そんな今回は5話の後半戦です。喧嘩するあんなちゃんとみくるちゃん⋯絆の綻びが出てきて崩壊が始まっていくことになりますが、その結果とは?5話を振り返ると本当に序盤でこういう重い話をして良いのかといつも思います。あと、最後の方ではオリジナルシーンで締めてますね⋯原作通りに書いていくと6000文字ぐらいで原作5話は終わってましたから。どうなるかは読んでのお楽しみに!
ちなみにまだ深く言及されてない信義の普段の服装についての設定ですけど、彼のコーディネートは基本的に『仮面ライダーW』の左翔太郎をイメージして頂ければと思います。スーツのズボンにネクタイを締めたワイシャツの上から黒のベストって感じで頭にはソフト帽を被ってるって感じですね⋯もし、イラストを描きたいと思う方は是非ともご参考にしてください。
そんな本編もどうぞよろしくお願いいたします。それでは、また後書きにて⋯
side信義
「私に黙って依頼を引き受けた?どうして私にも相談しなかったの!?」
体育館近くにて、俺達はここまでに起きたことをみくるに話す。それを知った彼女はあんなにどうして自分に相談しなかったのかと訊ねた。
「みくる、学校だし⋯何か悪いかなって。それに、ノブお兄ちゃんがいれば大丈夫だと思ったから⋯」
「それで、師匠はどうしてあんなに何も言わなかったんですか?」
「俺はみくると協力すべきだとは言ったよ⋯でも、あんなが拗ねたというか。傘を届けに行こうとしたらお前が友達と仲良くしてるのを見てしまって⋯それ以来こうなんだよ。」
「はぁ。あのね、あんな⋯分かってるでしょ?私には学校も探偵もどっちも大切なんだって!師匠がいても上手くいかないことだってあるんだよ?依頼人に迷惑がかかったらどうするの?」
「みくるだって1人で依頼を受けたでしょ!」
「ボイスメモで連絡したけど出ないから⋯」
「調査中だったから。それこそ調査が失敗したら真理子さんが悲しむよ!」
「真理子さんって?」
「今回の事件の依頼人だ。妹の恵子さんを探してて⋯みくる?」
「師匠、すみません⋯失礼します!」
「みくる!」
すると、みくるは何かに気づいたのか突然と走り出す。その方を向くと高等部の制服を着ていて後ろ姿ながらも何やら見覚えのある髪型をした女子がいた⋯しかもあの写真の、ってことは恵子さんだろうか?
「話の途中なのに。」
「いや、あいつ⋯何か探し人を見つけたような感じだった。それと、遠目で後ろ姿を俺は見たけど恵子さんかもしれない。」
「ええっ!?追いかけないと!」
「ああ!」
そして、俺達もみくるを追いかけて恵子さんと思われる人物と接触を試みることに。俺の勘が当たっていればみくるの探し人も同じ恵子さんである可能性が高い!ひとまず俺から追いついてみると、その子とみくるが話をしていた。
「ちょっとごめんな⋯みくる、足止めご苦労様。」
「師匠、どうしたんですか?」
「こいつは俺達の探し人かもしれなくてな。あんた⋯恵子さんになりすますとは何がしたいんだ?」
「な、何のことですか?あなた、何者?」
「キュアット探偵事務所の主任探偵の織田信義だ。さっき本物の恵子さんのお姉さんである真理子さんに会って話をしてね⋯あんたの本物はロンドンに留学している、なのにこのまことみらい市にいるのがテンでおかしいんだよ。」
「おかしいも何もさっき帰ってきたんですよ?何もおかしくないでしょ!」
「それなのによくピンピンしてるな⋯いいか?ロンドンから日本まで飛行機で14時間ぐらいかかってしかも時差はおよそ8時間もある。それで、恵子さんのクラスメイトが話してたよ⋯昨日ロンドンからメールが来たって。それを考えるとイギリスから帰って来れるのは不可能だし、何よりも時差ボケでこんなにピンピンしていられるものじゃないんだよ!」
「くっ⋯」
「ポチ〜!」
「うわわ、ノブお兄ちゃん、みくる⋯大変だよ、マコトジュエルが!」
俺が事件の真相に迫ろうとしたその時、ポチタンに引っ張られたあんながこっちに向かって走ってくる。ポチタンがマコトジュエルに反応したんだろうか⋯そうなると、この恵子さんもどきが向かってた先も!?
