超かぐや姫!〜地獄の付添人を添えて〜   作:あさらこ

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「ああ…!お会いしとうございました、我らが蒼き星の君…!」「「「ミヨ(さん)?」」」

新たなオリキャラが登場します。


古き縁との再会

side:彩葉

その日はいつもの通り登校していつものように授業を受ける、そんないつもの日常。

でも、私の心中はいつもとは異なり、ちょっと上機嫌だった。

 

上機嫌のきっかけとして、今朝私は珍しく前日に高校に提出する書類を『Luna』に忘れてきてしまった。ミヨさんから書類の写真とお昼ご飯を作るからついでに持って行って欲しいと連絡をもらったため、ちょうど料理教室だったかぐやを『Luna』に送り届けるついでに受け取りに行った。

 

無事に書類を受け取ることができたのだが、その時にかぐやが「元気が出るおまじないしてあげる!ミヨ、いろはの後ろに立って!」と言ってミヨさんを私の後ろに立たせて、自身は私の前に立った。

 

何をするのだろうと呆れながら待っていると、かぐやは私に飛びついてきて「行ってらっしゃいのハグ!…か~ら~の~?行ってらっしゃいサンドイッチ~!」と言って私をハグしたまま押してミヨさんに受け止めさせた。

 

ミヨさんは「おっと!」と一瞬驚いたようだったが、かぐやの言葉に納得したのか、そのままかぐやが私ごとミヨさんを抱きしめるのを受け入れていた。

 

私はといえば、かぐやが抱き着いてきたのに加え、密着したミヨさんのがっしりとした体と受け止めてくれた男らしい腕、そして体温を感じてフリーズしてしまった。

 

1分ほどそうしていただろうか、かぐやが「えっへへ~!いろはが今日も元気に学校に行けますようにって念を込めたからね!それじゃ、いってらっしゃい!」と悪戯気に笑ってフリーズしていた私を『Luna』の外まで手を引いて連れて行った。

 

ミヨさんも「いろは、車や不審者に気を付けていってらっしゃい」と私たちが来る前に作ってくれたサンドイッチの入ったランチバッグを渡してくれた後、かぐや共々『Luna』の扉の前で手を振って送り出してくれた。

 

私はかぐやとミヨさんのいってらっしゃいサンドイッチを反芻して半ばぼーっとしながらかぐやとミヨさんに手を振り返してから登校したのだった。

 

そんなことがあり、私は朝からいいことがあったと若干ホクホクしながら昼休みまで授業を受けた。私の上機嫌っぷりは周りにもわかるくらいだったようで、休み時間には私の席まで来た芦花や真実からも「今日は調子いいね~」「何かいいことでもあった?」と聞かれるくらいだった。

流石に2人から抱きしめられて上機嫌だとは言えなかった私は「ちょっとね」とごまかした。

 

そんな上機嫌な1日だったが、昼休みに私はちょっといつもと違う出来事に遭遇ーーー遭遇って言っていいのかな、コレーーーしたのだった。

授業が終わり、昼休みになった。私は芦花や真実と机をくっつけてミヨさんが作ってくれたサンドイッチが入ったランチバッグを開いてお昼ご飯を食べようとしたところで、「ねえねえ」と誰かから声をかけられた。

 

声をかけられた方を向くと、黒いストレートの長髪で肌がとても白くて、いかにも「大和撫子」という言葉が良く似合ういで立ちをした女子がいた。

私は「何かな、えっと…尼子さん?」と答えた。

 

この人の名前は尼子百(あまごもも)さんーーー男女ともに分け隔てなく接し、成績もよい才色兼備な人で、学年関係なく人気がある。

今まで尼子さんとはあまり関わりは無かったのだが…なんの用だろうか?

 

「ごめんね、食事中に。そのサンドイッチがすごくおいしそうだなって思って、つい声を掛けちゃった。酒寄さんが作ったの?」

 

サンドイッチが気になっている様子の尼子さんに、私の商魂センサーが反応した。これは…新規のお客さんの獲得チャンス!

 

「ううん、これは私が作ったものじゃなくて今朝バイト先に忘れ物を取りに行ったときに、バイト先の洋食屋の店長が作って渡してくれたものなんだ。」

 

「へ~!酒寄さん洋食屋さんでバイトしてるんだ~。こんなおいしそうなサンドイッチが作れるんだから、他の料理もきっとおいしいんだろうね!」

 

「うん、他の料理もおいしいし、飲み物も色々あってバイトの私が言うのもあれだけど、いいお店だよ」

 

「そこまでべた褒めだと行きたくなってきたなあ…。ねね、お店の名前教えてもらってもいい?今日早速行ってみたいな」

 

「それだったら私ちょうど今日バイトだから案内しようか?」

 

「ほんと!?それじゃあお願いします!「おーい、百ー」あ、ごめん今行くー!…友達に呼ばれちゃったから、また放課後よろしくね!」

 

「あ、うん。また放課後ね」

 

よしっ…!ご新規様獲得…!

