超かぐや姫!〜地獄の付添人を添えて〜   作:あさらこ

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どういうつもりなのか、キッチリ説明してもらうからなァ!


黒鬼の棟梁の激怒

side:ミヨ

「……ガッ!?」

ゴガンッ!!!と岩壁に叩きつけられる。すぐに体勢を立て直そうとするがーーー

「オラァ!こんなもんですむワケねえだろうが!!!」

「グアッ!?」

ガゴッン!とまた金棒で吹き飛ばされる。

そう、今俺がKASSENのモードの一つ「SETSUNA」で蹂躙されている相手は、かの黒鬼ーーーBlack onyXのリーダー、帝アキラ。

…いや、今回はそちらではなくこう呼ぶべきだろうか。酒寄彩葉の兄、酒寄朝日と。

「そろそろ話してもらおうか、ミヨさん。…いや、葦原見世ォ!!!なんでかぐやちゃんとデートしていたテメェが、あの日あんたの店でウチの妹に…彩葉に!キスされていたのかをなァ!!!」

 

…さて、なぜこんなにも朝日さんがブチギレているのか、そしてなぜゲームで蹂躙されているのか、時はざっと二時間ほど前まで遡る。

 

いろはとのデートが終わった次の日、ちょうど店も休みであったため、ヤチヨと昼食を食べていた時、ふとスマホのチャットアプリの通知音が鳴った。

食事中にスマホを見るのは行儀が悪いので、食べ終わって食器などの片づけを終えた後に見てみると、そこには「酒寄朝日」と書いてあった。

「朝日さんから…?しかも帝アキラじゃなくて、本名のアカウントのほうから連絡…?」

疑問に思いながらアプリを開くと、そこにはこう書いてあった。

 

酒寄朝日:本日の15時に<ツクヨミ>の私のプライベートルームで会えませんか。一つ、お聞きしたいことがあります。

 

「帝様が聞きたいこと?コラボだとこんな誘い方されたことなかったし、なんだろ?」

いつの間にか後ろから覗き込むように見ていたヤチヨが不思議そうに首をかしげる。

「何だろうなあ…。多分朝日さんとしての話には間違いないと思うんだが…。あとヤチヨ、髪の毛がくすぐったいんだが。」

「ほほーう…?この電子の歌姫のやっちょさんにこ~んなにも近づかれておいてそんなことを言う子には…こうだ!」

 

ヤチヨが首をかしげた動きで髪が俺の首筋に当たり、くすぐったかったため指摘すると、ヤチヨはにぱっと笑ってむしろ肩に顎を乗せてぐりぐりと左右に動かしてきた。

「ちょ、痛い痛い。謝るからやめてくださいお願いします。うわーヤチヨさんの顔を肩に乗せてもらえるなんて光栄だなー」

「ふふん、わかればよろしい☆…それで、どうするの?行くの?」

「ああ、文面からしても相当真剣なのが伝わってくるし、なにより色々と恩のある人だからな。行こうと思う」

「そっか。じゃあやっちょも今日はこれから配信するし、会うのはまた夜かな?」

「そうなるな。それじゃあまた夕飯の時に。ちなみに夕飯は何かリクエストあるか?」

「ん~、てんぷら付きのおそばがいいかなあ」

「了解。丁度一昨日いいエビが大吾郎から送られてきたからな。楽しみにしておいてくれ」

「わーい!やっちょエビ大好き~!これで午後も頑張れるよ~!…じゃ、またね!」

 

そう言いながら手を振って自室に戻るヤチヨに、こちらも手を振りながら自室に戻った。

自室で新しいメニューの考案や、お茶のカタログを見ているうちに指定された15時に近づいてきたため、<ツクヨミ>に入る準備をする。

そして、5分前になったため、ログインするために椅子に深く腰掛けた。

「さて、なんの話なんだろうな…」

そう言いながら、目を閉じて<ツクヨミ>に入るのだった。

 

「ああ、ミヨさん来てくれたんですね。どうぞ、入ってください」

「ありがとうございます。お邪魔します」

そう言ってプライベートルームのロックを解除してくれた朝日さんにお礼を言って中に入る。

するとそこには朝日さんが部屋の真ん中で立っていた。

「今日はお招きいただきありがとう、朝日さん。ところで、話ってーーー「昨日」…昨日?」

「昨日、この前借りた絶版した本を返しに行こうと思って『Luna』に行ったんですよ。でも店に着いたところで扉に「Close」の札がかけられていたからまた今度にしようと思って帰ろうと思ったんですが、窓から誰かのシルエットが見えたんです。それでミヨさんかと思ってみてみたらーーー」

俺は「まさか」と思いつつも「み、見てみたら?」と朝日さんに尋ねた。

「見てみたら、いろはがミヨさんの首にキスしてたんですよ。…たしかこの前、かぐやちゃんとデートしてましたよね?これってどういうことですか?まさか…二股、とかじゃあないですよねェ?」

「……………」

ヤバい、あの瞬間を実の兄に見られてたーーー!?