「ちょっ、あんな!?」
「俺達も追いかけよう!」
そして、俺とみくるがあんなと引っ張るポチタンを追いかけてやっと追いつくとそこには2羽のツバメの石像があった⋯これにマコトジュエルが宿っているとでも言うのだろうか?しかし、それにしても恵子さんもどきが狙うにしては大きすぎるのだが⋯
「悪いけど、マコトジュエルは君達には渡さないよ!」
そんな時、恵子さんになりすましたであろう何者かも追いついてはツバメの石像の上までジャンプしては着地する。この身体能力⋯間違いなくなりすましだろう。
「恵子さん!?」
「さっきから気になるけど、『恵子さん』って?」
「真理子さんが探してた人だよ⋯その人の妹さんだけど、どうしてここにいるの?」
「いや、あれは偽者だ⋯お前、怪盗団ファントムの人間だろ!何者だ?」
「バレちゃったら仕方ないか⋯そう、僕はニジーなのさ!」
俺が恵子さんもどきに何者かと迫ると、その人物は衣服類を全て脱ぎ捨てる。そこの先にいたのはやっぱりという感じでニジーだった⋯しかし、しばらく見なかっただけでも久しぶりに感じた顔である。
「ニジー!どうしてノブお兄ちゃんは恵子さんじゃないって分かったの?」
「ああ、日本が朝の8時だとしたらロンドンは夜中の0時だからな⋯つまり、恵子さんが仮にここにいたとしても時差ボケがあるし何よりもロンドンは夜中なものだからそもそも飛行機が飛ばないから帰れないだろ?」
「そっか!」
「それぐらい私でも分かってたのにどうしてあなたは私に話さなかったの?!」
「さっき話そうとしたらみくるが行っちゃったんでしょ!?」
「仕方ないじゃない、私も事件を追ってたんだから!」
「ポチ⋯」
あんなとみくるは敵の前にも関わらず喧嘩をまた始めてしまう。ポチタンも心配そうだし、目の前のニジーも呆れてしまっている⋯探偵としては成長していても心は子供のままだ。
「お前ら、落ち着け!喧嘩をしてる場合じゃないだろ!?」
「彼の言う通りだよ⋯僕を除け者にしてヒートアップしないで頂きたい。」
「何で恵子さんに変装したの?」
「留学した生徒を利用したのさ。彼女は海の向こうにいるからね⋯思いがけず会うことなんて絶対にないだろう?おかげで昼夜問わず好きなだけ調べられたよ。」
「一体、何を調べてたの?」
「この像をどう運ぶかさ⋯街で何を使えばこの大きな像が運べるのか、とにかく調べて考えに考えた。」
「街で!?その姿を真理子さんは見たんだ⋯」
「ニジー、2人とは別件だが一つ訊かせてくれ!昨日、るるかちゃんを拐ったのはお前らファントムの仕業なのか?」
「るるか?ああ、キュアアルカナ・シャドウのことか⋯あの子は元々僕達ファントムの仲間で連れ帰しただけだよ。」
事件の流れについてを訊ねるあんなとみくるに続いて俺が別件でニジーにるるかちゃんのことを訊ねると、彼はるるかちゃんがファントムの仲間でアゲセーヌが言っていたキュアアルカナ・シャドウであると答えた。信じられない⋯あんなにも優しい子がファントムの一員だなんて!
