超かぐや姫!〜地獄の付添人を添えて〜   作:あさらこ

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ほらほら、ミヨ!ウサギだよ、ウサギ!


動物園に行ってみよう!(かぐや・彩葉)

side:ミヨ

「ねーねーミヨ、この動物って何ていうの?」

 

「ん?どれどれ…」

 

今日はかぐやが『Luna』に遊びに来る日で、料理教室も終わり今は俺が出した温かいミルクティーでまったりといろはが来るまで過ごす時間。かぐやがスマホで何かを調べているな、と横目で見ていたら、こちらに来てこのように聞いてきた。どうやらSNSで偶然流れてきた動画の見慣れない動物の名前が聞きたかったらしい。

 

「あー、これはプレーリードッグって言って、アメリカの北の方の砂漠とか草原にいる動物だったかな?」

 

「プレーリードッグ…かわいいなぁ~♪ん~、でもアメリカかぁ~。生で見てみたいと思ったけど遠いね~」

 

「ん?確かに野生は北米に生息しているけど、日本の動物園で飼育しているから見られるぞ?」

 

「え!ホント!?」

 

「ああ、なんだったらそんなに遠くないところで飼育されてるみたいだから今度の休みに行ってみるか?」

 

「行く行く!やったぁ~初めての動物園だ~!どっうぶつ、どっうぶつ~♪あ、いろはたちも一緒に行けるか聞いてみよ!」

 

早速いろはとヤチヨとのグループチャットに書き込むかぐやを微笑ましく見ていると、あることを思いついた。

 

「…そうだ、せっかく動物園に行くんだったらお昼ご飯にお弁当作って持って行くか。重箱みたいなおっきいやつで」

 

「え、何それめっちゃ楽しそう!じゃあじゃあ、一段ずつわたしとミヨのおかずを作って、三段目はおにぎりとかサンドイッチ詰めてこ!」

 

「おお、和洋折衷ってやつだな。じゃあ二人には内緒にして驚かせるっていうのはどうだ?」

 

「いいね!よ~し、美味しいのつくるぞ~!」

 

「おー!」

 

二人で拳を振り上げ、どんなお弁当を作っていくのかをいろはが来るまで話し合うのだった。

 

ーーー

そして、動物園当日の朝。俺は待ち合わせ場所であるとある駅に到着した。

お弁当は前日にほとんどかぐやと作り終わっていて、おにぎりなど当日に作らなければいけないものを早朝に作って持ってきた。

 

時刻を見ると集合時間10分前だったため、几帳面ないろはのことだからもう来ているかもしれないと思って周りを見渡してみるとーーーいた。いたが…かぐやと一緒に成人男性っぽい誰かと話している?

知り合いかと思ったが、いろはがかぐやを後ろにかばっているし、二人の顔が険しいためそういうわけでもなさそうだ。

 

足早に二人に近づくと、こちらを向いていたかぐやがハッとした顔をして「ミヨ!!」といろはを引っ張りながらこちらに向かって走ってきた。そしてそのまま俺の後ろに隠れて服の端を握ってきた。

 

「ミヨ、なんかこの人たちが「いいところ連れてってあげる」とか言ってきて、私たち断ったのにしつこく通せんぼしてきたの!」

 

「…コクコク」

 

かぐやはいろはがかばっていたからまだ大丈夫だったのだろうが、いろはは面と向かって話していて、俺が来て気を張っていたのが解けてしまったのか少し怯えてしまっている。

 

「…らしいんですが、本当ですか?」

 

「ああ?なに後から来てカッコつけてんの?邪魔だよ?」

 

「そーそー。さっさと二人を置いて帰りなよ?痛い目見たくないでしょ?」

 

二人が気持ち悪い笑みを浮かべながらこちらに向かってきた。そのまま拳を振りかぶってーーー腹を殴ってきた。

 

「オラァ!……!?」

 

「おいおいタクヤー、そいつ吐いちまうよ~。もう少し優しくしてやんなってー…タクヤ?」

 

