そんな今回からは9話分をお届けします。しるくさんが初登場する回ですね!高校生ながらも人気女優である彼女⋯信義と接触することになるのですが、どんなことが起きるのか?そして、それを知った彼女になりたてのるるかちゃんはどう思うのか?そこを楽しみにしていてください。
あと、今日は原作の19話の放送日ですけども昨日はコナン側でのコラボ回がありましたね!皆さんはご覧になりましたか?コナン側でも違和感のないような話になってましたよね。まあ、結局はキュアアンサー単独で出てたもののそれがキッドだったというオチでしたけども⋯あんなちゃんの方が本物だったかは不明ですけどね。おまけではそれを見た上でなら楽しめる話を用意したのでまだ観てない方はTVerとかで先にご覧になることを推奨いたします。
それでは、また後書きにて⋯
side信義
「未来から来た犯罪者、ジャック⋯やつがマコトジュエルの為に今回の殺人事件を起こしたんだな?」
家に帰ってから安静にしているあんなを除いた俺達はリビングに集まり、今日の事件のことをジェット先輩やドギーに報告する。それを聞いたジェット先輩は神妙な表情で確認を取った。
「ああ。でも、マコトジュエルは取り返したよ⋯しかし、やつは前からマコトジュエルを探す為にここを拠点として暗躍している。つまり、ここら辺で起きた過去の事件にも関与している可能性もありそうだ。ドギー、お前はジャックについて何か知ってるのか?あいつはお前のことを知ってそうだったが⋯」
『知ってるも何もやつは俺の住む時代では国際指名手配犯だ。俺はあいつを追ってた時にジャックから攻撃され、一度死んでジュエルキュアライセンスフォンも壊れた⋯それで俺はこのように秋田犬の死骸を器として失ったマコトジュエルを探して見つけ、信義と会って今に至るんだ。』
「つまり、お前をプリキュアに変身できなくしたのはジャックってわけだな⋯そのジャックはお前の人間の身体、遺体のありかを知ってるのか?」
『恐らくは知らないだろう。あいつは人を殺してマコトジュエルなり何なり目的の品を盗めば遺体には用なしだからな⋯ジャックが1999年を出て元の時代に帰省しようとしてそれを俺が追跡した時に俺のタイムマシンに攻撃を仕掛け、俺のタイムマシンは壊れて2027年で死んだ。それからの動向については一切把握していない⋯ただ、これに関しては潜伏先のこの時代に部下を1人ここの県警本部に派遣している。そいつがジャックについてを調べて追いかけているのだが⋯』
ドギーは自分とジャックの間に起きたことは現在の状況についてを話す。県警本部に部下を派遣してるとなると、もしかすると俺も一度はその人と会っている可能性があるだろう⋯それらしい人と接触すればジャックについての詳しいことが分かるかもしれない。
『シルクのような口どけ⋯あーん。私はこれ、シルキーアイス♪』
すると、さっきからつけっぱなしにしたテレビからこの時代で1番売れていたシルキーアイスのCMが流れる。しかもそのCMに出てるのは人気女優の家入しるくさん⋯俺が子供の時に素敵だと思ってた女優さんではあるが、その時よりも若い彼女は可愛さも兼ね備えていた。俺が知る時が20代前半だったから恐らく高校生ぐらいの時のしるくさんだろう⋯って、こんなことを考えてる場合じゃない!
「みくる、今は大事な話をしてるんだ⋯テレビを消してくれ。」
「すみません、消すのを忘れてました⋯」
みくるは俺に言われてやっとテレビを消し忘れていたことに気づいてからテレビを消す。本当にみくるはたまにうっかりなところがあるんだよな⋯
「あの⋯突然ですけど、師匠は家入しるくさんのことが好きなんですか?前にドラマを観た時にかなり夢中になってたんですけど⋯」
「当然だ。何しろ、俺が子供の時に好きな女優がしるくさんだったんだよ⋯昔からの憧れだからな。」
「そうなんですね⋯彼女のるるかさんと比較したらどっちがお好きなんですか?」
「それは⋯いや、どっちも好きだけど好きの方向が違うから比べられないよ。」
「そうなんですね。しかし、これだけ人気の女優となるとあんなや師匠のいる時代ではどうなってるのかなぁ⋯きっとハリウッドとかに進出してたりとか?」
「いや、しるくさんはハリウッドとかに進出することなく30になった時に資産家と結婚したことで女優業を引退して一般人に戻ったよ⋯それからのことは詳細不明で週刊誌とかがたまに憶測で現在の私生活と称して記事を出してるけど、どれも隠し撮りでソースが不明確なんだよな。本当の彼女はどこで何をしてるんだろうか⋯」
「お前ら⋯話が逸れてるぞ。」
「ごめん。じゃあ、話を戻して⋯」
しるくさんの話をみくるとしていると、ジェット先輩から指摘されて話題を元に戻そうとした。そんなタイミングで俺のジュエルキュアライセンスフォンが鳴り出す⋯こんな時に誰なんだ?
