名探偵プリキュア! -銀の正義と黒の秘密-   作:寿垣遥生

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遥生です。こちらも2話をやっと投稿できますけど、原作の方は今日が3話目になりますね。あらすじとか先行カットがもう出てますけど、ついに話題のアルカナ・シャドウことるるかちゃんが登場する見込みです。ただ、変身はしなさそうですね⋯るるかちゃんの姿で出てましたし。あと、みくるちゃんが寮を抜けるというあらすじもありましたから⋯どうなるのかは本編を見なきゃ分かりません。朝8時半に答え合わせですね!

そんなこっちは1話分の後半戦、一見すればマコトミライタウンながらも何かがおかしい世界にやって来た信義とあんなちゃん⋯ポチタンとドギーに振り回されてどうなることか?そして、いよいよ名探偵プリキュアがサブタイトルにもあるように覚醒します。長くなって10000文字オーバーになりましたけど、最後まで読んでってください!

それでは、後書きにてお会いしましょう。


#2 名探偵プリキュア誕生!

side信義

 

「あんな、大丈夫か?」

 

 とりあえず、みくるちゃんが靴の代金を立て替えた後に街中を探し回ること数分、やっとあんなと彼女に引っ張った妖精と合流する。ドギーと良い勝負で迷惑というか何と言うか⋯あんなのパートナーは赤ちゃん妖精なのが余計にタチが悪い。

 

「うん、大丈夫⋯靴のお金は?」

 

「それなら私が立て替えました⋯」

 

「ありがとう⋯って、ノブお兄ちゃんが払ったんじゃないの?」

 

「実は俺が代金を払おうとしたんだけど、どうも店員さんが北里柴三郎の1000円札を知らなくて⋯」

 

「何を言ってるんですか?1000円札は夏目漱石⋯これは常識ですよ?本当にあなたは警察なんですか?」

 

「いや、本当だけど⋯俺達の街の1000円札は北里柴三郎なんだよ。警察手帳も本物だったでしょ⋯信じてくれるかい?」

 

「みくるちゃん、ノブお兄ちゃんは嘘をついたことがないから信じてあげて?私、嘘つかないから!」

 

 俺が必死に状況を説明してみくるちゃんから偽の警察ではないかと疑われるもあんながそれをフォローする。俺もあんなも自分で言うのもアレだが、嘘をついたことは一度もない。だから、彼女がここまで押してくれたらみくるちゃんも分かってくれるはずだ⋯

 

「そこまで言うなら信じましょう。」

 

「ありがとう⋯しかし、妙な世界だよな。消費税率は5%だし、店員さんなのに今のお札を知らないし、辺りにある家電も形式が古い⋯ドギーは何か心当たりはあるのか?」

 

『分からない、俺は物質転移の力を使ったはずなのだが⋯今と昔が混在してる世界へと飛ばしたのか?いや、そんなはずはない⋯』

 

 俺がドギーにこの世界が変なことを訊ねると、彼は頭を抱えて悩みだす。笑っちゃいけないかもだが、秋田犬の姿をしてこの声で悩むと実にシュールだ⋯でも、笑ってる場合じゃない!元の世界に戻るためにこっちも手を打たないと。

 

「ポチポチ!」

 

「あんなの妖精が何かに反応してるぞ?」

 

「うん。ここって⋯」

 

「結婚式場?」

 

『とりあえず、ここに元の世界に戻るための手がかりがあるかもしれない⋯中に入ろう。』

 

「⋯って、犬のお前が仕切るな!」

 

『俺は犬じゃない、タイムパトロールの日本支部長だ!』

 

「分かった⋯ドギーがそこまで自分の役職を誇ってまで仕切りたいなら従うよ。」

 

 そんなこんなで俺はドギー主導の下であんなの相棒の妖精が指し示した結婚式場に足を踏み入れる。しかし、この施設⋯俺達の知るマコトミライタウンにもあるんだよな。それと比べれば施設の外観は俺とあんなが知るもの以上に綺麗である。

 

「ない、どこに行ったの?」

 

「幸野さん、ありがとうございます。」

 

 施設の中に入ると、幸野という名の施設の女性スタッフが何かを探していてそんなタイミングにここで結婚式を行うであろう花嫁さんが声をかける。

 

「「花嫁さんだ〜!」」

 

(花嫁、か⋯)

 

『お前ももうええ歳なんやからそろそろ結婚相手とか見つけた方がええで?母さんも孫の顔を見たい言うとったから。』

 

