※若干のボーイズラブ要素、小説版のネタバレが少しあります。苦手な方はブラウザバックをお願いします。
side:ミヨ
ズーーーン…
『Luna』の中の空気が重い。
今日は2031年の2月17日、時刻は13時半ごろ。原因はある人物がカウンターでとても落ち込んだ雰囲気を出しているからなのだが、近寄りがたい空気を出していて話しかけにくく、お客さんもはやばやと退店してしまい、店内はガラガラになってしまった。バイトに来ていたいろはも色々と理由があり、遠巻きで見るだけで話しかけられていなかった。
「ミヨさん、アレ、どうします?」
「こらこらいろは、アレとか言わない。たとえ実の兄でも、今は店員とお客さんなんだから」
「あ、すみません、つい」
「……でも確かにどうするかなぁ…朝日さん」
気まずげに近づいてきたいろはに言われて、俺もこの重い空気を生み出している相手ーーーいろはの兄である、酒寄朝日さんを視界に入れながら、どうしたものかと考えていた。
ほんの一時間前ほど、バンッと少し乱暴に開けられた入口にいたのは落ち込んだ様子な朝日さんだった。
そのままツカツカとこちらに向かって歩いてきて、ドスン!と勢いよくカウンターにある椅子に座った朝日さんは「ホットコーヒーをお願いします」と言って組んだ両手を額に当てて俯いてしまった。
そしてコーヒーを提供して、今に至るーーーというわけなのだが、未だに朝日さんは最初の注文以外で一言も話さず、ずっと俯いたままだった。
俺もどう話を切り出したものかと悩んでいると、我慢の限界がきた様子のいろはが「あーもう!」と言って、ズンズンと朝日さんの元へ行き
「そんな暗い雰囲気出されててもお店の迷惑!…ほら、何があったか聞いてあげるから。何があったの、お兄ちゃん」
「…い、いろは〜…!」
と兄妹らしく少しぶっきらぼうに問いかけると、朝日さんは少し泣きそうな声でいろはの方を向いた。
「…珍しいね、お兄ちゃんがそんなに参ってるの」
「確かに、人前で出すイメージはないですよね…。どうしたんですか?話を聞くことしか出来ないかもしれませんが、みんなで考えれば何か解決法が見つかるかもしれませんよ?」
「ふ、二人とも…。ありがとうございます…!」
「(ちらっ)……と、とりあえず、何が原因であんなに落ち込んでいたのかを教えてもらっても…?」
俺たちの言葉に少し涙ぐみながら感謝する朝日さんに、いろはと「これはかなり重大なことなのでは…?」と目で会話して手助けできるか不安になったが、とりあえず話を聞かないとなにもできないため、事情を聴くことにした。
「そ、そうですよね…それじゃあまず、俺の、というか俺たちの秘密を一つ話さなくちゃいけないんですが」
「「ゴ、ゴクリ…」」
朝日さんの秘密を知るということで、俺といろはは生唾を飲み込んだ。
そして朝日さんは言った。「実は、俺と乃依…駒沢乃依は付き合っているんです」ーーーと。
瞬間。
「「ええええええええええええぇぇぇぇぇぇ!?」」
と、俺といろはの絶叫が『Luna』の中に響き渡った。
ーーー
俺たちが落ち着いて朝日さんに祝福の言葉を伝えた後、何があったのかを聞いたところによると、
今日、朝日さんと乃依さんはデートをしていたそうなのだが、朝日さん的には楽しくデートができていたそうなのだが、昼食を食べる店を探していた時唐突に乃依さんが「もういいや。俺帰るね」と言って朝日さんの制止の声を聞かずにそのまま帰ってしまったそうだ。そして呆然としている朝日さんに乃依さんからメッセージが飛んできて、「なんで俺が怒ったのかわかるまでプライベートでメッセージ送ってこないで」と言われてしまい、何かしてしまったのかと頭の中で落ち込みながらぐるぐると考えながら歩いていたところ、気づいたら『Luna』の扉の前に来ていたらしい。そして今に至るーーーとのことだった。
「お兄ちゃん何やってんの…。心当たりとかないの?」
「それが本当になくて…。会話もいつも通りだったし、だから困ってるんだよ…」
「…。ちなみに、なんの会話をしてたんですか?」
話を聞いていろはから呆れた目を向けられた朝日さんは、本当に心当たりが無いようで心底困っている様子だった。
俺も話を聞いた感じ、デートの内容自体には問題はなさそうだったため、もしやと思いデート中の会話の内容を聞いてみた。すると
「何って、いつもしてるような話ですよ?えーっと、かぐやちゃんの配信の話とか、ミヨさんとのSETSUNAで対戦したの時の話とか」
と言ったため、いろはと同時に「「あー…」」と納得の声を出してしまった。
「お兄ちゃん…。それはデート中に一番やっちゃいけないことだよ…」
「え!?なんで!?乃依だってかぐやちゃん結構好きだしミヨさんへの対策とか一緒にするぞ?」
「朝日さん、俺も最近知ったんですが、恋愛感情があろうとなかろうとデート中に特定の熱を上げている相手の話をしてはいけないそうなんですよ。なんでも、自分とデートしているはずなのに別の人のことばかり考えているように見えるそうで」
「え!?そうなんですか!?いつもしているのに?」
