それと、これはお詫びすべきところがありまして⋯前回の話でブラキッドが使う武器ですけども、最初の方で『シルバーマジックロッド』とありましたけど、途中からミスって『シルバーマジカルロッド』と入れていまして、紹介の方でもその方で出してしまいました。それで、よく考えた結果⋯『シルバーマジカルロッド』で統一することにしました。本当に申し訳ありません⋯読者の皆様をドタバタさせたことをお詫び申し上げます。
結局、間違った方を正解にしてしまうってことは面倒だからとかそういうのではありませんが⋯マジカルの方が間違えにくいのでその判断です。また何かありましたらお知らせくださいね?
それでは、本編をどうぞお楽しみに!
side信義
るるかちゃんからデートに誘われた日から2日経った火曜日⋯今日がいよいよ当日だ。今日に関してはあんなとみくるが学校に行ってる間に俺は依頼を受けた事件をパッと解決させて今は鏡の自分と向き合ってから髪や身だしなみを整えている。とりあえず、フレグランスを振り撒いて完成⋯今日のコーデのポイントはネクタイをまことみらいベイスターズの青と阪〇タイガースの黄色がねじれたマフラーのように混ざりあってるものにしている。ざっと言えば国民民〇党の議員さんがつけてるようなネクタイだ。対戦チーム同士の色ということもあってかこれを昨日探してたんだよなぁ⋯まあ、母さんが所属している政党とは違う野党のネクタイっぽいのは気が引けるけども。
(とりあえず、集合時間は17時⋯ここからスタジアムの最寄り駅は歩いて20分ぐらいだから、まあ時間に余裕のある今はゆっくり待つとしよう。)
「信義、お前⋯随分とお洒落なネクタイをしてるな。もしかして、デートにでも行くのか?」
「ああ、今日は勝負なんだよ⋯一緒に行く子に告白しようと思ってるからな。」
ジェット先輩が妙にお洒落をしている俺を見てはデートに行くのかどうかを訊ねる。まあ、ここは素直に答えて良いだろうな⋯同じ男同士で彼は口が堅いと思うし。
『もしかして、その相手はお前がよく話しているるるかか?』
「そうだけど。まあ、心配すんなって!あの子はファントムの人間じゃないと俺は信じてる⋯それに、彼女もそうだと答えたし。今回それを証明してやるよ!」
『なら、良いのだが⋯』
「「ただいま〜!」」
ドギーがるるかちゃんのことを不安視してる中で彼を安心させたタイミングであんなとみくるが学校から帰ってくる。しかし、2人は今日も元気だよなぁ⋯本当に若いという一言以外に当てはまる言葉が見当たらない。
「お前達⋯やけにテンション高いな。何かあったのか?」
「私達、プロ野球の試合を観るんだ!ねっ、みくる?」
「ええ!見てください、今日のまことみらいベイスターズの試合のチケットですよ?」
そう言ってあんなとみくるは同時にチケットを見せる。そこには今日の日付と『まことみらいベイスターズ対阪〇タイガース』の試合概要とかが記されていた⋯しかも2人の分だけでなくあと1枚チケットがあった。
「これ、どこで手に入れたんだ?お前達のお金じゃ買えなかっただろ⋯」
「実はね⋯クラスメイトの男の子が今日、この試合を家族で観に行く予定だったけど急用ができて行けなくなったんだよね。」
「それで、家族分のチケットを私達に譲るって話になったんです。」
「なるほど⋯で、あと1枚はどうするんだ?」
「それは話し合った結果、ノブお兄ちゃんに渡そうかなと思って⋯ねっ、みくる?」
「そういうことで、私達と一緒に野球を観に行きましょう!」
「ああ⋯その気持ちは嬉しいんだが、俺もその試合のチケットを持ってるんだよ。」