「ちょっと待っててくれ、着信が来てるから通話してくる。」
『信義!⋯やれやれ、マイペースなやつだ。』
「どうせ恋人のるるかだろう⋯まあ、幸せそうだよな。」
ドギーとジェット先輩は嫌味半分で俺のことをからかう。まあ、かけてくる相手は時間帯的に薫風さんかるるかちゃんの二択ってところか⋯ひとまず、外に出てから通話ボタンを押した。
「もしもし?」
『織田さん、夜分遅くに申し訳ありません⋯薫風です。』
「薫風さん!こんばんは⋯どうしましたか?」
『実は警備部警護課からあなたに依頼が来てまして⋯明日ですけど、ご依頼とかはありますか?』
「いえ、僕は特に何もないですよ?警備部警護課ってことはSPからですね。そこが僕に何か御用なんですか?」
『詳しいですね。実は警備部が明日、総理大臣及び来日されるアメリカの大統領の護衛の為に総動員なんですよ⋯そこで私とあなたで明日ロケの収録がある女優の家入しるくさんの護衛をしてほしいとお願いされまして。引き受けてくださいますか?』
「しるくさん!?もちろん、引き受けますよ!僕、彼女にずっと前から憧れてましたから⋯警備部の方にもそうお伝えください。」
『分かりました、後でお返事についてお伝えしますね。』
「よろしくお願いいたします。それにしても⋯薫風さんも護衛に回されるなんて。下っ端は大変ですね⋯」
『ええ。捜査一課というか県警本部に働いてる中でも新人なので⋯いざという時に私が頼られるんでしょうね。まあ、悪い気はしませんけど⋯』
「とりあえず、ロケ地とかは分かってますか?」
『ロケ地はまことみらい学園ですね。なので、そこに集合してもらえればと思います⋯集合は7時50分ですのでお間違えのないようにお願いしますね?』
「分かりました、当日はどうぞよろしくお願いします。それでは⋯」
『はい、おやすみなさい。』
そうして俺は薫風さんとの通話を切る。しるくさんの警護か⋯好きな女優さんと話せる機会が思わぬ形で舞い降りるとはな。あと、薫風さんもいることだしついでにジャックについて知ってることとかあったら聞きたいものである。
(そうだ、ついでにるるかちゃんに通話してみよう!連絡先も入れてることだし。)
そして、俺はついでではあるが先ほど携帯をプレゼントしたるるかちゃんに電話を繋ぐ。折角付き合うことになったのだから彼女の声を聞かないとな!
