名探偵プリキュア! -銀の正義と黒の秘密-   作:寿垣遥生

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遥生です。ゴールデンウィークはどう過ごされましたか?世間は平日に戻されてお仕事やら学校に戻された中で本当にお疲れ様です。僕に関しては空いてる時間と土日に何とか執筆を頑張りましたけど、いかんせん周りのテレビやらYouTubeやらの番組や配信を観てしまって時間に余裕がないんですよね。その中で頑張ってますけど、昨日は夜に世界卓球の団体の女子の決勝を観てました⋯中国に勝って55年ぶりの世界一まで2-1で来て優位に立ってたんですよ。ただ、世界ランカー2トップの2人が中国として立ちはだかって連続ストレート負け。中国の壁は壊せそうで壊れないんですよね⋯今、たんプリとしてもウソノワールどころかアルカナにすら勝てない壁がアンサーとミスティックというかあんなちゃんとみくるちゃんにありますけども、そのアルカナことるるかちゃんがこっちの仲間になれば結構強いんですけどね。あと、世間を賑わせてるエクレールも気になりますよ。

そんな今回は7話分の後半戦です。迷路を脱出しようと奮闘する信義達⋯それを乗り越えて待つものとは?そして、彼の気持ちもサブタイトルのように最後の方に出るのでお楽しみに!

それでは、また後書きにて。


#16 迷路脱出と自分の気持ち

side信義

 

 音楽室に飛ばされた俺達はひとまずみくるの作った地図を見てからどんな位置関係なのかを確かめる。とりあえず、場所の位置関係の確認は大事だからな⋯

 

「最初の教室は理科室⋯」

 

「今いるのは音楽室。」

 

「位置関係としては直接繋がってはいないが、空間の捻れで繋がってるのか⋯」

 

『脱出せよ、ドアを開けるには鍵が必要。鍵を打て!』

 

 ゴウエモンが天の声からそう言うと、五線譜の上に3つの鍵穴が浮き上がった。鍵が3つあるというのだろうか?しかし、見ようによってはその並びが音階のようにも見える。

 

「鍵を打て⋯どういうこと?」

 

「それも気になるけど、この5本の線は何だろう?」

 

「これは五線譜といって音階を示す線だよ。これの上に音符を重ねることで音階が分かるんだ⋯音楽の教科書で見たことあるだろ?」

 

「あっ、そうだ⋯楽譜に書いてあるやつだよね?」

 

「そうなると、この鍵穴は音符を表しているということは⋯この位置を五線譜に合わせると『ドミソ』ってことになります。つまり、これを打てってことじゃないでしょうか?」

 

 俺が五線譜のヒントを2人に授けると、あんなは五線譜が何なのか理解してみくるはその答えにたどり着いた。しかし、それがどういうことなのかはまだ分からない状況である。

 

「で、ドミソの鍵を打つって何?」

 

「恐らく何らかの楽器でこの音を演奏しろってことだろう。この音楽室の中にある楽器の何か⋯」

 

「それはピアノじゃないかと思います。」

 

「ピアノ?」

 

「その推理の真意としてはこうだろ?ピアノは鍵盤で音を奏で、『鍵盤』には『鍵』の字がある。だからこの音階のある鍵穴に音を打ち、鍵を打てってこと⋯」

 

「その通りです!」

 

「つまり、『鍵を打て』というのは鍵盤を打てってことだね!」

 

「そうだ。そして、このような音符の並び⋯お団子の音符、全音符が3つ並んでいるのを『和音』と言って、別々の音の鍵盤を同時に弾いて重なる音を奏でるんだ。」

 

「つまり⋯」

 

「ピアノでドミソの和音を奏でる!」

 

 そうして、俺達はそれぞれでドミソの和音をピアノで奏でる。しかし、俺だけじゃなくてみくるもこれを同時に分かっていたとはな⋯流石は探偵を志すだけあっただけのセンスと言えよう。本当に俺にとっては最高の弟子かもしれない⋯

 

「よし!」

 

「みくるもノブお兄ちゃんも凄ーい!」

 

「昔、ピアノ習ってたからね⋯師匠は何故分かったんですか?」

 

「俺は音楽を聴いたりギターを弾くのが大好きだからな⋯知識とかは結構心得てるつもりだよ。」

 

「そういえば、ノブお兄ちゃんは家にギターを持ってて音楽を聴くのも(ギターを)弾くのも好きだもんね!」

 

「まあな⋯」

 

「そうなんですね。師匠はどういう曲がお好きなんですか?」

 