2人は俺を保護者前提として野球観戦に誘おうとする中、俺は申し訳ない感じでるるかちゃんから貰ったチケットを見せる。思惑が外れたのか、あんなとみくるは唖然としていた。
「ノブお兄ちゃん、このチケットはどうしたの?」
「実は一昨日、お前達が出かけてた時にるるかちゃんが来て商品を買った際に野球観戦デートに誘われたんだよ⋯それで、このチケットを貰ったんだ。」
「でも、よく見たらあんなの隣の席ですね?とりあえず、そのるるかさんには話を通しますから一緒に行かせてください!」
「お願い、デートの邪魔はしないから!」
みくるとあんなはそれぞれ俺に邪魔をしないからとして一緒に連れて行くように懇願する。奇遇にも近くの席ならどの道絡んでくるのは避けられないからな⋯
「分かった、席も隣同士だしな⋯るるかちゃんには俺から話をつけとくよ。」
「やったー、ノブお兄ちゃんありがとう♪」
「でも、待って?師匠が既にチケットを持ってるということは1枚余ってるよ?あんな、どうする?」
「それなら、ジェット先輩!一緒に行ってくれる?」
「ええっ、僕!?」
みくるが余ったチケット1枚の行方を心配していると、あんなはジェット先輩を誘い、これにジェット先輩本人は驚く。彼も何気にプロ野球には詳しそうだからあと1枚の人材としては適任だろう。ドギーは姿が犬だしな⋯
「ジェット先輩は野球に詳しそうだというのもあるけど、ドギーは犬だから⋯そういうことなの。お願い!」
「分かったよ。そういうことで、ドギー⋯留守番を頼んだぞ?」
『了解。お前達が行ってる間は番犬として事務所を守っておくから安心して行ってこい。』
(何だかんだでドギーも自分が犬であることを認めてるな⋯)
そんなこんなであんな、みくる、ジェット先輩が俺とるるかちゃんのデートに同行することになった。ちょっと不本意な結果になったかもしれないが、席が隣同士なら仕方ない⋯どの道絡みはあるだろうし、るるかちゃんなら事情を話せば分かってくれるはずだ。そんなこんなで俺達はスタジアムの最寄り駅に向かうことになる⋯
side out
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sideるるか
「未来自由の書がマコトジュエルのありかを示している⋯」
織田さんとのデートの当日、今はウソノワールに集められて会合が行われているところだ。彼は未来自由の書を開き、マコトジュエルのありかを確かめる。
「その場所とはどこでしょうか?」
「まことみらいスタジアム⋯そこで野球の試合中に現れると記されている。」
(まことみらいスタジアム、デートで行く場所だ⋯)
「野球?あたし、野球のこととかよく分かんないからパス。もう阪〇タイガースとか何とか訳分からんし!」
「いや、お前は中の人が阪〇のファンだろう?白々しい。」
「うっ⋯!?」
「中の人って⋯ゴウエモン、君は何を言ってるんだい?とりあえず、ここはこの僕が行きましょう。ブラキッドの醜態は僕が必ず挽回いたします。それで納得かな、ブラキッド?」
「⋯」
ニジーはブラキッドの顔を窺いつつ、自分が任務を請け負うと名乗り出る。気を遣われたブラキッドの方は悔しそうな表情を浮かべて黙り込む⋯突然現れた謎の戦士からシルバーマジカルロッドを壊されたこともあってかこの前のことがかなり悔しいのがよく分かる。
「ここは私が行くわ。」
「アルカナ・シャドウ⋯」
そんなタイミングで私は手を挙げてからこの話に割って入る。まことみらいスタジアムにマコトジュエルが現れるのなら私がデートについでに奪えば良い話⋯そう思って手を挙げた。