『もしもし?』
「るるかちゃん、こんばんは。今日はありがとね!」
『織田さん⋯早速かけてくれたの?嬉しい。私、ちょうど寝る準備をしてたところだったから織田さんの声を聞きたいと思ってたの。』
「それなら良かった。今日のデートは楽しかったかな?」
『もちろん。織田さんと一緒に過ごせる時間はいつでも楽しいから⋯また誘ってくれる?』
「また今度の休みの日にね。それはそうと⋯俺、ある凄い仕事を引き受けることになったんだよ!」
『どういうお仕事なの?』
「女優の家入しるくさんの護衛だよ。警察の警備部から依頼されてね⋯るるかちゃんはしるくさんのこと、知ってる?」
『シルキーアイスの宣伝をしてる女優さんでしょう?知ってるわ⋯その人、美人さんでスタイル良いよね?私と違って⋯』
「まあ、確かにそうだけど⋯るるかちゃんだって素敵な子だよ。年相応で可愛い子だと俺は思ってるけどね⋯もしかして嫉妬?」
『バカ⋯本当に織田さんはずるい。とにかく、浮気はダメだから⋯女優さんが相手でも私のことを忘れないでね?』
「分かってるよ。本当に可愛いな⋯るるかちゃんは♪」
『うるさい⋯とにかく、お仕事頑張ってね?おやすみなさい。』
「おやすみ、るるかちゃん。」
そうしてるるかちゃんは俺にエールを送ってから通話を切った。彼女もしるくさんを引き合いに出したら嫉妬するもんなんだな⋯本当に可愛い子である。あくまでもしるくさんは憧れの女優ではあるが、彼女がるるかちゃんであることは絶対に忘れないつもりだ⋯そこら辺は安心してくれたら嬉しいところである。
「ここにいたか、信義⋯話し合いは止まってるんだぞ?話は済んだのか?」
「ああ、問題ない⋯とりあえず、会議を再開しようか。」
そうして、俺は呼びに来たジェット先輩を連れてまたリビングに戻りジャックのことを話し合うことに⋯彼は下手したらファントムの複数の怪盗よりも単独ですら怖く感じる。とりあえず、やつを止めないとな⋯結局、俺達は22時近くまで話し合うのだった。
side out
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sideみくる
「シルクのような口どけ⋯あーん。私はこれ、シルキーアイス♪」
翌日、朝のホームルームが始まる前のこと⋯教室にてクラスメイトと話をしてるとあんながしるくさんのCMの真似をする。本当にあんなってモノマネが上手いというかかなりしるくさんの特徴を捉えていて凄い⋯こういう観察眼は従兄でもある師匠譲りではないだろうか?
「アハハハハ、似てるぅ!」
「ポチポチ〜♪」
「ポチ?」
「「⋯!?」」
ゆみがあんなを褒めたその時、ポチタンまでもが反応する。これにゆみはポチタンを見て驚くも私とあんなで必死に誤魔化そうとした⋯本当にポチタンは好奇心のままに反応する赤ちゃんだからとにかく大変である。
「ポチポチ、アイスよね!?」
「ポチ⋯そんなアイスあったっけ?」
「まあ、そうにしてもさっきの明智さん⋯家入しるくの完コピで可愛かったよな。憲司もそう思うだろ?」
「う、うん⋯素敵だよ。」
クラスメイトの男の子である渡辺喜人(わたなべよしと)くんもあんなのことを褒めると、彼の親友である泉憲司(いずみけんじ)くんに話を振る。彼はあんなの顔をちらっと見てから顔を赤くしながらも素敵だと褒めた⋯泉くんは前からだけど、あんなのことを少し意識しているようで師匠にとってのるるかさんと同じなのか恋をしているようにも見える。でも、彼女が未来から来たと知っていつか帰る時が来てしまうと考えると⋯ちょっとドラマのような恋をしてるなと感じてしまう。
「それにしても、家入しるくって凄く可愛いよね!私、大好き♪」
「私も私も!この前、みくるとノブお兄ちゃんと一緒にしるくさんの出てるドラマ観たんだ。1999年にも素敵な俳優さんがいるんだねぇ⋯しかも、ノブお兄ちゃんの憧れの女優さん。私もすっかりファンになっちゃったよ♪」
あんなはしるくさんに対して思うことをゆみやみんなに伝える。本当に師匠を通して彼女もしるくさんの魅力が伝わったのは何よりだけど、ちょっと言い回しが未来から来たことを明かしているように聞こえたのは気のせいだろうか?