「まあ、アイドルソングはまず聴くな⋯あと、アニソンとかロックとか結構守備範囲は広いよ。この時代の曲ならLUN〇 SE〇及びソロの河村〇一さんとかSM〇PとかV〇とかGL〇Yとかだな⋯みくるはどうだ?」

 

「私はちょっと最近の曲とかには疎くてよく分からないですけど、挙げられたアーティストの曲はどれも良いと思います。」

 

「だよな。」

 

「とりあえず、鍵も開いたことだし次の教室へ行こう。みくる、ノブお兄ちゃん!」

 

「ええ!」

 

「おうっ!」

 

 そうして俺達は音楽室のドアを開けてからまた次の教室へと向かう。みくるは案外この時代としては今どきのJCではあるが、流行とかには何気に疎いのか⋯でも、探偵としては流行りのものとか色々調べなきゃいけないはずだがな。そこはまた改めて教えるとしよう⋯

 

「さあ、次の謎は何?かかってきなさい!」

 

『脱出せよ、ドアを開けるには鍵が必要。鍵は俺が持っている!』

 

 次に図書館へとたどり着いてみくるが挑発すると、天の声のゴウエモンが次の指令を出す。そこには『鍵は俺が持っている』という何ともストレート内容だ⋯つまり、ザックリ言うとゴウエモンを捕まえれば良いって話だ。

 

「『俺が持っている』?」

 

「あのゴウエモンって人を見つければ良いのかな?」

 

「そうと分かれば話は簡単だ⋯ここら辺の隠れてそうな場所を調べて引っ張り出せば良いだろ?簡単な話だな!」

 

『おっと忘れていた!今回の謎の制限時間は1分、時間内に見つけられなければそこで見つけられなければゲームオーバーだ!!』

 

「ええっ!?」

 

「急にずるい!」

 

「ゴウエモン、1分はないだろ?せめて3分に!」

 

『問答無用、スタート!』

 

 そうして、ゴウエモンは俺達の言うことを無視して1分の時計を進める。ここからあいつを見つけないといけないのか⋯マジでどこにいるんだ?

 

「どどどどうしよう!?」

 

「あんな、落ち着け!」

 

 あんなはパニックに陥ってしまいみくるの肩を持って彼女の身を激しく揺する。みくるの方に関してはもう揺られすぎてもう目が回っていて何かと可哀想だ⋯

 

「そうだ、プリキット!」

 

「ルーペを使えば分かるかもしれないな。オープン、プリキットミラールーペ!」

 

 とりあえず、みくるの進言を受けて俺達はプリキットミラールーペを使うことに⋯これで何かとヒントが出てくることだろう。例えば、ゴウエモンの足跡とか⋯

 

「ジェット先輩曰く⋯」

 

「ミラールーペがあれば大事な手がかりも見逃さない!」

 

「これでゴウエモンはチェックメイト⋯だな!」

 

 そうして、ルーペで床を見ていくと不思議な形をした足跡が浮かび上がる。その形はまるで下駄で歩いたかのようにかかととつま先に跡があった⋯もう間違いないだろう!

 

「はなまる発見!」

 

「この形はゴウエモンの下駄の跡!」

 

「よし、これの行くところを追いかけるぞ!待ってろよ、ゴウエモン⋯俺達が捕まえて迷路から脱出してやる!」

 

 ゴウエモンの足跡というか下駄の跡を追いかけていく俺達⋯その跡は図書館のあらゆるところに刻まれていたが、突然本棚の近くで跡が消えていた。

 

「ここで消えてる⋯」

 

「つまり、ここら辺にゴウエモンはいるってことか。」

 

「そうにしても、彼って身体とか大きいと思いますけど⋯隠れられる場所はあるんでしょうか?他に足跡は⋯って残り10秒しかない!」

 

「何だと!?」

 

「とにかく、本棚とか色々調べて⋯」

 

 あんながテンパって本棚の奥とかを調べようとしたその時、隣の本棚と思われたカーテンが外れてそこにはゴウエモン隠れていた⋯何ともあっさりとした結末である。そして、時計の方も残り1秒で止まった。

 

「「「見つけた〜!」」」

 

「ふっ⋯流石、名探偵。この俺に隠れんぼで勝つとはなぁ⋯褒めてやるぜ!」

 

 そう言ってゴウエモンは鍵を俺に投げ渡してから図書館裏の反対側へと消える。隠れんぼにしてはちょっと杜撰すぎる結末ではあるが、負け惜しみも言わずに鍵をすんなり渡すところは潔いものだ⋯ゴウエモンはファントムの中では卑怯ではないというか案外悪いやつではなさそうかもしれない。