「アルカナ・シャドウ⋯君までも僕の仕事を横取りする気か!?」
「別に。私もちょうどそこに用があるだけ⋯そのついでだから。」
「良かろう。ただし、マコトジュエルは必ず回収せよ⋯ライライサー。」
「⋯」
「ライライサー!」
そうして私はデートついでにマコトジュエル奪取の任務を請け負うことに。どうして私が織田さんを野球観戦デートに誘ったのか⋯それはマシュタンの占いである。私は育ってきた環境もあって野球にそこまで詳しいわけじゃないけど、マシュタンの占いが野球へと導いてくれた。とにかく、任務を成功させつつ織田さんに告白したいものである⋯
side out
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side信義
事務所を出てからあんな、みくる、ジェット先輩を連れて歩くこと20分⋯るるかちゃんとの待ち合わせ場所でスタジアムの最寄り駅であるまことみらい線の大学前駅へとたどり着く。時刻は16時55分と5分前ではあるが、既にるるかちゃんが入口の前で待っていた。
「るるかちゃん!」
「織田さん⋯とその人達は?」
「ウチの探偵事務所の仲間達だよ⋯あんなとるるかと科学者のジェット先輩。」
「お前が森亜るるかか⋯話は信義から聞いてるよ。僕はジェット、キュアット探偵事務所で科学者をやってる者だ⋯よろしく。」
「ノブお兄ちゃんの従妹の明智あんなです。」
「弟子の小林みくるです、本日はよろしくお願いいたします。」
「よろしく。」
俺が3人を紹介すると、それぞれるるかちゃんに挨拶をする。彼女はあの時の時点では仲間と会うのを拒んでいたが、何だかんだで一言で受け入れはした。
「織田さん⋯一体どういうこと?」
「実は⋯この3人も別のルートから同じ試合のチケットを譲り受けたんだよ。それで、席も隣同士かもしれないけど邪魔はしないからデートを楽しもう。」
「ごめんなさい⋯それにしても、るるかさんって綺麗ですね。メイクもバッチリだし素敵ですよ?」
そんな感じであんながデートを邪魔したことを謝ると、その後でるるかちゃんがお化粧していたことに気がつく。そういえば、今日はどこかアクセントが効いてるなとは思っていた⋯リップはグロスで潤っていて、全体的にナチュラルメイクという感じである。しかも、俺がおすすめしたフレグランスの香りが鼻に伝う⋯どうやら、プリホリで買った商品を早速使ってくれてるようだ。
「ありがとう⋯」
「もしかして、この前買ったコスメグッズを使ってる?」
「うん、今日のデートは織田さんがおすすめしてくれたコスメグッズでお化粧して決めようって思ってたの。どう⋯かな?」
「あんなと同じく俺も似合ってると思うよ。」
「そう。ちょっと照れるかも⋯そんな織田さんも今日のネクタイはいつもと違うけど、お洒落してきたの?」
「うん。対戦チームを意識してね⋯俺の方は似合ってるかな?」
「織田さんも似合ってるわ。青と黄色の組み合わせが賢く見えてかっこいい⋯」
「ありがとう。それじゃあ、ここで立ち話をするのもアレだからそろそろスタジアムに向かおうか⋯」
「うん。」
「それじゃあ、しゅっぱーつ!」
「⋯って、あんなが仕切ってどうするの!?」
「本当にあんなは元気だな。ジェット先輩も行くぞ?」
「ああ⋯」
そんなこんなで俺達はまことみらいスタジアムに向けて歩みを進めるのだった。あんなは誰よりも楽しみにしててはしゃいでいるのだが、こうやって事件以外であんなとお出かけするのは久しぶりだしな⋯そこにみくるやジェット先輩に前から話したいと思ってたるるかちゃんもいたら、そりゃあ楽しみなのも当然である。とりあえず、この中でも告白を成功させたいところだ。