 あんなとみくるちゃんが花嫁さんの姿を見てうっとりする中で俺はさっきの兄貴と通話した時に言われたことを思い出してしまう⋯俺もそろそろ結婚したいし、女性と付き合いたいという気持ち自体もあるのだが母さんから孫ハラされてることがだるいのと刑事としての仕事が忙しすぎて恋をしている余裕がないんだよな。結婚するんだったらやっぱり同僚の方が無難かもしれないが、捜査一課には女性の刑事は少ないどころかみんな年上のおばさんでほとんど既婚だから恋愛対象にならないし、美人の多さならやっばり交通課なのだろうか⋯でも、交通課にはお局がいるもんだから容易に近寄れない。どうすれば良いんだ、俺⋯

 

「ノブお兄ちゃん、ノブお兄ちゃん!」

 

「ああ、ごめん⋯」

 

「もう、しっかりしてよ!」

 

「大丈夫ですか?少し顔色が悪そうでしたけど⋯無理はしないでくださいね?」

 

「ありがとう、大丈夫だよ⋯心配しないで。」

 

 しばらく考え事に耽っていると、あんなから呼ばれてふと我に返る。あんなからは怒られ、みくるちゃんからは心配されて⋯相当俺は兄貴に言われたことを気にしてたんだろうな。とりあえず、今は元の世界に戻るための手がかり集めをしないとだ⋯俺は自分だけじゃなくてあんなの運命も背負っているこの身、従兄の俺がしっかりしないでどうする!

 

「まりさん⋯」

 

「ごめんなさい、もう諦めます。」

 

「でも!」

 

「⋯式に間に合いませんから。」

 

 幸野さんは何かを懸命に探していたものの花嫁さんは諦めるようにと進言した。結婚式をこれから控える中で何をなくしたのだろうか?そう思うと心配な気持ちを抑えられなくなった。でも、今は元の世界に戻るための手がかりを探すことが先決である⋯

 

「たちゅけて⋯」

 

「お前⋯分かった、俺は警察だ。困ってる人はみんな助けないと!」

 

「ノブお兄ちゃん、私も!」

 

『お、おい⋯!』

 

 あんなの相棒の妖精は拙いながらも日本語で『助けて』と俺達に伝える。困っている人を放置なんて警察の俺にできるはずがない。何もしなかったら偉大な警察官でもあった父さんに怒られそうだからな⋯それにあんなも続いた。

 

「あの、すみません⋯警察です。何かお困りごとですか?」

 

「えっと⋯ってそれよりも、ここは結婚式場ですよ?犬を連れて来るのはまずいのでは?」

 

「こいつは秋田犬ですけど、警察犬です。もしも、良かったら僕達も今回のことに協力させていただけませんか?」

 

「私はその助手として来ました!探偵のみくるちゃんも一緒です。ねっ、みくるちゃん?」

 

「ええっ!?」

 

「分かりました、詳しい話は控え室で⋯」

 

 こうして俺が警察手帳を見せて仲間をそれぞれ全員紹介すると、幸野さんや花嫁さんと一緒に控え室の中へと案内される。そして、幸野さんや花嫁さんはその中で発生した事件の詳細を話し出した。

 

「改めまして、私は式場のスタッフの幸野です。」

 

「想田まりです。実は式で着けるティアラがなくなったんです。」

 

「「ええっ!?」」

 

 花嫁の想田さんは俺達にティアラを紛失してしまったことを明かす。これにはあんなとみくるちゃんは声を揃えて驚くばかりである⋯これから結婚式というのに、折角の晴れ舞台なのに。想田さんはかなり落ち込んでいる様子だ。

 

「でも、ティアラは横にありますよね?それって⋯」

 

「1時からの式に間に合うように式場が用意してくれたんです。」

 

「まりさんのと形も大きさも似た物を何とか用意しました。これがまりさんのティアラです⋯」

 

 幸野さんはそう言うと、そのティアラの写真を俺達に見せる。見たところブルーサファイアが飾られていてとても高そうだ⋯代わりに置いてある安そうなティアラとは大違いで価格は見た目だけでもレプリカの5倍ぐらいといったところか。

 

「お母さんも結婚式でこのティアラを着けたんです。私も着けて式を挙げたかったんですが⋯この部屋から消えてて。」

 

「そうですか⋯そのティアラに想田さんか幸野さんは触ったりとかしてませんか?」

 

「いえ、私は⋯」

 

「私はまりさんの担当ではありましたけど、ティアラを出してからは一切触れていません。」

 

「そうですか。失礼ながらもあなた達が不注意でなくしたという疑いもあると思いましたけど、それもないみたいですね⋯」

 

 俺は想田さんと幸野さんそれぞれにティアラに触れてたかを訊ねるも、どうやらなくした前後の時間帯に2人は一切触れてないようだ⋯そうなると過失という線は消えた。そうなると、外部犯による窃盗か?その線が浮上してきた。

 

「突然消えるなんて⋯」

 

「まさか、これが本当の探偵テスト!?」

 

(いや、違うよ⋯みくるちゃん、事件はここで起きてるから。これ、テストどころか実践だからね?)

