超かぐや姫!〜地獄の付添人を添えて〜   作:あさらこ

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最後は私ですね…よろしくお願いします、ミヨさん。


……は?


いつもの場所で、星のような君と

side:ミヨ

かぐやとのデートが終わり一週間後、つまりは三度目の休みの前日、俺が寝る前にスマホでヤチヨの動画を見ていた時、ボイスチャットで着信が入った。

「ん?誰からだ…っと。あ、いろはか。…もしもし?」

『あ、こ、こんばんは、ミヨさん。ちょっと明日のことでお話がありまして…今、お時間大丈夫でしたか?』

「ああ、大丈夫だよ。今は寝る前にヤチヨの過去の配信を見ていただけだから」

『どの配信かとても気になりますが、今は置いておきます。…その、明日ので、デートの場所なんですが…』

「お、どこか行きたいところでもあるのか?日帰りで行けるところならどこでもいいぞ?」

『あ、いえそうではなく。その…いつもの場所でお願いしたいと思いまして』

いろはのどこか言葉を濁すような言い方に引っ掛かりを覚えたが、しばらく考え

「いつもの場所って……ああ、『L』ーーー「あ、まだ言わないでください」…ん?どういうこと?」

『その…「いつもの場所」って聞いて、お互いの思うものが合っているかっていうのをやってみたい、です。待ち合わせからデートが始まってる、みたいな感じで』

そう言ういろはの可愛さに思わず笑みがこぼれつつ、

「なるほど、そういうデートの仕方もあるんだな…。うん、わかった。じゃあ俺といろはの『いつもの場所』が当たってるかは明日のお楽しみってことで」

『…!はい、明日はよろしくお願いします!それじゃあ、今日はこれで失礼しますね。…おやすみなさい』

「ああ、おやすみ。いろは。…さて、多分あそこだよなー。ってことは明日はちょっと早めに出るか」

そうやって明日のことを楽しみに考えながら、夜は更けていくのだった…。

 

ーーー

そして翌日。俺は自身が考える『いつもの場所』でいろはを待っていた。

しばらく待っていると…窓からいろはがこちらに歩いてくるのが見えた。

いろはも俺がいるのが分かったのか、それまでは若干不安そうな表情をしていたのが、ぱっと嬉しそうな表情になり、またはっとしたあと、真顔に無理やり表情を変え(それでも口角は留めきれずに上がっていたが)こちらに早足で向かってきた。そしてーーー

 

カランコロンーーー

「やあ、いらっしゃい。…やっぱりココだったか。当たってよかったよ」

「おはようございます、ミヨさん。…やっぱり、私たちの『いつもの場所』といえば『Luna』ですからね。…でも、気づいてくれて嬉しかったですよ?」

「ご期待に添えたようで何より。…さて、今日何するか、の前に今日のお茶をどうぞ。今日はベリーティーだ。」

「ありがとうございます。いただきます…んっ、これ美味しいですね。まあ、ミヨさんが出してきた飲み物で美味しくなかったものはなかったですけど」

「まあ、俺もちゃんと味見してから出してるからなぁ。…それで、本当に『Luna(ここ)』でよかったのか?もっと他に行きたい場所もあったんじゃ…」

「いえ、私はここが…『Luna』が良いんです。だって、ここだったら一番私がカッコいいって思うミヨさんが見られますから。料理を作ったり、お客さんと楽しそうに話してる…とても生き生きしてるミヨさんが。」

 