side out
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sideあんな
まことみらいスタジアムに着いて、ノブお兄ちゃんは早速夜ごはんとおやつを買いに売店へと向かった。その前には選手のレプリカユニフォームを買ってくれて席に座ってすぐにそれを羽織る。その中で今いるのは私、みくる、ジェット先輩、るるかさんの4人だ⋯折角だしるるかさんに話しかけてみよう。
「あの⋯るるかさん。」
「何?」
「るるかさんのそのペンダント、魔法使いのスティックみたいで素敵なデザインですね!」
「ありがとう、これ凄く気に入ってるの。明智さんと小林さんのつけてるペンダントは懐中時計みたいで素敵ね?」
「本当ですか!?これ、本当に時計なんですよ。これを開くと名探偵⋯」
「あんな!?すみません⋯気にしないでくださいね?」
「え、ええ⋯」
私が思わず『名探偵プリキュアに変身できる』と言いかけたその時、みくるが割って入ってはそれを止める。また本当のことを言いかけてしまうところだったよ⋯名探偵プリキュアのことは内緒なのに。
「そういえば、るるかさんは先ほどからぬいぐるみを抱いていますよね?このぬいぐるみは何ですか?」
みくるはるるかさんに抱いているぬいぐるみについてを質問する。紫のキツネのような可愛い子だけど、るるかさんはこのぬいぐるみを先ほどから肌身離さずに抱いていてとても可愛いらしい⋯ノブお兄ちゃんはこういう女子力高い子が好きそうだもんね。
「この子、マシュタンっていうの。私の可愛いお友達⋯」
「お友達ですか、私達のポチタンと一緒ですね。」
「ポチタン?明智さんがつけてるポーチの子ね。」
「はい!るるかさんも可愛いと思いませんか?」
「ええ、マシュタンとポチタン⋯響きが似てるわね。きっと友達になれそうかも⋯」
「そうだったら良いですね。」
「みんな〜、ごはんとか色々買ってきたぞ〜!」
「ありがとう、ノブお兄ちゃん。」
「お疲れさん、あんな達⋯すっかりるるかと打ち解けてたぞ?」
「そうか。それは良かったな⋯るるかちゃんもみんなと仲良くなれて良かったね。」
「うん。」
ポチタンとマシュタンの話で盛り上がっていると、ごはんとかデザートを買ってノブお兄ちゃんが帰ってきた。それほど長い時間ではなかったけど、ノブお兄ちゃんを介せずにるるかさんと話せたのは良い時間と言える。やはり、ノブお兄ちゃんの思ってた通りで私もこの人がファントムの仲間とは思えない。悪いことをしなさそうな人に見えたのだ⋯それからはノブお兄ちゃんを交えて試合を見てごはんを食べながら談笑するのだった。
side out
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side信義
試合が始まってから、俺達は買ってきたごはんとしてシュウマイ弁当やポテトや唐揚げを食べながら試合を見つつ話をしたりする。本来だったら俺とるるかちゃんの2人きりで多分お互い緊張してただろうからあんな達が来てくれたことで自然体でいられるのだ⋯やっぱり連れて来て良かったなと心の底から思うばかりである。
『9番ピッチャー矢部、背番号18。』