 

 みくるちゃんはメモを取りながらこれが探偵テストではないかと疑う。しかし、こんな実際の事件がテストだなんてありえるわけがない⋯これは俺の勘が当たってるとすれば外部犯による窃盗事件だ。そんな実際の刑事事件案件がテストのはずがない⋯

 

「絶対に私達が見つけ出します!」

 

「とりあえず、俺は式場にいる想田さんの関係者を呼んでくる。お二人は僕が呼びに行っている間は動かないようにお願いします。」

 

「「はい。」」

 

 こうして、みくるちゃんが探偵テストと思ってるのか強気にティアラを見つけると幸野さんと想田さんに宣言する。そんな俺は別の場所で待機している想田さんの関係者を呼ぶことに⋯

 

「どうしたの、呼び出したりして?」

 

「まりさんを最後にティアラを見てからこの部屋に出入りしたのは織田さんから聞いた話だとあなた方3人⋯この中にティアラを盗った犯人がいます!」

 

 みくるちゃんは力強く集めた3人の前で犯人がこの中にいると高らかに宣告する。俺の見立て通りではあるが、あまりに唐突な話で周りはびっくりだ⋯

 

「まさか、ありえないですよ!」

 

「で、ですよね〜。ちょっと話を聞こうかなぁ⋯って。」

 

「いや、想田さん⋯ありえるんですよ、残念ながら。」

 

「えっ?」

 

「ノブお兄ちゃん、犯人が分かったの?」

 

「いや、この段階では分からない⋯すみませんが、カメラを持ってる方と参列者と思われる方はお名前とご用件を教えてください。幸野さんに関してはアリバイはあるかもしれませんが、念の為にもう一度話して頂けますか?」

 

「僕は宇都見将太です、カメラマンをやっていて今回は花嫁さんを撮りに来ました。」

 

「私はまりの友達の藤井ともかです。まりにお願いがあってこの部屋に来ました。」

 

 2人はそれぞれ名前を名乗ってから部屋に来た目的を話す。カメラマンの宇都見さんと想田さんのご友人の藤井さん⋯この2人は見るからにしては怪しそうな行動とかは見られない。でも、確信もできないんだよな⋯

 

「お願いって?」

 

「ブーケをともかの方に投げてほしいって。」

 

「あっ、ブーケトス!」

 

 あんなが想田さんにお願いの内容を訊ねると、どうやら藤井さんは彼女にブーケトスの時にブーケを投げてほしいとお願いしてきたとのことらしい。しかし、ブーケトスってこういう打ち合わせも背景にあったんだな⋯兄貴や叔母さん(あんなの母親)や同僚の結婚式に参列した中での新たな発見である。

 

「そう、花嫁さんが投げたブーケをキャッチすると幸せをおすそ分けしてもらえるの!ずっと憧れだったんだ〜♪」

 

 そのお願いをした当事者の藤井さんはテンション高めにブーケトスについてを語る。彼女はとてもノリノリで次に自分が結婚したいと言わんばかりのテンションの上がりっぷりだ。

 

「お願いってありなんだ。」

 

「まり、OKって言ってくれたよね?」

 

「ともかが珍しく遅刻をしないで来たから、つい⋯」

 

「なるほど。」

 

「それで、幸野さんは式の準備するために部屋には出入りされてたんですよね?」

 

「はい、そうです。」

 

「みんな、ここに来た時も今と同じ服装でしたか?」

 

「ええ、ティアラを隠せるものは何も⋯」

 

「そうですか。」

 

 幸野さんに質問した俺に続いてあんなは想田さんにみんなが着ている服装が今と同じものなのかを訊ねる。その答えはYESではあったが、盗んだティアラを隠せそうなものは見当たりそうもない⋯でも、あるセリフに2つ引っかかる点がある。

 

『ブーケをともかの方に投げてほしいって⋯』

 

『ともかが"珍しく遅刻しないで"来たから⋯』

 

(この言い方だと藤井さんは遅刻魔ってことか。そんな彼女が時間を守ってまで想田さんを訪れてブーケを投げるようにお願いした⋯でも、そういう考えで本当にやるのか?)

