名探偵プリキュア! -銀の正義と黒の秘密-   作:寿垣遥生

11 / 19
遥生です、ちょっと中5日ぐらい空きましたかね?執筆はアニメ見ながらしてたんですよ。ただ、追加のオリジナルシーンというかそこが苦戦してて⋯でも、何やかんやで今月3回目の更新になります。

そんな今回はアニメの5話分突入でここから重い話が続いていきますね⋯あんなちゃんは本当にここら辺の回までは本当に寂しくてみくるちゃんを頼りに頑張ってたんだなと思ったところです。みくるちゃんという同世代の女の子の存在がいたからこそこの時代で強くいれたんでしょうね。それがいなくなるとどうなるのか、それが自分のことを忘れていたらどうなるのか⋯5話、6話はちょっと辛かった印象があります。

しかし、これよりもシリアスな回がまだ控えていることを考えると⋯明日の次回が11話ですけど、11話も予告とかの雰囲気や出てくるキャラからしてシリアスだろうなって思いますね。まあ、世間はアルカナ・シャドウとしてるるかちゃんがやっと出るということで騒いでますけども⋯プリキュア同士の戦いとかその後の決着とかで最悪な結果を見そうですけど、今作はシリアスというか重い話がキミプリというか例年より多めな印象がありますね。

とりあえず、僕の方の本編も読んでくださいね?それでは、また後書きにて。


#11 信義とあんなの心の闇

side信義

 

 あのデートの翌日、今日からみくるは学校が始まるということで制服を身にまとい、これから学校に行こうとしていた。始業式という新年度のスタートということもあり制服の着こなしもきちんとしていた。

 

「本当に平気なの、あんな?」

 

「大丈夫、ノブお兄ちゃんとジェット先輩とドギーがいるし!だよね?」

 

「ああ⋯」

 

「どうしたの、ノブお兄ちゃん?もしかして⋯みくると離れるのが寂しいの?」

 

「いや、そうじゃない⋯とにかく、今日からお前は新2年生。新年度のスタートダッシュはしっかり決めてけよ?」

 

「はい!」

 

『まったく、ジェットのやつは何をしてるんだ?研究室に籠ったきりでみくるの見送りすらしないとはな⋯』

 

「ポチ〜♪」

 

「まあ、ポチタンは相変わらずマイペースだよな。」

 

 ポチタンの方に目を向けると、机の上で色んなものを入れることを楽しんでいた。こいつは良いよなぁ⋯赤ちゃんだし、何も考えることがなくても楽しく過ごせるし。俺はるるかちゃんのことで悩んでいるのに⋯

 

(でも、るるかちゃんって本当に何者なんだ?怪盗団ファントムからも認知されている存在で『キュアアルカナ・シャドウ』と呼ばれてる⋯とりあえず、無事であると良いけどな。)

 

「ノブお兄ちゃん、ノブお兄ちゃん!」

 

「あっ⋯ごめん。とにかく、ポチタンはマコトジュエルで成長してるってことかもしれないな。」

 

「そうかもね。あっ、みくる⋯急がないと遅刻しちゃうよ?」

 

「そうだった、何かあったらボイスメモで連絡して?師匠も何かあったらジュエルキュアライセンスフォンで連絡の方をよろしくお願いいたします。」

 

「分かった!」

 

「了解。」

 

「行ってきま〜す!」

 

「「行ってらっしゃい!」」

 

「ポチ〜♪」

 

 そうしてみくるは探偵事務所を出てから学校へと向かった。しかし、こんな日がもう来てしまうとはな⋯ここまでの日は春休みだったからみくるがいて当たり前の日常だったのに、1人いないだけで少し寂しく感じてしまう。

 

「静かだね⋯」

 

「そうだな。」

 

『なあ、信義⋯お前、まだ昨日のことを気にしてるのか?』

 

「当たり前だろ、ドギー⋯俺は目の前でるるかちゃんを助けることができなかった。あの子、俺に何かを伝えようとしてたのに⋯」

 

 ドギーは俺が落ち込んでいることを見抜かれたのか質問を投げ、それに素直に答える。るるかちゃんを連れ去った犯人に腹が立つと共に悔しさがまた込み上げるばかりだ⋯

 