 

私は新しいお客さんを連れて行った後にミヨさんから感謝される想像をしながら、笑顔でサンドイッチをほおばるのだった。…サンドイッチは絶品で、毎日食べたくなったことも付け加えておく。

 

ーーー

そして放課後。

「へ~!酒寄さん好きな人ってその店長さんなんだ~!いいな~、好きな人と同じところで働くなんて!」

 

私と尼子さんは『Luna』への道を歩いていた。…なぜか恋バナもしながら。

 

「も、もう、からかわないでよ尼子さん!そういう尼子さんは好きな人いないの?」

 

「苗字じゃなくて百でいいよ~。えぇ、私の好きな人?それは、そのぅ」

 

「お、その反応はいるね~?教えて教えて、百ちゃん」

 

からかわれた仕返しに私も聞き返すと、百ちゃんはしまっていた大事な宝物をそっと出すように話し始めた。

 

「えー、顔熱くなっちゃうよぉ。まあでも新しくできたお友達だし、いっか。…うん、いるよ。私が一人じゃないって教えてくれた、とっても大切な思い出をくれた人なの」

 

「その人とは今はどうなの?」

 

「その人は旅をしている人でね、ずいぶん前に旅立つのを見送ったきり会えていないんだ。…実は今日彩葉ちゃんに話しかけたのはね、なんだかその人みたいな懐かしい感じ…匂いみたいな?そんなものを感じ取ったからっていうのもあるんだ。もちろん、サンドイッチがおいしそうだったのが主な理由だけどね?」

 

「懐かしい感じ、かぁ…。もしかしたら百ちゃんの探し人は案外近くにいるのかもしれないね」

 

「そうだといいなあ…。あ、もしかしてあのお店?」

 

「うん、そう。…ようこそ、洋食店『Luna』へ。ふふっ、どう?キマってた?」

 

「ふふふっ…うん、かっこよかったよ、彩葉ちゃん」

 

私が冗談めかして言うと、百ちゃんは笑いながらほめてくれた。

 

「さて、それじゃあ中に入ろうか。準備中って札がかけられてるけど、私が連れてきたって言えば大丈夫だから」

 

「うん、ありがとう彩葉ちゃん」

 

そうして、私は百ちゃんを連れ立って『Luna』の扉を開けた。

 

カランコロンーーー

 

「あっ、いろは!おかえりなさい!」

 

「お、いろはだぁ♪こっちではお久ー☆」

 

「ここ家じゃないんだからおかえりはおかしいでしょ。…まあでも、ただいま。ヤチヨも久しぶり。ミヨさんは?」

 

「ミヨなら食材を取りに倉庫に行ってるよー。ところで、そちらの方は?」

 

私が聞くとヤチヨがミヨさんの居場所を教えてくれた。そして百ちゃんのことを聞かれたので

 

「あ、こちらは尼子百さん。ミヨさんのサンドイッチに惹かれてお店に来てくれたの」

 

「初めまして、尼子百と申します。」

 

「百ちゃんか~。わたしは…ヤチヨ。よろしくね~」

 

「わたしはかぐやだよ!よろしくね、百!」

 

「はい、よろしくお願いしますね、かぐやさん、ヤチヨさん」

 

…そういえばヤチヨのことを言うのを忘れてた!と一瞬緊張が走ったが、どうやらわからなかったか、気づかないふりをしてくれたらしい。どちらにしろ良かった~。

 

そうして、しばらく4人で談笑していると、ガチャリと厨房から扉が開く音がした。

 

そのままカツカツと足音が近づいてきて、厨房からミヨさんが来た。

 

「お、にぎやかな話し声が聞こえたと思ったら、いろはが来てたのか。ご苦労様、いろは。…そっちの人はいろはの友達かな?」

 

「お疲れ様です、ミヨさん。あ、はいそうです。こっちの人はーーーって、百ちゃん?」

 

「ミヨ…さま?」

 

ミヨさんから百ちゃんについて聞かれたため、紹介しようとして百ちゃんの顔を見たところ、百ちゃんは目を見開いて涙を溜め、口に両手を当てながらミヨさんの方に近づいて行った。

 

「あれ、なんで俺の名前を…ん?んん?キミ、何処かで見たことがあるような…?」

 

「あ、ああ。ずっと…ずっとこの時を待ち望んでおりました。この…再会の時を」

 

なんか百ちゃんの口調が変わってる…?