最初はへらへら笑っていた片割れだが、タクヤと呼ばれた男の様子がおかしいことに気づき、戸惑いながら名前を呼ぶ。するとタクヤ何某は手を抑えながら「いっってぇ…!?」と叫んだ。

 

「おい、タクヤ!?大丈夫か!?」

 

「な、なんだあいつの体…?鉄みたいに硬ってえんだけど…!?」

 

「…おい」

 

「「!!!」」

 

「これ以上痛い目を見たくないんだったら、さっさと帰ることをお勧めするが」

 

言いながら拳を振りかぶる真似をすると「ひぃいいいい!?」と叫びながら逃げていくタクヤ何某を「タクヤ!?…くそっ、覚えてろよ!?」と捨て台詞を吐きながら追いかけて行った。

 

「…ふぅ。二人とも、大丈夫か…「ミヨ~っ!!」って、おっとと」

 

後ろを向いて二人に呼びかけると、相当怖かったのだろう。二人揃って抱き着いてきた。

 

「よしよし、二人ともよく頑張った。特にいろは。怖かっただろうによくかぐやをかばったな。」

 

「ハッ、そ、そうだいろは、ありがとね?」

 

「ぅぅううう~~~~…」

 

「うんうん。落ち着くまで泣いていていいからな。…ほんと、よく頑張ったね」

 

かぐやは少し涙ぐむくらいだったが、いろはは決壊してしまったのだろう。腕の中で静かに泣き出してしまった。

…そのまま泣き止むまでそのままでいること約十分。

 

「ぐすっ…ありがとうございます、ミヨさん」

 

「いや、大丈夫だよ。…改めて、よく頑張ったないろは。さて、落ち着いたところで動物園だが…どうする?また別日でもいいが」

 

「いえ、行きましょう。私も楽しみにしてましたし。ただ…その。メイクを直してきてもいいですか…?」

 

「あー、それもそうだな。…気が利かなくてごめんな?」

 

「いやいや、すぐに直してくるので!」

 

そういってメイク直しをするいろはを待ち、気を取り直して動物園に向かうのだった。

 

ーーー

さて、しょっぱなからハプニングがありつつもたどり着いたのは都内某所の動物園である。

 

チケットを買い、二人に渡したところで「さて、なにから見に行きたい?」と言うと、二人はパンフレットを見ながらう~ん…と悩み始めた。

 

「プレーリードッグは一番見たい…けど、ふれあいコーナーも行きたいなあ。…うぐぐ、悩むぅ~」

 

「私はなんでも…強いて言うならふれあいコーナーですかね?」

 

「ん、ならふれあいコーナーに行ってみるか。道中の動物で気になったのがいれば見に行こう」

 

「は~い!…でも、ヤチヨ残念だったね~。収録と被っちゃうなんて」

 

そう、ヤチヨが今日居ない理由は、収録が重なり休みが合わず、泣く泣く断念したためだった。

なんなら本当にちょっと泣いていた。

「トホホ…お土産話と写真おねがいね~」とのことだった。

 

「そうだな。代わりに写真いっぱい撮って帰った時に話をしてあげよう?」

 

「うん!これでいっぱい撮る~!」

 

かぐやがそう言って掲げたのは、デジタルカメラ。思い出に残したいとのことで買ったそうだ。

 

「よし、じゃあふれあいコーナーに行こうか」

 

「わあ~~~!!!うさぎがいる~!本物は初めて生で見るよ~!」

 

と言いながらうさぎにおっかなびっくり触るかぐや。

 

「うわあ、もふもふ~…。あ、ニンジン食べる?」

 

うさぎの背を撫でながらニンジンをあげると、かぐやの手からポリポリと食べていく。

かぐやが興奮しながら「ミヨ、いろは!めっちゃ食べてるこの子!」と次のニンジンをあげる様子を見て、俺は心の底からあの時かぐやを助けてよかったと思った。

 

「いろは、いろはもあげてみなよ!」

 

「ええ…?じゃ、じゃあ、はいどうぞ…?」

 

食いしん坊なウサギは、いろはの手から差し出されたキャベツをボリボリといい音を鳴らして食べていく。そんなうさぎの様子にいろはは「わっ、わっ」と少し興奮しながら笑顔でうさぎの背を撫でていた。