「みんな、大変⋯事件だよ!」
「「事件!?」」
「い、い、いえ、いりりりりり⋯」
「りえ、落ち着いて。」
急に飛んで来たりえは事件が起きたことを私達に伝えようとする。しかし、あまりのパニックでなかなか上手く伝えられない⋯何が起きたのかはひとまずその現場に向かってから確かめるようにしよう。
side out
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side信義
「〇〇県警捜査一課4係の薫風すみれです。本日は警備部に代わり私達が家入さんの護衛を務めさせて頂きますのでどうぞよろしくお願いいたします!」
「家入しるくです。それで、お隣の男性は⋯」
「お、お⋯おはようございます、キュアット探偵事務所の主任探偵を務める織田信義と申します。きょ、今日はよろしくお願いします!」
「織田信義さん!?あなたのことは噂で聞いてますよ?まことみらい市に突然現れた名探偵って⋯お会いできて光栄です。」
「ど、どうも⋯」
そんなこんなで俺と薫風さんはしるくさんとファーストコンタクトを迎えてしるくさんから握手をされる。まさか、小さい時からの憧れだったしるくさんとこうして向かい合えるなんて⋯夢すぎて思わず緊張してしまった。
(しかし、これがしるくさんの若い頃というか高校生時代かぁ⋯美人なのは知ってる時とは変わらないけど、その中で可愛さというか幼さも残っててこれも好きになっちゃうよな。)
『浮気はダメだから⋯』
俺は思わず目の前にいる若い頃のしるくさんに見とれてしまいそうになるが、昨晩るるかちゃんから釘を刺されたことを思い出す。憧れを前にしても今日は惚れたらダメだ⋯どこかのキャプテンも言ってたな、『(憧れに対して)今日だけは憧れるのを辞めましょう』って。
「織田さん、どうされましたか?」
「いや⋯ちょっと緊張してまして。国民的女優を前にして僕の心臓はドキドキですよ?」
「そうなんですね。でも、緊張はあまりしないで大丈夫ですよ?大御所の俳優さんはなかなか厳しいイメージがありますけど、私はまだその人達と比べたらまだひよこですから⋯自然体でお願いしますね?」
「ありがとうございます。」
緊張する俺に対して、しるくさんは明るい笑顔を振り撒いてから落ち着くようにと促す。本当にしるくさんは女優としてだけでなく人間としての器も大きくて凄いものだ⋯これだからしるくさんは好きなんだよなぁ。
「しるくちゃん、そろそろ撮影始めるよ。まずはオープニングから!スタンバイして?」
「はーい。それでは、行ってきますね?」
「「お気をつけて!」」
ベテランのADに呼ばれたしるくさんは撮影の準備をすべくカメラの前へと向かう。今日はバラエティーの撮影でこのまことみらい学園に来ているのだが、学園の雰囲気をかなり楽しんでいる様子だ。校庭にいる学生達の視線は全てしるくさんに集まっているのは言うまでもない⋯だが、その視線の中で何やら知ってるような気配を感じてしまう。そう、あんなとみくるだ⋯この2人ならまだしもあんなは俺の方を睨んでいる。
「織田さん、本当に今日は大丈夫ですか?さっきから様子がおかしいですよ?」
「えっ⋯いえ、本当に緊張してるだけなんです。そりゃあ僕だって国民的女優の美貌を前にして気にしないってのは無理ですからね?」
「そうですか。でも、何か別のことを気にしてるような⋯」
「とりあえず、僕達は護衛役なんですから⋯しるくさんの周りに危険がないか見守りましょう!」
「そう⋯ですね。」
薫風さんは俺のことを怪しむが、とりあえずは護衛を最優先するように言ってこの場を流す。そういえば⋯あんなはるるかちゃんと付き合うことになったと話した時も嫉妬していたし、あの時に薫風さんと初めて会った後も彼女は焼きもちを焼いていた。あんなが俺のことを好きなのは把握しているもののあくまでも彼女は俺の従妹だ⋯西洋式でハグしたり(頬に)キスしたりのスキンシップはするがそのラインまでに留めている。しかし、これだけ妬かれると本当に困るものだ⋯
「家入しるくです。よろしくお願いします!」
(とりあえず、オープニングの撮影が終わった⋯次は学園のお偉いさんとの挨拶か。本当にこの人、普段はフランクな感じだけど礼儀はしっかりしてるんだな⋯流石は名女優。)