と疑問に思っていると、百ちゃんは感極まった様子でーーーミヨさんに抱き着いた(・・・・・・・・・・)

…はい?

 

「うわっ!?」

 

「わたくしです!八百比丘尼でございます、ミヨさま!」

 

「あっ、そっか!どこかで見たと思ったら、八百比丘尼ちゃんか!うわあ、ひさしぶりだなぁ!」

 

「ああ、覚えていてくださったのですね!お会いしとうございました、我らが蒼き星の君…!」

 

「いや、ほんと久しぶりだねえ!何百年ぶりだろうなぁ。おっと、立ち話もなんだし、座ってすわっ!?…え、3人とも、どうしたんだ…?」

 

私たちはきっと同じ表情をしているだろう。…目が全く笑っていない笑顔を。

 

「「「ミヨ(さん)、百(ちゃん)とどんな関係なの(なんですか)?」」」

 

ーーー

「なるほど、つまりヤチヨと江戸時代よりも前に一度離れたことがあって」

 

「その時に老いなくて迫害されていた百ちゃんと出会って」

 

「それで百ちゃんが独り立ちできるように色々教えた…と」

 

「はい…そうなりますね…」

 

「あの時は至福の時間でございました…!」

 

私たちに詰められてげっそりしているミヨさんと、ミヨさんと再会できた百ちゃんーーー八百比丘尼さんは正反対の反応をしていた。

 

「まったく、ミヨってばやっちょと離れ離れだった時にこんなかわいい女の子と一緒だったなんて…これはちょーっと許せないかにゃあ…?」

 

「ミヨ…キャンプの時も言ったよね?私たち以外の女の子に手を出そうとしたら何しちゃうかわからないって…」

 

「え、いや確かにあの後ヤチヨに話さなかったのは申し訳ないと思うけど、かぐやのは理不尽じゃーーー「ん?」あっいえ、ナンデモナイデス」

 

「ふーん、そういうこと言っちゃうんだぁ…。これはミヨのことを誰が一番想ってるのか教えてあげなくちゃかなあ…?」

 

「あ、かぐやずるーい!やっちょもやる~★」

 

「あっちょ、まっ…!ぬわあああああああ!」

 

あっちでミヨさんが失言をしてかぐやとヤチヨにお仕置きされているのを尻目に、私は百ちゃんと話をする。

 

「まさか百ちゃんの想い人がミヨさんだなんて…」

 

「それはこっちもだよぉ!…ふふっ、あんなことを言ったけど、私はどっちかというと兄のように慕っているだけだから、安心してほしいな」

 

「へっ?」

 

「ほら、好きな人とは言ったけど、恋愛的にとは言ってないでしょ?」

 

「た、確かに…」

 

「あの時、老いない私をみんなが化け物と言って迫害してきたの。でも、ミヨさまだけは違った。同類だと言って、家族のように生きるすべを示してくれた。だからあの人は私にとって親、あるいは兄のような人なの。」

 

「…そっか」

 

そのきれいな感情に、私は圧倒されてその言葉しか出てこなかった。

 

「ふふっ、頑張ってミヨさまを落としてね、彩葉ちゃん!私応援しているから!」

 

「…うん、ありがとう百ちゃん」

 

私は、百ちゃんと笑い合って、この新しい友達ともっと仲良くなりたいと思った。

 

「「ミヨ~★」」

 

「も、もう勘弁してください…」

 

…流石にミヨさんがかわいそうだから止めるか。




どうも、ど素人ことあさらこです。

今回はブラコン風オリキャラ、尼子百こと八百比丘尼さんを出してみました。
彼女にはミヨに対する恋愛感情はありませんが、それに匹敵するほどの親愛を持っているうえ、幼い子供が兄にするようにスキンシップ多めで接するので、ヤチヨたちは今後危機感を覚えていくと思います。
今後出てくるかはわからないですが、割と好きなキャラクターなので頻繁にではなくともちょっとしたところでは出したいな、と思っています。
あとでオリキャラ紹介の方にも追加しておくので、ご興味があれば見ていただければと思います。

それでは今回はここまで、また気が向いたときにでも。

いつもはフレンドリーな口調なのに、特定の人物にだけ丁寧な口調に変わるキャラ、いいですよね…。
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