 

「うーん、宇都見さんの帽子には入らないし⋯ともかさんのバッグにも入らない。幸野さんのポーチも入らなさそうだね⋯」

 

「ありがとう⋯もう本当に良いんです。やっぱり、ティアラは諦めます⋯」

 

「そうですか。やっぱり私って⋯名探偵になってみんなを助けたいと思ったのに。」

 

「みくるちゃん⋯」

 

 みくるちゃんは自分が前に出てみんなを犯人扱いしてしまったことを悔やんで落ち込む。それだけ名探偵になりたいという気持ちが強かったんだな⋯あんなはそんな彼女に寄り添ってから背中をさすって励ます。しかし、俺は頭に浮かんだ想田さんのセリフから閃いた⋯ティアラを運べない中で盗める唯一の手段を!

 

「あんな、みくるちゃん⋯俺、犯人分かったぞ!」

 

「ノブお兄ちゃん、本当?」

 

「みんなのバッグとか帽子とかには入らないのにどうやって盗んだんですか?」

 

「いや、ティアラはまだ盗まれてはいない。でも、犯人は結婚式の途中にティアラを盗もうと企てて手段に動いた⋯この一連の会話とか流れを踏まえて犯人は、藤井ともかさん⋯あなただ!」

 

「「ええっ!?」」

 

 俺が藤井さんが犯人であることを告げるとあんなとみくるちゃんは声を揃えて驚き、藤井さんは動揺する。しかし、今回の事件に関しては俺が経験してきた殺人事件とかよりも簡単なトリックだった⋯

 

「イヤだなぁ、刑事さん⋯ティアラはポーチの中に入らなかったでしょう?外に持ち出せるはずがありませんよ。」

 

「ええ、だから外には持ち出してないんです。あなたは珍しく遅刻せずに想田さんの部屋を訪れてブーケを自分に投げてほしいと願い、それで想田さんの知らぬ間にティアラをブーケの中に隠した。ブーケトスの際にティアラを抜き取り盗もうとするために⋯そうですよね、藤井さん?」

 

「ともか、嘘だよね?何とか言ってよ!」

 

「⋯」

 

 俺がティアラを隠し場所のブーケから取り出して真実を突きつけ、その上から想田さんが問い詰めると藤井さんは不気味な笑みを浮かべ無言で拍手をし始める。この人、気でも狂ったのだろうか?

 

「ふふっ、やるじゃない⋯でも、一つだけ大きな間違いをしているよ?」

 

「「「?」」」

 

「僕はともかではないんだ!」

 

 すると、藤井さんはいきなり『ともかではない』と言い出してから服を脱ぎ捨てる。その目の前にいたのは男で薄緑の長い髪にシルクハットを被りタキシードを着てマスクもつけた漫画とかアニメで見かける怪盗と思われる男だった。どうやら彼が藤井さんに変装してティアラを盗もうとしてたらしい⋯

 

「僕はニジー、怪盗団ファントムの⋯怪盗さ♪」

 

「怪盗団⋯ファントム?」

 

「あんた、本物の藤井さんはどうした!?」

 

「それは答えられないね。とにかく、惚れ惚れする変装だったろう?⋯頂くよ。」

 

 そうして、ニジーと名乗る怪盗はこの控え室から逃げ去っていく。しかし、どうして藤井さんをどうにかしてまでティアラを盗もうとしたのだろうか⋯

 

「ノブお兄ちゃん、ティアラが!」

 

「何だと、いつの間に!?」

 

「窓が開いてます!外に逃げたかと⋯」

 

「くそっ、俺が追いかける!お前達はここにいろ!!」

 

「ノブお兄ちゃん!」

 

「織田さん!」

 

 俺はあんなとみくるちゃんを控え室に置いてからドギーを連れてニジーを追いかけようと外に出る。あいつは怪盗だからどんな手を使うのかが分からないからな⋯子供達を巻き込むのは危険と判断して待機させることにした。

 

(いた、ニジー⋯逃がさない!)