「ノブお兄ちゃん、元気出して?きっとそのるるかさんとはまた会えると私は信じてるから⋯もしも、ファントムのせいだったらファントムに勝ってるるかちゃんを取り返そうよ。ねっ?」

 

「あんな⋯ああ、次にファントムが現れたらるるかちゃんの居場所を聞き出して俺が救い出してみせる!ありがとな、元気をくれて。」

 

「うん。ノブお兄ちゃんがはなまる笑顔になるために私もみくるもジェット先輩もドギーもずっとそばにいるからね!1人じゃないよ⋯」

 

「だな。」

 

 俺はあんなから励まされて少しではあるが元気を取り戻す。本当にウチの従妹は俺にとっては昔からの太陽だ⋯彼女がいたからこそ俺はいつも希望を持って生きれた。挫折した時もゴールデンウィーク、お盆、年末年始に叔母さんと一緒に和歌山の実家に遊びに来てくれたあんなが俺に生きる元気を与えてくれたんだ⋯その何気ない時間のおかげで俺は立ち直ることができ、国立大学に合格してからキャリア組で警察官人生を始めることができた。あんなには感謝してもしきれない⋯いつもありがとう。

 

side out

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

「時は来たぞ、ニジー⋯策は練っておるのだな?」

 

 その頃、怪盗団ファントムのアジトでは前日にるるかを庇ったニジーがウソノワールの前に立って今回の策を問われる。彼はあの時、るるかの代わりにマコトジュエルを奪還すると高らかに宣言⋯しかし、もう2度も敗北を喫していてここは彼にとっては背水の陣だ。

 

「はい、未来自由の書に出たマコトジュエル⋯手に入れるために調べた上でもう手立ては組み立てております。」

 

「ふむ⋯もう失敗は許されぬぞ、それとキュアアルカナ・シャドウの失態も背負っていることを忘れるな!」

 

「ライライサー!」

 

 そうして、ニジーはウソノワールの最終通告に同意してからアジトを出て策を実行することに⋯もうニジーの表情に余裕などなかった。アジトの中にも緊張感が広まっていく⋯

 

「⋯」

 

 そんな中の会合終わり⋯るるかは窓のあるところに移動しては外の景色を見渡す。彼女は信義のことを気にするようになってから毎日任務以外の時は外の景色を眺めていたのだが⋯決心を固めてからさらに外を見てる時間は増えていた。

 

「ここにいたのね、探したわよ?」

 

「ごめんなさい、外が恋しくなって⋯」

 

「まあ、外の景色を見ることに関しては何も言わないけど少し気にしすぎよ?もしかして、織田信義に会いたいと思ってるんじゃないでしょうね?」

 

「⋯」

 

 るるかはマシュタンからの問いに何も答えることはなかったがそれに否定はしなかった。どうやら当たっているようで、マシュタンも何も言わなくとも察した。

 

「まあ、言わなくても分かるわ⋯あなたの気持ちはあたしが1番よく分かってる。だけど、今は我慢しなさい?」

 

「でも、私は⋯織田さんを心配させたままにしたくない。あの人には笑っていてほしいから。」

 

「るるか⋯」

 

「ここにいたんだな⋯キュアアルカナ・シャドウ。」

 

「あんたは⋯」

 

 そんなタイミングでブラキッドが窓際にやって来てはるるかに声をかける。マシュタンは彼を睨み、るるかの方も警戒の表情でブラキッドを見つめた。

 

「おいおい、そんな警戒することはないんじゃない?もしかして俺のせいで奈落の底に落ちかけたとでも思ってるのかな⋯言っておくけど、これは俺の独断ではないんだ。指示されたのはウソノワール様でそれに従ったまでさ⋯俺を恨むのは筋違いではないかな?」

 

「それで、何か用?」

 

「そんな顔をすんなよ。あんたは本当にキュアマスターのことが気になってるようだな⋯ウソノワール様は見抜かれていたけど、やはり恋をしてたり?」

 

「⋯」

 

「無視か。酷いなぁ⋯しかし、敵同士の立場なのに恋をするだなんて本当に危ない橋を渡るね?」

 

「どうにしてもあんたには関係ないでしょ。るるかの気持ちに土足で踏み入らないで!」

 

「ほほう、パートナー妖精であるあんたが彼女の造反行為を助長するなんてね⋯その悪運はいつまで持つかな?」

 

