side:ヤチヨ
ピピピピピピ・・・・
目覚ましの音が鳴る。わたしは寝ぼけ眼を擦りながら、ゆっくりと起き上がった。
「…んぅ~~~!今日もよく寝た~…はれ、もうこんな時間?」
時計を見ると、9:00を指していた。おかしい、いつもなら7:30くらいにミヨが直接起こしに来るか、『Luna』のある日はモーニングコールをしてくれるのに…。
「さてはミヨ、珍しく寝坊してるな~?まったく、ミヨってばしょうがないなあ…。ここは優しいヤチヨさんが起こしてあげましょう☆」
さあ、珍しく寝坊しているミヨのねが…んんっ!遅刻しないように起こさないとね!
決して!「珍しくミヨの寝顔が見られる~♪」とか、思ってないのですよ!…ホントだヨ?
ガチャン!
「さ~て、おっはようミヨ!今日も最高の朝だよ!曇りだけど☆…って、え?」
ミヨの部屋に入り、「あれ、ミヨの頭がない…。もしかして丸くなって寝てる!?何それギャップでやられちゃうよ!」と一人で盛り上がりながらバサァッ!と掛布団を剥ぐと、そこにはーーー
「んぅ…。もうあさ?もうすこしねてたい…」
と二度寝を始めようとする、ミヨが小さくなったような男の子がいた。
「…。いやいや、待ちなさい。落ち着くのですヤチヨ。まずは情報を整理するのです。
え~っと?布団にはミヨがいなくて?ミヨみたいな子がいる…?うーん、ダメだあわかんないや。これは、いろは大先生に助けを求めるしかない…!」
わたしがいろはを呼ぼうとスマホを取り出そうとしたとき、男の子がパチッ!と目を覚まし、こちらに向かってきた。
「…へ?なになに?」
「いま、いろはっていった?」
「へ?いろは?…うん、言ったけど、どうしたの?」
男の子の言葉を肯定すると、男の子は泣き出しそうな顔をしながら
「もしかしていろはってひとのなまえって、さかよりいろは、っていうなまえ?」
と聞いてきたので、わたしが「そうだけど…もしかしていろはの知り合い?」と逆に聞くと、遂に男の子の目にたまっていた涙が溢れだした。男の子は「いろはぁ…!かぐやぁ…!」と泣きながらしきりにいろはと
ーーー
そうして、いろはとかぐやを呼んだのだけど…。
かぐやといろはがウチに入ってきた途端、男の子は二人に抱き着いて離れなくなってしまった。
「う~ん、どうして私とかぐやはこの子に抱き着かれてるんだろう…?というかこの子どちら様?」
「ね~。…ねね、キミ、ミヨと何か関係ある感じ?」
いろはとかぐやがそう聞くと、男の子は顔を上げて少しショックを受けた顔をしながら
「…もしかして、わすれちゃった…?」ととても悲しそうに言うので、あわてていろはは
「いや、その…ね!名前、名前を教えてもらってもいい?名前を聞いたら思い出すかもしれないし!」とこれまで聞くことができていなかった名前を聞くことに成功した。
わたしとかぐやは親指をグッ!といろはに向けて賞賛の気持ちを表した。
その子はいろはが名前を聞いた途端
「そっか…。じゃあここは…」
と何かを悟ったようにつぶやき、顔をいろはの方に向けて言った。
「ぼくは…
「…なるほど、話を聞くかぎり、あの時に聞いた始まりのミヨさんみたいだね、この子」
「なるほどなるほど。じゃあ君は八千年前に私と初めて会ったあの子なんだね!」
「…ごめんなさい。ぼくはぼくのときのきおくしかなくて…きみのことがわからないんだ。
それに、おとななぼくがいたっていうことは、ここはぼくがしってるせかいじゃないってこと。たぶん、
葦原見世と名乗った男の子と情報交換をしていて、この子があの始まりのミヨだと分かり、私が八千年前に初めて出会った子だとテンションを上げるが、この子にはその記憶がない様子だった。わたしがそのことを残念がっていると、気になる言葉が見世から飛び出した。
「入れ替わった…?」
「うん、たぶんぼくたちのほんたいのしわざ」
「あー、あれかー…。あれならできそうだナー。」
「できるよ。ほんたいなら。たぶんさいきんぼくたちのはなしをきいて、このせかいのぼくがぼくとゆめとかでつながっちゃったんじゃないかな。そのつながりをりようしていれかえたんだとおもう。じっさいにみたのが「かこのぼく」でも、「みらいのぼく」でも、つながりじたいはできちゃってる。それで、こうかいしているぼくをはっぴーえんどになったせかいにほうりこんで、どんなはんのうをするのかをたしかめたかったんじゃないかな。…ほんと、あくしゅみ」
悪態をつく見世を見たかぐやはひらめいた顔をしてある提案をした。
「子供のミヨも苦労しているんだね…よし!それじゃあこのかぐやちゃんがご褒美にご飯を作ってあげよう!な~んでも作ってあげる!何が食べたいか言ってみて、ね!」
かぐやの言葉に、見世は少し考えてこうリクエストした。
「じゃあ…オムライスがいいな。ぼくがはじめてかぐやにつくってもらったりょうりなんだ」
その、どこか幸せな思い出をなぞるかのように微笑んで言った見世に、かぐやはちょっと泣きそうになりながら
「…っうん!まっかせて、超おいしいの作ってあげるから!」
と言ってキッチンのほうに向かった。続いていろはも
「あ、じゃあ私も手伝ってくる。ヤチヨはこの子と一緒にいてあげて」
とキッチンに行ってしまった。…ちょっと気まずい、カモ?