オープニングの撮影を済ませ、まずしるくさんはディレクターの榊原さんに連れられて学園の理事長とかその他幹部の方々と順番に挨拶をする。今日は『学校でトライ』という芸能人が学校へ行って生徒と一緒に色んなことをやるバラエティー番組の収録らしくて、どうやら演劇部と共に新入生歓迎会の劇を一緒に成功させるとのこと。しかし、この番組⋯俺も小さい時から観て育ったし、もちろんあんなも観て育ってるし息の長い番組だよな。俺が産まれる僅か前どころかもっと前からこの番組はあってたのか⋯
「家入さんって本当に振る舞いとか綺麗ですよね。私もああなりたいなぁ⋯」
「薫風さんも振る舞いが上品じゃないですか⋯宝塚歌劇団の男役スターのような整った顔立ちで礼儀もしっかりしてますよね。謙遜しないで良いですよ?」
「ありがとうございます⋯宝塚ですか。私も実は昔、目指してた時期があったんですよ?色々あって夢は壊れましたけど⋯」
薫風さんがしるくさんの振る舞いを褒めて俺が薫風さんのことを宝塚の男役スターのようだと褒めると、彼女は切なそうな表情を浮かべる。夢を壊された⋯そう聞くと、役者を目指すに向けて何か挫折することがあったのだろうか?とりあえず、深く詮索するのはやめておくことにした。
「すみません⋯あなたに嫌なことを思い出させてしまって。」
「いえ、気にしないでください。役者になれなかったことは後悔してますけど、こうして警察になれてみんなを守れてる自分のことは誇りに思ってます。だから、今に後悔はありません⋯」
「そうだったら良いですけど。無理はしないでくださいね?」
「分かってます。」
『これより、テレビ番組の撮影があります。演劇部の皆さんは部室に集まってください。』
「いよいよですね、楽しみです♪」
そうしてしるくさんや番組スタッフは演劇部の部室へと向かうことに⋯もちろん、護衛をしている俺と薫風さんもみんなについて行く。
「改めまして今日はよろしくお願いします、家入しるくです。お名前教えてください。」
「部長の大森です。家入さんとお会いできてとても嬉しいです!」
「しるくで良いよ。あなたは?」
「小藤です。衣装や小道具を担当していて⋯」
演劇部の部室にて、本編の撮影が始まる前にしるくさんと演劇部の人間が対面する。部長の大森さん、裏方の小藤さんは堂々としていたものの以前プリホリ目当てで遊びに来ていたあんなとみくるのクラスメイトのりえちゃんは緊張した様子である。彼女は演劇部だったのか⋯初めて知ったけど、とにかく頑張ってほしい。俺が言えたことじゃないがとにかく気負うなよ?
「ありがとう、あなたは?」
「ひゃあっ!?あが、あが、あが⋯」
「みんなも立って?それと、カメラの向こうの織田さんと薫風さんも。」
すると、緊張したりえちゃんを見かねたしるくさんはいきなり椅子から立つように指示を出す。演劇部の人間だけじゃなくて後ろで見張りをしている俺と薫風さんもだ⋯何をするんだろうか?
「腕を伸ばして、反対も伸ば〜す。そして、優雅にターン♪」
そうして、俺達はしるくさんに言われるがまま両腕を伸ばした後にターンまでしてみる。これで何の効果があるのかはよく分からないが、大女優のやることだから何か意味があるはずだ。
「最後に、スマイル♪」
『スマイル♪』
回ってから最後に笑顔を決めると、自然と気持ちが楽になるような気がした。これが家入しるく流の緊張のほぐし方なのだろう⋯演劇部のみんなも緊張感というか堅苦しさがなくなったような表情になる。
「今のはしるく体操、緊張した時によくやってるの。」
「しるくさんも緊張するんですか!?」
「もちろん。本番前はいつも足がガクガクするし、カメラの前に立つと頭が真っ白になっちゃう。」
「へぇ⋯」
「そういう時は身体を動かすと緊張がほぐれるよ?」
しるくさんはりえちゃんに緊張ほぐすコツを教える。身体を動かす⋯か。シンプルかもしれないが、これは理にかなってる方法と言えるだろう。俺もるるかちゃんと接してる時にまだ緊張する時があるからその前とかにやると効果的かもしれないな。
「ちなみに、今のがしるく体操第一で第二、第三もある!」