 

パシャリ。

 

二人の姿を写真に収める。…うん、綺麗に取れた。

そこには二人の少女がウサギに囲まれながら、優しい笑顔で餌をあげる瞬間が切り取られていた。

 

その後は象を見てかぐやが「でけ~~~!!!」と歓声をあげたり、ライオンを見て「これが生のライオン…!」とくぎ付けになっていた。いろはもいろはでかぐやほどにはしゃがなかったものの、いろいろな動物の様子に集中しているのが分かった。

 

そうして半分ほどを見終わったところで正午のチャイムが鳴り響いたので、俺たちも昼食を摂ることにした。

 

「と、ゆ~わけでじゃじゃ~ん!わたしとミヨで作ったスペシャルランチでーす!」

 

「おお~~」

 

「ささ、開けてみてくれ、いろは」

 

「ゴクリ…。では!」

 

パカリ、と一段目を開けると、そこにはキッシュやミートボール、エビフライやサラダがあった。

 

「うっわ、ボリュームがすごい!美味しそー」

 

「あ、これは俺が作った段だな。歩くと考えたら自然とボリュームがな…」

 

「つぎのかぐやのも見てみて!」

 

「う、うん。…わ、こっちもすごいね」

 

かぐやの段を見ると、唐揚げやマカロニサラダ、アスパラのベーコン巻きなど、THE!お弁当のようなラインナップだった。

 

「そして最後は~?」「サンドイッチとおにぎりでーす!」

 

「これ、全部食べ切れます…?」

 

「「…そこ考えてなかった…」」

 

「おいお馬鹿二人」

 

イエ-イとハイタッチする俺たちを見ながらいろはは口をヒクヒクさせツッコんだ。

 

「ま、まあ残っても日持ちすると思うから!大丈夫大丈夫!」

 

「そ、そうそう!ほら、今はそんなこと気にせず食べよう!?ね?ね?」

 

俺たちは必死で弁明しながら食べようと促し、昼食を摂るのだった。

…結果、2食分ほど残ったことをここに記しておく。

 

午後はレッサーパンダやキリン、カバの餌やりを見た。かぐやにとっては初めての動物ということもあって、とても興奮していた。「いつか野生のこの子たちを見てみたいなぁ~!」と言っていたので、数年の間にきっと見に行くことだろう。

 

そんなこんなで動物園中(爬虫類コーナー以外)を見て回り、日が暮れるころにはーーー

 

「すや~」

 

かぐやは俺の背中で眠っていた。

 

「まったく、遊び疲れて寝るとか子供か」

 

「まあ、生まれて初めてのことだらけだったんだ、しょうがないよ」

 

呆れるいろはにフォローする俺。そして俺の背中で眠るかぐや。こんな時間も悪くないと考えているとーーーパシャリ。どうやらいろはが俺とかぐやを撮ったようだ。

 

「ふふ、これもヤチヨに見せましょう」

 

「…ああ、いい土産話になるだろうな」

 

「今度はヤチヨも一緒に行きましょうね」

 

「そうだな…」

 

俺といろははぽつぽつと、穏やかに会話しながら家路を歩くのであった。

 

 




どうも、ど素人ことあさらこです。
ある意味定番ともいえる動物園回、いかがだったでしょうか?
かぐやは案外生の動物(猫以外)と触れ合ったことが無い、いろはも幼少期以降は言って無さそうだなと思って書きました。
ナンパのところに関しては、タクヤ君は手を痛めたことでミヨ君の体の頑強さと、無意識に出していた怒気を敏感に感じ取って怯えて逃げています。

次の話題
宣伝みたいなものですが、小話置き場の方に新たに前話のおまけや、私が書きたいけど文字数の関係で断念していた始まりの見世のお話(おやつ回)も載せていますので、よろしければそちらもどうぞ。
多分今後も小話は2~3日後には更新があると思います。

それでは今回はここまで、また気が向いたときにでも。

公式ファンブックが全然届かない…
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