超かぐや姫!〜地獄の付添人を添えて〜   作:あさらこ

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ーーーこの人、怪しい雰囲気出してるけどいい人なんだよなぁ…


こぼれ話~酒寄彩葉編~

side:彩葉

「酒寄、この料理を2番卓に頼む」

「わかりました。」

店長から、オムライスの盛られた皿を受け取って、頼まれた席へ運ぶ。

「どうぞ、オムライスです」

「ああ、いろはちゃん。ありがとうねえ」

「おね~さん、ありがとー!」

と常連さんとそのお孫さんがお礼を言ってくれる。

このお店ーーー『Luna』は、静かで落ち着きのあるいい店だ。

でもお客さんがおらず閑古鳥が鳴いているわけではなく、常連客もそこそこいるし、新規のお客さんもよく来る。

料理も絶品で、特に先ほど運んだオムライスは老若男女問わず人気が高い。

飲み物の種類は喫茶店かな?と思うほど多く、中には「たまに常連さんが頼むんだよな…洋食店なのに」と昆布茶まで置いてある。

このように、お客さんとの距離が近く、すごく自然体で仕事ができるいい職場で、店長も苦学生でお金のない私に「まかない」と称しておなか一杯食べさせてくれるなど、いろいろとよくしてくれているのだが、そんな店長との出会いも店長に助けてもらったことが始まりだった。

 

そんな私と店長の出会いは、1年ほど前にさかのぼる。

当時、スマコンを自力で買ってすぐで、まだまだ初心者だった私は<ツクヨミ>のとある城下町マップで迷子になっていた。

「う~ん、ここどこだ…?ダメだ…かんっぜんに迷った…。

そろそろ戻らないと自習の時間が取れなくなっちゃう…」

と途方に暮れていたところ、たまたま通りがかったという当時は怪しげな雰囲気をまとっていた店長(実は<ツクヨミで>自分から人に話しかけることが初めてで緊張していただけ)が

「どうした?」と話しかけてくれた。

私はあまり他人に頼りたくなかったが、このままだと生活が崩れてしまうと思った私は、

「実は迷ってしまって…大通りに出たいんですが…」

と言うと、「ああ、なるほど。それならこっちだよ」

と丁寧に道を案内してくれた。

 

無事に大通りに出られたことで安心した私は、はっとして案内してくれた店長に

「あ、ありがとうございました!」とお礼を言うと、

「いいんだ。恩返しだから」

とちょっとよくわからないことを言っていた。

 

その時は店長と連絡先を交換しなかったが、行きたい場所が似ていたのか、その後もたまに遭遇することが多く、そのたびにそのエリアにある珍しいものや、場所へ連れて行ってくれた。

特にすごかったのは、<ツクヨミ>の外周にある大瀑布とでもいうべきな場所の、壮大な景色だった。飛び散る水しぶき、きらめく水面。<ツクヨミ>の、水の表現がすごいことを実感できる景色だった。

 

そうやってつかず離れずの距離感を保っていたのにもかかわらず、なぜ私が店長の店で働くことになったかと言うとーーー

 

当時、まだアルバイトをしておらず、「BANBOO Cafe」という隠れ家的な喫茶店で働こうと面接を受けた何日か後、私は想定外に出費してしまっており、残金が少なくなっていた。

そんな限界苦学生な状態で<ツクヨミ>に入ると、ちょうど店長に遭遇した。

店長は私を見るなり「なんか顔色が悪いけど大丈夫か?」

と言ってきた。

私は今考えると相当に限界だったのか、今では本当に不用心だと思うが自分の現状や住んでいるところの情報を店長に話してしまっていた。

すると店長は、難しい表情で何かを考えた後、「多分近いし、来てくれれば即採用で働いてもらえる。だから俺の店で働かないか」と言ってきた。

私はそれまでの信頼が反転し、警戒しながら「なんですか。いい大人がナンパですか」と吐き捨てた。

店長は慌てて「いや、それだけ限界な生活をしているなら、少しでも負担を減らしたほうがいいと思って。君の面接を受けたカフェより多分ウチのほうが近いし、聞いた感じ時給もいいから」

と『Luna』の写真や、住所を送って「興味があれば来てくれ、遠目から見て怪しいと感じたら来ないで俺を通報してくれてもいい」と言ってその日は別れた。

 

その翌日、私は一目でもいいから見るか…と思い、送られた住所に向かった。

着くとよい雰囲気のお店が目の前に現れた。

私が、意を決して店の中に入るとーーー

カランコロンーーー

「お、いらっしゃい。初めての人かな?好きなところに座っていいよ」

と店長が出迎えてくれた。

私が「あ、いえ。実はその…先日この店で働かないかと言われたものなんですが」

と伝えると

「ああ、君があの子か。ふむ、やはり顔色が悪いな。ちょっと座って待ってて」

と言って厨房に引っ込んでしまった。

私が椅子に座って待っているとーーー

「はい、これ」

ととても美味しそうなオムライスと、今日のお茶だというストレートティーが出てきた。

「そんな顔色だとみんな心配するからな。食べるといい」

と勧められ、一口口に入れると、気づけばお皿には何も残っていなかった。

どうやら記憶が飛ぶほどおいしかったらしい。

前を向くと、店長が優しい顔でこちらを見ており、思わず恥ずかしさで顔が真っ赤になったのを自覚した。

 

私がお茶を飲んで一息ついたところで、

「それで、どうかな。ウチで働くの考えてくれるかな。ウチはもともと君の働こうとしているところと比べて時給もいいし、お客さんがいない時間は勉強とか、好きなことをしてくれてもいい。働いてくれればまかないもタダで出すよ。」

と言ってきた店長の勧誘に、私は悩みながらも「よろしくお願いします」と言って、『Luna』で働くことになったのだった。なによりあのご飯がまかないとして働けばタダで食べられるというのが決め手だった。

 

そして、現在ーーー

私は、この店で働くことができて、とてもよかったと思っている。

 

 




どうも、ど素人ことあさらこです。
やべえ、明日投稿するはずだったのに、ミスって普通に投稿しちゃった!
と、いうことで明日は一話だけ投稿になりました。申し訳ないです…。
あと今回から章の名前を「番外編」に変えました。

今回はリクエストにあった「いろはとミヨの出会い」を書いてみました。
どうだったでしょうか?

ちなみに、ミヨ君がいろはと遭遇していたのはマジで偶然です。
ヤチヨに魅入られた者同士、よほど気が合うんでしょうね。

それでは今回はここまで、また気が向いたときにでも。

個人的にいろはのアバターや狐の着ぐるみがめっちゃ好みです。

最推しはヤチヨですが。
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