そんなこんなで試合の方はまことみらいベイスターズの方が4番バッターで後にチーム歴代最強助っ人として知られるロースのタイムリー2ベースで初回に先制し、1点リード3回表まで進んでいる。阪〇タイガースの攻撃なのだが、まず8番キャッチャーの谷野(やの)さんがシングルヒットで出塁してノーアウトランナー1塁の場面⋯ここでバッターは阪〇の暗黒時代のエースとして知られるピッチャーの矢部(やべ)さん、右バッターボックスに立ってバントの構えを仕掛ける。
「ノブお兄ちゃん、ノーアウトランナー1塁でまた送りバントだよ?何かのテレビでやってたけど、送りバントは攻めの効率が悪いからしない方が良いって言ってたよね?」
「何を言ってるの、あんな⋯野球はノーアウトランナー1塁の場面は送りバントで得点圏に進めて次のバッターで1点を取るという昔からの日本の野球で主流の攻め方なんだよ?効率悪いって言われても打たせてゲッツーの方が効率が悪いと思うけど⋯」
「みくる、実は送りバントというのはセイバーメトリクスの統計データからして得点の期待度を下げる非効率な戦術なんだ。バントで攻めてもヒッティングで攻めてもランナーの生還率は44%で変わらない⋯だったら長打で1点、最悪四死球ても1塁2塁の場面を作った方が効率が良いんじゃないかって話だよ。」
「そういうのがあるんですか⋯師匠は本当に何でも知ってますよね?」
「あるというかメジャーリーグとかではそれが証明されててあっちでは送りバントはあんまり使わないんだよ。信義はよくそれを知ってるな?」
「まあ、野球が昔から好きだったもんでね。」
「そうなんですか。私、小さい時にイギリスに住んでた時期もあったから野球に少し疎くて⋯」
「ええっ、みくるってイギリスに住んでたことあるの!?」
「まあ、うん⋯両親の転勤の関係でね。」
「奇遇ね、私もイギリスに住んでたの。もしかしたら小林さんと会ってたかもしれないわね⋯」
「そうかもしれませんね。」
俺が自分の時代の野球の常識を話すと、みくるは目を丸くして感心しつつ過去にイギリスに住んでたことを話した。それを知ると、あんなやるるかちゃんも興味津々でるるかちゃんもイギリスに住んでいたことを明かす。また1つ、俺はるるかちゃんのことを知ることができて良かったものだ⋯
「ところで⋯織田さんは野球をしてたの?野球のことに詳しくて好きならしてたと思うけど。」
「俺は野球は好きだけど、部活は剣道部だったんだ⋯それでも、地元が和歌山と関西だったから阪〇タイガースの試合を観て育つ中で野球が好きになったんだよ。」
「そうなんだ。でも、不思議⋯方言とかは出ないの?」
「地元の人とかと話す時にはたまに出るけど、基本は標準語だよ。大学進学の時からあんな達の家に住むことになってその時に標準語のドラマを観せられて練習の時に関西弁を使ったらあんなやあんなのお母さんからハリセンでしばかれてたからね⋯なっ、あんな?」
「うん。だけど、ノブお兄ちゃん⋯今ではすっかり標準語で上手く話せてるもんね。和歌山の実家に帰った時ぐらいかな?関西弁で話してるのは⋯」
「まあ、それも忘れつつあるけどな。」
「なるほど。」
るるかちゃんは俺の部活と方言事情を聞いて感心する。部活に関しては意外と思われたが、方言に関しては本当に矯正するのは大変だったもので、こうして何気なく彼女と話せてるのは間違いなくあんなのおかげで間違いない。るるかちゃんの前でも関西弁で話してたらきっと印象は悪かったことだろう⋯
「おい、話をしてる間に送りバントでランナー進んだぞ。」
雑談で盛り上がっていると、ジェット先輩が声をかける。試合は進んで送りバントが決まり1アウト2塁の場面ができていた。ベイスターズのピッチャーは後にこのチームの監督を務める『番長』の二浦(にうら)さん⋯ここを凌げるか?