「悪運とでも何とでも言えば良いわ⋯行きましょう、るるか。」

 

「うん。」

 

 るるかとマシュタンは絡みに行くブラキッドを嫌い、彼を避けるようにこの場を去る。ブラキッドはこの様子を見てニヤリと笑った⋯

 

(面白い子じゃないか。ウソノワール様もなかなか癖のある新人を雇ったみたいだ⋯でも、この子はなかなか強い力を感じるからあの人も見る目があるな。流石だよ、ウソノワール様⋯)

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

side信義

 

「みくる、大丈夫かな?今日から中学2年生でしょ⋯新しいクラスで緊張してないかな?」

 

 みくるが学校に行ってしばらくした時、あんなは窓の外を見つめながら彼女の心配をする。まあ、学年が上がってすぐって結構緊張するよな⋯本来だったらあんなは4月から中3になる予定だったのだが、タイムスリップしたことで色々狂ってしまった。

 

「まあ、みくるなら大丈夫だろ⋯お前よりもしっかり者だしさ。」

 

「ノブお兄ちゃん、それどういう意味?」

 

「いや、お前がダメな訳じゃないからな?あいつは名探偵になるために勉強を沢山してるんだ⋯あんなの何倍も。ただ、お前も俺のもとで頑張ってるのは認めてるからそれは忘れるなよ?」

 

「それなら良いけど⋯私もみくるに負けないぐらい探偵としても頑張らないとね!」

 

「ポチ〜♪」

 

 そんな風な話をしていると、ポチタンがあんなの回していた地球儀を自らに取り込む。今日はずっとこうやって色んなものを取り込んでいるのだが、ちょっと無理しすぎではなかろうか?

 

「ポチ〜!?」

 

「「あっ⋯」」

 

 その予感はあっさり的中してポチタンが溜めていた地球儀やらテレビのリモコンにコップ等⋯色んなものがキャパオーバーで飛び出してしまい机に散らかってしまった。本当に飼い主と似て無茶をするやつである⋯

 

「もう、無理して入れるからだよ?」

 

『しかし、ポチタンは本当に不思議な存在だよな⋯信義もそう思うだろう?』

 

「ああ、謎が多すぎる。なあ、あんな⋯」

 

「何?」

 

「ポチタンって何が目的でお前をこの時代に送ったのか分かるか?」

 

「ううん、私もよく分からないの。でも、私の部屋に来た時に『一緒に来てほしい』と言われて⋯もしかしたらこの1999年で何か異変があってポチタンが私に助けを求めてたのかも?」

 

「何かか⋯それが怪盗団ファントムと関係してる可能性もあるな。ファントムの撲滅か?」

 

『とりあえず、俺達は目の前で起きた事件を解決してマコトジュエルを回収する⋯そして、ポチタンが喋れるようになったら理由を聞き出すしかないな。』

 

「ああ、そのつもりだよ⋯って、やはり空が暗くなってきたか。雨が降りそうだ⋯みくるに傘を持って行った方が良いかもしれないな。」

 

「そうだね。私も行くよ、みくるが元気にしてるか気になるし。」

 

 そんな感じで今後についてを話し合っていると雲行きが怪しくなって晴れた青空が徐々に雲に覆われて暗くなりだす。天気予報でも晴れ一時雨と出ていたからその雨がこのタイミングで来そうだ⋯それで、あんなにみくるの傘を託して俺も一緒に行くことに。

 

「ちょっと待ってくれ、行く前に渡すものがある!」

 

 俺達が事務所を出て行こうとすると、ジェット先輩が研究室から出てきては渡すものがあると言われてそれが何なのかを確かめる。彼が手に持ってたのは3つのおもちゃのルーペのようなものだった⋯

 

「ジェット先輩、これは何だ?」

 

「ついにできたんだよ。古い本にあった伝説のプリキットが!」

 

「伝説?」

 

「ああ、詳しいことは分からないけど名探偵プリキュアの危機を救ってくれるらしい!」

 

「凄いな⋯これで俺達無敵じゃないか、ありがとう!」

 

 俺達はジェット先輩の研究品というか古い本の通りに作った伝説のプリキットを見せたが、それを見て俺達に自信が湧いてきた。これなら怪盗団ファントムに負けることなんてないのではないか?きっと拐われたであろうるるかちゃんだってこの力があれば助けることができるはずだ!