 

 外へ出てしばらく探し回っていると逃げるニジーの姿を捉えて彼を追いかける。惑わせて逃げるのは上手いが、純粋な脚力ではこっちの方がやや有利⋯これは捕まえられそうか。

 

「待て、お前を窃盗の容疑で逮捕する!」

 

「やるね、刑事さん。でも、僕は捕まえようとしたらどんな手を使っても逃げるよ?捕まってたまるか。」

 

『お前、頑張れ!あと少しだ!!』

 

「言われなくとも!」

 

「「うわああああ!?」」

 

「えっ?」

 

 すると、空の上を何故かあんなとみくるちゃんが飛んで先回りを仕掛ける。どうやらまたあの妖精が引っ張ってるようだが⋯待機しろという指示を無視したのだろうか?ただ、先回りしたところで着地に成功して逃げ場を塞ぐことには成功した。

 

「あんな、みくるちゃん⋯どうして?」

 

「ごめん⋯どうしてもノブお兄ちゃんが心配で。」

 

「とりあえず、怪盗を足止めに成功しましたね。」

 

「とりあえず、説教は後でだ⋯ニジーも逃げるとか変な真似はするなよ?」

 

「分かってる。いくら怪盗とてそこまで卑怯な真似はしないよ⋯」

 

 俺はひとまず先回りしていたあんなとみくるちゃんと合流してからニジーと向き合う。彼には逃げるなと釘を刺したが、逃げることはなかった⋯そこら辺はやっぱり服装のごとく盗むこと以外の行動はジェントルマンなのだろう。

 

「それにしても、困ったベイビーだね⋯君達は。」

 

「お前、そのティアラを大人しく返せ!それは想田さんがお母さんの代から大事にしてる大事なものだぞ?このまま返せば逮捕はしない⋯さあ、俺に渡せ!」

 

「それはできない相談だよ。マコトジュエルが宿っているんだもの⋯」

 

「「マコトジュエル?」」

 

 俺とあんなは声を揃えて聞き覚えのない単語に反応する。マコトジュエルとは一体何なのか⋯ジュエルってことは宝石なのは間違いないが、飾られてるブルーサファイアとは別の宝石なのだろう。

 

「花嫁がティアラを大切にする想いがマコトジュエルを引き寄せたのさ!」

 

 ニジーはティアラからブルーサファイアとは別のミントカラーの宝石らしきものを取り出す。この宝石⋯ドギーが持ち去っていたのと色は違えども形というかそんなのが似ている気がする。そうだとしたら、俺が今持っている宝石もマコトジュエルなのだろうか?

 

「このジュエルを頂くのが僕達の目的。そうだ、ティアラの代わりに素敵なショーをお見せするよ⋯嘘よ覆え、出でよハンニンダー!」

 

「ハンニンダー!」

 

 ニジーがティアラにバラを刺すとマコトジュエルが黒く染まってティアラが怪物化してしまう。ハンニンダーか⋯こんなのが街に出たら大惨事は不可避だ。

 

「ファントムが開発したハンニンダーさ⋯さあ、ショータイムだよ。ベイベー!」

 

「ハンニンダー!」

 

 ハンニンダーはニジーの指示を聞き、攻撃を仕掛けて林を切り裂く。木は倒れてこれが直撃してたらと思うと恐怖しか感じない⋯人が食らったら即死だぞ!?

 

「ハンニンダー!」

 

「2人とも、危ない⋯があっ!?」

 

 立て続けにハンニンダーが襲いかかってきて2人を守ろうと前に出たところで俺はハンニンダーに捕まってしまう。ニジーを逮捕するつもりが皮肉にも自分が捕まってしまうとは⋯

 

「ノブお兄ちゃん!」

 

「織田さん!」

 

「どうするのかい、僕を見逃したらこの刑事さんは解放してあげるよ?さあ⋯それでも僕を捕まえようとするつもりかな?」

 

「ノブお兄ちゃんとティアラとマコトジュエルを返して!みくるちゃんもほら⋯探偵なんでしょ?何とかしないと!」

 

「何とかって⋯」

 

 あんなは俺も含めて全てを取り返そうと強気の姿勢を見せるも、隣のみくるちゃんは内股になって身体が震えて表情からも怯えが見えている⋯それもそうだ、いくら探偵でも怪物相手には恐怖のあまりに動けない。

 

「ふっ⋯さあ、探偵ごっこはおしまいだよ?怯える瞳が全てを物語っている。君は探偵じゃない⋯探偵気取りの真っ赤な偽者だ。」

 

「⋯」

 

「そんなことはない!」

 

「!?」

 