『1番ライト、壷井。』
ここでバッターボックスに立つのはこの前年に新人賞級の活躍した壷井さん、振り子打法の使い手で右へ左へヒットを打てる左の安打製造機だ。
「この人の打ち方、何となくだけどイ〇ローさんに似てる気がする⋯」
「よう気がついたな、あの時の探偵の姉ちゃん達!」
「あなたは⋯」
壷井さんの振り子打法を見てあんながイ〇ローさんのフォームに似てることに気づくと、阪〇の帽子を被ったおじさんが声をかけてくる。相手は2人を知ってそうだし、みくるもそんな彼を見て知ってそうな反応をしているのだが⋯
「お前達、知り合いなのか?」
「はい。この前アゲセーヌがたこ焼き用のピックを盗んだ事件がありましたよね?あの時に彼女の変装を見破るヒントを与えてくださった人です。」
「あの時は本当にありがとうございました。」
「ええねんて。そもそも関西人なのに阪〇を知らへんなんてそんなんありえへんからな⋯ところで、そこの兄ちゃんは初めて見る顔やなぁ、この子達のお父さんですか?」
「いえ、私はキュアット探偵事務所では主任探偵をしている織田信義と申しまして。あんなの従兄でみくるに探偵としてのいろはを教えたりしてます。これ、名刺なので受け取ってください。」
「頂戴いたします⋯私も、どうぞ。」
俺がおじさんに名刺を渡すとおじさんも名刺を俺に渡す。そこには『日常スポーツまことみらい支社記者兼支社長・安達康(あだちやすし)』と書かれてあった⋯日常スポーツというと、阪〇の活躍が必ず一面になることで有名なスポーツ紙だ!そこの記者さんだったとは。
「日常スポーツの支社長さんでしたか⋯この度はウチのあんなとみくるがお世話になりました。」
「いえいえ気にせんといてください。まさかここで名探偵に会えるとは光栄ですわ⋯後でサイン頂けますか?」
「もちろんです。この回の阪〇の攻撃が終わったらサインを書きますね?」
「ありがとうございます!楽しみにしてますよ?」
安達さんは俺と会えたことを心の底から喜びサインをねだる。もちろん、これに関しては快く受け入れた。この人は見たところ良い人みたいだし⋯今までファントムのニジーやらアゲセーヌに変装されて裏切られたりもしたけど、まさかありえないだろう。
「あの⋯安達さん。」
「おお、何や?」
「壷井選手とイ〇ローさんの打ち方が似てるということですけど、どういう関係なんですか?」
「ほほう、なかなか良いところに気づくな⋯この2人なんやけど、実はプロ入りは違えど同い年の同級生でイ〇ローの打ち方を壷井が真似したんよ。でも、シーズンオフにどっちが先に振り子打法を使いだしたのか喧嘩になってるらしくて⋯そういうことやねん。」
「そうなんだ⋯」
あんなの質問に対して安達さんは取材してきた情報とかを活かして2人の関係性を説明する。まさにこれは俺が野球の歴史を調べてきた中で見つけたことそのままだ⋯あんなも勉強になって何よりだ。
「あっ、打った!よっしゃ〜、レフト前や!ホーム、行け、よっしゃ同点や〜!!」
「まさに理想の流し打ちでしたね。芸術的ですよ⋯」
「とりあえず、乾杯しときます?すみませーん、姉ちゃん⋯生ビール2つ!」
「はーい。」
「そんな、悪いですよ。私は自分で払いますから⋯」
「そんな堅いこと言わんといてください。まことみらいスタジアムのビールの売り子ちゃんのビールは美味いんですから…おおきに。織田さんもどうぞ⋯」
「ありがとうございます。頂きますね⋯」
「ほな、かんぱーい!」
「乾杯⋯」
そうして、俺は安達さんから奢ってもらったビールを乾杯して同点祝いの1杯を飲む。しかし、彼が言ってた通りにここのビールは美味かった⋯あんなが小さい時というか俺が大学生の時も確かにまことみらいスタジアムで野球観戦はしてたけども、その時は売り子さんのビールを頼むという発想がそもそもなかったのだ。そんなこんなで攻撃が同点で終わると、俺がサインを書いた後に彼は自分の席へと戻るのだった⋯でも、安達さんは何やかんやで関西のおじさんの良いところが詰まった人だということがはっきり分かる。俺は和歌山ではあるけども、同じ関西ということで親近感が湧いたのは言うまでもない。