そう言ういろはは、本当にうれしそうに、幸せそうに柔らかく笑っていた。

俺はその美しい笑みに見とれてしまい、しばらくの間黙り込んでしまった。

そんな俺の様子に気づいたいろはがこちらに声をかけてきた。

「あの…ミヨさん?どうかしましたか?」

「はっ。…い、いやその。…すまない、あまりにもきれいな笑顔だったからつい見とれてしまった」

素直に答えた俺の言葉が意外だったのだろうか、いろはは目を見開きながら顔を真っ赤にして

「い、いやそんな、私なんてヤチヨやかぐやに比べたら全然ですよ!…そう、あの二人と比べたら、あんなにきれいで、生き生きしてる二人と比べたら、全然」

「そんなことは無い。そもそもいろははあの二人とはタイプが違うだろう。あまりデート中にほかの女の子の話をするのは良くないらしいが、ヤチヨは月のように柔らかくみんなを照らそうとするような、かぐやは太陽のような、周りに活力を与えるような、そんな魅力がある。そしていろは、君は満天の星のように、君自身ではなく誰かを見守るような、誰かを立ち上がらせてくれるような光。そんなヤチヨやかぐやとは違う、誰かを支えようとするところが魅力的だと、俺は思う。…ちょっと恥ずかしいな、これ。」

俺がいろはの魅力を俺なりに必死に伝えると、いろはは笑って

「いえ、うれしかったですよ。ええ、本当に。…泣きそうになるくらい」

そう、目じりに涙をたたえながら言ったのだった。

 

ーーーそんな会話からしばらくして

「さて、落ち着いたところで、本題に行こう。今日は何をして過ごそうか?いろは」

そういろはに聞くと、いろはは前日から考えていたのだろうプランを話してくれた。

「あ、はい。私とのデートではですね。…その、さっき私、ここで働いているミヨさんが一番カッコいいって言ったじゃないですか。だから、今日は私だけの店長になってほしいな、と思いまして」

「いろはだけの俺…?」

「はい、お願いします」

「わ、わかった。何をすればいいか分からないが、とりあえずわかった。…じゃ、じゃあ何からやる…?とりあえず注文を取るか…?」

「ふふ、はい。お願いします」

「んっんん。…それではお客様、ご注文をお伺いいたします」

「はい、それじゃあオムライスをお願いします。…私と一緒に料理を教えてくれるのもセットで」

「料理を教える?…わかった、じゃあ厨房に行こうか」

 

「厨房に来たが、これからどうするんだ?」

そう聞くと、いろはは頬を赤らめながらこう言ってきた。

「えっと、じゃあ、ですね。こう、後ろから抱き着くような形で私の手をつかんで、そのまま包丁の使い方を教えてもらってもいいですか?」

「なるほど…こんな感じ、か?」

「あっ…。そ、そうです。こんな感じです。ありがとうございます…ふふ、こうしてると、恋人同士、みたいですね?」

「…今日のいろははちょっと意地悪かな?からかってくるなんて初めてじゃないか?」

「ふふ、すみません。けど、こんな私は嫌いですか…?」

「いや、新しい一面を見られてうれしいくらいだよ。もっと見たいくらいだ」

「…もう!ミヨさんの方が意地悪じゃないですか!」

「はは、悪い悪い。…じゃあ、料理の続きするか」

「…はい。よろしくお願いします」

 

調理が終わり皿に盛りつけた後、席にもっていくとまたいろはのリクエストが来た。

「じゃ、じゃあ次は、このおいしそうなオムライスをあーんで食べさせてください!」

「あ、あーん、だと…!?」

「ダメ、ですかね…?」

「い、いや、大丈夫。初めてだから緊張しているだけだ。そ、それじゃあ…あ、あーん」

「あ、あ~ん…」

「ど、どうだ…?」

「わ、私も緊張して、味がちょっとわからないです…。で、でも、このまま食べ終わるまでお願いします!」

「わ、わかった。じゃあ次行くぞ…あーん」

「あ、あ~ん…!」

 