「嘘だ、仲間なんてありえるわけがない!るるかちゃんは口数が少なくて大人しいけど、綺麗な心を持っているアイスが大好きな優しい子なんだ。お前らのようなマコトジュエルのためなら手段も選ばない泥棒共と一緒にするな!」
「逆に聞くけど、君はキュアアルカナ・シャドウの何を知ってるのかな?ナンパから助けて1回デートしたぐらいで知ったような感じになられてもあの子が困るだけだよ?」
「⋯」
ニジーは俺からの反論に対して逆にるるかちゃんの何を知ってるのかと問いかける。これに俺は答えられなかった⋯言われてみれば俺は何もるるかちゃんの出自とか色んなことを何も聞いていなかったし、彼女は自ら言おうともしなかった気がする。でも、最後に言いかけたことは何なのか⋯そこは引っかかってしまう。
「ほら、やっぱり答えられないじゃないか。本当に君は何も知らないね?」
「とにかく、俺はるるかちゃんがファントムの仲間だとは一切信じない。平然と嘘をつくお前らの言うことなど誰が信用するか!」
「だったら勝手にそう思っとけば良いじゃないか。それはそうと、キュアミスティック⋯いや、小林みくるさん。さっきの君の言ってたことのおかげでどう運べば良いのか良い考えを思いついたよ。」
「⋯!?」
「ツバメさ⋯嘘よ覆え、出でよハンニンダー!」
「「ハンニンダー!」」
「ツバメのようにして運べば良い⋯ツバメのように飛んでいけば簡単に運ぶことができる!」
ニジーがバラの花をツバメの像に刺すと、そこからハンニンダーが生成されて2羽の実際のツバメへと姿を変える。みくるがどうやら恵子さんに変装した時に漏らしたヒントがそのまま実行されてしまった。
「師匠、すみません!私がツバメの話をしてニジーに⋯」
「気にするな。とりあえず、今は変身して食い止めるぞ!」
「うん!」
「「「オープン!」」」
「「ジュエルキュアウォッチ!」」
「ジュエルキュアライセンスフォン!」
「「「プリキュア・ウェイクアップタイム!」」」
(変身中⋯)
「どんな謎でもはなまる解決!名探偵キュアアンサー!」
「重ねた推理で笑顔にジャンプ!名探偵キュアミスティック!」
「百鬼夜行を斬り犯罪撲滅!名刑事キュアマスター!」
「「「名探偵プリキュア!」」」
「私の答え、見せてあげます!」
そして、俺達はいつもの通りに変身してハンニンダーへと立ち向かう。アンサーとミスティックが喧嘩してコンビネーションは不安定かもしれないが、喧嘩としては一時休戦してもらいたいところだ。
「一気に2つのマコトジュエルが手に入るとは⋯まさに一石二鳥。」
「渡さない、幸せを運ぶと言われるツバメは学校のシンボルなの!生徒と先生達の想いが込もった像なの!」
「ふっ⋯この僕にも幸せを運んでくれたようだね。」
「何が幸せだ、そんな無理矢理奪ってでも手にする幸せってのは『幸せ』とは言わない!」
「そんなのは綺麗事だよ、ハンニンダー!」
「「ハンニンダー!」」
「2人とも来るぞ、構えとけ!」
「うん!」
「分かり⋯」
「「ぐっ!?」」
ハンニンダーが攻撃を仕掛けそれぞれ構えようとすると、アンサーとミスティックがそれぞれの立ち位置が重なりぶつかってしまう。やはりここら辺の連携がまだ未熟か、はたまた喧嘩の影響で心の距離がズレてるのか⋯
「「ハンニンダー!」」
「うわっ!?」
「ぐうっ!?」
「ミスティック、アンサー!」
ぶつかった反動で動きが止まった隙に2羽のツバメのハンニンダーはミスティックとアンサーを蹴っ飛ばした。相手の方はなかなかの連携である⋯同じツバメであるからかもしれない。
「見事だろ?息の合ったハンニンダーの攻撃。それに比べて惨めだねぇ⋯君達はまるで足並みが揃ってない。」
「こうなったら俺が1人で!」
俺はベガを抜いてから2人に代わって攻撃を仕掛ける。2羽をまとめて相手にするのは容易ではない⋯まずは1羽ずつ仕留めるのみだ!
