名探偵プリキュア! -銀の正義と黒の秘密-   作:寿垣遥生

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遥生です。世間ではサッカーのワールドカップが開幕しましたが、いかがお過ごしでしょうか?今回のワールドカップに関しては舞台がアメリカとかなので時差的に昼と夜が逆転してますね。それを見てか朝日系列はサッカー中継のノウハウが民放よりもしっかりしてるながらもワールドカップ中継から手を引きました。まあ、仮に放送権を確保してたら日曜日の中継試合が仮にプリキュアにかかってしまったら⋯1話飛んじゃうんですよね。それを見事に回避しましたけど、リオオリンピックの時もそうでした。リオの時は朝日も中継はしたもののプリキュアとかにかかる競技の中継は他に譲ってましたからね?いかに駅伝以外はニチアサファーストを貫く朝日は偉いなと思います。ちなみに、次の日本の試合は日曜日のチュニジア戦ですけど13時キックオフなのでプリキュアが終わって余韻に浸った後に試合がありますね!どっちも楽しんでもらって日本を応援しましょう。初戦は格上でトップ10のオランダに2-2で引き分けましたけども⋯それ以降は格下との試合です。しかし、気を抜かぬように勝ちましょう!日本は近年強くなったおかげで死の組に入れられずに済んだのは大きいですよ⋯果たしてどうなるのか?どうぞお楽しみに。

そして、僕の作品はついに第1章が完結します。どんな結末が待っているのか⋯そして、最後の方で信義とるるかちゃんにサブタイトルの要素が待ち構えます!るるか推しの皆さん⋯ご期待ください!

それでは、また後書きにて。


【第1章最終話】#24 母親の幸せと秘密の口付け(アルカナ・キッス)

side信義

 

 ランチのラーメンを食べ終えた俺達は次の目的地であるライブ会場の公園へと向かう。そこではこの後の13時30分からこの時代のまことみらい市では人気を誇っていたストリートバンドの『Lunatic Shell』がライブをするのだ⋯このグループは2027年時点でもメンバーを入れ替えながらも活動を続けており、まだこの当時は路上ライブとか小規模のライブをコツコツやっていたアマチュアアーティストだったんだよな。本格デビューはこの翌年の2000年なのだが、曲のセンスとかメンバーの個性とかはこの当時から人気を博しそうな感じはあった。

 

「ねえ、織田さん⋯父親方のおじいさんが博多出身って言ってたよね?」

 

「うん⋯そうだけど。もしかして、俺が何故この家系で和歌山出身なのかって言いたいんでしょ?」

 

「流石、織田さん⋯お見通しね。」

 

「実はじいちゃんは博多出身だけど昔はサラリーマンをやってて和歌山の支社に配属された時にばあちゃんになってたであろう人と結婚して父さんが産まれたんだよ。」

 

「おばあさんになったであろう⋯どういう意味?」

 

「父さんが7歳の時にその女性の浮気が発覚して離婚することになってね。じいちゃんは和歌山に残って父さんを男手一つで育てたんだよ⋯それで、父さんが大学に合格して上京する頃にじいちゃんは会社を辞めてから実家を売り払い、故郷の博多に帰ってラーメン屋を開店したんだ。まあ、さっきも話したけど今はもう店を閉めて博多で悠々自適な生活をしてるよ。昨年の話かな?」

 

「そうなんだ。」

 

 俺は道中でるるかちゃんが疑問に思ってた博多のじいちゃんの出自とかを答えると、彼女はすんなりと納得する。本当にこの子は俺の話をすんなり受け入れてくれる良い子だ⋯付き合えて本当に良かった、そう思う中で会場の近くになるとLunatic Shellのポスターの数が増えてくる。本当に宣伝の色が強くなってきた⋯

 

(この当時のLunatic Shellは知らないからどんな感じなのか気になるなぁ⋯)

 

「すみません⋯あなた、織田信義さんですよね?」

 

「そうですけど。もしかして、あなたは⋯!」

 

「しーっ⋯とりあえず、来てください。」

 

「えっ、ええっ⋯!?」

 

「織田さん、待って!」

 

 俺は帽子の深く被ってサングラスをかけたピンク髪の若い男性に声をかけられて、その人物が誰か気づきそうになったタイミングで手を引っ張って会場の裏口へと案内する。それをるるかちゃんは追っているのだが、どこへ向かうのだろうか?

 

「みんな⋯ごめん!何とかしてくれる人を連れて来たよ。」

 

 そうして俺達が連れて行かれたのは楽屋と思われるテント、そこには楽器のチューニングをしていた男女がいた。キーボード、バイオリン、エレキギター、ドラム、そしてアコースティックギター。この楽器の並びは間違いなくアレだった⋯

 

「遅いぞ、大輔⋯って、キュアット探偵事務所の織田信義さんじゃないか!?何でこの人を?」

 

「大輔⋯まさか、Lunatic ShellのベースのDAISUKEさん!?」

 

「バレちゃいましたか⋯僕はLunatic Shellでベースをやってる久間大輔(くまだいすけ)です。突然あなたを連れて来て申し訳ありません⋯実は頼みがあるんです。」

 

「もしかして、事件ですか?」

 

「まあ⋯探偵さんに頼むべきか分からないですけど、実はアコースティックギターでメインボーカルの竜一がインフルエンザに感染して行けないとさっき言われて。それで、何でも解決する探偵さんなら何とかなると思って代わりのギターとボーカルを頼みたいんですけど⋯ダメですか?」

 

 正体がバレて変装を解いたDAISUKEさんは俺にメインボーカルのRYUICHIこと沢村竜一(さわむらりゅういち)さんの代わりにギターとボーカルの代役を依頼する。まさかデビュー前とて自分があの憧れのLunatic Shellのボーカルを代打でやることになるとは⋯とんでもないチャンスが巡ってきた。これは受けるべきなのか?