「そりゃ普段はね?でも、デート中は相手のためにおしゃれしてきたり、デートっていう二人で同じものを見たり体感したりするって言うことが大切なのに、全然デートとは関係ない上に自分以外の好きな人の話とかされても嫌だし、怒るに決まってんじゃん!」
「……(ハッ)そ、そうだったのか…。それは確かに、悪いことをしちゃったなぁ…」
いろはがなぜ朝日さんの行動がダメだったのかを語ると、朝日さんは数秒考える仕草をした後、ハッと何かに気づいたような顔になり、またズーーン…と暗い雰囲気を出して落ち込み始めた。
「ああ、もう!ここで落ち込むんじゃなくて、どう謝るか、そして次にどうするか、でしょ?シャキッとしなさい!」
「お、おお…。まさか彩葉に叱られるとは…。あの時とはえらい違いだなぁ…。これもミヨさんやかぐやちゃんののおかげかな?」
「う、うるさい!私のことはいいから、どうやって乃依くんと仲直りするか思いついたの?」
落ち込んだ朝日さんにいろはが叱ると、朝日さんはいろはの成長を喜ぶような表情を浮かべた。
そんな朝日さんの言葉に照れた様子のいろはが改めてどうするのか聞くと、朝日さんはしばらく腕を組んで考えた後、何かを決心した顔で俺の方を向き、こう言った。
「ミヨさん、一つ頼みがあるんですがーーー」
俺はその頼みを聞いて、快くうなずくのだった。
ーーー
side:朝日
今日は2月23日、乃依の誕生日だ。俺はあの後、乃依に自分の話したことが無神経だったことを謝り、乃依の誕生日である今日に改めてデートしてくれないかと頼み込んだ。乃依からの返答は「…わかった」の一言だけだったので、いまだに許してもらえたのかもわからず、とても緊張している。そんな緊張感の中、集合場所で待つこと十数分、乃依が来た。
「…。」「…。」
俺は変な緊張でうまく言葉が出ず、あっちもなぜか黙ったままだった。
俺の焦りがピークに達そうとしたとき、
「…ふ、ふふ。あっはははははは!!!あ~…おかしい。わざと黙ってたけど朝日ちゃんがすっごく緊張してる姿見て面白くなって思わず笑っちゃった」
思わずと言った様子で笑い始めた乃依に対して緊張が一気に薄れ、思わず突っ込んでしまった。
「の、乃依~!お前なぁ~…!」
「あはは…でも、あの日は酷かったんだからこのくらいしてもいいと思うんだけど?」
「うっ…。あ、あの時は本当にごめん!メッセでも送ったけど、俺が無神経だった!」
「うん、許してあげる♡でも、これからのデートではしないでよね?」
「あ、ありがとう…!もちろん、これからは乃依とのことだけに集中する!」
「よろしい♡…じゃ、行こっか。今日はどこに連れてってくれるの?」
俺が謝ると、乃依は笑って許してくれた。
そして、仲直りした俺たちはデートを始めるのだった。
デートはまるで前回のことが嘘のように上手くいったと思う。
今考えると、これまでは乃依とのデートであまりにも俺がかぐやちゃんやミヨさんなどの話をしていたせいでデート自体の記憶が薄かったことに気づいた。
俺が罪悪感でもう一度乃依に謝ると、乃依は「やっと気づいた?」と苦笑していたが、許してくれた。
デートでは、乃依の好きなアクセサリーを見に行ったり
「お、このアクセめっちゃかわい~♡…こっちのリングは朝日君似合うんじゃない?」
「ほんとか?…どうよ」
「やっぱりよく似合うよ。買っちゃえば?」
「う~ん…、ここはいっそお互いに似合うアクセを買ってプレゼントし合うってのはどうよ?」
「え~、それ俺のガラじゃないと思うんだけど…ま、たまにはいっか。思い出のモノができるっていうのも」
「よっしゃ!じゃあさっそく選ぼうぜ」
「まったくはしゃいじゃって…朝日は子供だなぁ。…ふふっ」
ちょっとゲーセンに寄って普段やらないジャンルのゲームをしたり
ざわざわ…
「お、おいあの二人組、ダンスゲームでハイスコア叩き出したぞ!」
「何だあの身のこなし!?プロかよ」
「よっしゃ!おれの勝ち~!う~ん、久々にやったけどやっぱ完璧にはいかんか~」
「…朝日、もう一回」
「お、珍しく負けず嫌いが出てるな?望むところだ!」
「…次は絶対勝つ」
前回行き損ねた隠れ家風のカフェで休憩したりした。
「へー、いい雰囲気じゃん。この前一人で行けばよかったかも」
「の、乃依~…!」
「はは、冗談冗談。少し意地悪言いたくなっただけだよ♡」
「こっちは割と刺さってるんだから手加減してくれな…?」
「ごめんごめん。さて、何たのもっかな~」
「あ、あんまり食べ過ぎないでくれな。」
「…?よくわかんないけど、わかったよ~」
「…ほっ」
前回の分も取り戻すように楽しんだおかげで、時間はあっという間に過ぎ、気づけば夕日が落ちるところだった。
「今回のデートはどうだった?乃依」
「う~ん…ま、及第点ってとこかな」
「手厳しいなぁ…。なあ乃依、最後に付き合ってほしいところがあるんだけど、いいか?」
「しょうがないなあ、付き合ってあげるよ。」
「ありがとう!…じゃあ付いてきてくれ」
「さ、着いたぞ」
「ここって…」
乃依と電車に乗って十数分後、俺たちはとある洋食屋に来ていた。
「さ、みんな待ってるから中に入ろう」
「み、みんなってどういうーーー」
俺が扉を開けて乃依に先に入らせるとーーー
パパパーーーン!!!