「君1人で相手にできるのかい?華やかにやってしまって。」
「「ハンニンダー!」」
「はああ!」
「「ハン、ニン、ダー!」」
「うわあっ!?」
俺がベガで斬りにかかるも流石に2羽のコンビネーションの良さに何もできず⋯Wパンチの片方はベガで受け止めたがもう片方を受け止められずに飛ばされてしまった。
「お兄ちゃん!」
「師匠!」
「くっ、1人でも2人でもダメか⋯」
「全くもって相手にならない。2人は喧嘩してて息が合わずにバラバラ、もう1人はその尻拭いをしようにも2羽相手にどうにもならず⋯今の君達からならば逃げ去ることは容易だろう。だが、名探偵プリキュアを倒せば⋯ウソノワール様はお喜びになる!ご覧になられていますか、ウソノワール様!」
ニジーは空に向かって高らかに呼びかける。ウソノワールはきっと彼と今、交信しているのだろう⋯どこにいるのかは分からない。しかし、ウソノワールもこの戦いを見てるというわけだ。
「素晴らしいショーをご覧にいれます、ウソノワール様!」
「「ハンニンダー!」」
「こうなったら同時に攻撃するしかないな。1人でも2人でもダメなら3人で⋯像とマコトジュエルを取り返すぞ!」
「師匠⋯はい!」
「うん、お兄ちゃん!」
そして、アンサーとミスティックはジュエルキュアウォッチの長針を11に回し、俺はジュエルキュアライセンスフォンのコマンド『100』を押してから力を溜めていく⋯ここは3人で決め技を放つ算段だ。
「「これが私達の⋯」」
「俺の⋯」
「「「アンサーだぁ!」」」
俺達は渾身の力で息を揃え決め技を放つ。しかし、その攻撃はツバメのハンニンダー2羽に素手で受け止められてしまった⋯これが俺達の限界だと言うのか?
「「「そんな⋯!?」」」
「同じセリフを言わせないでほしいな。君達は足並みが揃ってないんだよ⋯」
「「ハン、ニン、ダー!」」
「「「うわあっ!?」」」
そのまま俺達は何の抵抗の術もなくハンニンダー達の息の合ったパンチを食らってしまう。何とか立ち上がろうにも無力さに苛まれてしまいそうだ⋯悔しい、何か術はないのか?
「さあ、そろそろ舞台から降りてもらおうか。」
(くそっ、このまま俺達は負けてしまうのか?マコトジュエルもツバメの像もあんなもみくるもポチタンも⋯何も守れずだなんて。どうすれば⋯あっ、そういえば!)
『名探偵プリキュアの危機を救ってくれるらしい!』
俺は思わず懐にしまっていて朝にジェット先輩から託されたルーペの形をしたプリキットに手にしてそれを使おうとする。こうなったら一か八かだ!
「お兄ちゃん、もしかして⋯使うの?」
「ああ。ジェット先輩から託されたプリキット⋯アンサーも持ってるだろうな?」
「うん!」
「師匠、アンサー⋯それって?」
「「オープン!」」
俺とアンサーはルーペの形をしたプリキットを掲げてから『オープン』と念じる。しかし、何も起こる気配がない⋯どうして?何故なんだ!
「あれ?オープン!」
「オープン!」
「そんな⋯どうして?」
何度念じても起動しないプリキットにそれでも容赦なく襲いかかるハンニンダー⋯これは詰んでしまったのか?こんな時にジェット先輩は助けてくれないのかよ!
「ハンニンダー!」
「君達にはもう舞台に上がる資格はないのさ、名探偵プリキュア!」
もうダメだ⋯そう思ったその時、俺達の目の前にポチタンが立っては紫の光を発してツバメのハンニンダーを食い止めようとする。
「ポチ〜⋯」
「ハ、ハンニンダー…!?」
「ポチ〜!」
「⋯」
「「ポチタン?」」
「な、何だ!?」
「ポオオオチイイイイイイ!!」
そして、ポチタンはこの光のエネルギーでハンニンダーを吹き飛ばした。何という威力だろうか⋯まさかこの小さな身体にこんな力を秘めてたなんて。これは恐らく俺達を守りたい、その一心が呼び起こした力だろう⋯
「ハンニンダー⋯」
(ルーペがポチタンの力に反応してる。まあ、あんなをこの時代まで飛ばす力があるんだから妥当と言えば妥当だが⋯)
「このままでは⋯とりあえず、マコトジュエルは2つ手に入った。一時撤退だ!」
「ハンニンダー!」
もう1羽のツバメのハンニンダーはポチタンの技を食らったのとニジーを連れて退却した。マコトジュエルは奪われてしまったか⋯ただ、絶体絶命だった場面をポチタンに救われたのは大きいからそこは不幸中の幸いだろう。
「ポ、ポチ⋯」
「「「ポチタン!?」」」
しかし、力を使い果たしたポチタンはこの場に倒れ込んでしまう。それと同時に空からは雨が降ってきた。本当にポチタンのあれは俺達を守ろうとするための全力どころか限界を超えた渾身の力だったんだろう⋯しかも赤ちゃんの身なのに。無茶をするのは覚悟の上だったもののここまでやるとは。
「ポチタン⋯」
(俺のせいだ⋯俺があんなを制御できなかったせいでみくると喧嘩してこんなことを招くだなんて。ちくしょう!)