 

「俺は反対だな、敏也はどうだ?」

 

「俺も。いくらウチのピンチとて歌が専門ではない探偵に代打を任せるのはダメだろ?なあ、友里。」

 

「敏也の言う通りよ。何でもかんでも探偵に任せるあなたの考えは理解できないわ⋯真也もそう思うよね?」

 

「いや、歌とギターが上手けりゃ誰だって良いでしょ⋯弾かせてみれば良いんじゃないっすか?」

 

 DAISUKEさんの提案に対してキーボード担当のDAICHIこと國村大地(くにむらだいち)さんとエレキギター担当のTOSHIYAこと宮岡敏也(みやおかとしや)さんとバイオリン担当のYURIこと藤原友里(ふじわらゆり)さんが反対するも、ドラム担当のSHINYAこと山本真也(やまもとしんや)さんは賛成方向である。SHINYAさんはやっぱりグループ内では最年少ながらも副リーダーを任されてるだけあって懐が深い。

 

「そういう訳で竜一のギターを弾いて、何か歌ってみてください。ギターの経験はありますか?」

 

「もう十分ありますよ。それでは⋯」

 

 そして、俺はメンバーの前でギターで軽く曲を弾いてからそれに乗って軽く歌う。そうすると、みんながうんうんと何かを納得して深く聞き入っていてそれで演奏と歌が終わるとみんなが拍手をしていた。

 

「どうでしょうか?」

 

「素晴らしいです!真也、合格だよね?」

 

「ええ、もう完璧っす!むしろ新メンバーとして入ってほしいぐらいっすよ。」

 

「凄いですよ、織田さん⋯俺達、探偵だからと甘く見てました。」

 

「それじゃあ、早速リハーサルをしましょう!」

 

「待ってください。そのついでに僕からもお願いしたいことがあるんですけど、よろしいですか?」

 

「何でしょう?」

 

「彼女と一緒に歌わせてもらえないでしょうか?」

 

「えっ!?」

 

 俺がDAISUKEさんにるるかちゃんも歌わせるようにお願いするとそれを聞いた彼女が驚いてしまう。しかし、一方のDAISUKEさんは笑顔で聞いていた。

 

「良いですよ。今日のリーダーはあなたですし⋯名探偵のお願いときたら聞かないとでしょう。みんなもそれで良いよね?」

 

「ああ。織田さんの彼女さんだからな⋯きっと歌は上手いし、何よりも可愛い子だからインパクトはかなりありそうだ。」

 

「そうっすね!織田さんでこれだから期待しかないっしょ♪」

 

「あなた、名前は?」

 

「森亜るるか⋯」

 

「るるか⋯可愛い名前ね。声も透き通ってて綺麗だし楽しみだわ♪」

 

 TOSHIYAさんとSHINYAさんがテンション上がる中でYURIさんはるるかちゃんに名前を訊ねる。それで声を聞いた彼女は自信を持つことに⋯俺もるるかちゃんの歌声のポテンシャルは未知数ではあるが、とにかく全部は歌わないことだし気負わないように祈っておこう。

 

(20分後⋯)

 

「みんな〜、こんにちは〜!」

 

 それから音合わせとか確認を入念にした後で俺達はステージに立ってライブが始まった。DAISUKEさんがお客さんに挨拶をするとみんなが黄色い歓声を送る。これがLunatic Shellのこの当時の人気だ⋯まことみらい市の当時の若い人達が全員揃っていそうである。

 

「ありがとう!まずいきなりだけど、今日はボーカルのRYUICHIが体調不良でライブに出られなくなりました。その代わりのボーカルはキュアット探偵事務所の名探偵である織田信義さんです!織田さん、どうぞ。」

 

「キュアット探偵事務所の織田信義です。今日はアコースティックギターとメインボーカルをしっかりやりますのでよろしくお願いします!」

 

 DAISUKEさんのお知らせに続いて俺が挨拶をすると先ほどにも負けないぐらいの黄色い歓声が飛ぶ。俺でこんなに盛り上がってくれるなんて⋯地味というか黒歴史に近かった学生時代が嘘のようであるぐらい今が楽しい!

 

「それでは、まずは1曲目です。皆さんが子供の時に観てた映画の曲なので聴いてください⋯『パート・オブ・ユア・ワールド』。」

 

♪:『パート・オブ・ユア・ワールド』

https://youtu.be/CE8OWuRsO2g?si=mS-lnnIpXguu5wxI

 

 まず俺は1曲目としてこの時代の若者が子供の頃に誰もが観たあの名作の曲をボーカルとして歌った。この曲は挿入歌ではあるが、物語の主人公の心情を描いた曲で名曲として語り継がれている。それを後ろのバンドメンバーも合わせて演奏してくれた⋯

 

「1曲目は『パート・オブ・ユア・ワールド』でした。拍手ありがとうございます!」

 

「織田さん、素敵な歌声ですね!僕も後ろで演奏してて惚れそうになりましたよ⋯」

 

「私もです♪」

 

「おいおい、友里⋯お前が惚れるとなると語弊が生じるぞ?」

 

「そういう意味じゃないわよ!現に織田さんには彼女がいるんだし⋯」

 

「おいおい、敏也と友里⋯喧嘩はやめろよ?」

 

「それじゃあ、次はその彼女さんに出てもらいましょう⋯カモン!」

 

 TOSHIYAさんとYURIさんが俺のことで喧嘩をしてそれをDAICHIさんが割って入ったところでDAISUKEさんがるるかちゃんを呼ぶ。呼ばれた彼女は緊張しながらもステージの人前に立った。お客さんからは『可愛い』という声も聞こえている。(※ちなみにマシュタンは楽屋テントの机の上に置いている。)

 

「森亜⋯るるかです。」

 

「よろしく!るるかちゃんは織田さんの彼女で声を聞いて分かりますよね?いかにも歌が上手そうで透き通った声ですよ。それじゃあ、織田さん⋯彼女をボーカルとして何を歌いますか?」

 

「そうですね。『想い出がいっぱい』で行きましょう⋯るるかちゃん、俺がハモるから一緒に歌おうか。」

 

「うん。それでは⋯聴いてください。」

 