そりゃあの瞬間だけ見られたら俺が二人をもてあそんでいるようにしか見えんわ!

俺だってそう思う!しょ、正直にあの時あったことを話すべきか…。

しかし、あの二人にもかかわることなのに二人の了承を得ない状態で話してもよいものか…?

 

そうあれこれと考えている姿が朝日さんには言い訳を考えているように映ったのだろう。

「ああ、そうかよ…。黙ってるってことは、そういうこと(・・・・・・)、だよなァ…?見損なったぜ、ミヨさん…。いや、誠実な人だと信じてた俺のほうがバカだった、ってことか…。」

「いや、ちが」

「うるせぇ。その口を閉じろ。…おい、あんた、俺と「SETSUNA」で勝負しろよ。別に勝っても負けてももう妹やあいつと一緒に住んでるっていうかぐやちゃんに会わせる気はねぇが、受けなかったら今すぐいろはたちにこのことを話すからな。解放してほしけりゃ、なんでああいうことになったのかキッチリ説明しろ。もちろん、受けてくれるよなあ…?」

「…ああ、わかった」

「ハッ、今更誠実ぶるなよ。よりダセエぞ。…それじゃあ、()ろうか」

 

ーーー

そうして、時間は冒頭に戻る。今は八戦目で、俺が終始蹂躙されて負ける、を繰り返していた。

そもそもが俺たちにはプレイスキルに大きな差がある、にもかかわらず、三割の勝率があったのは未来視を使って何とか追いすがっていたためだ。しかし、今回は朝日さんへの罪悪感や、いろはたちへの申し訳なさから未来視を使用せずに戦っているため、いまだに一度も勝てていない(そもそも勝つ気もないのだが)。

 

「おいおい、いつもより動きが悪いなあ!そんなんじゃサンドバッグになるだけだぞ!」

そう言いながら朝日さんはウルトを使用し、急加速。そのままーーー

斬。

と俺の体を切り裂いて八戦目も俺の敗北で終わったのだった。

「…チッ。これじゃあ俺が悪いことしてるみたいじゃねぇか。…おい、9戦目行くぞ」

「…ああ」

そう言って9戦目を始めようとした瞬間ーーー

 

「なにを、しているの?」

 

そう言って現れたのは、<ツクヨミに>入る前に別れたヤチヨだった。

「ヤチヨちゃん、なんでここに…「なにを、しているのかって、聞いているの。ちゃんと、答えて?帝様」俺は、こいつが彩葉とかぐやちゃんに二股かけてることについて問いただしているんだよ」

「二股…?ミヨ、どういうこと?」

ヤチヨからの問いかけに俺はうつむきながら

「キミ以外の、かぐやといろはとのデートを見られてたらしい。それで、二股だと言われて、確かに傍から見たらその通りだと思ったし、俺自身も恋愛感情が分からないと言ってキミたちをキープしているように感じてしまって、自分のことが気持ち悪くなって、罰してほしくて、やられ続けてた」

こうなった経緯と俺自身の気持ちを吐露すると、ヤチヨは感情が爆発したように涙を浮かべて

「~~~!!!なんでミヨはいつもそう(・・)なの!?あの時だってそう!なんで自分が悪いなんて考えになるの!!!ミヨは何も悪いことはしてないよ!ただ、ただ私たちが伝えた気持ちに何とか応えようと頑張ってる!そのことが、なんで認められないの!!うっ…ひっく…。…そ、そんなに私たちの想いは、重荷だった…?」