「俺はみくるちゃんが名探偵になりたいという気持ちで捜査に臨んでいたところを見てきた⋯そして、名探偵になってみんなを助けたい気持ちがあるのも見てきた。だからこそ分かるんだよ、この子は名探偵になるんだって⋯その気持ちで臨んでいる探偵はみんな本物だ!」

 

「織田さん⋯」

 

「名探偵?流石にありえないよ⋯刑事の君も見る目がないね。やってしまって⋯」

 

「ぐっ、ううっ!!」

 

「ノブお兄ちゃん!?」

 

 俺がみくるちゃんの名探偵になりたい気持ちを踏みにじるニジーにそれを伝えるも彼には響かず⋯ハンニンダーはニジーの言うがままに俺を締め潰そうとする。あまりの力に俺は内蔵ごとバラバラになってしまいそうだ⋯それだけ痛い。

 

「もうやめて!それ以上ノブお兄ちゃんも何もかもを痛めつけるのは私が許さない!!」

 

「強がっているけど、君も本当は怖いんだろう?」

 

「そうだよ、怖い⋯怖いけど、ティアラもノブお兄ちゃんも取り返したい!困ってるまりさんを私も助けたい、みくるちゃんと一緒に!!」

 

「⋯」

 

「みくるちゃん。」

 

 すると、みくるちゃんはあんなに対して手を差し伸べる。大きな怪物を前に1人だと怖いかもしれない⋯でも、2人ならその怖さは分け合える。みくるちゃんからも恐怖の気持ちは消えたことだろう⋯

 

「一歩の勇気が⋯」

 

「答えになる!」

 

「「私達で取り返す!」」

 

 あんなとみくるちゃんが手を握り決意を固めると、突如として光が生まれたかと思ったら2人分のブローチが出てきた。しかもみくるちゃんのもあんなとお揃い⋯これがこの2人の見つけ出した答えなのだろう。

 

「私のと⋯」

 

「同じ?」

 

「ぷぃきゅあ〜!」

 

「ぐっ⋯」

 

 すると、あんなとみくるちゃんのブローチが光り出しては妖精が叫ぶと辺りが光に包まれる。この2人の身に何が起きてるのだろうか?

 

『まさか、この時代にも⋯!?』

 

 そして、光が消えると目の前に空間が展開されて髪を下ろしたあんなとみくるちゃんの服が光のドレス姿になり、ブローチが時計のようなアイテムに変わる。

 

「「オープン⋯ジュエルキュアウォッチ!」」

 

 2人は時計らしきアイテムの下部分に時計と共に手にしたハートの宝石をセットする。あんなは紫色でみくるちゃんのはピンク色だ。

 

「「プリキュア・ウェイクアップタイム!3!」」

 

「見つける!」

 

 2人が呪文を唱えると、時計の長針を3に合わせて回していく。針を回してまた頂点に戻るとあんなの髪は紫に、みくるちゃんの髪はより濃いピンク色(紫のグラデーションあり)へと変わり髪型もそれぞれ変わる。

 

「「6!」」

 

「向き合う!」

 

 次に長針を6に合わせて回し、また頂点に戻ると今度は2人の衣服が生成されていく。ミニスカートのドレスへと変わり、同時に瞳の色もあんなはミントグリーンよりもさらに青みの強い色になり、みくるちゃんは黄緑から紫色に変わる。

 

「「9!奇跡の2人!」」

 

 さらに長針を9に回すと今度はブーツやニーハイが生成されると共にオープンフィンガーグローブを装着してあんなは紫、みくるちゃんはピンクのネイルで彩る。

 

「くるっと回して⋯」

 

「キュートに決めるよ!」

 

 ここまで来て長針を11に回せば変身も総仕上げ。髪飾り、耳飾りが生成されて蝶ネクタイのような胸のリボンと肩口の装飾も飾り、ジュエルキュアウォッチというアイテムも腰のキャリーに収まって変身は完了した。

 

「どんな謎でもはなまる解決!名探偵キュアアンサー!」

 

「重ねた推理で笑顔にジャンプ!名探偵キュアミスティック!」

 

「「名探偵プリキュア!」」

 

「私の答え、見せてあげる!」

 

 そして、2人は名乗りまで決めるのだった。名探偵プリキュア⋯ウチの従妹がまさかアニメのような展開で変身してしまうなんて。しかし、あのブローチというか時計⋯どこで手に入れたんだ?何故、みくるちゃんとお揃いだったのか⋯

 

「私達が⋯名探偵、プリキュア?」

 

「私がなりたかった名探偵プリキュア!」

 

「ええっ!?」

 