 

「それで、お前達は出かけるのか?」

 

「うん、みくるに傘を持って行くの。」

 

「空がどうも雨が降るっぽくてな⋯帰る時には恐らく降ってるだろうし。」

 

「それならちょうど良かった。みくるに3つ目のを渡してくれないか?」

 

「了解。俺達に任せとけって!行くぞ、あんな。ドギーはジェット先輩と留守番しててくれるか?」

 

『任せろ。』

 

「それじゃあ、行ってきます!」

 

 俺達はそれぞれ伝説のプリキットを受け取ってから事務所を出てみくるの通う学校へと向かった。とりあえず、雨が降り出す前に間に合ってくれればな⋯

 

「流石に名探偵みくるでも天気までは読めないよね⋯」

 

「ポチ〜♪」

 

「まあ、この当時はネットで天気予報は見れるにしても俺達の時代と比べたら正確度は落ちる上にそもそもパソコン自体があまり普及してなかった時代だからな⋯そこはもう探偵とかそういうのは関係ないと思うぞ?」

 

「そうかもね。あっ、みくるの分しか持ってきてないよ⋯どうしよう?」

 

 道中で天気の話をしていると、あんなはみくるの分しか傘を持ってないことに気づく。一応、俺は傘を持ってきてはいるが⋯本当におっちょこちょいな従妹だ。

 

「しょうがないな⋯雨が降った時は俺の傘に入れよ?相合傘ぐらい安いもんだ。」

 

「ありがとう、ノブお兄ちゃん⋯ごめんね。」

 

「あっ、織田さん⋯おはようございます。」

 

 俺があんなを相合傘に誘ったその時、この前の殺人事件の現場にいた新人刑事である薫風さんと出会っては声をかけられる。しかし、この人⋯元からイケメン女子なのに私服も紫のブラウスに白のスラッとした長ズボンの組み合わせにただでさえ身長高いのにヒールを履いてるものだから余計に見映えが良い。

 

「薫風さん、おはようございます。今日は非番ですか?」

 

「はい。ここ最近事件が続いてて、こういう時ぐらい羽を伸ばしてこいと猿田さんから言われたので⋯もちろん、警察手帳も持ってますし傘も忘れてませんよ?」

 

「それは良かったです。用意周到ですね?」

 

「いやぁ⋯昔はこれでもおっちょこちょいだったんですよね。小さい時はよく色んなのを忘れて父から怒られましたよ。でも、祖父は擁護してくれただけでなく忘れ物をしないコツを私に優しく教えてくれました。」

 

「あなたのおじいさん⋯良い人ですね、今もご存命なら僕も会いたいです。」

 

「もちろんご存命ですよ?会える時は必ず来ますからね⋯私と共に。」

 

「?」

 

 薫風さんは俺の顔を見ながら意味深な感じできっと会えると確信を持って言った。何故、この人のおじいさんに会えるだろうってことが分かってるのか?あまりにも謎が深い。

 

「あの⋯あなたはノブお兄ちゃんのお知り合いですか?」

 

「すみません、お連れの方がいらっしゃったのに私と織田さんだけで盛り上がってしまって⋯私は○○県警本部捜査一課4係所属の薫風すみれと申します。『ノブお兄ちゃん』と呼ばれるってことは妹さんですか?」

 

「いえ、この子は僕の従妹なんです。ほら、薫風さんに自己紹介して?」

 

「明智あんなです。ノブお兄ちゃんと同じキュアット探偵事務所で探偵しています。よろしくお願いします!」

 

「あんなさん⋯奇遇ですね、祖父の従妹もあんなって名前で探偵をやってたんですよ。これは運命かもしれませんね。」

 

「そうなんですか。おじいさんの従妹と同じ名前で同じ探偵だとは⋯しかし、今のおばあさん世代としてはあんなって珍しい名前ですね。あっ、それと非番ながら次の出勤の時にこの人を探すようにお願いできませんか?」

 

「この人?」

 

 俺は薫風さんに昨日徹夜で描いたるるかちゃんの似顔絵を見せる。もちろん、プリクラの写真と自分の目に映った記憶を頼りに絵が苦手ながらも頑張って描いてみたのだが⋯

 

「この子、本部近くのアイスの移動販売でアイスを買ってるのをよく見かけますね⋯」

 