『ふふっ、あはははは!』
しるくさんが体操のパターンを説明すると演劇部のみんなは思わず笑ってしまった。本当に彼女はこうして場を和ませるのが本当に上手だ⋯これが当時高校生のクオリティーなのだろうか?流石すぎだ。
「ラジオ体操みたいw」
「緊張するのは当たり前。1人じゃないからね?一緒に頑張ろう!」
『はい!』
そうして緊張がなくなったのか演劇部の4人は笑顔でしるくさんのエールに対して返事をする。こういう雰囲気作りができるのもやはりドラマとか映画とかで数多く主演というか座長をこなしているからだろう⋯雰囲気作りがしっかりしてる。
「カメラ準備OKです!」
「うん⋯じゃあ、撮影始めます!」
「撮影中はお静かにお願いします。特に織田さん⋯ウチのしるくのファンではあるしれませんけど、分かってますね?」
「もちろんです⋯」
俺は本編の撮影開始前にマネージャーの安藤さんから注意される。俺が彼女の大ファンだってことはお見通しというか見てわかるような反応をしてたもんな⋯その向かい側ではあんなとみくるも見学しているし、他の生徒も見ている。やっぱり、しるくさんって凄いよなぁ⋯
「今回はどんな劇をやるんですか?」
「演目は『シンデレラと中学生』です。」
「どんな内容なの?」
「シンデレラと中学生の青春を描いた物語なんです。お城の舞踏会へ行く日、魔法使いの間違いでシンデレラは1999年のまことみらい市にタイムスリップしてしまいます。」
(ここでのシンデレラ、あんなみたいだな⋯ポチタンが魔法使いに置き換えたような感じか。)
「シンデレラは出会った女子中学生と力を合わせて舞踏会に行こうと奮闘する⋯そんな物語です!」
まずはインタビューパートとしてしるくさんが歓迎会でやる劇についてを訊ねると、部長の大森さんが演目を答えてからりえちゃんがその劇の内容を答える。シンデレラと女子中学生の関係があんなとみくるのように思えるのは偶然が必然か⋯恐らく偶然ではあるけとな。
「面白そう、シンデレラなら衣装はドレス?」
「はい、これを使います。このドレスは代々演劇部に引き継が れてきた衣装で色々な劇に使ってきたんです。飾りやパーツを付け替えてよく見たらボロボロなんですけどね。」
しるくさんが衣装についてを訊ねると、小藤さんがそのシンデレラ役の人が着るドレスを彼女に見せる。水色でどこか伝統を重ねつつよく見たらボロボロながらもきっちり仕上がっているドレス⋯しるくさんは興味を持ってそのドレスを近くで見つめた。
「先輩達の思いが詰まった素敵なドレスだね!」
「そうなんです!」
「今年も使えるのが嬉しくて⋯」
「どんなアレンジにしよう?」
「そうだ、スカートにボリュームがあるとゴージャスに見えるから下にパニエを履くのはどうかな?」
「良いですね、それ!」
すると、しるくさんはドレスを見てからパニエを履いてゴージャスに見せようというアイデアを繰り出した。これには小藤さんも賛同⋯しるくさんって衣装担当としてもやっていけそうなぐらいに見せ方を分かっている。そんなこんなでインタビューパートの撮影が終わった。
~~~~~~~~
「家入さん、お疲れ様です。」
午前中の収録を終え、しるくさんは控え室に戻ってひと休み。その中でもちろん俺と薫風さんに関しては相変わらず護衛を継続中で薫風さんがしるくさんに声をかける。休みながらも仕事をするというのは大変である。
「ありがとうございます。薫風さんと織田さんも休まれたらどうですか?」
「いえ、あなたの護衛が私達の任務なので⋯この場を離れるわけにはいきません。」
「本当に織田さんは目が真っ直ぐですね。刑事の薫風さんはまだしも、探偵のあなたがそこまで私を守るのは何故ですか?」
「それは⋯」
しるくさんに守る意味を問われて自分の答えを言おうとしたその時、ドアに何かがぶつかったような音がした。まさか、石を投げたりとか?それはないと思うが、確かめてこよう。
「何の音?」
「とりあえず、私が見てきますね⋯ってお前らか。」
俺がドアを開けて外を確かめると、そこにはあんなとみくるがいた。どうやら休憩をしているしるくさんの後をつけたようだが⋯ファンとはいえ迷惑ではなかろうか?