 

「「「図書室の謎クリア!」」」

 

「ポチ〜♪」

 

 それからも俺達は家庭科室、美術室でも謎解きに成功する。俺、あんな、みくる⋯それぞれが力を合わせてクリアしていくが、特にみくるは家庭科室のやつでは編み物の才能が光っていた。みくるって本当にスペックが高いよなぁ⋯まさに名探偵の素質しか感じない。

 

「あれ、体育館?」

 

 全ての謎を解き終えて迷路が終わったかと思ったら、俺達はまた最初にいた体育館へと戻される。まだ何かあると言うのだろうか?若い2人はどうであれ俺に関しては謎解きで頭を使うだけでも疲れるものだ。

 

「最初に来たところだよね?」

 

「まだ終わらないのか⋯もう俺は疲れたぞ。」

 

『これが最後の謎⋯脱出せよ、正解のドアを選べ!』

 

 そうして天の声のゴウエモンが言うと、目の前に5枚のドアが展開される。これが最後の謎か⋯あいつが嘘をつかない限り正解を選べたら抜け出せて全てが終わるはずだ。

 

『前へ進むには後ろに戻り、道なき道を作り出せ!』

 

「進むには戻る?」

 

「ヒントだとは思うけど⋯」

 

「これだけでは俺でも分からない。最後に1番難しいのを持ってきたな⋯あいつ。」

 

「ポチポチ、ポチ!」

 

 俺達が答えを出せずに迷っていると、ポチタンが1枚のドアの上の部分を指差す。そこにはマークが記されてあり、ポチタンが指したものにはミントグリーンの三角のマークがあった。

 

「ドアにマーク?」

 

「隣のドアには黄色の星のマークがあるぞ。」

 

「えーっと⋯5つのドアにはそれぞれマークがあるんですよね?」

 

 ポチタンのおかげでドアにマークがあることに気づいた俺達は俺がまずはその順番とかを伝えてからみくるにそのマークをメモさせる。恐らくこれはヒントに繋がるはずだ!

 

「ああ、左から『〇』、『△』、『☆』、『♪』、『‪✕‬』のマークだ。これが謎を解くヒントになると思うが⋯」

 

「このマークとさっきの言葉の意味⋯行き詰まったら初めから考える、ノブお兄ちゃんが教えたことだよね?」

 

「ああ。それがどうしたんだ?」

 

「つまり、今までの謎を振り返れってことだよ。」

 

「そっか!」

 

 あんなはかつて俺が教えたことからヒントを見出す。本当に俺の弟子達は探偵活動を通じて日々成長している⋯これはいつか俺の教えもいらなくなるのではなかろうか。

 

「ここまで通った教室とマーク⋯音符は音楽室だよね?」

 

「ゴウエモンが言ったことを思い返してみて?『道なき道を作り出せ』、これも関係あると思う。」

 

「道なき道、ここはからくり迷路。謎を解いて道を進む⋯そうか、分かったぞ!」

 

「本当ですか?」

 

「ノブお兄ちゃん、凄い!答えは何なの?」

 

 俺はこれらのヒントとあんなやみくるが言ったことから全てが繋がり、地図とペンを手にしてからその答えを記すことに⋯俺でさえも少し苦しんだが、恐らくこれで合ってるはずだ。

 

「体育館から理科室、理科室から音楽室、音楽室から図書室、そして1階に下がって家庭科室、美術室、体育館⋯この道に答えがあるんだ。」

 

「もしかして、この通った道が何かのマークを示してるとかじゃないでしょうか?」

 

「でも、通った道は繋がってないよ?」

 

「それならこの地図を重ねてよく見てみろ。何の形に見えるか?」

 

「「あっ⋯星だ!」」

 

 俺はあんなとみくるの前で線を刻んだ地図を2枚重ねる。すると、透けて見える部分と上に書いたのが重なり星の形となった⋯つまり、もう分かるだろう。

 

「そう、つまりはそのマークのドアを通れってわけ。」

 

「みくる、ノブお兄ちゃん⋯」

 

「ええ!」

 

「開けるぞ?」

 

 そうして、俺は星のマークのついたドアに手をかけてからそれを開く。その先にはグラウンドがあり青空が広がっていた⋯しかし、こうもすんなり上手くいくとファントムのやつが仕掛けた作戦なものだから罠があるのではと勘繰ってしまう。

 

「出られた?」

 

「そのようだな⋯」

 

「やるじゃないか!」

 

「「「⋯!?」」」

 

 背後から声がして振り返ると、そこには桜の木の下に立つゴウエモンの姿があった。ここまで散々振り回しておいてヘラヘラしてるのが何気にムカつく⋯こっちは謎解きで頭を使いまくったんだぞ!