「(良かった、伝わったみたいだ⋯)本当ですか!?名前は森亜るるかって言います。あんなと同い年か少し年上かぐらいかの子で昨日の午後3時頃、駅近くのゲームセンターの近くで行方不明になりました。捜索して頂けませんか?」

 

「分かりました。このことは一応係長に後で携帯で報告しますので、織田さんももし今の用事が終わったら本部に来てください。そこで捜索願を書いていただきますけど、よろしいでしょうか?」

 

「分かりました。それと、何かあったらのために僕の連絡先を教えておくので⋯後で登録しておいてください。」

 

「分かりました。この番号ですね⋯」

 

 俺が連絡先のメモを渡すと、薫風さんはそれを受け取る。しかし、この場では携帯を出そうとはしなかった。後で登録してまた連絡するパターンなのだろうか⋯とりあえず、ここは彼女に全てを託そう。

 

「それでは、私はこれからお買い物をしてくるので織田さんの方も用事を済ませてくださいね?また何かあったら連絡します。」

 

「分かりました。休日楽しんできてくださいね?」

 

「はい!それでは、失礼します。」

 

 そう言って薫風さんは礼儀正しくお辞儀をして買い物へと向かった。本当にこの人、振る舞いが女性ながらもジェントルマンなんだよな⋯本当にこれだけ優雅で宝塚音楽学校を出てないのが不思議なレベルである。

 

「かっこいいお姉さんだったね。」

 

「ああ。本当に薫風さんって素敵な人だよな⋯」

 

「もしかして、ノブお兄ちゃん⋯薫風さんに惚れちゃってたりするの?本当に綺麗な人には相変わらず弱いよね。」

 

「違うって!確かに素敵だけど、お前の思ってる方向性が違うんだよ。まったく⋯お前は俺のことを女誑しとでも思ってるんだろ?」

 

「ごめんごめん⋯とりあえず、雨がいつ降るか分からないしみくるも待ってると思うから急ごう?」

 

「分かった、学校まで競走な!」

 

「ノブお兄ちゃん、ずるい!それじゃあ私が勝てないじゃん!!」

 

 そんなこんなで俺とあんなはかけっこでみくるの学校へと向かうのだった。結局は現場でもバリバリ走ってて大人の俺が勝ったが、あんなと俺の差は昔と比べたら徐々に差は縮まっている。俺も少しずつ老いてるとも言えるし、それだけあんなも成長して体力が着いている証と言えるだろう。

 

「はあ、はあ⋯お兄ちゃんには勝てないよぉ。」

 

「お疲れさん。とりあえず、ここがみくるの学校だ⋯随分と立派だな。」

 

 そうして俺達はみくるが通う学校へとたどり着く。その学校とはまことみらい学園⋯まことみらい市にある私立の中高一貫校でまさに文武あらゆるエリートの集った名門校だ。あんなが通う公立の中学校の比にならないぐらい校舎が上等だし敷地が広いのが目に見えて分かる⋯恐るべし、まことみらい学園。

 

「あっ、みくるがいる!みく⋯」

 

「みーくる♪」

 

「ちょっと、りえ⋯」

 

「また同じクラスになれるなんて⋯」

 

「嬉しいよ〜♪」

 

「ええ、よろしくね!」

 

 あんながみくるに声をかけて手を振ろうとしたその時、そのみくるが親友と思われる同級生の女の子2人と楽しそうにしている光景が遠くから見えた。あいつ、学校でも親友がいるんだな⋯探偵ごっことか言われていじめられてるものだと思ったが、どうやらみんなと普通に幸せな日常を過ごしていて何よりである。ただ、あんなの表情に曇りが見えた⋯

 

「なんか降りそうだけど傘持ってきた?」

 

「ごめん、私⋯傘忘れちゃって。」

 

「それじゃあ、私と一緒に入って帰ろっか!」

 

「ありがとう。」

 

「⋯」

 

「あんな、どうした?」

 

「ノブお兄ちゃん、やっぱり帰ろう⋯どうやらみくるは傘いらなかったみたい。私が傘を持ってきたことなんて知らないし、楽しそうだから⋯」

 

「お、おい⋯待て、前!」

 

「「あっ!?」」

 

 あんながみくるの様子を見て逃げ帰ろうとしたその時、前を見てなかったのか若い女性とぶつかってしまう。さらに、その女性の手に持っていた1枚の写真が落ちた⋯

 