(まさか、本当にみくるちゃんが名探偵になってしまうとは⋯しかもあんなまで。こりゃあ驚いた⋯)

 

『まさか、この時代に名探偵プリキュアがいたとはな⋯しかし、ここで名探偵プリキュアが出てくる過去は見えなかった。まさか、時空のねじれが起きてるのか⋯?』

 

「プリキュア⋯やつとは違う新手か?でも、いきなり変身した君達がどうしようと何も変わらないよ⋯ハンニンダー!」

 

「ハンニンダー!」

 

「「はあああああっ!」」

 

 ドギーが何やら危機感を覚える中でハンニンダーが空いた右手で殴りかかると、あんなとみくるちゃんはキックで対抗してハンニンダーは吹き飛ばされて俺もすっぽ抜けていく。

 

「うわあああああ!?」

 

「よっと⋯ノブお兄ちゃん、大丈夫?」

 

 そんな宙を浮いていたところをキュアアンサーに変身したあんなが助ける。しかも俺が従妹からお姫様抱っこされる日が来るとは⋯小さな身体ながらもなかなかの力持ちだ。

 

「あんな⋯まさか、従妹のお前に助けられるとはな。お兄ちゃん、誇らしいぜ?」

 

「えへへ⋯ノブお兄ちゃんは安全なところに逃げて。私達で何とかするから!」

 

『こっちだ!』

 

「ポチ!」

 

「お、おう⋯」

 

 地面に降りると、ドギーとあんなの妖精に導かれて俺は安全な場所へと避難して2人を見守る。名探偵というかプリキュアがいかに強いかを改めて見させてもらうことにした。

 

「ハンニンダー!」

 

「「ぐっ!」」

 

 ハンニンダーは猛烈な勢いで体当たりを浴びせようとするもそれをあんなとみくるちゃんは踏ん張って受け止める。あの巨体にも屈しない名探偵プリキュア⋯強すぎだろ!?

 

「「はあああああ!!」」

 

 そのままの勢いで2人はハンニンダーを回し蹴りで遠くへと飛ばしていく。ただ、これでも相手はノックアウトしない⋯なかなか一筋縄にはいかないか。

 

「その程度では倒せないよ!」

 

「ハンニンダー!」

 

「一歩の勇気が⋯」

 

「答えになる!」

 

「「これが私達の⋯アンサーだぁ!!」」

 

 あんなとみくるちゃんは時計の長針を11に回してから構え、相手に体当たりを食らわせる。食らったハンニンダーを貫き、ハンニンダーの動きは固まった。

 

「「キュアっと解決!」」

 

「ハン⋯ニン⋯ダー⋯」

 

 2人が技を決めると、ハンニンダーは浄化されて消滅していく。そして、ティアラとマコトジュエルは無事にあんなの手元に戻ってくるのだった⋯そこで俺はまた出てきてからニジーを逮捕しようと動く。

 

「ニジー、お前を窃盗の容疑で逮捕する!」

 

「くっ、今日は幕を下ろしておこう!」

 

 俺が手錠を出してあと少しで捕まえれるというところでニジーは煙玉を叩きつけてからその隙に退却する。どうやら逃げられてしまった⋯くそっ、逮捕まであと少しだったのに。

 

「いなくなった!?」

 

「逃がしたか⋯でも、ティアラとマコトジュエルは取り返した。よくやったな、あんな、みくるちゃん⋯いや、キュアアンサー、キュアミスティック!」

 

「えへへ、それほどでも♪」

 

「とりあえず、ティアラはまりさんに届けましょうか⋯」

 

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

 それから俺達はティアラを想田さんに返却してから陰で結婚式を見守る。彼女も新郎さんもとても幸せそうな表情だ⋯この2人の結婚生活が幸せになってほしいとチャペルの音に乗せて祈るばかりである。(ちなみに2人はまだ変身を解除していない)

 

「良かった⋯式に間に合って。」

 

「お二人とも、ありがとうございました!特に織田さんには感謝しています。私が答えを出せなかった中で先に謎を解いてくれて⋯名探偵プリキュアにはなれましたけど、本当の名探偵になるにはまだまだ修行不足です。」

 

「気にすんなって。俺も君ぐらいの時は謎すら解けなかった一般中学生だったしな⋯探偵としての努力を積めばきっと本当の名探偵になれる日は来るよ。頑張れ、みくるちゃん!」

 

「ありがとうございます。その⋯織田さんのこと、師匠と呼んでも良いですか?」

 