♪:『想い出がいっぱい』

https://youtu.be/bV0eKpe2Eu8?si=Ph8r2abbCa7Ouh8r

 

 そうして、るるかちゃんをボーカルとして歌った曲は昭和の青春ソングとして人気の1曲である『想い出がいっぱい』、るるかちゃんはこの年で16歳になるらしいからそれから逆算すれば彼女が産まれた年ぐらいに出た曲だ。それを歌うるるかちゃんの歌声はやはり透き通っていて宝石のように綺麗だ⋯歌っても素敵とか俺は未成年であること以外は魅力満載な優良物件を手にできて誇らしく感じるのだった。

 

「ありがとう⋯ございました。」

 

 1曲歌い終わると彼女はマイクを握りながらもお客さんの前で一礼する。会場内は泣いているのかハンカチで目を拭ってる人もいる中で拍手が鳴り止まない⋯るるかちゃんの歌声は本当に美しかった。

 

「るるかちゃん、ありがとう!じゃあ⋯一旦下がって次の曲に行きましょう!次は僕達がこのまことみらいでデビューしてから最初に歌ったオリジナル曲です。織田さん、スタンバイできてますか?」

 

「はい!」

 

「それでは聴いてください⋯Lunatic Shellデビュー曲、『Rainbow Road』。」

 

 それからも俺達はライブでトークを挟みながらたまにるるかちゃんもボーカル参加する形で1時間半歌いきった。ライブは言うまでもなく大成功と言って良いだろう⋯俺はこれまでこういうライブの経験はなかったのだが、成功したことで自信がついた。ありがとう、DAISUKEさん!

 

side out

 

 

 

 

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sideあんな

 

「萌絵さん、この文江さんの自画像の謎が分かりました!」

 

「本当ですか!?」

 

 萌絵さんの自宅となるマンションの一室を訪れ、原本をプリキットミラールーペで調査することしばらく⋯私達はこの絵が本当に伝えたかったことを解明してそれを文江さんの娘である萌絵さんに説明しようとする。

 

「はい。この絵の正しい向きはこうなんです。」

 

 絵を持っているみくるはそれを横に傾けた。そうすると、絵の中の文江さんはソファーの上で寝転がっているように見える。いや、見えるというかこれが答えだ。

 

「横向き?」

 

「みんな勘違いをしていたんです⋯この絵は縦にして見るものだって。」

 

「でも、本当はそうじゃなかった⋯作者である文江さんが持っていた方が正しい絵の持ち方、それがこの向きなんです。」

 

「横になって寝ている?」

 

「はい、初めは靴を履いてるし何かおかしいなと思ったんですけど⋯」

 

「萌絵さん、海外に住んでたんですよね?海外は家の中でも靴は脱がないですし、寝ていても不自然ではありません。」

 

「そういえば、母はこの色のソファーで⋯はっ、そうだ!母は⋯母はあの時、忘れてた。一緒にマカロンを食べて『美味しくないね』って笑い合って⋯あの頃を思い出しました。そっか、最高の幸せってあの瞬間のことだったのね⋯お母さん。」

 

 萌絵さんは文江さんの遺影を見つつあの時の思い出を浮かべて涙を流す。これが文江さんと萌絵さんの幸せ⋯親子の思い出である。こういう思い出というのは心を嬉しくも切なくもするものだ⋯それを見てると私もお母さんのことが少し恋しくなってきた気がする。

 

「ポチ?ポチ〜!」

 

「ポチタン?」

 

 ポチタンが上を見て何かに反応し、何があるのかを見てみると⋯天井から虹の光の玉のようなものが舞い降りてくる。一体、これは何なのか?

 

「何これ?」

 

 すると、その虹の光は宝石の形となっては文江さんの自画像の原本に溶け込む。ポチタンの反応からして恐らくさっきのはマコトジュエルで文江さんと萌絵さんの思い出となるこの絵に宿ったのだろう。

 

「まさか今の⋯マコトジュエル?」

 

「萌絵さんの想いとお母さんの想いが重なってマコトジュエルが宿ったんだ!」

 

「ポチ♪」

 

 親子の思い出からマコトジュエルが宿ったその時、突如としてこの萌絵さんの部屋のインターホンが鳴る。こんな時にお客さんが来るのは少しタイミングが悪い⋯誰なんだろう?

 

「私が行きますね⋯はーい?」

 

「ファントム宅配便でーす。マコトジュエルを回収しに来ました!⋯ってことで、中に入らせてもらうぜ?」

 

「ちょっと!?」

 

「どうしました?」

 

 私とみくるが萌絵さんのところへ向かうと、そこには段ボールを持ったゴウエモンがいた。声からしてそうかもしれないと思ったけど、やはり狙いはマコトジュエルのようだ⋯

 

「あなたは⋯ゴウエモン!」

 

「あなた⋯勝手に入るなんてどういうつもり!?」

 

「安心しな、お姉さん⋯その絵を奪ったら俺は退却するんでね!」

 

「そうはさせない!みくる⋯」

 

「うん、絵は私達が守りますから萌絵さんはここで待っててください!」

 

「逃がすか!」

 

 そうして、絵はみくるが持った状態で私達は逃げて萌絵さんとゴウエモンを引き離す。ひとまず安全なところまでおびき寄せて勝負はそれからだろう⋯萌絵さんと文江さんの宝物であるこの絵もマコトジュエルも私達が守ってみせる!