「ごめんなさい⋯」

 

「いえ。」

 

「バカ野郎、前に気をつけろって言ったのに⋯すみません、僕の従妹がよそ見してまして。お怪我はありませんか?」

 

「大丈夫です。私もよそ見してたものですから⋯」

 

 俺はあんなとぶつかった女性のことを心配しつつ謝り、その後で落とした写真を拾ってからそれを確かめる。その写真にはその女性よりも年下で制服を着た女の子が2ショットで笑顔を決めて写っていた。女の子の方は妙に写真を持ってた女性にそっくりであるが⋯妹なのだろうか?

 

「写真落としましたよ。この隣の女の子、妹さんですか?」

 

「ありがとうございます。この子は私の妹で恵子でこの学園の高等部の2年生で今は交換留学でロンドンに行ってるんですけど⋯」

 

 この学園の高等部に通う妹のお姉さんは言葉を詰まらせる。何か妹の恵子さんに何かあったのだろうか?まさか、ホームシック?とりあえず、話を聞くことにした。

 

「その様子だと何かあったようですね⋯とりあえず、詳しく聞かせてください。」

 

「それが⋯最近、街で恵子を見たって話をよく聞くんです。」

 

「ロンドンにいるのに⋯ですか?」

 

「ノブお兄ちゃん、それって似た人とかじゃないのかな⋯ロンドンからここに急に帰ってくるなんて無理だよ?」

 

「ああ、その可能性は高いな⋯」

 

「私もそう思ってました。でも、見たんです⋯今朝、大学に行く途中の駅前で。私、びっくりしちゃって⋯」

 

「それで彼女を追いかけたらここに来たというわけ⋯ですね?」

 

「はい。学校に聞いても恵子はいないって言うし、ロンドンの恵子にも電話したんですが出ないし⋯何だか心配で。」

 

「そのご相談、僕達に任せてはもらえないでしょうか?」

 

「えっ?」

 

「「オープン、プリキットブック!」」

 

「うえっ!?」

 

「私、キュアット探偵事務所の主任探偵をしている織田信義と申します。」

 

「同じく探偵の明智あんなです。」

 

「北村真理子です⋯」

 

 俺達がプリキットブックを展開して探偵の証を見せて名乗ると、相談してきた女性⋯北村真理子さんは驚きながらも名前をポツリと教えてくれた。とりあえず、依頼ができたということで頑張らないとな⋯

 

「真理子さん、この事件は僕達が解決させますからご安心ください!行くぞ、あんな。」

 

「それは良いけど、警察には行かなくて良いの?」

 

「とりあえず、パッと解決させて行けば問題ないさ。俺らは名探偵だろ?胸張って行くぞ!」

 

「わ、分かった⋯ということで私達にお任せください!」

 

「それじゃあ、お任せしようかな?」

 

「かしこまりました。写真はお借りしてよろしいですね?」

 

「はい⋯お願いします。」

 

「それと、傘も⋯雨、降ると思いますし。」

 

「ありがとうございます。それでは⋯」

 

 そうして真理子さんには傘を渡して一旦帰って頂くことに⋯俺とあんなで事件の捜査をするのだが、俺達2人で勝手に進めて大丈夫なのだろうか?何かあったら知らせてくれってみくるは言ってくれたしな⋯あと、あんなが渡した傘ってみくるの傘なのに何も考えずに渡してしまった。

 

「とりあえず、みくるには一応伝えておくか⋯」

 

「ダメだよ、みくるの邪魔をしたら。お友達と楽しそうにしてたのに⋯巻き込むなんて迷惑なんじゃないかな?」

 

「あんな、もしかして気にしてるのか⋯みくるが友達と楽しそうにしてたことを。」

 

「そんな⋯お友達と遊ぶことぐらい当たり前のことなんだよ。みくる以外のお友達がいない私と違って⋯私のことなんてどうでも良いんだ。この謎はノブお兄ちゃんが一緒ならきっと解けるはずだよ!」

 

「まあ、とりあえず今は2人でやるしかないか。やるだけやってみようぜ?」

 