 

「妖精についてはよく分からなかったが、マコトジュエルは頂いていくぜ?嘘よ覆え⋯来やがれ、ハンニンダー!」

 

「ハンニンダー!」

 

 ゴウエモンは桜の木からハンニンダーを生成する。妖精のことを色々試したってことはつまりこの罠はポチタンを試してたってことなのか⋯しかし、大事な桜の木に宿るマコトジュエルを汚すのは何よりも許せない。

 

「桜の木が!?」

 

「2人とも⋯変身だ!」

 

「「うん(はい)!」」

 

「「「オープン!」」」

 

「「ジュエルキュアウォッチ!」」

 

「ジュエルキュアライセンスフォン!」

 

「「「プリキュア・ウェイクアップタイム!」」」

 

(変身中⋯)

 

「どんな謎でもはなまる解決!名探偵キュアアンサー!」

 

「重ねた推理で笑顔にジャンプ!名探偵キュアミスティック!」

 

「百鬼夜行を斬り犯罪撲滅!名刑事キュアマスター!」

 

「「「名探偵プリキュア!」」」

 

「俺の答え、見せてやる!」

 

 変身を終えて名乗りも決め、俺達はハンニンダーと向き合う。桜の木は学校の象徴とも言える物だからな⋯とにかく、俺達で守るのみだ。

 

「ハンニンダー!」

 

 桜のハンニンダーは早速パンチ攻撃を仕掛けてくるが、息を揃えてジャンプで避ける。今の俺達は何も言わなくてもやるべき判断は決して間違えたりはしない。探偵としてやっていく中で身につけた判断力とより強くなったコンビネーションである。

 

「「「はああああ!」」」

 

 そのままの勢いで俺達は息を揃えて飛び蹴りを仕掛ける。しかし、桜の木だけあって相手も防御力は高く受け止められてしまう。そう簡単に決定打は打たせてもらえないか⋯

 

「ハンニンダー!」

 

 そこからハンニンダーは桜吹雪の攻撃を仕掛ける。いかにも桜の木らしい攻撃ではあるが、まだ4月頭なのに散らされては困るし、食らうのは厄介かもしれない。

 

「ミスティックリフレクション!」

 

 しかし、その攻撃は前に立ったミスティックがバリアを作って攻撃を回避する。こんな時に頼りになるのが彼女のバリアだろう⋯俺とアンサーは防御技が使えない中で貴重なバリア要員だ。

 

「小賢しい!」

 

 そこにゴウエモンが扇子からビームを放って加勢する。これではいくらなんでもミスティックへの負荷は大きいのではないだろうか?俺より若い分は堪えられるかもしれないが⋯

 

「桜吹雪に溺れちまいな!」

 

「ミスティック、大丈夫か?」

 

「大丈夫ですよ、これぐらい⋯はああっ!」

 

「ダー!?」

 

 しかし、ミスティックは決して俺とアンサーの前では弱音を吐くことなくむしろバリアで押し返すどころかそれでハンニンダーに攻撃を返した。防御こそ最大の攻撃とはまさにこのことか⋯

 

「このまま行くぞ!」

 

「はい!」

 

「うん!」

 

「逃がすか!」

 

 流れを止めまいと俺達はさらに動きを見せるが、そこはゴウエモンの弾幕攻撃に足止めを食らってしまう。その際に土埃が立って視界が悪くなってしまった⋯

 

「前が見えない!」

 

「ハンニンダー!」

 

「前だ、避けろ!」

 

「「⋯!?」」

 

 前からのハンニンダーの攻撃に感知した俺は咄嗟にアンサーとミスティックに知らせると、ここは何とかジャンプして回避する。こんなにも視界が悪い中ではまともに戦えない…どうすれば?

 

「そこか!」

 

 ゴウエモンに見つかり、さらに彼は斬撃を可視化したような攻撃を仕掛けてこれも避ける。ハンニンダーだけじゃなくてゴウエモンも戦えるタイプなのか⋯ニジーやアゲセーヌと比べて怪盗としてのスキルは劣るものの自ら攻撃を仕掛けられるタイプとなるとなかなか厄介だ。

 

「どうすれば⋯」

 

「お前らなら⋯いや、俺達なら大丈夫だろ。あの迷路を抜け出したんだ!何も怖いものはない。」

 

「そうだよ。ミスティックはお兄ちゃんにほとんど頼らなくても迷路のゴールまで導いてくれたんだもん⋯それに、私もお兄ちゃんもみんなで謎を解いたし。何とかできるよ!」

 