 

side out

 

 

 

 

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side信義

 

「ライブお疲れ様でした!いやぁ⋯織田さんのおかげで助かりましたよ。ご協力感謝いたします。」

 

「いえいえ、こちらこそ⋯Lunatic Shellの一員としてライブできて光栄です。」

 

「俺もキーボードやってる立場で思いましたけど、織田さんって他のバンドでもやってけそうですよね?あと、るるかちゃんも歌上手かったよなぁ⋯本当に聴き入っちゃったよ。」

 

「ありがとうございます⋯」

 

 ライブを終えた俺達は控え室のテントで反省会を行う。その中で今日をRYUICHIさんの代打で乗り切った俺とるるかちゃんはメンバーのみんなから特に労われる。本当に1時間半を乗り切れたし、何よりも楽しかった。

 

「そうだ⋯大輔、この後近くのファミレスで打ち上げやらない?織田さんとるるかちゃんを誘って。」

 

「いいね!敏也もこう言ってますから⋯僕達と打ち上げに行きませんか?」

 

「良いですね!るるかちゃんはどうしたい?」

 

「私、騒がしいところ苦手⋯織田さんとデートの続きがしたい。」

 

 俺が打ち上げに乗り気でいる中でるるかちゃんも誘おうとするが、彼女は騒がしいところが苦手と言っては俺とのデートの続きをしたいと言う。そう言われるとこれは流石に乗れないか⋯仕方ない。

 

「すみません。るるかちゃんがこういう訳で⋯今回はお断りします。」

 

「そうですか。僕も無理に誘ってすみません⋯今回のお礼は後日したいと思うので、その時に事務所にお伺いしてよろしいですか?」

 

「ええ、もちろん。今日はありがとうございました!行こう、るるかちゃん。」

 

「うん。」

 

 そうして俺はDAISUKEさんと握手を交わしてからるるかちゃんを連れてテントを後にした。あのLunatic Shellのメンバーとして人前でライブをしたこと、そしてるるかちゃんと一緒にしたこと⋯今日のことを絶対に忘れることはないだろう。

 

「ねえ、るるかちゃん⋯」

 

「何?」

 

「打ち合わせの時から思ってたけど、どうしてるるかちゃんは『想い出がいっぱい』が歌えたの?産まれた年ぐらいの曲だと思うけど⋯」

 

「私のお母さんの好きな曲だったから⋯私が赤ちゃんの時からレコードで流していて、海外に移住してからも流してくれたからそれで覚えたんだけど何よりもこの曲が好きで、こうして大きくなった今、歌うと私も大人の階段を登ってるんだなって思うの。」

 

「へぇ⋯今時の子としては珍しい感覚を持ってるね。」

 

「そう?でも、今の子が流行のアイドルソングとかアニメの主題歌とかを歌うとは限らないんじゃないかしら?探偵たる者、偏見で決めつけるべからず。私の海外にいた知り合いの探偵から教えられたことよ⋯」

 

「そういえばしるくさんも言ってたよな、『決めつけちゃダメ』って。肝に銘じます⋯」

 

「もう、また家入しるくの話⋯」

 

「いや、そんなつもりじゃ!?⋯ん?(あれは、あんなとみくる?)」

 

「待ちやがれ、プリキュア!」

 

 俺とるるかちゃんが歩きながら話していると、あんなとみくるが何者かから逃げているのか必死に走っていた。みくるは何やら絵画を持っていて、それからしばらくするとゴウエモンが後を追ってくる⋯あの野郎、堂々とプリキュアと叫んで何を考えてるんだ?

 

「余計なことをしないで、もう⋯!」

 

「るるかちゃん?」

 

「何でもない⋯それよりもあんなさんとみくるさんが事件に巻き込まれてるのでしょう?行ってきて。私は待ってるから⋯」

 

「分かった。ここで待っててね?」

 

 俺はるるかちゃんに送られて先回りしてからあんなとみくると合流することに⋯しかし、さっきのるるかちゃんはどこかおかしいような気もする。ゴウエモンの姿を見て『余計なことをしないで』と怒っていたのだが、この感じだとるるかちゃんはやはりファントムに関係している可能性も?とにかく、今は事件解決に専念しよう。

 

「あんな、みくる!」

 

「ノブお兄ちゃん!?」

 

「師匠、るるかさんとのデートの方は大丈夫なんですか?」

 

「実はここの公園の広場でさっきまでライブをやっててそこに行ってたんだよ。そうしたら、お前達がゴウエモンに追われてるのを見かけて⋯何があったんだ?」

 

「ゴウエモンがこの絵を狙ってるんです!」

 

「マコトジュエルが宿ってるのか⋯だったら守らないとな!」

 

「はあ、はあ⋯もう無理。」

 

 しばらく走って逃げたもののあんながバテてしまい足が止まってしまう。そんなタイミングでゴウエモンもとうもう追いついた⋯さて、この場面でどうするか?

 

「ここまでだな?しかし、キュアマスターまで揃い踏みとは⋯デートの方は大丈夫なのか?」

 

「どうしてお前が俺のデートのことを知っている?」

 

「男の勘ってやつだよ⋯まあ、それはどうでもいい。その絵を渡してもらおうか?」

 

「だったら、これを使わせてもらう⋯オープン、プリキットミラールーペ!」

 

 そして、俺は次なる手を打ちプリキットミラールーペを起動してから絵を映してそれをコピーする。ひとまずは人数分×2になるようにコピーした⋯どれが本物なのかは当てるも外すも運次第、不器用なゴウエモンには分からないだろう。

 

「これがコピー機能だ、悔しかったら本物を当ててみろ!」

 

 そうして、俺達は3方向に分かれて逃げることに。どれが本物なのかは俺達だけしか知らない⋯ゴウエモンはどういう手を使うのか?

 

「なっ⋯!?だがしかし、お前達が本物だったらどうやって絵を扱うのかは目に見えてる。これでも食らえ!」

 

 すると、ゴウエモンは扇子を振ってから水鉄砲攻撃を仕掛けてくる。こいつ、何を血迷ってるんだ!?絵を濡らすとか台無しになる覚悟なのだろうか?