 こうして、この謎は俺とあんなで解くことになった。そうにしてもあんながこうして心の闇を見せたのは初めてかもしれない⋯それもそうだ、こいつの周りの人間は俺も含めて誰からも奪われることはなかった。でも、この時に初めてあんなは今まで独り占めしてきたみくるを奪われたのだ⋯その辛さや寂しさは計り知れないものである。

 

「とりあえず、学校への立ち入りの許可は得た。ここから恵子さんについて色々調べるぞ!」

 

「同じ敷地に中学校と高校があるんだね⋯」

 

「そうだな⋯まことみらい学園は今もある中高一貫の私立学校だ。しかし、浮いてるな⋯俺達。」

 

 そんなこんなで俺達は事務方と話をつけて立ち入り許可を得ることはできたもののこの学園の生徒達の視線が俺やあんなに集まる。そりゃあ、私服姿の生徒達と同じ世代のやつにそれと同伴してる大人の俺だし⋯完全に注目の的になっていた。とりあえず、一旦校舎裏に避難しよう。

 

「そうだ、こういう時こそ。オープン、プリキットグロス!」

 

 あんなはそうしてプリキットからメイク道具であるグロスを展開する。確か、これってジェット先輩が言うには付けると変装ができるとかどうとか⋯

 

「ノブお兄ちゃんもグロスを使って変装しよう!」

 

「いや、俺は男だから⋯グロスなんて。」

 

「まあまあ、物は試しようだよ。ほら!」

 

「⋯ったく、しょうがないな。1回だけだぞ?」

 

 そうして、俺達はグロスを唇に塗ってから変装する。あんなはこの学校の高等部の生徒、俺はこの学校の教師になった⋯これから違和感はないのだろうか?

 

「ポチ〜♪」

 

「ポチタン、ノブお兄ちゃん⋯どうかな?私、高校生になったよ。」

 

「似合ってるな⋯俺はどうだ?何か教師だから七三分けになってたり眼鏡かけてたりだけど⋯」

 

「ノブお兄ちゃんも先生の姿、似合ってるよ!」

 

「そ、そうか?とりあえず、聞き込みに行くぞ!」

 

「ポチ〜♪」

 

 そうして、俺達は学園内で調査を開始する。ターゲットはやはり恵子さんと同じで今のあんなと同じ制服を着ている高等部の子達⋯交換留学に行くぐらいの優等生だからきっと有名人だし人望もあるから動向も知ってるはず!とことん調査だ。

 

「あの⋯この子を探してるんですけど?」

 

「あなたは⋯見覚えのない生徒だし、そこの先生も。いきなりどうしたんですか?」

 

 あんなが先陣を切って1人の女子生徒に声をかけるも見覚えのない生徒から声をかけられたのか怪しまれ、ついでに俺も見覚えのない教師に見えていて俺までも怪しまれる。

 

「実はちょっとこの子のことで色々あってね⋯彼女のことを知ってるかなって。」

 

「恵子は私のクラスメイトですけど⋯あの子に何があったんですか?」

 

「それは⋯」

 

 俺が質問の真意を答えると、いきなりあんなのプリキットボイスメモが鳴り出す。相手は恐らくみくるだろうが、間が悪すぎだ⋯

 

「あっ、プリキットボイスメモだ⋯」

 

「携帯?」

 

「ああ、ダメだろ明智!校内に携帯を持ってきたら⋯とりあえず、こいつには後で俺が注意しておくから話の続きを!」

 

「は、はあ⋯」

 

 俺があんなの前に立って誤魔化す隙に彼女はボイスメモの着信を切る。みくるにも何かあったかもしれないが、とりあえず今は許してくれ⋯

 

「それで恵子さんですけど⋯ 」

 

「昨日ロンドンからメール来たよ?」

 

「メールがロンドンから?」

 

「はい。それで、恵子に何があったんですか?」

 

「実はここら辺で今日恵子さんを見かけたとお姉さんから目撃情報があってね⋯学校の方にも問い合わせがあったんだ。何か君が知らないのかなと思ってね⋯」

 

「目撃情報、ですか⋯多分、恵子のそっくりさんをお姉さんが見間違えたんじゃないかなと思いますよ?私が知ってる範囲はこれだけなので⋯もう良いですか?」

 

「情報をありがとう。もう行って良いよ⋯後は俺と明智で何とかするから。行くぞ⋯」

 

「うん、の⋯はい、先生。」

 