「師匠、アンサー⋯そうだね、ありがとう!」

 

「よし、3方向に分かれるぞ⋯GO!」

 

 俺の合図に2人も息を揃えて、俺達3人は3方向に分かれて注意を分散させる。これでハンニンダーとゴウエモンはどこか一点に集中せざるをえなくなった。

 

「食らえ!」

 

 ゴウエモンは扇子を振ってから先ほど斬撃をアンサーに向かって放つ。しかし、これを彼女は絶妙に避けていく。その中で俺は彼の動きを止めるべくベガを抜いて奇襲を仕掛けた。

 

「隙あり!」

 

「わあっ、待て待て!?ここで俺を斬ったら敵幹部が1人⋯」

 

「はああっ!」

 

 そんな俺はベガで彼が持っている扇子だけを一刀両断し、技を使えないようにした。本音を言えばゴウエモンごと斬って退場させても良かったんだが、流石に子供の手前だからな⋯

 

「扇子が⋯ぐぬぬ、見事だ。」

 

「どういたしまして。」

 

「ハンニンダー!」

 

「今だ、跳べ!」

 

「「せーのっ!」」

 

「うおおっ!?」

 

 ゴウエモンの扇子を斬った直後にハンニンダーが桜吹雪の攻撃を仕掛けると、分かれてた先で合流していたアンサーとミスティックがジャンプで避けて、俺の横に退けた。すると、その桜吹雪は為す術なく彼に命中⋯それぞれ分かれてても連携はしっかりしているのだ。

 

「アンサーアタック!」

 

「ダー!?」

 

「ポチ〜♪」

 

 さらに、アンサーが渾身のアンサーアタックでハンニンダーを制圧。俺も合流していよいよ仕上げだ⋯ポチタンもテンションが上がってきている。

 

「「「オープン、プリキットミラールーペ!ポチタン!」」」

 

「ポチ〜!」

 

「「「マコトジュエル!」」」

 

 そうして、俺達はプリキットミラールーペを起動してポチタンからマコトジュエルを出してもらいそれをはめていく。それぞれのハートのジュエルはこの技の力の源である。

 

「見て⋯」

 

「感じて⋯」

 

「謎を解く!」

 

「「「これが私(俺)達のアンサーだ!プリキュア・フライングスペクトル!」」」

 

 俺達が呪文を唱えると3つのビームが1つに重なり、鳥のようなエフェクトになってまっすぐ飛んでいきハンニンダーに当たる。もちろんのことながら何も抵抗できずだ⋯

 

「「「キュアっと解決!」」」

 

「ハン、ニン、ダー⋯!」

 

 そうしてハンニンダーは俺達の放ったフライングスペクトルによって浄化された。そして、マコトジュエルも元に戻ってからそれをポチタンの首元に与えていく。

 

「ポチ〜!ポチポチ、キュアキュア〜♪」

 

 桜の木のハンニンダーから出たピンクの桜の花のような形をしたマコトジュエルはポチタンが吸収して今日も喜ぶ。そして、ポチタンはまた一つ、今日も成長した。

 

「(桜の木が)元に戻って良かった⋯」

 

「本当だな。あれ?何か忘れてるような気もするが⋯」

 

「あっ、理科の授業!」

 

「そうだったぁ!」

 

「やべっ、俺は理事長を待たせてるんだった。じゃあ、また学校が終わったら探偵事務所で帰りを待ってるからな。お前らも授業頑張れよ?」

 

「はい、あんな⋯行こう!」

 

「そうだね。ノブお兄ちゃん、また後で!」

 

 そうしてあんなとみくるは理科の授業へ、俺は理事長室へとそれぞれ向かうのだった。謎を解いたりしたことで時間が経つのを忘れてしまうとは⋯とりあえず、理事長も理科の担当の先生もそれぞれ怒ってなかったら良いけどな。

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

「さて、そろそろお昼でしょう?織田さんもお腹が空いていらっしゃることですし⋯本日はわざわざ学校の方にも来てくださりありがとうございました。」

 

 理事長室に戻ってから理事長と話すこと2時間ぐらい経ち、彼女は話を切り上げて俺に対して今日来てくれたことを頭を下げて感謝する。帰ってきた時も笑顔で出迎えてくださったから本当にこの人は良い人なんだな⋯この人が理事長をなさっている学校ならあんなを預けて良いと心の底から思うのだった。

 

「私の方こそ、事件のために待ってくださって⋯本当に申し訳ございませんでした。これからもあんなとみくるのことをよろしくお願いいたします!」

 