 

「きゃあっ!?」

 

 まず、その水鉄砲がみくるの絵の2枚に命中する。しかし、これはどちらも偽物⋯そうではあるが選択肢が減る形となり、正解の本物を当てる確率は4分の1に。

 

「みくる、うわあっ!?」

 

「あんな!」

 

 それに続けて今度はあんなにも水鉄砲が命中してこの2枚も偽物。もうここまで来たら分かるだろうが、本物を持っているのは俺である。俺が逃げ切らないと⋯

 

「逃がさねえよ!」

 

「しまっ⋯!?」

 

 しかし、俺の方にも水鉄砲が飛んできてこれは流石にまずいと思ったのか本能的に偽物を前に出して本物を守ってしまう。あまりの勢いに押されたのか、俺は倒れた際に本物の絵を飛ばしてしまった。

 

「悪ぃな⋯絵は頂いて行くぜ?」

 

「待て!」

 

「師匠、大丈夫ですか?」

 

「ゴウエモンを追うよ!」

 

「ああ⋯」

 

 そうして本物の絵を奪われた俺達はゴウエモンを追いかける。とりあえず、どこの方向へ行ったかは辿れば追いつけるだろう⋯恐らく公園から離れようとはしている。逃がすわけにはいかない!

 

「待て、ゴウエモン⋯逃がすか!」

 

 それで逃げた方向を辿って追いかけるとあっという間に追いついた。ゴウエモンは油断してたのか全く走る素振りがなかったのは大きいだろう。

 

「ありゃ、もう追いつくとは。諦めが悪いねぇ⋯」

 

「その絵を返して!」

 

「そいつはできねえ相談だな。嘘よ覆え⋯来やがれ、ハンニンダー!」

 

「ハンニンダー!」

 

 あんなが絵を返せと言うもゴウエモンは応じることなく絵からハンニンダーを生成する。ベースがこれだから何をしてくるのかが全く読めない⋯落書きとかをするタイプなのだろうか?

 

「あんな、みくる⋯変身だ!」

 

「「うん(はい)!」」

 

「「「オープン!」」」

 

「「ジュエルキュアウォッチ!」」

 

「ジュエルキュアライセンスフォン!」

 

「「「プリキュア・ウェイクアップタイム!」」」

 

(変身中⋯)

 

「どんな謎でもはなまる解決!名探偵キュアアンサー!」

 

「重ねた推理で笑顔にジャンプ!名探偵キュアミスティック!」

 

「百鬼夜行を斬り犯罪撲滅!名刑事キュアマスター!」

 

「「「名探偵プリキュア!」」」

 

「私の答え、見せてあげます!」

 

 そして、今回こそは俺達が変身してハンニンダーへと立ち向かうことに。この前は薫風さんに独り占めされたが、今日はこの場に薫風さんはいないから俺達3人で何とかしないといけない。前回で俺達が不要なのではと思わせられてしまったから意地を見せないと!

 

「ハンニンダー!」

 

「上空から来るぞ!」

 

「うん!」

 

「了解です!」

 

 そうして俺達はハンニンダーの上空から繰り出す先制の飛び蹴りを避けていく。その蹴られたところは地面がえぐれていてかなりの破壊力だ⋯こんなのが当たっていたらただでは済まなかっただろう。

 

「ハンニンダー!」

 

「うわっ!?」

 

「ビームまで打つのか!?」

 

「ハンニンダー!」

 

 立て続けにハンニンダーはアンサーに目がけてビームを放つ。何とか避けてはいくも、その中でベンチに命中。すると、そのベンチが絵と化した。今回のハンニンダーはビームに当てたものを絵に変える力があるのか⋯かなり厄介だ。

 

「ハンニンダー!」

 

「うわぁっ!?」

 

「ミスティック!」

 

「何とか大丈夫です。でも、木までもが⋯」

 

「何をごちゃごちゃと!まあ、プリキュア3人もまとめて絵にしてしまって持ち帰ればウソノワール様もお喜びになりそうだな⋯ハンニンダー、やってしまえ!」

 

「ハンニンダー!」

 

 ゴウエモンは俺達を絵にして連れて行こうとハンニンダーに指示を出して絵にするビームを出させる。こんなのに当たるわけにはいかないが、このまま逃げるだけでは勝ち目もない。どうすれば?

 

「うわっ!?」

 

 そう考えてたタイミングで俺は足元を見てなかったのか石につまずいてしまい、転んでしまった。俺としたことが、こんな単純なミスをしてしまうとは⋯

 

「隙あり、まずはキュアマスターから絵にしちまえ!」

 

「ハンニンダー!」

 

「お兄ちゃん、危ない⋯きゃああああ!?」

 

「「アンサー!?」」

 

 俺が転んでしまい何もできなかったその時、アンサーが俺の前まで来ては俺を庇ってそのビームを受けてしまい絵となってしまった。何てことだ⋯

 

「アンサー!アンサー!?そんな、本当に絵になっちゃった⋯」

 

「くそっ⋯俺のせいで。」

 

「ガハハハハ、まさかキュアアンサーが自ら庇って絵になるとは⋯何とも滑稽だ。このまま2人も絵にしてしまえ!」

 

「そうはさせません!」

 

「だ、誰だ!?」

 

 アンサーが絵にされて俺とミスティックもピンチを迎えていた時、林の陰からキュアバイオレットが姿を現した。彼女は一体どこでスタンバイしていたのだろうか?薫風さんはマジで何者だ!?

 

「「キュアバイオレット!」」

 

「良かった、あなた達は無事で。しかし、アンサーは⋯」

 

「はい⋯これから私達はどうすれば良いのでしょうか?」

 

「それなら任せてください。私の作戦に従えばきっと上手くいくはずですよ?」

 

「分かりました⋯僕も乗らせてもらいます。どういう作戦ですか?」

 

「それは⋯」

 

 そうして、バイオレットは俺とミスティックに小声で作戦を授ける。彼女は新人刑事ながらサルさんの見込んだ人だし、きっと最高の作戦があるはずだ。

 

「お前さんが噂のキュアバイオレットか⋯まあ、何人来ようがコレクションにしてやるよ。ハンニンダー!」

 

「ハンニンダー!」

 

「マスターとミスティックは上空へ飛んでください!」

 

「「はい!」」

 

 俺とミスティックはバイオレットの合図に合わせて上空にジャンプする。一見すると上空で隙を見せたら攻撃を受けてしまう⋯しかし、バイオレットが授けた策はきっと上手くいくだろう。

 

「おいおい、自らやられに行くのか?面白い⋯キュアマスターとキュアミスティックの2ショットを絵にさせてもらうぜ?ハンニンダー!」

 