「⋯」
「どうしたの、るるかちゃん⋯さっきから俺の方を見てるけど?」
3回の裏のベイスターズの攻撃になり自分の席に座ると、るるかちゃんが俺の方をじっと見てくる。こうして見られると照れるのだが⋯
「その⋯さっき、織田さんがビールを美味しそうに飲んでたところを見ててかっこいいと思って。」
「そうかな?俺としてもただ普通にビールを飲んだだけだけど、ありがとう⋯」
るるかちゃんはどうやら俺がビールを飲んでいたところに惚れたようで、それを知り俺もちょっぴり嬉しいやら恥ずかしいやら⋯複雑な感じになる。とりあえず、俺のことをこうして好きになってくれたのは嬉しい限りのことだ⋯告白に向けてのアピールはますます前進していくばかりである。
「るるかちゃんもいつかはビールを飲める年頃になれると思うよ。だから、もしも⋯その時まで縁があったら、俺と一緒に飲んでほしいな。」
「織田さん⋯」
「ノブお兄ちゃん見て、1アウト1塁3塁だよ!」
そんな感じで良いムードでいると、あんなが俺の肩を叩いては試合を観るように促す。どうやら話をしていた間に1番の岩井(いわい)さんが3塁、2番の秋(あき)さんがヒットエンドランで1塁3塁を作ったようだ⋯そして打順は前年まで2年連続首位打者の芒木(すすき)さんに回る。
『3番レフト、芒木尚徳(すすきたかのり)。』
芒木さんは左バッターボックスに立つとチャンスの場面なのか応援の声がより一層大きくなるばかり⋯まあ、この年のベイスターズ打線、通称『マシンガン打線』は日本一の前年よりも完成形だ。きっと点は入るはず!
「あんな、良いムードなんだから邪魔しないの。」
「だって、ベイスターズが得点のチャンスだもん。応援しないと⋯かっとばせ〜、尚徳!」
そんなこんなであんなは誰よりも野球観戦を心から楽しむ。彼女はやはり根っからのまことみらいっ子だからいつもテレビの前でもベイスターズを応援したりしている。これは将来有望なファンになりそうだな⋯
「打った!」
「やった、抜けたよ!」
「これ、秋選手まで帰れそうじゃない?」
「よっしゃ、2点勝ち越しタイムリー3ベースだ!ナイス、芒木!!」
芒木さんが矢部さんから放たれた甘めのカーブを振り抜くと、打球は前進守備のセンターを越えてフェンスに直撃。岩井さんは余裕でホームインして秋さんまで帰ってきて3-1、バッターランナーの芒木さんも3塁に到達で2点タイムリー3ベース!試合は見事にひっくり返った。ライトスタンドからは得点テーマの球団歌が響く。
「凄い⋯」
「どうかな、るるかちゃん⋯試合の興奮、球場の一体感。これだから野球観戦って面白いんだよ!本当に今日は誘ってくれてありがとう。るるかちゃんも楽しんでる?」
「うん。初めて野球を球場で見たけど、凄い迫力だし試合も楽しい!織田さんと一緒だからというのもあるけど、胸の奥が熱くなる⋯」
「そうか。でも、ベイスターズの攻撃はまだまだ終わらないからね?さらに胸を焼かれてもらうよ!」
そこからベイスターズは怒涛の猛攻が続く。ロース、狛田(こまだ)さん、斉木(さいき)さん、田野繁(たのしげ)さんと4~7番まで4連打!これが平成史上最強打線と言われるマシンガン打線の真髄だ。一度打ち出したら止まらない⋯まさにまことみらいベイスターズの魅力が詰まっているのだ。
『8番サード、市道(しどう)。』
「よし、市道選手も続いて!」
「きゃああああああ!?」
あんなのテンションがますます上がっていこうとしたその時、突如俺達の後ろから女性の叫び声が聞こえる。何事かと思い、俺はその席へと向かいみんなも後ろに続く。
「どうされましたか⋯なっ!?」
「どうしたの、ノブお兄ちゃん⋯って嘘!?」
「遺体!?」
「⋯」
俺が真っ先に現場に着くと、何と叫んでいたと思われる女性の隣の席と思われる中年男性が何者かによって殺されていた。しかもナイフが胸に刺さっていて、ズボンのポケットも左の方が何か抜かれるのか内側の部分が外に出ている⋯これは強盗殺人なのだろうか?