「「「「「乃依(さん)(くん)誕生日おめでとーーー!!!」」」」」
かぐやちゃんや彩葉、ミヨさんに雷、さらにヤチヨちゃんがクラッカーを鳴らして乃依の誕生日を祝った。
乃依が驚いたようにこちらを振り向いたので、俺は思いっきり笑って言った。
「乃依、改めて誕生日おめでとう!」とーーー。
side:ミヨ
乃依さんと朝日さんが店に来てお祝いしたあと、乃依さんの誕生日パーティーが始まってしばらくした後、シャンパンの入ったグラスを片手に朝日さんがやってきた。
「改めて、今回はありがとうございました、ミヨさん」
「いやいや、俺も普段からお世話になっているし、なにより友人の誕生日を自分の店で祝えるなんて料理人冥利に尽きるよ。だから気にしないで楽しんでくれ」
「それでも、今回はとてもお世話になったのでやっぱりありがとうございます。ですよ」
「はは、じゃあありがたく受け取っておこうかな。…それで、料理はどう?乃依さんは美味しく食べてくれてるかな?」
「それはーーー「朝日ちゃん?そんなにミヨと話すのが楽しいのかなー?」うお、乃依」
「まーた怒られたいのかな?「いえ、滅相もありません!じゃ、じゃあミヨさん、改めてありがとうございましたー!」…まったく、そんなに怖がらなくてもよくない?」
突然背後に現れた乃依さんの言葉に怯えた様子を見せた朝日さんの様子をみて、乃依さんが苦笑しながら独りごちる。
「まあ、嫌われるのが怖いくらいキミのことが大事ってことなんだろう。愛されてるな」
「うるさいよ。…正直、最後まで二人きりじゃなかったことは減点だけど、ミヨのラザニアがおいしいから許してあげる」
「お、光栄だな」
「…今度、俺にも料理教えてよ。これで料理も覚えれば俺、最上級にかわいくなれるし~?」
「…ふふ、ああいいよ。」
「その笑顔、腹立つ~♡……アリガト」
そう言って朝日さんのもとに戻る乃依さんを微笑ましく思いながらみんなの様子を眺めていると、ヤチヨがこちらにやってきた。
「ミヨ、食べてる~?ほらほら、この唐揚げ美味しいよ~。作ったのはもちろん、このやっちょです!はい、あ~ん」
「あー、むぐっ。…おお、しょうがが入ってて重くないな。美味しい」
「よかった~。…ね、ミヨ」
「ん?どうした、ヤチヨ?…おっ、と…」
不意に俺の名前を呼んだヤチヨは、俺の横に来て頭を肩に乗せてきた。
「…いつまでも、こんな感じでみんなで誕生日を祝ったりするような、楽しい日が続くといいね」
「ああ…そうだな」
そう、二人であの日々を思い出しながら、みんなの姿をヤチヨと寄り添い合いながら見守るのであった。
ーーー
side:第三者視点
「まったく、朝日くんめ…あんなサプライズ用意してるなんて生意気~♡
…ま、プレゼントもふつーだけどもらったし、やっぱり及第点かな」
誕生日パーティーが終わり、乃依は自室に帰ってきてベッドに寝ころびながらそうつぶやく。その手には朝日からデート中にもらったペアリングの一つがあった。
乃依はそのリングを普通と言いながらも、大切そうに手の中で転がし、柔らかい笑みを浮かべるのであった。
どうも、ど素人ことあさらこです。
今回は大変遅ればせながら乃依くんの誕生日記念を書いてみました。
そして今回は乃依くんと朝日くんがいつから付き合っているのかわからないから本編中から付き合ってることにしてしまおう、朝日くんちょっと恋愛下手にしちゃおうなど、かなり捏造が入っています。
小説版で微量に入っていた要素をめっちゃ希釈して書いたので、お慈悲をいただければ幸いです。
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公式ガイドブックが全然入手できない…。でも紙でほしいので待ちます。いつまでも。
でもできるだけ早くほしいなぁ…
それでは今回はここまで、また気が向いたときにでも。
とりあえず次は遅れないように全員分の誕生日が知りたいデス…