「ハンニン⋯」

 

「はああっ!」

 

 ハンニンダーが力を溜めてビームを放とうとした時、バイオレットは武器の剣⋯ケイボード・ヴィオラでハンニンダーの両足を斬る。両足を斬られたハンニンダーはバランスを崩し、上へとビームを放ってしまう。

 

「マスター、ミスティックをビームの軌道上に!」

 

「分かりました、ミスティック!」

 

「はい!⋯ミスティックリフレクション!!」

 

「ハンニン!?」

 

 俺がミスティックをビームの軌道上に押し込むと、ミスティックは上空でミスティックリフレクションを使ってバリアでビームを防ぐ。しかし、このバリアは防ぐ為に使うだけでなく攻撃を弾き返すのにも効果的なのだ⋯そして、そのビームは跳ね返ってハンニンダーに命中し、絵のハンニンダーが絵になってしまった。

 

「なっ⋯嘘だろ!?」

 

「ナイス、ミスティック!」

 

「師匠のひと押しとキュアバイオレットの授けた作戦のおかげですよ⋯ありがとうございます。」

 

「よし、このまま決めるぞ⋯ってしまった、アンサーが絵になってたんだ!」

 

「そうでした⋯どうしましょう?2人でもフライングスペクトルってできるんですか?」

 

「いや、分からない⋯」

 

「そこは私に任せてください。私が決めてきます!」

 

「バイオレット、分かりました。あなたに託します⋯」

 

「ありがとうございます、織田さん⋯マコトジュエル!」

 

 そうして、バイオレットはフライングスペクトルを使えない俺達の代わりに前に立ってはヴィオラにマコトジュエルをセットする。絵となって動けない以上オーバーキルかもしれないが、これがバイオレットの技だ。

 

「これが私のアンサーです、プリキュア・バイオレット・ストレートフラッシュ!」

 

 バイオレットは力を溜めてから踏み込み、絵になったハンニンダーを一刀両断する。ハンニンダーはもちろんながら無抵抗どころか動けずだ。

 

「キュアっと解決!」

 

「ハン、ニン、ダー⋯」

 

 ハンニンダーが消滅すると、マコトジュエルが出てきてバイオレットがそれを手にする。そうしてはポチタンの前に歩み寄って首元に黄緑のマコトジュエルをセットした

 

「ポチポチ、キュアキュア〜♪」

 

 そのマコトジュエルはポチタンの中に溶け込んでまた1つ、成長を遂げるのだった。バイオレットはやっぱり仲間になってほしいと思うばかりである⋯これだけ強くて頼もしいものだからな。

 

「ほう⋯なかなかやるじゃねえか、キュアバイオレット。ただ、楽しめるのは今のうちだけだぜ?」

 

 そうしてゴウエモンが退却すると絵になっていた周りのものが全て戻り、もちろんアンサーも元の姿に戻ることができた。これで事件は万事解決か⋯

 

「お兄ちゃん、ミスティック⋯私、元に戻ったよ!」

 

「良かったね。」

 

「元に戻れて良かった。とりあえず、デート⋯楽しんできてくださいね?」

 

 俺達が喜びを分かち合う中でバイオレットはそう言うと、彼女もこの場を去っていく。しかし、どうしてこの人までもが俺のデートのことを知ってるのだろうか?本当に何故広まったんだろうな⋯

 

「なあ、この絵に描いてある人って有名な画家であるピポポヴィッチ文江じゃないか⋯これってプロの画家が描いたのか?」

 

「ううん、この絵は文江さん自画像なんだって。文江さんの娘さんが管理しててその謎を解いてたんだ⋯」

 

「とりあえず、絵とマコトジュエルは守ることができましたね⋯あとは私達にお任せください!」

 

「ありがとう。アンサー、ミスティック⋯デート頑張ってくるよ。」

 

 そうして俺はアンサーとミスティックに見送られてまたデートへと戻ることに⋯とりあえず、るるかちゃんを待たせた分は楽しませないとな!2人も絵を娘さんに返せたら良いところだ。

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

 るるかちゃんと合流して、そこから向かった先は約束通りのパティスリーチュチュ⋯しかし、そこはかなりの長蛇の列ができていて何があったのだろうか?

 

「人がいっぱい⋯」

 

「どうする?るるかちゃんは人混みが苦手なんでしょ⋯待てるなら待つけど。」

 

「ごめんなさい。ちょっと無理かも⋯」

 

「そうか⋯じゃあ、また今度行こうね。」

 

「こんにちは⋯こんなところで何をされてるんですか?」

 

 俺達がチュチュの店前から去ろうとしたその時、原材料の買い物をしてたのかスーパーの袋を持っていたここのもう1人のパティシエの女の子がやって来た⋯確か、帆羽さんだったような?

 

「君は⋯帆羽さん、だよね?」

 

「はい、帆羽くれあです。あの時ぶりですけどこうして話すのは初めてですね⋯あの時は事件を解決してくださりありがとうございました。」

 

「いや、あれはあんなとみくるも頑張ったおかげだよ。それで、君は何をしてたの?お店は結構忙しそうだけど⋯」

 

「実は午後からお誕生日ケーキの予約がかなり来ていて、今日は結構誕生日の人が多いんです⋯それで、材料が少なくなってきて私が買い物をしてきました。」

 

 帆羽さんは何故こんなにも長蛇の列が出来てるのかを説明する。しかし、偶然とはいえこの日に誕生日を迎えるまことみらい市民ってこんなにも多かったんだな⋯こんなにも誕生日の人が多かったら公民館とか借りて合同で誕生日パーティーをやれば効率は良いだろうに。

 

「それにしても、織田さんはあんなちゃんやみくるちゃんとは別行動だったようですね?」

 

「まあ、そうだね⋯どうしてあんなとみくるの動向を君が知ってるの?」

 

「実はお店が混雑する前の午前中に2人と斉木萌絵さんが絵の謎を調査する為にここに来ていたんです。それで、ケーキやマカロンを食べてました。ところで、隣の女の子は?」

 