「まあ、別に良いよ⋯ちょっと照臭いけどな。俺もお前のことをみくるって呼んでも良いか?」

 

「はい、何なりと。師匠⋯これからも推理の御指南よろしくお願いいたします!」

 

「ああ。また会った時は修行してやるから覚悟しろよ⋯みくる。」

 

 俺はみくると握手を交わす。こうして俺には新しく弟子ができた⋯まさか後輩刑事よりも先に中学生探偵の女の子が俺の弟子になるとはな。とりあえず、俺の推理のノウハウを若い世代に伝えて彼女を名探偵に育てる⋯俺のやるべきことが1つ増えたのだった。

 

「あっ、怪盗!」

 

「いや、あれは本物の藤井さんだよ⋯あんなは疑いすぎだぞ?探偵や刑事は疑いすぎだと冤罪を下手したら生みかねないからな。今後も名探偵プリキュアとして探偵をやっていくのなら気をつけろ?」

 

「ごめんなさい⋯」

 

 あんなは本物の藤井さんを見て怪盗かと疑うも俺は疑いすぎないように彼女を優しく諭す。そして、約束通りか花嫁の想田さんは藤井さんにブーケを投げてそれをキャッチした⋯藤井さんも結婚できたら良いな。

 

「あっ、そうだ⋯今日はあんなの誕生日パーティーだ!俺も事件の捜査をしないと⋯とりあえず、あんなを家まで送るよ。」

 

「ありがとう、ノブお兄ちゃん。」

 

「あの⋯プリキュアになれたってことはテスト合格ですよね?1999年4月、とうとう私もキュアット探偵事務所の名探偵になったんだぁ!」

 

「「1999年?」」

 

 すると、みくるは名探偵プリキュアになれたことを喜ぶ中でとんでもないことを口にする。1999年、それって俺が産まれた年じゃないのか?しかし、4月となると俺はまだ産まれていない⋯何を言ってるんだ?

 

「みくる、なに訳の分からないことを言ってるんだ?今日は2027年1月24日だろ。」

 

「ポチ?」

 

「いやいや、今日は1999年4月2日春です!ほら⋯」

 

 俺とあんなはみくるの指差す方を確認する。そこには何と満開の桜が咲いていた⋯なるほど、どうりで1月にしては暑いわけだ。しかし、まさかの出来事に俺は頭の中が真っ白だ⋯そうとなると、ここはその当時のマコトミライタウンってことか!

 

『まさか、こんなことが⋯嘘だろ?』

 

「「俺(私)、タイムスリップしちゃった(の)〜!?」」

 

「おい、何を騒いでるんだ?」

 

「「「⋯?」」」

 

 俺とあんながタイムスリップしてしまったことを知りパニックになっていると、偶然通りかかったお巡りさんが俺達の前にやって来る。しかし、この人⋯どこかで見覚えがあるような気が。

 

「とりあえず、派手なお嬢ちゃん達はともかくとして⋯そこのスーツの兄ちゃん、ちょっとウチの派出所に来てもらおうか。」

 

 そう言ってお巡りさんは警察手帳を取り出して俺達の前に見せる。そこに書かれてあったのは『内岩純志』、俺の目の前にいたのは1999年当時であろうお巡りさん時代の内岩一課長だった。どうなる、俺⋯!?




いかがでしたか?今回はあんなちゃんとみくるちゃんがそれぞれキュアアンサーとキュアミスティックに覚醒して変身しました。ティアラや信義を守りたいという強い気持ちが起こした奇跡で⋯みくるちゃんの名探偵になりたい気持ちもリンクして2人を繋ぎましたよ。その中で事件の方はほぼ全部信義が持っていきましたけど、流石は色んなトリックの事件を経験している刑事だけに綺麗に解決させ、マコトジュエルやティアラの奪還は名探偵プリキュアの2人がやってのけるというね。最高のトリオですよ!しかし、信義がドギーから奪った宝石⋯これがマコトジュエルに似てると思われてますけど、果たして正体は?あと、信義がどういう立ち位置になるのか⋯今のところは謎多いですけど、『銀の正義』の意味はいずれ分かります。まだ秘密ですのでね⋯じっくり信義の動向を見守ってください。

それで、タイムスリップしたことを知ると共に信義は警察に連行⋯しかも連れて行くのがお巡りさん時代の内岩一課長。何をしたのかは1話を参照すれば分かるでしょうけど、彼はいきなり絶体絶命の危機に陥ります。果たして、信義の運命は!?

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