~~~~~~~~
「捜索願、確かに受け取りました。」
あれから俺はあんなとみくると別れてから県警本部へと立ち寄って捜索願を書いてからそれを提出する手続きまでもを済ませていく。捜索願に関しては当時はまだ下っ端(今でもヒラだが⋯)の刑事であるサルさんが受け取った。
「ありがとうございます、サルさん⋯」
「だからそのベテラン刑事みたいな呼び方は勘弁してくださいよ。俺なんかまだカオルを除けば下っ端っすから⋯しかし、魔法陣で吸い込まれて行方不明ですか。何ともミステリアスな誘拐事件ですよね⋯」
「はい。僕も目の前にいたのにるるかちゃんを救えなかったんです⋯今日も弟子達の喧嘩を止められなくて、友達というかペットが怪我しました。僕が無力なせいでこんなことに⋯」
「織田さん⋯あなた、何でも責任を背負いすぎじゃないっすか?」
「それは分かってます。でも、依頼人や弟子や仲間達みんなを守るのは主任探偵である僕の役割⋯なのに、誰も守れなかったのが悔しいんですよ。」
「そんなことはない、あなたは短期間ながらも結構な事件を解決させて被害者や被害者家族を救ってきたじゃないっすか。誰も守れないとか言わないでください!」
「サルさん⋯すみません、今は1人にさせてください。捜索の方はよろしくお願いしますね。それでは⋯」
「織田さん⋯待ってください!」
サルさんは何かを言いたそうであったが、俺は彼の言うことに耳を傾けずに県警本部の応接室を後にする。誰も守れない自分がとにかく無力に思えて情けなく感じた⋯るるかちゃんのことも、あんなやみくるのことも、そしてポチタンまでも守れないなんて。俺が探偵もプリキュアもやってて良いのだろうか?
(それにしても、アゲセーヌとニジーが呼んでたるるかちゃんの呼び名である『キュアアルカナ・シャドウ』とあの時俺を助けてくれた黒いドレスの女の子⋯あの力といい服装とかといいプリキュアみたいだった。もしも、同一人物だとしたらるるかちゃんはプリキュアってことなのか⋯でも、プリキュアなのにどうしてあっちにいるんだ?俺はそもそも彼女がファントムの仲間であることを信じてないけど、俺はるるかちゃんにもう一度会えるなら真実を知りたい!)
「織田さん、ここにいた。」
俺が公園で池の前にて1人で鏡のように映る自分と向き合っていると、背後から聞き慣れた声が聞こえてその方を向く。そこにはなんと⋯昨日捕まったはずのるるかちゃんが傘をさしてマシュタンを抱いて立っていたのだ。
「るるか⋯ちゃん?(本当にるるかちゃんなのか?もしかして、ニジーやアゲセーヌの変装とかじゃ⋯)」
「大丈夫、私は本物の森亜るるか⋯ごめんなさい、あなたに心配をかけて。」
「るるかちゃん、るるかちゃん!」
俺は思わず傘を投げ捨てて、るるかちゃんに駆け寄ってからマシュタンを挟みつつ彼女の身体をギュッと抱きしめる。抱きしめられた方のるるかちゃんはびっくりした様子でいきなりだったかもしれないが、俺も感情の爆発を抑えることができなかった。
「どうして私を抱いて泣いてるの?雨で濡れるし、服も汚れるけど⋯」
「あの時は助けられなくてごめんね⋯だけど、君が帰ってきて良かった。俺、色々心配してたんだよ⋯君が怪盗団ファントムの仲間とかキュアアルカナ・シャドウとかファントムの人間から言われて君を疑ったりもした。でも、俺は信じないから⋯君のような心が清らかな子がファントムのはずがない。そうだよね?」
「安心して?言ってる言葉の意味はあまり分からないけど私はあなたの敵にはならないから⋯仮に私があなたの言うファントムの仲間だとしても織田さんのような優しい人とは戦いたくない。それだけあなたには感謝してるから。」
「るるかちゃん。良かった⋯」
「よしよし、本当に辛い思いをさせてごめんなさい。私はもう織田さんの前からいなくならないから⋯泣かないで?」
るるかちゃんは俺の頭を撫でてから耳元に優しくも温かい声で話しかけ、感謝を伝えつつ俺のことを励ました。胸の中で再会の喜びと年下の彼女に甘えてしまうぐらいの情けなさを同時に感じて涙が止まらなかった⋯こんな天使のような子がファントムの人間とは仮としてもどうとしても思えない。これでニジーは彼女のことを知らないとは言うけど、こういう優しい心を持ってる子のこれが真実の姿ではなかろうか?むしろそうでありたい。