そんなこんなでいろはのお願いをかなえ続けること数時間。

俺といろはは皿など使ったものを洗って片づけていた。

「…ふふ」

「どうした?急に笑い出して」

「いえ、今のこの状況がまるで夫婦で片づけているみたいだな、って」

「…なんだ?またこっちをからかってるのか?」

そう俺が聞くと、いろはは片づけの手を止めて、俺の方を向いて、真剣な表情で

「いいえ、ミヨさん。私は、こんな言葉はからかいでなんて言いません。…ミヨさん、私はミヨさんのことが好きです。もちろん異性として」

「…そう、なのか」

「やっぱり気が付いてなかったんですね…。あんなにアピールしていたんですけどね」

「で、でもなんで俺のことを…?いったいいつから…」

「もともとは「優しい人だな」くらいでした。…きっかけは今思えば、倒れた時に助けてくれた時くらいから、少し意識し始めていたんだと思います。決定的になったのは、ミヨさんを助けに行ったとき。ヤチヨやかぐやのことで頭がいっぱいだったはずなのに、私のことも精一杯考えて助けてくれてたことを知ったことですね。…もうこの後、こんなに私のことを考えてくれる人なんて現れるはずないってわかるくらいに考えてくれる人のことを好きにならないなんて、そっちの方がおかしいと思いません?」

と、微笑みながら言ってきたいろはに、俺は申し訳なくなりながら

「そうか…。だが、すまん。俺はまだ、恋愛感情がわからない。わかるようになるかもわからない。だけど、そんな俺でもいいのか…?」と聞いた。

いろはは、

「ええ、もちろん。私が好きになった人は、そんなミヨさんなんですから」

「…ありがとう」

そう感謝を伝えた俺に対して、いろははジト目を浮かべて俺を見た。…ジト目?

「それで、ミヨさん?ヤチヨやかぐやにキス、されましたよね?」

「ああ、やっぱり知ってるんだな…」

「そりゃ、あんなにうれしそうに報告してくれば誰だって聞いちゃいますよ。…もう、ほっぺはどっちももらわれてるんですよね?」

「まあ、そうだな…?」

そう俺が答えると、いろはは意を決したように

「じゃ、じゃあミヨさん、ちょっとかがんでもらってもいいですかっ?」

「お、おう…」

おれがかがむと、いろははこちらに近づいてきてーーー

ちゅっ、と。首にキスをしてきた。そして次に、手首にも同じようにキスをして離れた。

 

「キミもか、いろは…でも、なんで首と手首?」

「ふふ、もちろん。私だけしないなんて、不公平じゃないですか。場所に関しては…私から言うのは恥ずかしいので、後で調べてみてくださいね?」

「わ、わかった」

そんな俺の様子を見ていたいろはは、とても柔らかい笑顔で

「ふふ、はい。ぜひ調べてみてくださいね…?………大好きですよ、ミヨさん」

大切そうにその思いを伝えてくれたのだった…。

 

 

 

 

side:???

……は?いや、だってあの人はこの前かぐやちゃんと…。おい、これはどういうことだァ…?色々答えてもらわなくちゃいけなくなったな…。なあ、ミヨさん…?

 

 




どうも、ど素人ことあさらこです。

さて!いろはデート編でした!どうだったでしょうか?
ミヨ君のいろはへの魅力を伝えるシーンは、実際にあさらこがいろはに感じたことです。
また、いろははどこか未知なものを見るよりも、いつもの日常の中にあるものを幸せそうに抱きしめるような人物だと思ったので、今回のシチュエーションになりました。
異論は認めます。というより皆さんのご意見もぜひお聞きしたいです。

次の話題
最後の人はいったい誰だったんだろうなー(棒読み)
いやあ、次回が楽しみですね!

次の話題
今回のいろはのキスした位置にはきちんとした意味(諸説あり)があります。首は相手への執着心、つまり大好きであるということの表現、手首は頬や唇ほどではありませんが、ストレートな好意を伝えるということなのだとか。いやー、ちょっと重いっすね、いろはちゃん!でもそこがいい!
いろはって、原作でも大きい愛の持ち主だったと思ってこう表現したんですが…誰かわかってくれる同士います?

それじゃあ今回はここまで、また気が向いたときにでも。

次回、お兄ちゃんブチギレ事件開幕。
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