「ええ、織田さんの方も2人を立派な名探偵に育て上げてくださいね?」

 

「はい!」

 

 そうして、俺と理事長は立ち上がってから握手を交わす。それから俺は理事長室を後にして、彼女も彼女でお仕事に戻るのだった⋯見送りに関してはお忙しくなかったらなさってただろうが、名門校であるまことみらい学園の理事長たるお方となると大変だろうな。とりあえず、俺もおっしゃられた通りにあんなとみくるを名探偵に育て上げつつ2人のことを生活面でも支えていきたいと思った。

 

「ノブお兄ちゃん!」

 

 理事長室を出るとすぐ、あんなと出会った。時間的には4時間目も終わって昼休みってところだから別にここにいても違和感はないのだが⋯みくると別行動とは珍しいな。

 

「あんな、どうしてここに?みくるは⋯」

 

「みくるにはノブお兄ちゃんに会ってくると伝えてるから大丈夫だよ。それよりも、理事長さんとのお話は終わったの?」

 

「まあ、さっき終わったけど⋯どうして俺が理事長と話してたことをお前が知ってるんだ?」

 

「多分そうかなと思って。それで、ノブお兄ちゃんに訊きたいことがあるけど今は都合とか大丈夫?」

 

「大丈夫だよ。薫風さんから特に呼び出しは受けてないし⋯どうしたんだ?」

 

「ノブお兄ちゃんはるるかさんのことをどう思ってるの?」

 

「えっ⋯」

 

 すると、あんなはあまりにも火の玉ストレートな質問を俺にぶつけてくる。るるかちゃんのことをどう思ってるのかを訊いてくるとかこの従妹、鬼すぎるって⋯でも、とりあえず答えよう。

 

「そりゃあ可愛くて優しい良い子ってところだな。普段は無表情だけど真顔でも可愛い中でたまに見せる笑顔とかアイスを美味しそうに食べるところとかにキュンとして、ドキドキが止まらないんだよ⋯」

 

「そうなんだ。つまり、ノブお兄ちゃん⋯るるかさんに恋をしてるんじゃない?」

 

「恋?俺がか⋯」

 

「うん。だって、ノブお兄ちゃんはるるかさんの話をしてる時⋯凄く楽しそうだもん!もちろん大好きだよね?」

 

「そりゃあ、好きか嫌いかで言ったら好きだけど⋯俺が彼女に恋をして良いのかって思うんだよな。」

 

「どうして?好きだったらその気持ちを伝えようよ。」

 

「いや、俺⋯27のアラサーだぞ?るるかちゃんが何歳かは知らないけど見た目の限りはあんなやみくると同い年ぐらいだから手を出して良いのかと思って⋯それに、俺はるるかちゃんから見たらおじさんぐらいの年だし。仮にも警察やら探偵をやってる人間がこういう倫理に反することをやるのはまずいんじゃないのか?」

 

「大丈夫、恋すること自体に法律も何もないんだから。自分の気持ちに素直になって良いんだよ?」

 

「素直に⋯か。」

 

「うん!もしも、るるかさんのことを心の底から愛してるとしたらあの子の傍にいた方が良いと私は思うな⋯私達と一緒に探偵をするべきとは思うけど、きっと寂しいはずだよ?」

 

 あんなはるるかちゃんに対しての気持ちとかで迷ってる俺に対して恋に法律はないとか一緒にいるべきとかいつもだったら言いそうにないアドバイスをする。普段の彼女は俺の恋バナに乗ることもある時はあるが、こういうような言い方はしないはず⋯今日はどうしたんだろうか?

 

「なあ、あんな⋯何かお前らしくない答えの気がするけど、気のせいか?」

 

「気のせいだよ。私は私⋯ただ、ノブお兄ちゃんには素直になってほしいと思ってアドバイスをしただけだから。それで、聞かせてほしいな⋯るるかさんとどうしたいのかを。」

 

「俺は⋯確かにるるかちゃんの傍にいたいと思っている。でも、俺の中で彼女のことを信用できない部分があってね⋯お前もいる前でニジーがこの前言ってたけど、るるかちゃんはファントムの仲間でキュアアルカナ・シャドウと呼ばれてるらしくて。俺は信じないつもりだけど、もしそれが本当だったら⋯俺はあんなとみくるを裏切ってしまうのではと思ってるんだ。そんなことは俺にはできない⋯だから、迷ってるというのもあるんだよ。」

 

