったよ。


星の降る海辺で、月のような君と

side:ミヨ

「今日から先のお休みの日、私たち三人とそれぞれ一日ずつ、二人っきりで過ごしてもらいます!いいよね、ミヨ!」

そう夕飯を一緒に食べようとかぐやといろはの家に来ていた俺に言ったのは、一緒に来ていたヤチヨだった。

 

「別に良いけど、どうしたんだ?」

俺が聞くと、ヤチヨは頬を膨らませながら

「だってミヨ、最近黒鬼たちとのコラボが増えたりだとか『Luna』が忙しかったりして、わたしたちとあんまり一緒にいられる時間が少なかったでしょ?それに、あ〜んなに美人な人とコラボカフェのメニュー作りもしてたみたいだしぃ?」

「そうだそうだー!わたしたちに内緒でどこに行ってるのかな?って思ってたら『Luna』で堂々と浮気だなんて、許せるわけないよね!」

「あの時のミヨさん、悲鳴上げてたしね…。流石に弁解できませんよ?」

「いや、だから浮気ってなんだ浮気って。俺はキミたちとそんな関係じゃないだろうに。それに、あの女性とだってやましいことなんて何もないぞ。本当にただコラボカフェのメニュー開発をしてただけだ。ていうかあんな感じで見られてたら誰だって悲鳴上げるわ!」

 

そう、確かに最近は黒鬼さんと他ゲーマー配信者数名のコラボカフェがあるということで結構な頻度でコラボしていたし、店も繁忙期に入ってしまったのが重なって、中々みんなと会うのが難しかったのだ。

コラボカフェのメニュー作りは単純にその日一緒に作るはずだった、何度も連絡を取り合っていた会社の男性社員が風邪で来ることができず急遽女性の社員さんが来ただけだったのだ。しかもあの社員さん、その男性社員の奥さんだし。

しかし、同時刻にたまたまヤチヨたち三人で遊んでいた時に『Luna』に遊びに行こうという話になったようで、店に来て入ろうとしたところで窓から俺と女性社員さんがコラボメニューを考えているところを見たということだった。そのまま10分ほど三人で外からこちらを見ていたようで、ふと俺が窓の方を見るとそこには目に光がなく、真顔でこちらを見ている三人がいた。俺の様子に気づいた社員さんも三人に気づき、二人して「ひいっ!?」と悲鳴を上げてしまった。

 

その後、社員さんは「きょ、今日はこの辺で失礼します~!」と言って帰ってしまったので俺の言っていることが本当だと証明できる人が誰もおらず、今日この時までいろいろと言われ続けているのだった。

 

「ふんっ、あんな理想の夫婦みたいな光景見せられたらああもなるよ、まったくもう」

「「同上~(です)」」

…こんな感じで。

まあ俺としてもコラボカフェの件は守秘義務があって秘密にするために黙って忙しくしていて三人と会えなかったことに対して罪悪感があったので

「わかったよ。ええと、休みの日丸一日をキミたち一人ずつと過ごすんだったな?」

と話を戻そうとした。すると、ヤチヨが食いついてきて、

「もう、そうやって話をずらそうとして…。まあいっか、ん、んんっ。そう、それぞれと好きなことをして過ごしてもらうよ~」と言った。

 

そこで俺は疑問に思っていたことを聞いた。

「直近の休みと言えば明日なんだが、明日俺は誰と過ごすんだ?」

「「「!!!」」」

どうやら決めていなかったようだ。そのまま三人はゆっくりと構えを取り、言った。

「「「さいしょは、グー!ジャン、ケンーーー!!!」」」

 

ーーー

次の日、俺はーーー

「えっへへ~、ミヨとデートデート~♪」

昨日渾身のグーで勝利を勝ち取った白いワンピースと麦わら帽子姿のヤチヨと、海へ来ていた。

「さて、ヤチヨ?海まで来たけど、何かやりたいことはあるか?」

「うん!えっとね~。二人でゆっくり浜辺を歩いたり、潮風を一緒に浴びたいなって。やっちょたち、長い間旅してきたけど何もせずにゆっくりと過ごすってことはあんまりしたことなかったじゃない?つらい思い出のある所から離れたり、戦から逃げたりさ。それこそ、ねねたちと一緒に旅した時とかくらいじゃないかなあ?だから、今日は二人でゆっくりのんびり過ごしたいな♪」

「なるほど、確かになあ…。よし、それじゃあ今日はゆっくり過ごすってことで」

「やった!…まあ、それだけじゃないんだけど、それは後のお楽しみってことで。ほら、早速海辺を歩こ☆」

 

そうして、俺とヤチヨは海辺を歩いたり、

「ふふふ、砂の感触、太陽の暑さ、海水の冷たさ。世界を肌で感じてる気がするな~」

「はは、そうだな。…確かに、効率的になってる現代社会の弊害ってやつかな?いつもあわただしく過ごしているからそんなことに気を回していることが無いな。でも、こういう風にたまには効率的にじゃなくて、ただ自然を感じるっていうのもいいのかもな」

「そうそう、心に余裕を持つには、気ままに、ゆっくりと。一呼吸置くことが大事なのです☆」

「さすが、勉強になります。先生」

「うむうむ、くるしゅうないぞ~」

 