「ヤチヨ…。違う、違うんだよ。ただ、俺がみんなにまだ見合うような男だと思えてないだけなんだ。ただ、俺の心の弱さの問題なんだ…ごめんな、ヤチヨ…」

「ミヨ…、ミヨぉ…」

泣いたヤチヨをなだめていると、「あ、あのぉ…」とばつの悪い顔をした朝日さんがこちらにやってきて

「えっと、その、もしかしてミヨさんが二人を誑かしてたんじゃなくて…?」

「ああ、その…。どちらかというと逆、かな?」

「ーーーっ!す、すいませんでしたーーーっ!」

俺の言葉を聞いて、朝日さんはとてもきれいな所作で土下座したのだった。

 

ーーー

そして、さらに数時間後。

「ミヨ…」「ミヨさん…」

「帝…」「帝ちゃん…」

「「はい…」」

俺と朝日さんはヤチヨによって呼ばれたかぐやといろは、黒鬼のほかのメンバーによって説教を受けていた。

「何ですか、罰を受けるためにただ反撃もしないで防御するだけなんて。ミヨさんが辛い思いをするなら私たちの事情なんて話してしまっていいんです!まったく、その自罰的な性格は直しましょうって前にも言いましたよね?」

「そうだよ!確かにいっぱい考えて答えを出してほしいって言ったけど、そーいうことじゃないの!ちゃんとはんせーしなさい!」

「はい、すみませんでした…」

 

「帝もだ、妹のこととはいえ、まずは事実確認をすべきだったな。」

「ほんとだよね~。そんなことも考えられない脳みそなんていらないんじゃない?撃ちぬいてあげよっか♡」

「それは勘弁してください…「は?♡」いえなんでもないです…」

「そうだよ。お兄ちゃんはほんとに反省して。いやマジで。まず私に聞くとか色々あったでしょ。それに、普段のミヨさんの行動を見ていれば、そんなことしないってわかるでしょ。一応年単位でかかわってるんだし。…とにかく私は騙されてないし、大丈夫だから。わかった?」

「はい、申し訳ありませんでした…」

そうしょげかえる朝日さんを見かねたのか

 

「でも、心配してくれた上での行動だったのはわかってるから…その、ありがと」

「…ああ、本当にごめんな」

いろはにお礼を言われた朝日さんは、すこし嬉しそうだった。

 

「ミヨさんも、本当にすみませんでした」

「いやいや、家族として当たり前だと思いますし、ちゃんと説明しなかった俺も悪いですから」

深々と頭を下げる朝日さんに対し、俺は慌てて頭を上げさせた。

 

「…ミヨさん、あんなことをした俺が言うのもなんですが、いろはのこと、もう一度お願いしてもいいですか」

「…ええ、もちろん」

「ありがとうございます…それに、ヤチヨちゃんも。ごめんね?」

朝日さんはあの後からずっと俺の背中に引っ付いているヤチヨにも謝った。

 

「今回はミヨも悪かったからいいけど、次やったら許さないから、そのつもりでね」

「うん、肝に銘じるよ。…改めて、大変申し訳ありませんでした。…三人とのこと、頑張ってください。」

「ありがとうございます。また今度コラボしましょう」

「はい、必ず」と答えて朝日さんと黒鬼さんたちはログアウトしていった。

 

「…さて、それじゃあお説教も終わったことだし、帰って夕ご飯食べよっか!」

「あ、わたしたちもミヨの家でたべたーい!ね、いろは!」

「そうですね、お邪魔でなければご一緒したいです」

「う~ん、俺はいいけど食材がな…。この後みんなで買い物に行くか」

「さんせ~い☆みんなで食べたほうがおいしいもんね!」

「よ~し、それじゃあいつものスーパーに集合ね!」

「「「はーい」」」

 

みんなが俺を気遣ってわざと明るい会話をしてくれていることに、俺はぽつりと礼を言った。

「…みんな、ありがとな」

「ん?ミヨ、何か言った?」

「いいや、なんでも。さ、ログアウトしようか」

「うん!」

 

そうやって、今回の騒動は幕を下ろすのだった。




どうも、ど素人ことあさらこです。
お兄ちゃんブチギレ事件、無事終了です!
お楽しみいただけましたでしょうか?

どうも私は戦闘シーンを書くのが苦手で、つい省きがちになってしまいますね。
もう少しうまくなりたいなあ…

次の話題
帝さんたちにはミヨ君の正体は話していません。
結婚するときとかには話しそうですが。

次の話題
ミヨ君の戦闘スタイルは未来視による比重が重めなので、使わないと結構弱体化します。
まあ今回は精神的なデバフも大きかったんですが。

それでは今回はここまで、また気が向いたときにでも。

後ろからしがみついてるヤチヨ…イイな

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