「そうなんだ⋯ノブお兄ちゃんは優しいんだね。でも、焦らなくて良いから⋯るるかさんがファントムの仲間じゃないってことを証明すれば問題ないんじゃないかな?それに、恋するのにアラサーも何も関係ないから⋯素直な気持ちを伝えようよ!」

 

「それもそうだな。俺、どこかでひよってたわ⋯お前のおかげで勇気が湧いたよ。別にレイプとかそういうことをするわけじゃないしな⋯今度会った時に自分の気持ちを伝えるよ!ありがとう、あんな。」

 

「えへへ、頑張ってね!じゃあ、私は教室に戻るから⋯」

 

「ああ、午後の授業も頑張れよ!」

 

「うん、またね⋯ノブお兄ちゃん。」

 

 そう言ってあんなはみくるが待ってる自分の教室へと戻っていくことに。本当にあんなの励ましに俺は何度救われてきたことか⋯高校生活で挫折した時も、大学に進学して疲れた時も、警察になってから大変だった時も、いつもあんなの励ましに救われてきた。まさに彼女は俺にとってのオアシスと言える⋯俺も自分の気持ちに素直になれそうだ。本当にありがとな、あんな!

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

「さて、これをどうしようか⋯」

 

 事務所に帰ってからのこと、俺は帰ってきてすぐに県警本部からお礼の品として届いた地元の和牛のサーロイン4枚分をどう調理しようかを悩んでいた。

 

「とりあえず、安直にステーキにして食べた方が僕は良いと思うけどな⋯何を悩んでるんだ?」

 

「いや、ステーキとして出すならステーキ丼にした方が俺は良いと思ってる。そのまま出したとしてもあいつらがフォークとナイフを使いこなせるか疑問符なんだよな⋯」

 

『確かに。あんなとみくるは探偵としてのあれこれは習っているが、テーブルマナーは習っていない。俺はナイフとフォークを使わない信義の意見には賛成だ。』

 

「何で犬のお前が話に入ってくるんだよ。お前の分はないんだよ、ドックフードでも食べとけ!」

 

『犬とは何だ!俺は本来人間だし、犬だって肉は食べれる⋯俺に分けてくれたって良いんじゃないのか?』

 

「そう言ってドギーはステーキをただ食べたいだけなんだろ?僕にはお見通しだからな⋯」

 

『そ、そんなわけ⋯』

 

「ただいま⋯ノブお兄ちゃん、ジェット先輩、ドギー!」

 

「師匠、ただいま帰りました。ジェット先輩、ドギー、ただいま!」

 

 肉のことでジェット先輩やドギーと議論していると、ちょうどそのタイミングであんなとみくるが学校を終えて帰ってきた。これは2人からもどう食べたいかを聞ける丁度良いタイミングである。

 

「おかえり⋯あんな、転入初日はどうだったか?」

 

「うん、凄く楽しかった!みくるのお友達とも仲良くなれたし、ここでも頑張れそう♪」

 

「それは良かった⋯」

 

「師匠、そこにあるのって牛肉のサーロインですよね?もしかして買ったんですか?」

 

「いや、これはこの前の事件解決のお礼の品として県警本部から送られたやつだよ。それも地元のだぞ?俺に感謝して食べてくれ。」

 

「凄い、ノブお兄ちゃん!サーロインとなるとステーキだね。楽しみ♪」

 

 あんなはステーキ肉を見ては心を躍らせる。子供のような大人のような⋯本当に彼女は屈託のない良い子である。その中で俺はあの話を切り出した。

 

「あんな、さっきはありがとな。」

 

「さっき?私、ノブお兄ちゃんに何かした?」

 

「いや、お前⋯昼休みの時に俺に理事長室前まで来てアドバイスをくれたじゃないか。恋をするのに法律はないって⋯だから、るるかちゃんに今度会った時に気持ちを伝えようと思ったんだよ。覚えてないのか?」

 

「えっ、私⋯グラウンドで別れてから一度もノブお兄ちゃんと会ってないよ?もしかして、人違いとかじゃ⋯」

 

「ええっ!?じゃあ、あの時会ったあんなは⋯」

 

 俺はあんなから衝撃の事実を聞いて驚く。あの時、会ったあんなはまさか⋯いや、そうだとしたら俺は外部に色々漏らしてしまったのか!?ただ、あの時のあんなに変装していた誰かは俺の悩みに真摯に向き合ってくれた。きっと悪いやつではないはずだ⋯とりあえず、悩みを解決できたことだしそこら辺は結果オーライということにしておこう。恋に年齢は関係ない⋯るるかちゃん、必ず俺の気持ちは君に伝えるから待っててくれよ!