「⋯」

 

 るるかちゃんは帆羽さんと目が合うと、俯いてから目を逸らす。彼女にはどこかコミュ障な部分があったのは最初から分かってたけどな⋯そう考えると、俺にはよく心を開いたなと思わされる。

 

「ごめんね、この子は俺の彼女だよ。ちょっと人見知りが強くてね⋯今日は本来だったらここでケーキをご馳走するつもりだったんだけど、流石に無理だよね?」

 

「申し訳ありません⋯今日はもう店内での飲食はお断りしてまして。また今度来てくださいますか?これ、割引きのクーポンです⋯今月末まで使えるので期限内ならいつでもお待ちしてますね。」

 

 俺が店内で食べれるかを確認すると、帆羽さんから断られてしまう。その代わりに店内飲食とお持ち帰りが10%OFFになるクーポンを貰った。本当に彼女は優しいよな⋯俺より年下のはずなのに母性があって女神のようだ。

 

「ありがとう。また今度来るね⋯それじゃあ。」

 

「はい。デート楽しんできてくださいね?」

 

 そうして、俺はるるかちゃんを連れて帆羽さんと別れる。パティスリーチュチュでケーキを食べる目標は頓挫してしまったが⋯結局は近くの喫茶店は空いていて、そこで代わりにケーキや紅茶を味わうことに。その後は近くの洋服店でお互いの服を買ってデートは幕を下ろすのだった⋯

 

「今日は楽しかったね、るるかちゃん⋯」

 

「うん、初めての時以来の2人きりのデート⋯誘いに乗ってくれてありがとう。」

 

 それから俺達は最初の場所である公園に戻り、今日のデートを振り返る。空は夕焼けに染まりかけておりここまで楽しめた幸せの余韻に浸っていた。

 

「ねえ、るるかちゃん⋯」

 

「何?」

 

「あのさ⋯こういうお願いをするのは気持ち悪いかもしれないけど、キスがしたいんだ。その⋯恋愛ドラマとかであるでしょ?夕焼けに染まった空の下でキスをするシーン。俺達もそろそろしたいなぁ⋯なんて。」

 

「き、キス!?いや、その⋯ごめんなさい、それを言われると緊張してきた。ちょっと心の準備をさせてほしい⋯」

 

 るるかちゃんはキスという単語を聞き、顔を赤くして動揺する。彼女のコミュ障度合いから察するけど、もちろんのことながらキスとかそういうのにはまだ慣れてないのがよく分かってしまう。彼女は深呼吸しようと後ろを向いた⋯よし、ここは男として強行策だ!

 

「るるかちゃん⋯」

 

「えっ⋯んんっ!?」

 

 俺はるるかちゃんを強引に振り向かせ、目線を合わせてから自らの唇を彼女の唇に重ねてキスを交わす。俺としてもキ〇タクが主演の恋愛ドラマの受け売りのようなことをするのはらしくないのだが、こういうところも見せないと男らしくないと思われて仕方ないだろう。

 

「バカ⋯いきなりキスしないでよ。」

 

「ごめんね。でも、君の可愛い顔を見たらどうしてもしたくなって⋯ちょっと無理矢理だったけど嫌じゃなかった?」

 

「本当に織田さんはズルい⋯嫌なわけないでしょ。お返しするから目を閉じて?」

 

「うん⋯分かった。」

 

 るるかちゃんがお返しをすると言ってそれに応えて目を瞑ると、今度は彼女の唇の感触からくっつく⋯宣言通りにキスの仕返しが来たようで離れてから目を開けると、彼女はどこか色っぽい表情をしていた。

 

「これが私からするファーストキス⋯どうだった?」

 

「とても素敵だったよ。何と言うか⋯普段は大人しい子が恋人だけにする秘密のキスみたいな?ちなみに、俺も(女の子の唇にするキスに関しては)ファーストキスだったけどね⋯」

 

「そうなの?凄く上手だったから分からなかった⋯でも、これからは不意打ち禁止。キスをしたい時はその⋯自分で言うから。あなたもしたい時は私に言ってほしいな⋯約束できる?」

 

「分かった、約束するよ。」

 

「織田さんはやっぱり素直ね⋯そんなあなたが大好き。これからも私のそばにいてくれる?」

 

「もちろん。俺も君から離れないよ⋯時間の限りそばにいるからね?」

 

「嬉しい⋯それじゃあ、時間もそろそろ夕方になるから。続きはまた今度、ね?」

 

「うん⋯じゃあね、るるかちゃん。」

 

「織田さん、またね。」

 

 そうして俺達は夕焼けの空の下でそれぞれの住処へと帰ることに⋯俺は彼女に『時間の限りそばにいる』とは言ったものの、俺が現代に帰って別れる時はいつ来てしまうのだろうか?とにかく、今はるるかちゃんとの時間を精一杯楽しむことにしよう⋯この時代に置いていく彼女のことは今後考えるべきかもしれないが、その時は今じゃない。来るべき時が来るまではるるかちゃんのことを幸せにできたら良いな⋯

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

「今日の夜ごはんは小林みくる製のハンバーグだよ!召し上がれ♪」

 

 事務所に帰ってきてから風呂まで済ませ、食卓で夜ごはんを待っているとみくるが手作りと思われるハンバーグを人数分持ってきた。どういう風の吹き回しなのだろうか?