「師匠⋯申し訳ありません!」
「どうせポチタンだろ?まったく⋯しるくさんは休憩中なんだから騒ぎを起こすなよ。」
「ごめんなさい⋯でも、ノブお兄ちゃんがどうして?まさか、好きな女優さんに迫ろうとして⋯この女たらし!」
「んなわけないだろ!これは警察から任された任務だよ⋯俺を何だと思ってるんだ?」
「そ、そうなんだ⋯」
「織田さん、大丈夫ですか?」
「あら、あなた達はさっき外で見てた⋯」
「し、しるくさん!?」
「休憩中にすみません⋯その、サインを頂けませんか?」
この騒ぎを聞きつけて薫風さんとしるくさんがやって来る。しるくさんを見た2人は思わず緊張してかかなりテンパってあんなは驚き、みくるは緊張しながらもサインをねだる。
「よろこんで♪」
「ありがとうございます!その⋯これにお願いします。」
しるくさんがサインを受諾すると、みくるはプリキットブックの空いてるページを開いて渡す。受け取った彼女は椅子に座っては机の上でサインを書くのだった。
「凄く可愛い手帳だね。」
「プリキットブックっていうんです。ノブお兄ちゃんも私も持ってるので後でサインを頂けませんか?」
「もちろん。織田さんの分もありますか?」
「はい⋯私もよろしいんですか?」
「ええ。私のファンでしたら誰にでもサインは書きますから⋯はい、どうぞ。」
「ありがとうございます!」
「本当にすみません⋯」
「それで、このプリキットブックって何のために使うんですか?」
「まあ、探偵道具の1つでメモをするために普段は使うんですよ。私もですけど、この子達も探偵なんですよね⋯ほら、名刺。」
「はい、私達こういう者です。」
あんなとみくるは俺に促されてから自分の名刺を渡す。それを見たしるくさんはもう一度2人の方をじっと見つめる⋯流石に中学生が探偵というのは信じられない話なのも無理はないだろう。
「へぇ⋯2人も織田さんと同じキュアット探偵事務所の探偵さんなんだね?」
「はい、ノブお兄ちゃんのように困った人を助けたくて!」
「笑顔になってもらえたら嬉しいから⋯」
「素敵!」
しるくさんはあんなとみくるの探偵の仕事に対する気持ちを聞いてか興奮して思わず立ち上がる。夢に向かって頑張るところに胸を打たれたのだろう⋯それだけ2人は頑張っててそれが認められたのは嬉しい話と言える。
「でも、私とみくるに依頼がなかなか来なくて⋯ほとんどがノブお兄ちゃんばかりなんです。」
「やっぱり、私達が中学生だからかな?」
あんなとみくるは探偵活動の中での悩みをしるくさんに明かす。思えば仕事の依頼は俺が結構占めているのは確かだ⋯そこは俺が大人だからってのもあるし大きいのは俺が色んな事件を解決させてきたという箔だろうな。自分で言うのもアレだが⋯
「決めつけちゃダメ。」
そんな落ち込むあんなとみくるに対してしるくさんは決めつけたらダメだと言う。まあ、確かに子供だからとか大人だからとかが決定的な理由でもないし決めつけるのは彼女の言う通りに良くない。俺よりも先に言うとは⋯この人が上司の方が良いのではとも思ってしまった。
「私ね⋯今、高校に通いながら芸能活動をしてるんだけど最初は事務所の社長や両親に凄く心配されてね。仕事へ行きながら高校へ行くのは難しいって⋯」
「でも、家入さんは学業もお仕事も両立されてますよね?それは凄いと思います。上手くやっていける秘訣は何でしょうか?」
「それは簡単です、両方やりたいと思う気持ちがあったから⋯大好きな仕事もやりたかったし、高校で友達と過ごす時間も大好きだからです。」
「だから頑張ってやれてるんですね⋯しるくさんには敵いませんよ。流石はトップ女優⋯」
「ありがとうございます。」
薫風さんが学業とお仕事を両立できる秘訣を訊ねると、しるくさんは両方やりたい気持ちだと答えた。何でも気持ちの持ちようなんだな⋯努力すれば何だってできる、それを聞いてると彼女は努力の人なんだなと改めて思うのだった。高校時代から『大女優・家入しるく』という人間はできあがってたんだな⋯
「だから、あんなちゃんとみくるちゃんも探偵を頑張ってほしいな⋯ダメかもとは決めつけないで。織田さんのような立派な探偵になってね?」
「ありがとうございます⋯決めつけちゃダメ、か。」
「諦めたら事件も解決しないもんね!」
「その通り。とりあえず、探偵業をやるにあたって決めつけで行動をしないことが大事だ⋯俺もお前らが立派な探偵になれるように支えてやるから、一緒に頑張ろうな?」
「「うん(はい)!」」
「ふふっ⋯頑張ってね。」
そうしてあんなとみくるはしるくさんからのアドバイスもあり、また前を向いて探偵として頑張るのだった。本当に2人を救ってくれて感謝の言葉が尽きない⋯そんなこんなで俺とあんなもサインを貰い、休憩時間を終えてまた午後からの撮影に向かうのだった。
おまけ
『あんなと白い怪盗』
「こんにちは!」
「⋯」
(無視された⋯そんなにお仕事に集中してるのかな?)