「おーい、美佐!どうしたんだ⋯って、えっ?お前⋯まさか?」
「違うの、私は殺してない!私がトイレから戻ってきたらこのおじさんが⋯」
「何の騒ぎや⋯って、徳原さん!?」
そんな中で第一発見者の女性の夫と思われる人物と被害者の知り合いと思われる阪〇の帽子を被った30代ぐらいの男性がやって来てはパニックに陥る。それを見た周りのお客さんもそれを見てはどよめく⋯これはまずい事態だ。
「とりあえず、皆さん⋯落ち着いてください。ビールのお姉さん、球場のスタッフに警察に通報するようお願いできますか?」
「分かりました!」
「るるかちゃんはジェット先輩と一緒にこれから来る警察の指示に従って外に出るんだ⋯とりあえず、俺達と警察でここは何とかするから。」
「私も手伝う、織田さんの力になりたい。」
「でも⋯」
「私、織田さんの為に何かしたいの!それにこの事件⋯犯人がここに絡んでる人達の中にいるのは確かだから。お願い、手伝わせて?」
「るるかちゃん⋯」
「師匠、ここはるるかさんを信じましょう。これだけの自信があるってことはきっと力になれるはずです!」
「ジェット先輩、それで良いかな?」
「僕は構わない。ただ、殺人事件だけに犯人に襲われないようにるるかのことは守ってやれよ?信義⋯」
「分かってる。とりあえず、まずは鑑識と警察が来るまでは待機だ⋯遺体には絶対触るなよ?」
「うん。」
「はい!」
「ええ⋯」
こうして俺達は警察と鑑識の到着を待ってから推理を始めることに⋯試合に関してはもちろん警察とかが来る事態になったので中止でノーゲームになったのは言うまでもない。しかし、今回の事件がまさかこれからのことに大いなる影響を与えるものになるとは⋯まだこの時は知るよしもなかった。
安達康(あだちやすし)
(脳内)CV:津田健次郎
身長:178cm
体重:56kg
誕生日:6月11日
年齢:満76歳(当時47歳)
日常スポーツのまことみらい支社の支社長兼記者でたこ焼きのピックが盗まれた事件の時に事件解決のきっかけを作った。根っからの阪〇ファンで本社勤務時代はチームの番記者も務めたほどの敏腕記者である。
いかがでしたか?今回のデートに向けて信義もるるかちゃんもお洒落をしましたけど、何やらあんなちゃん達も同じ試合のチケットでしかも隣同士ということもあって一緒に連れて行くことに⋯るるかちゃんもちょうどマコトジュエルがデート場所に現れるとのことなのでニジーから任務を横取りしてメイクも決めたりしました。
そんなデートですけど、野球観戦を楽しみながらあんなちゃん達もるるかちゃんと仲を深めることに⋯その中で記者の安達も出てきますが、この安達も何気にキープレイヤーですが、そんな彼と信義がビールを飲んでるところを見てるるかちゃんはますます好きになるという。しかし、その中で殺人事件が発生⋯しかも何か盗まれてそうで強盗殺人かという流れ。容疑者は第一発見者の女性かその夫と思われる人物か、はたまた⋯るるかちゃんも交えての推理から次回は始まります。
ちなみに、今回は結構野球の知識とかを要する場面とか結構ありましたけども大丈夫でしたか?結構趣味を出してしまいましたけど、きちんと恋愛要素も出していくので楽しみにしていてください!僕の作品は自分で分析すると信義とるるかちゃんがラブラブしてる回が伸びやすいのでね。後編も期待しててください!
それでは、感想、高評価、お気に入り登録をして後編もお楽しみに。