「落ち着いた?」
「ありがとう。ごめんね⋯年下の君にこんな醜態を晒して。ズボンも汚れちゃったしワイシャツも雨で濡れちゃったよ⋯恥ずかしいな。」
「そんなことない。人間は誰でも弱みを見せたい時はあるから⋯こうして甘えてくれたのがちょっと嬉しかったかも。抱きつかれたのはちょっと恥ずかしかったけど⋯」
「それはごめん。とりあえずここで立ち話するのもアレだから屋根のあるところに移動して話そうか⋯」
「うん。」
そして、俺はるるかちゃんと一旦離れてから投げた傘を拾ってるるかちゃんと一緒に公衆トイレの屋根の下へと移動する。本当にこうして彼女と再会できたことがどれだけ幸せなことか⋯こうして一緒に並んで歩くことでさえも最高の時間と言える。
「それで、るるかちゃんはどうやって犯人のところから脱走したの?」
「それは秘密⋯でも、織田さんが探してると思ってたのは確かなこと。だから奇跡が起きたのかもしれない⋯とだけ言っておくわ。」
「奇跡か⋯でも、よく逃げ出せたよね。犯人からは何もされなかったの?」
「大丈夫。私は特に何もされてない⋯もしかして、心配だった?私が襲われてるところとか想像したりとか⋯」
「なっ⋯!?いや、変なことは考えてないよ?ただ、るるかちゃんって可愛いからさ。ナンパされた時もそうだったけど、悪い男から変なことをされたりとか考えちゃうんだよ⋯」
「そう、私って可愛い?」
「とてもね。アイスを食べてるところも笑顔でいるところも⋯俺が知るるるかちゃんはどれも可愛いよ。」
「ありがとう⋯織田さんから褒められると心がポカポカする。」
俺がるるかちゃんの可愛さを素直に褒めると、彼女は胸に軽く手を当ててから笑顔を浮かべる。本当に心を開いてからはよく笑うようになったものだ⋯無表情でも綾〇レイ系統のクールな美少女だったのに笑顔を見せたらもっと美少女に磨きがかかった。正直に言えば従妹のあんなよりも叔母さんに似てるみくるよりも可愛くて美人である⋯2人には申し訳ないけどな。
「それで、るるかちゃんに俺から相談したいことがあるんだけど⋯」
「相談?私で良かったら⋯」
「ありがとう。それで、実は俺の従妹が喧嘩をしてしまって⋯しかも同じ探偵事務所の探偵で俺の弟子で同い年ぐらいの子と。君は恐らく会ったと思うけど、俺のことを『ノブお兄ちゃん』って呼んでた子だよ。」
「分かる。茶髪の子でしょ⋯それで、どうなったの?」
「その喧嘩でペットというか友達が力を使い果たして倒れてしまって⋯俺が喧嘩を上手く止めれていたらあいつは力を使い果たして倒れることなんてなかった。るるかちゃん、どうしたら従妹は仲直りできると思うかな?俺と従妹は14も離れてるからさ⋯世代も違うし、ここはあんなと同い年ぐらいの子から答えを聞けたらと思ってね。」
「⋯私もどういう状況かは分からない。でも、きっと織田さんの従妹は仲直りできるはず。」
「自信満々だね。その根拠は?」
「喧嘩してる相手は織田さんのことを『師匠』と呼んでたピンクの髪の女の子でしょ⋯」
「そうだけど。本当によく見てるね⋯」
「そうかな?とにかく、その人は織田さんのことをそれだけ慕っているのなら織田さんが説得すればきっと聞いてくれると思ったの⋯だから、織田さんの頑張り次第!そう思ってる。」
「るるかちゃん⋯そうだな、俺が頑張らないとね。世代とかどうのこうのなんか関係ないよな⋯ありがとう、君のおかげで元気が出たよ。」
「良かった。織田さんの笑顔、素敵⋯また困ったことがあったらいつでも聞かせてくれる?私、あなたの力になりたいから。」
「嬉しいな⋯これからもよろしくね、るるかちゃん。それじゃあ、事務所に俺は帰るから君も気をつけて帰ってね。親御さんも心配してるし、警察も君の捜索で動いてるし⋯それじゃあ!」
「うん、またね⋯」
そうして、俺はるるかちゃんと別れてから雨の中を切り裂いてキュアット探偵事務所へと戻っていくのだった。るるかちゃんから貰った勇気は確かに受け取った⋯これを糧にあんなとみくるには仲直りしてもらいたいところだ。待ってろよ、2人とポチタン⋯すぐ帰るからな?