 そして、俺は女子生徒にお礼を言ってからあんなを連れてもう一度校舎裏に戻って草陰に隠れる。本当にみくるのせいと言って良いのか分からないが⋯ヒヤヒヤした。

 

「とりあえず、ここまで来れば安心か。」

 

「そうだね。もう、ビックリしたよ⋯」

 

「とりあえず、俺からみくるに連絡しようか?あいつにも何かあったのなら話だけでも聞いた方が良いし、俺達の事件も解決の道筋を出してくれるだろうから。」

 

「それはダメ!みくるは私達よりも学校のお友達の方が大事なんだから⋯邪魔なんてできないよ。」

 

「あんな⋯しっ、誰か来る。」

 

 そんな話をしていると、何者かが俺達の前へとやって来ては俺達の前に座る。誰かと思って様子を見ているとみくるだった。しかし、どこか不安というか不機嫌というか⋯そんな様子だ。

 

「もう、どうして私が幽霊のこととか調査しないといけないの?幽霊苦手なのに⋯あんなもボイスメモで出てくれないし。1人でどうすれば良いの?」

 

「みくる⋯」

 

「だ、誰!?お、お化け?嫌だ⋯お化け怖い、お化け怖い!」

 

 すると、あんなの声に反応したみくるは驚いてから転げてしまい腰を抜かす。どうやらお化けに関する依頼を受けてか何もかもをお化けと思い込んでいるようだ⋯もうこうなったら仕方ないか。

 

「みくる、俺だよ⋯あんなも出てこい。」

 

「ごめん、みくる⋯」

 

「師匠と⋯あんな?」

 

 俺達が出てきたタイミングで変装が解けると、みくるは安心して俺達に反応しては安心して胸を撫で下ろす。とりあえず、こんな形ではあるが再会を果たすことはできた。

 

「どうしてボイスメモ出なかったの?心配したんだよ?」

 

「ごめんね⋯」

 

「とりあえず、一旦落ち着け。詳しい話は誰もこの時間通っていない体育館の近くでしよう⋯ここだと目につくからな。」

 

「は、はい⋯」

 

 こうして、俺は激しくあんなに迫るみくるを落ち着かせてからこの時間帯誰も通らない体育館近くへと移動して話の続きをすることに。とりあえず、あんなとみくるは再会したものの経緯はあってこればかりは嬉しい話とも言えない⋯とりあえず、ここまでの移動で少しでもみくるには冷静になってほしいところだ。




いかがでしたか?信義とあんなちゃんのそれぞれの心の闇がサブタイトルにもあるように見えた回になりました。信義はるるかちゃんを目の前で助けられなかった後悔、あんなちゃんは自分が独り占めしてきたみくるちゃんが自分の目の前で奪われたような気になりそれぞれ闇を生み出してしまったのです。この辛さというのは一生胸に残るでしょうね。信義に関しては警察の人間だから人を助けられないのは悔しいし、あんなちゃんも同世代の女の子でこの世界で唯一の親友を奪われたものですから⋯特にあんなちゃんは本当にこの時代に来てお母さんとかの大事な人と離れ離れになったり⋯まあ、ここだと従兄の信義はいるものの信義は前から仕事で一緒にいれるのが休日だけだったしお母さんもみくるちゃんもいなかったら孤独なんですよ。信義の前では強がっていてもみくるちゃんがいなくて辛かったのはあんなちゃんの方でした⋯弱みを見せようとしなかったのはやはり本文にもあるように信義が何度も挫折していて励まさなくちゃいけないという気持ちからでしょう。本当に色んな背景があってそれぞれの人間構造はできてるってわけなんですね⋯

その中で依頼を受けて変装までもしましたけど、信義はグロスに抵抗を持ちながらよくやりました。その中でみくるちゃんからボイスメモが来るも拒否をしてしまう形に⋯その気遣いが妙に心の亀裂を生むことになりますけど、あんなちゃんとみくるちゃんはどうなってしまうのか?悪い方向に向いてますね。

一方のるるかちゃんも信義のことが恋しくて、すみれに関しては結構意味深な発言をしました。これが後々大きな意味を持つので今後も注目してくださいね?

次回は5話分の後半戦です。まだまだしんどいと思いますけど、どうぞお楽しみに。

感想、お気に入り登録、高評価の3点セット、お待ちしてます!それでは⋯
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。