 

side out

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

 時を少し戻して4時間ぐらい前、信義と話を終えたあんな(?)は校舎を出てグラウンド近くのトイレの洗面所で口を洗う。その時にリップグロスを塗っていたのかそれが落ちて変装というか変身が解ける。そのあんなになりすましていた人物の正体とは⋯るるかだった。

 

「勧誘作戦、上手くいかなかったわね。」

 

「うん。だけど、織田さん⋯私に本心を打ち明けてくれた。私のことが大好きだって⋯」

 

「だけど、織田信義⋯かなりの堅物ね。法律に縛られてるというか真面目というか⋯まあ、あっちの時代では警察官だったらしいから仕方ないのかしら?」

 

「でも、それだけ織田さんがまっすぐな人だということは分かった。私、やっぱりあの人のことを好きになって正解だったかも⋯」

 

 るるかは信義の本心と人間性を知れて笑みを浮かべて喜ぶ。自分のことを好きだと言ってくれたこと、そして何事にもまっすぐで真剣なところ⋯彼女の男を見る目に狂いはなかったのだ。

 

「とりあえず、これからどうするの?彼はどうもこっち側につく気配はなさそうだけど⋯」

 

「私のことが好きだという気持ちが分かったのなら次の機会に告白する、それしか考えてないわ⋯次の手はまだあるから安心して。」

 

「それは楽しみね。とりあえず、今日はもう帰りましょう⋯帰りにアイス食べて行かない?」

 

「うん、最近新しいお店ができたからそこに行こう⋯マシュタン。」

 

 マシュタンからの問いにるるかは自信あり気に答えて、次の策へと動き出した。とりあえず、今日のところはアイスを食べて帰るのだが⋯るるかが打つ次の手とは一体。彼女はポケットから2枚のチケットと思われる紙を出してから信義とのこれからのことに関してを考え、またすぐポケットに戻すのだった。

 

「どうしたの、るるか?」

 

「何でもない⋯(織田さん、今度は私が自分の気持ちを伝えるから。待ってて⋯)」




いかがでしたか?信義達はそれぞれの推理力でそれぞれ他力に頼らず謎を解き迷路を脱出し、そしてハンニンダーを見事に撃破してマコトジュエルを手に入れました。ゴウエモンはポチタンの力を試そうとしましたけど、結局何の意味もなかったなと原作のこの回を観てて思いましたよ⋯しかし、プリキュア達を試す試練としては良かったのではないでしょうか?それと戦いとしてはマスターには久しぶりにベガで物理的に斬ってもらいましたけど、これを活かさないと最近の技傾向からして何のために剣のプリキュアにしたのかって意味がなくなりますよ。デカマスターをモチーフにしたのには剣を使ったかっこよさってのもありますし、何よりも司令塔というか中心的というかそういうところを出してもらいたかったという願いがあってキュアマスターを生み出しました。その役割を全うできてると僕は思ってます。

そして、最後の方ではるるかちゃんがあんなちゃんに変装して信義の自分の気持ちを引き出したわけですけども⋯この技術に関しては原作8話の最後のアレを先に出しました。これを皮切りにこの次から変装のクオリティーが下がってる気がしますけども⋯多分、8話時点のスキルなら理論上であんなちゃんに変装することは容易ではないかと思います。しかし、やり手が五等分の花嫁の一花ちゃんのアレと似てるんですよね⋯縁のある人になりすまして自分を引き立てる自作自演。一花ちゃんもあの時、三玖ちゃんになりすましてから風太郎に対して自分を好きになってもらうようにしてましたよね⋯あれは下手したら胸糞ものですよ。まあ、これに関しては二乃ちゃんから叱られましたけども。それで、自分のところのるるかちゃんなら同じ手を使うかなと思ってこういうシーンを入れました。あんなちゃんになりすますってところがタチ悪いですよね⋯それでしれっとファントムに勧誘して信義を自分のものにしてしまうところでした。

しかし、それでも釣られずにキュアット探偵事務所を裏切らない姿勢を貫いた信義に対してるるかちゃんは次の手を打つことになりますけど⋯この策に関しては先に予告しておきますが、8話分の次のオリジナル回にて実行されます。それにしても、るるかちゃんに好きな気持ちは持ちつつもキュアット探偵事務所を裏切らない信義は本当にまっすぐですよね⋯でも、そういつつもるるかちゃんがファントムの人間でないことを証明しようとする純粋なところもあります。どうなるのかは今後の楽しみにしていてください!

次回は原作通りの流れで8話分をお届けします。プリホリ回ですね⋯原作で出てきた敵はニジーでしたが、ついにあの男が動きます。どうぞご期待ください!

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