海岸沿いのソフトクリームやジェラートの屋台に行ったり。

「はむっ。……ん~~!このイチゴのジェラートおいし~!」

「あむ。…おお、こっちのみかんのジェラートもなかなか…」

「いいなあ~。…!ねえミヨ、一口ちょーだい?」

「ん?…はい、どうぞお姫様?」

「はむ。…うん!これもおいしいね!…それに間接キス、しちゃったし……///

「聞こえてるぞー。まったく、こっちをからかって…」

「…!ミヨ、耳赤いよ?」

「うるさい。次行くぞ次!」

「ふふふ、恥ずかしがっちゃって…。あ、ミヨー!待ってよー!」

 

防波堤に並んで座って夕日を見送ったりした。

「夕日、きれいだな…」

「そうだねー…」

あまりにもきれいなその光景を、俺たちは静かに見ていた。

 

夕日が完全に水平線に消えていくのを見送った俺たちは、暗くなった砂浜で波の音を聞きながら肩を並べて座っていた。

「いつもみたいにみんなでワイワイするのもいいけど、たまにはこうしてゆっくり過ごすのもいいでしょ?」

「ああ、いいリフレッシュになったよ。ありがとな、ヤチヨ」

「こちらこそ、だよ~。……そろそろ、かな?ねえミヨ、ちょっと上を見てくれない?」

「ん?なにがそろそろなん、だーーー」

ヤチヨに言われるがまま上を見ると、そこにはーーー

(ソラ)一面を埋め尽くす、たくさんの流星群が流れていた。

「うわあ…。すごく、綺麗だ…」

人は本当に美しいものを見た時、単純な感想しか出てこなくなるとどこかの誰かに聞いたことがあったが、本当なんだな。

 

そんな俺を見ていたかぐやは、ドッキリ大成功!と言わんばかりの笑顔を見せて、

「ビックリしたでしょ?これをミヨと一緒に見たかったんだよね~☆

…ね、ミヨ。一つお願いがあるんだけど、いいかな?」

「ん?なんだ?」

「今だけでいいから。わたしのこと、かぐやって、呼んでくれないかな」

そう言われて、俺は、在りし日の、一緒に旅をしたかぐやを見た。

「ああ、もちろんいいとも、かぐや」

「……うん。ありがとね、ミヨ。

…今も昔も、私はミヨにいっぱい助けてもらってる。本当に、ずーーーっと」

「それは、俺も同じだよ。今までも、あの地獄のような旅路の中でも、俺はかぐやの存在にずっと心を救われてきたんだ」

「…そっか。わたしたち、両想いだったんだね。よかったあ、わたしだけじゃ、なかったんだ…。

……それじゃ、これは今までの想いと感謝を込めて。ほんのちょびっとだけど、わたしからのお礼だよ。……んっ」

そう言って、かぐやは俺に顔を近づけてきてーーー次の瞬間には頬に柔らかい何かが触れた感触があった。

 

「…!?」

その感触が何だったのかを察し、驚きすぎて声が出ない俺に、ヤチヨ(かぐや)はふふっ、と笑ったあと。

 

「これまでも、そしてこれからも。ずーーーっと、いつまでもよろしくね!ミヨ!

……大好きだよ!!!」

と、満天の流星群の下で、負けないくらいの綺麗な笑顔を浮かべてそう言うのだった。

 




どうも、あとがきを入れ忘れて書き直しているど素人ことあさらこです。
うわあ、凡ミスだー。恥ずかしい…。

さて、気を取り直して。今回から三話ほど、リクエストでいただき、もともと書きたいと思っていた、本編後の三人とのデートを投稿していきます。
初めはもちろんこの人、本作品でもっともミヨ君と一緒の年月を過ごした月見ヤチヨさんです!
もうヤチヨとのデートシーンを書くとき、これだけは絶対に入れてやる、と夜の浜辺での流星群の下での満面の笑顔をイメージしながら書きました。
いかがだったでしょうか。

さて、次は誰なんでしょうねえ…あさらこにもわかりません。

次の話題
言い忘れていましたが、ヤチヨはミヨ君の計らいで現実改変後の寿命が人間と同じになっています。つまり後70~80年くらいってところでしょうか。かぐやも同じです。まあ、かぐやはヤチヨと同一存在ってことで概念的に引っ張られてそうなった、と言った感じですが。
一方、ミヨ君は元の体のままなので、人類が滅亡するくらいまでは生きられます。
そして以前書いたように、生物としての種を残す機能もないし、精神的には人外なので、このままだと誰ともくっつかずに終わります。通常ルートだと好きな人ができても「自分と一緒になると不幸にしてしまう」とか言って身を引きますので。
なので後日談のテーマの一つとしては、ミヨ君に恋愛を人の視点で教えられるのかというところがあります。そしてどうにかしてくっつけないとハッピーエンドに到達しません。
なんて恋愛的に難しいキャラなんだミヨ君…!
まあでも、今回のアレ(・・)できっかけは与えられたのではないかと。

さて、今回はここまで、また気が向いたときにでも。

お兄ちゃんブチギレ事件まで、あと二話。


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