 

「おおっ、みくるの手作りか⋯急にどうしたんだ?」

 

「あんなのお母さんの得意料理ということで作ってみたの。今日、推理をした中でお母さんの手作り料理の話があったことだし⋯あんなを励ます為にね♪」

 

 ジェット先輩がみくるに何故ハンバーグを作ったのかを訊ねると、どうやら今日の中で母親の手作り料理の話があったとのことらしい⋯そういえば、あんなのお母さんというか俺にとっての叔母さんはハンバーグが得意料理だったよな。本当に学校や仕事終わりに食べるのが特に美味しいものである⋯

 

「ありがとう、みくる!いただきます⋯うん、美味しい!お母さんの味だよ。ノブお兄ちゃんも食べて?」

 

「ああ。いただきます⋯本当だ、叔母さんの味に近いかも。みくるの再現度半端ないな⋯」

 

「そうですか?あんなと師匠にそう言ってもらえると嬉しいです♪」

 

「本当だ⋯みくるは料理の才能までもあるとか凄いな!今後はお前に料理を任せても良いか?」

 

「もちろん、お任せあれ!あんな、師匠⋯私が必ず2人を元の時代に戻しますから。これからもよろしくお願いします!」

 

「うん。よろしくね、みくる!」

 

「こちらこそ。俺も時間のある限りみくるを1人前の名探偵にする為にサポートするから⋯よろしく頼むよ。」

 

「はい!」

 

 そうして、俺達はさらに絆を深めてまた新しい一歩を踏みしめるのだった。俺もだが、あんなとみくるも探偵としては未熟⋯その中で名探偵プリキュアになってキュアット探偵事務所も再始動させた。俺達の探偵道はこれから⋯果たして、どんな道のりを歩んでいくことだろうか?そんなことを思いながらみくるの手作りハンバーグを食べるのだった。

 

『時を超えた出会い、名探偵プリキュア始動編』完




登場人物紹介

久間大輔(くまだいすけ)

(脳内)CV:佐久間大介

身長:178cm

体重:60kg

誕生日:7月5日

年齢:満47歳(当時19歳)

大学入学早々に同級生を軸に結成したLunatic shellのベース担当にしてリーダー代行。リーダー不在の時はグループをまとめる存在で少々変な作戦を立てて呆れられる時もあるが、何とか上手くまとめている。


宮岡敏也(みやおかとしや)

(脳内)CV:宮田俊哉

身長:183cm

体重:65kg

誕生日:9月14日

年齢:満47歳(当時19歳)

Lunatic shellのエレキギター担当で大輔の幼馴染。少々チャラいところもあるが、大輔の右腕として彼を支えつつグループ内の風見鶏的なポジションにいる。


國村大地(くにむらだいち)

(脳内)CV:武内駿輔

身長:187cm

体重:77kg

誕生日:9月12日

年齢:満47歳(当時19歳)

Lunatic shellのキーボード担当。大柄で強面ではあるが、グループ内では兄貴的なポジションでチームをまとめていく。大男ながら手先が器用でどんな難しいコードでもこなせる。


藤原友里(ふじわらゆり)

(脳内)CV:藤本侑里

身長:165cm

体重:??

誕生日:9月11日

年齢:満47歳(当時19歳)

Lunatic shellのバイオリン担当。バイオリンのコンクールで金賞を獲得するぐらいの実力者、大輔と敏也の幼馴染で敏也とは喧嘩するほど仲が良い。


山本真也(やまもとしんや)

(脳内)CV:林勇

身長:174cm

体重:56kg

誕生日:4月2日

年齢:満45歳(当時18歳)

Lunatic shellのドラム担当。最年少で唯一の(当時)高校生であるが副リーダーを任されている。近所の大輔からスカウトされたぐらいの逸材で音楽に関して右に出る者はいない。


沢村隆一(さわむらりゅういち)

Lunatic shellのアコースティックギター担当でメインボーカルにしてリーダー。グループの発起人で有名になりたい一心で音楽が趣味であることからメンバーとなる面々を連れて結成。ライブ当日はインフルエンザと診断され欠場を余儀なくされた。


いかがでしたか?ついに第1章が完結しました!ここまで読んでくださりありがとうございます。とりあえず、今回を振り返ってみると信義とるるかちゃんのデートの中で後に有名になるバンドのメンバーである大輔からボーカルの代役を依頼されるという感じとなりましたが、それは何とか成功!るるかちゃんも歌を披露して大盛況でした。とりあえず、ライブで歌を出した2曲に関しては音源がYouTubeにあるのでリンクから飛んで聴いてみるとより楽しめます。

その一方であんなちゃんとみくるちゃんも絵の謎を解明しましたが、その中でゴウエモンが現れて絵を持って逃げることに⋯そことライブ終わりのデート組とバッティングして信義が行くことに。そこでの戦いは策を練るもピンチが続き、アンサーも絵にされるという原作よりもハードな展開に⋯そこにやって来たのはキュアバイオレットで彼女はマスターとミスティックに策を授けてその通りにやったら見事に攻撃を封じ、最後はバイオレットが決めました。しかしながら、ゴウエモンにもバイオレットことすみれにも広まった信義のデート⋯何故に広まったんでしょうね?

それで合流してからデートの続きに向かうも予定のチュチュでのケーキは混雑により頓挫⋯そこでくれあちゃんと会うもるるかちゃんは人見知り。まあ、実際にもこの2人はどんな関係なのかと疑問に思われてるのでね⋯現時点でこの対応はベターかなと。それで最後には何と信義からキスをして、それをるるかちゃんが仕返しするという⋯信義のキスのやり手が作中でも言及しましたけど、恋愛ドラマの時のキムタクこと木村拓哉さんなんですよ。あの時のキムタクは大体こんな感じでしたよね?こうやって無理矢理気味にキスをするという⋯それに当時の女の子達はメロってました。

そして、最後には原作の最後の方で触れられたみくるちゃんのハンバーグ⋯あんなちゃんのお母さんというか信義の叔母さんの得意料理を作って出すというところがもうあんなママ説の伏線なのではとも思ってしまいますよ。まあ、この時点でどうとは言えませんけどね⋯それで第1章は無事完結いたしました。

さて、次回からの第2章のタイトルは『黒銀のプリキュア編』となります。何話分から何話分かですが、原作アニメの時間軸だと11話分~20話分となり、そこにオリジナルストーリーがプラスされます。結構原作が先に進んでる中で書くと方向性が決めやすいですよね。まあ、そもそもの話でるるかちゃんをメインヒロインにするのは決定事項だったので⋯次回からもまたどうぞよろしくお願いいたします。

次回も読んでくださる方は感想、お気に入り登録、高評価の3点セットをしてお待ちを!それでは⋯
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