side out
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信義が去った後、るるかはマシュタンと一緒に傘をさして雨の街の中を散歩する。しかし、外は大雨であるからか世間は学校やら仕事ということもあってか彼女が歩くところは人通りが不思議とそんなにない⋯なので、マシュタンはぬいぐるみのふりをせずにるるかの周りをウヨウヨ浮いている。
「しかし、流石はるるかね!見事に織田信義を騙すなんて⋯ファントムのこともキュアアルカナ・シャドウのことも見事に誤魔化したのもなかなかだったわよ?」
「とりあえず、これで織田さんは私のことを疑ったりしないよね?」
「多分、上手くいったんじゃない?でも、あたしがさっき占った結果をそのまま彼に伝えるなんてね。」
「私はマシュタンの占いを信じてるから⋯織田さんが喜んでくれたらそれで良いの。」
「そう⋯だけど、ファントムのことやキュアアルカナ・シャドウのことは黙ってて良かったの?あの時言おうとしてたでしょ。」
「うん⋯でも、織田さんには秘密にする。あの人を騙すような感じになるのは悪いかもしれないけど、戦いたくないし真実を知って絶望するところを見たくないから。織田さんは私がファントムの人間じゃないと信じてる⋯だから秘密にしないと。」
「気持ちは分かるわ⋯でも、いつまで隠し通せるかしら?流石にいつかは限界が来ると思うけど。」
「その時は素直に話すかもだけど、きっと織田さんだったら私のやりたいこととか分かってくれるはず⋯それにあの人は私と戦わないと思うし、私も戦いたくない。きっと大丈夫⋯」
「るるかは織田信義に心を開いてから思考がポジティブになったわね⋯喜ぶべきか複雑だけどあなたの幸せはあたしの幸せ。あなたのためなら何だってするから、一緒に頑張りましょう?」
「うん⋯ありがとう、マシュタン。」
マシュタンの励ましにるるかは感謝する。お互いに自分の気持ちを伝えられる良きコンビだ。そして、るるかとマシュタンは雨が強く降るまことみらい市内を歩いていく⋯るるかの目的とは一体?その秘密の扉が開かれるのも時間の問題である。
いかがでしたか?あんなちゃんとみくるちゃんの喧嘩からの連携ミス⋯そして信義というかマスターは何とかしようと孤軍奮闘するも2羽相手にはどうにもならず。そして、3人でも通じずにポチタンも力を使い果たして敗北という名の迷宮入り⋯本当に辛い終わり方でしたよね。ニジーからマコトジュエルは奪われもしたし、もう散々でした⋯原作を観てて流石にキミプリでも5話はここまでしなかったと思いますけど、5話でこれなら今後もこういうシリアスは頻繁にありそうですね。キミプリがコメディーすぎたのかもしれません⋯
そして、最後では信義が捜索届を提出するも猿田の話も聞かずに1人で県警本部を飛び出してしまいました。そこでるるかちゃんと遭遇⋯彼は色んな感情を抑えられずに飛び込んだわけですけど、嬉しいやら悔しいやら忙しいですね。そこで話もしましたし、信義もるるかちゃんもそれぞれ前に進んでる感じがします。それぞれどうなるのか⋯次回は6話分に突入して、いよいよ新たな力が出ます。信義の動向にも注目してくださいね!
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