「ねえ…もうひとりのかぐや、ごはんができるまでこのせかいのぼくのことをおしえてほしいな」
ふと、見世がこんなことを言ってきた。
「…どうして?もしかしたら、いっぱい傷つくかもしれないよ?」
「ぼくはかぐややいろはとりょこうとかできなかったし、いちおうせかいをみるっていうやくわりもあったから、いろんなばしょのはなしがききたい。…それに、きみたちがしあわせそうにはなすところがみたいんだ。ぼくのさいごは、いろはとかぐやにあやまっておわっちゃったから」
「そっか…。それじゃあ、わたしがこの世でいろはと同じくらい大好きな男の子の話をするね?途中でお腹いっぱいって言ってもやめないから覚悟してね!」
「ふふ…うん。たくさんきかせてほしいな」
オムライスが運ばれてくるまで、わたしはミヨの好きなところや、かっこよかったことを話した。
見世は、それをず~っと幸せそうな顔で聞いていた。それはもう、自分の頑張りが報われたような、そんな顔で。
「は~い!かぐやちゃん特製オムライスお待ち!」
ミヨの話をしばらくしていると、オムライスが運ばれてきた。
ほかにもサラダやオニオンスープ、スプーンとフォークが全員分配られたところでわたしたちは椅子に座り、食べることにした。
「ささ、まずは見世から食べてみて!おいしいよ~?」
「うん…!いただきます!はむっ…。……うん。おいしい。いつもの、かぐやのオムライスのあじだ…」
すこし目に涙を浮かべながらオムライスを食べる見世を優しく見つめていると、見世の体から光が立ち上り始めた。
「見世!?これ、なに…!?」
「これは…たぶんいれかわりのじかんがおわるんだとおもう。ぼくがまんぞくしたから」
その言葉に、わたしは「まだまだ見せたいものとかいっぱいあったのに!」とか、引き止めたい気持ちを我慢して「………そっか、帰るんだね」とだけ口にした。
「うん。…ありがとう、みんな。きみたちのりんねをつくるきっかけになってしまったぼくにやさしくしてくれて。…やっぱりみんな、どんなせかいでもやさしいんだなあ。…それじゃ、ばいばい。しあわせになってね」
その言葉を口にした瞬間、いつの間にか見世はいなくなり、目の前には大人のミヨがいた。
「んん…?あれ、なんでおれはオムライス食べてるんだ…?あれ、かぐやといろはもいる?…夢遊病にでもなったのか?」
疑問符を頭に浮かべるミヨに、わたしは優しく微笑みながら
「まあまあ、何があったのかは後で話してあげるから、今はご飯をみんなで食べよう?ね?」
と促し、ミヨも
「???そ、そうだな…?」
と困惑しながら食べはじめた。
そして、わたしもどう話すか考えながら、オムライスを食べるのでした…。
ーーー
おまけ
『ふふふ…どうでしたか?唯一ハッピーエンドに至ったあの世界は』
「うん、あのせかいのぼくはすごいとおもう。あんなにかぐややいろはがえがおでいっぱいのせかかいはぼくのときはかんがえられなかった」
『…恨みなどはないのですか?』
「そんなのぼくがもつはずがないってしってるでしょ。…ありがとね、いろはたちがしあわせにいきてるせかいをみせてくれて。」
『いえいえ、良いのですよ。…あなたには酷なことをしてしまったと思っていましたから』
「キミ、ほんとはやさしいのになんでわざわざわるいやつみたいなげんどうしてるの?」
『ミステリアスなキャラにあこがれてまして…』
「それ、にあってないからやめたほうがいいよ」
『そんなばかな!?』
どうも、ど素人ことあさらこです。
今回は、主人公の入れ替わりというものに挑戦してみました。
ミヨ君以外の視点って結構難しい…というか地の分がむずすぎる…
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見世に個性を持たせるために全文ひらがなにしたんですが、読みにくかったらごめんなさい。
でも
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「そもそも、の話」ででた見世といろはたちがミヨ君の夢で出てくるシーンは、私個人としてはこの見世の未来で起こったことと考えています。なのでまだこの時点で見世はまだ一人ぼっちです。
何が言いたいかというと見世は本当はまだまだあの世界にいたかったけど、いろはたちの幸せを考えて、泣き言恨み言その他もろもろを笑顔の仮面の下に押し込んで、帰っていったということです。
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ヤチヨって登録者一億人越えだったの!?この前感想に返した時に知って日本人ほぼカバーできるんだ…って戦慄しました。…民度とかどうなんだろ?
それでは今回はここまで、また気が向いたときにでも。
次回はかぐや達が配信でミヨ君との関係を…?