昼休み、あんなは1人でトイレに行っててその帰りの道中でのこと⋯彼女は清掃員の男に挨拶をしたのだが、彼は無言であんなは男を訝しがった。
「そこのお嬢さん⋯」
「えっ?(今、気づいたの?)」
「お嬢さんと言われたらあなたしかいないでしょう?この前は私に協力してくださりありがとうございました。明智あんなさん⋯いえ、キュアアンサー。」
すると、清掃員の男は爽やかな青年のような声であんなを『お嬢さん』と呼び止めては感謝をする。しかし、彼は何故かあんなの名前と彼女がキュアアンサーの正体であることを知っていた。
「どうして私の正体を!?まさか⋯あーっ!あなたは私にこの前変装した怪盗キッ⋯「しーっ、騒がないでください。」⋯でも!」
「とりあえず、私があなたに代わって米花町の名探偵の少年と一緒に泥棒からジュエルを守りましたよ。はなまるなアイデアをくれたあなたのおかげです⋯本当にありがとうございました。」
「それは結果論でしょう?私に変装してジュエルを盗もうとして⋯私がプリキュアに変身してたらあなたを止めれたことを忘れないでくださいね?」
「こりゃあ、参ったなぁ。まあ、次に会う時は敵同士ということで⋯ファントムに負けないでくださいよ、まことみらい市の名探偵さん。」
「あなたこそ⋯警察とあなたの言う米花町の名探偵に負けないでくださいね、白い怪盗さん。」
そうしてあんなと清掃員に変装した怪盗はそれぞれ別れ、また仕事やら何やらに戻るのだった。この2人が探偵と怪盗として会うのはまた別のお話⋯
登場人物紹介
渡辺喜人(わたなべよしと)
(脳内)CV:木村良平
身長:171cm(当時)
体重:56kg(当時)
誕生日:8月30日
年齢:満42歳(当時13歳)
あんなとみくるのクラスメイトの男子生徒。クラスの中ではモテてる存在で少しチャラいが人は良い。
泉憲司(いずみけんじ)
(脳内)CV:保志総一朗
身長:168cm(当時)
体重:50kg(当時)
誕生日:5月30日
年齢:享年41歳(当時13歳)
あんなとみくるのクラスメイトにして喜人の幼馴染で親友。転入してきたあんなのことが何気に気になっている。ちなみに、彼は27年後の1話の冒頭で何者かに殺される模様。
いかがでしたか?信義がまさかのしるくさんの大ファンだったという⋯しかも小さい時から見ていた憧れの女優という特別な存在でした。それで緊張しまくるという⋯まあ、無理もないでしょうね。しかも、タイムスリップしてJKの時のしるくさんなもんだから心臓バックバクですよ⋯そんな彼女の護衛を任せた県警本部には感謝だし、過去に送ってくれたことに感謝ですな。
その中でしるくさんの未来に関しては僕の勝手な独自解釈です。あれだけ人気の女優なのに何故あんなちゃんは知らなかったのか⋯それはもう物心がついた時に引退したからと思われます。資産家と30の時に結婚して引退の方が引退理由としては自然ではないでしょうか?
その中でジャックに関しての話し合いもあり、物語も徐々に進んでいきます⋯ファントムのことやジャックのこと、どうなっていくのかは今後の楽しみにしていてください。あと、1話で殺された泉も出てきていますが、彼も今後キープレイヤーとなるのでご注目くださいね?
おまけではあんなちゃんとまあ⋯あの怪盗ですね。もう前書きにも書きましたけどその人物との遭遇でした。しかし、例の怪盗からあんなちゃんは変装を許してしまうという⋯ただ、それを人助けの為に活かしたことを報告した模様。あの話を観た後なら楽しめるようにはなってるかと思います。まあ、時間軸がどうなってるかは不明ですが⋯
次回は9話分の後半戦ですね。あと、先に言っておきますが⋯今書いてる章はあと3話で完結いたします。9話分と10話分をやって11話分から新章突入です!そこに向けてもどうぞお楽しみに♪
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